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区議会活動
2013年第3回定例会
9月20日に行われた近藤なつ子議員の一般質問の概要を紹介します。質問・答弁の順番を変えています。
日本共産党新宿区議団の近藤なつ子です。待機児童解消策について一般質問します。
待機児童解消策について
第1に、待機児童解消の進捗状況についてです。
待機児童解消は、言うまでもなく区政の重要課題です。来年の4月開所をめざし認可保育園新設の緊急対策が行われています。9月10日の記者会見で、区長は 緊急対策で認可保育園定数を新設で323人、既存の計画で147人、計470人分が来年4月までに大幅に拡大することと年内に区立保育ルーム3カ所57人 分実現すると発表しました。来年は区長選の年ですから区長のマニフェストでは来年4月の待機児童解消を公約しています。この計画ができれば、来年2014 年の4月には待機児童はゼロになるのでしょうか。もし、できないというのならどの地域がどのような理由でできないというのか。お答えください。
ここ数年区の出生数は2200人前後に増え、出産後も働き続ける女性が増えていることなどで年々保育園の申込率は上がり、待機児童は増え続けています。待 機児童は今年度当初、新定義で初めての3ケタ台の176人、旧定義で333人となっているのもその表れです。年度当初の数字を追いかけながら、後手後手で 待機児童を解消するのではなく、人口推計なども良く分析して待機児童を発生させないような計画づくりを本格的にしていかなければ、少子化に歯止めをかける ことはできません。
第1回定例会で区長は整備目標との関係で、「地域の人口推計、住宅開発の動向なども分析」すると答弁しています。西富久の再 開発では、区立新宿第二保育園を取り込んだ形での私立子ども園が設置される予定ですが、大久保3丁目や四谷駅前の大規模開発では認証保育所をつくる計画で す。これも認可保育園に計画を変更させるべきです。大久保3丁目の再開発では、計画さえ決まればすぐにでも建設に着手できる条件があり、全体計画に先行し て認可保育園を設置させることも可能です。この2つの計画に対する区長のお考えをお示しください。
また、0歳児の受入れ枠を増やすことも重要です。すべての保護者が育児休業を取得できるわけではありません。一定割合で0歳児枠も増やさなければ真の待機児童解消になりません。どのようにして0歳児枠を増やす計画なのか、お聞かせください。<子ども家庭部長> 近藤議員のご質問にお答えします。
待機児童解消策についてのお尋ねです。
はじめに、待機児童解消の進捗状況についてです。
本年4月の待機児童数の急増に大きな危機感を持ち、直ちに緊急の待機児童解消対策に取り組んだ結果、来年4月までには従前からの計画と合わせて527名の 受入れ枠拡大が実現する見込みです。平成23年度から26年度までの4年間では認可保育園と認定子ども園の整備を中心に1,000名を超える受入れ枠を拡 大します。国の待機児童解消加速化プランにも手をあげ、東京都のスマート保育事業も活用するなど、あらゆる手立てを尽くしながら待機児童の解消を目指して います。
来年4月に待機児童がゼロになるのかというお尋ねについては、箪笥町・榎町両特別出張所の緊急整備地域で本年4月の区全体の待機児童数 を大きく超える受入れ枠を整備することから、この地域を中心とした切迫した状況は解消されると考えています。一方、今回の緊急対策および子ども園の新設な どにより整備が進んだ地区から離れた地域については、現在実施中のニーズ調査の集計結果や住宅開発の動向なども見据えながら、待機児童解消の見込みを慎重 に判断する必要があると考えます。
次に、大久保3丁目及び四谷駅前の大規模開発地域における保育施設の計画についてのお尋ねです。
保 育・教育施設の整備については、今後も地域の保育ニーズを的確に把握し、機敏に対応していくことが重要と考えます。大久保3丁目及び四谷駅前地区について は、当初想定していた認証保育所の公募を現状では見合わせています。近隣で整備が先行する保育所もあることから、今後は両地区のスケジュールと保育ニーズ の発生見込みを分析しながら、認証保育所に限定せず、両地区でどのような施設が必要なのかについて、事業者と協議を行っていきます。
次に、0歳児枠についてのお尋ねです。
新宿区の0歳児保育の実施率は23区の中でもトップクラスとなっており、0歳から入園できるお子さんの定員枠は1歳から入園できるお子さんの約2倍となっ ています。その結果、勤務先から保証されている育児休業期間を切り上げて0歳児枠の4月入園に申し込まれる保護者も少なくないのが実態です。
こうしたことを踏まえ、今後は、現在実施中のニーズ調査の結果などに基づいて1歳からの入園可能枠も適正に確保しつつ、真に必要な0歳児保育の定員枠について、検討していきます。<近藤> 第2に、待機児童数の把握についてです。
待機児童を解消するという時、その正確な把握が必要です。2002年から新定義なるものが使用されるようになりましたが、区への申込みはあくまで認可保育 園への入園希望です。月ごとの申込状況が区のHPに出ていますが、その希望者数と実際に区が発表する待機児童数とのかい離に、少なくない方から質問をいた だくことがあります。認可保育園に入園申込みをしている数、入園できた数、入園できなかった数、そのなかで保育ルームや認証保育を利用している数、事業所 内保育を利用している数、求職中の数、他園へ希望している数などの内訳を丁寧に示す必要があると思います。また区は地域バランスを重視するとしていますの で、特別出張所ごとに把握し区民に示す必要があるのではないでしょうか。お答えください。<子ども家庭部長>次に、待機児童数の把握についてのお尋ねです。
新宿区では、預け先が見つからず保護者が育児休業を延長した場合や、仕事を辞めた場合など、一部の自治体が対象外にしているケースも待機児童の数に含めています。
入 園できなかった方々については、その後も毎月の入所会議に諮るため、担当職員が個々の家庭の状況を丁寧に聞き取りながら把握しています。お尋ねの求職中の 数や他園へ希望している数などの内訳は常に変動するため、4月の入園事務が終了した時点で取りまとめて分類しています。
さらに特別出張所ごとの把握も、ということについては、来年度予定している子ども子育て支援事業計画の策定作業の中で、保育施設の整備圏域の考え方をまとめ、お示ししたいと考えています。<近藤> 第3は、当面の待機児童解消策についてです。
この9月1日現在の待機児童数は新定義202人と旧定義326人。昨年同時点では111人と230人ですからそれぞれ91人と96人も増えています。「子 どもを保育園に預けられないばかりに仕事を辞めさせられそう」「夫1人の給料ではとても生活できない。早く働かないと親子で路頭に迷う」と追い詰められ、 いま現在も困っている区民がいます。児童福祉法24条の規定からすれば、保育に欠ける児童は市区町村が保育実施の義務を負うのではないでしょうか。緊急対 策として区立保育ルーム3所57人分を年内に整備していますが、1,2歳児のみで最も多い0歳児を含め対応しきれません。
そんな中で戸山第三保 育園は10月いっぱいで廃止されようとしています。高齢者のための施設も増やさなければなりませんが、区の施設のなかで何も手を付けずともそのまま保育施 設として活用できるこの施設を当面の待機児童解消のために、隣接している保育園の分園として活用するなど工夫できるのではないでしょうか。お答えくださ い。<子ども家庭部長>次に、戸山第三保育園移転後の活用についてのお尋ねです。
現在、新宿区の就学前児童に対する保育施設の定員数は約41%です が、ご質問にある若松地域は65%を超え、突出して高い整備率となっています。また、来年4月には(仮称)東戸山子ども園を開設し、保育を必要とするお子 さん110名分の入園枠を新たに生み出します。したがって、戸山第三保育園移転後の建物を保育所分園などに活用する必要はないと考えます。<近藤> 第4に、保育の質についてです。
その1は、施設についてです。子どもの健全な発達にとって保育環境の確保にも十分配慮するべきです。今回は民間賃貸物件を活用した整備のため、敷地内に園 庭が取れそうなのは現段階で1ヶ所のみです。近くの公園を使うにしても安全確保は大仕事で、子どもにも保育士にも負担がかかります。園庭のあるより良い環 境の保育園を整備するには土地の確保は重要です。第2回定例会でわが党の質問に区長は「必要な場所に必要なサービスを的確かつ効率的に提供していく中で、 適地として都有地、または国有地があれば検討」すると答えていますが、財務局が6月末に国有地のセールスに来た際、区は手をあげませんでした。区長会とし て、整備に必要な安心こども基金の継続実施の要望や土地取得の軽減措置などを国に求めていることは承知していますが、国の対応待ちではなく区として積極的 に適地を探し、交渉にあたることが必要と考えますがいかがでしょうか。お答えください。
その2は、経験の豊かな保育士をいかに確保するかです。 社会福祉法人の保育園等でも保育士の確保が大変厳しい状況にあることを踏まえ、東京都はこの8月、直近の5年間に保育士登録をされたすべての方にアンケー トによる実態調査を実施しました。重労働の割りに民間では給料が低いことは既に課題であり、国は経験年数によって民間施設給与等改善費、いわゆる民改費を 交付しています。新宿区の保育士募集では今年度20人の募集に対し87人が受験しているように、保育士がいないのではなく処遇が問題なのです。今年度、国 は処遇改善のため臨時に予算を増額していますが、継続的な施策として民改費の増額やかつての都による公私格差是正制度の復活などを強く求め保育士の定着を 図るべきではないでしょうか。
その3は、認可保育園での労働環境モニタリングの実施についてです。
新宿区では、指定管理者に対し協定 に基づき労働環境モニタリングを実施しています。事業が適正な労働環境の下に行われるよう、社会保険労務士が細かな点まで具体的に指摘をされ改善が図られ ており、とても有効な手立てだと思います。認可保育園には、国・都・区から運営費の支弁をしていますが、初めて株式会社立の認可保育園ができることに不安 もあります。すべての認可保育園が「良い保育を実施している」となるようこれまでの社会福祉法人立の園を含めそれぞれの園と協定を結び、公共サービスの質 の向上を図るためにも労働環境のモニタリングを実施すべきではないでしょうか。離職率が高いとされている保育園職場の適正な労働環境保障につながると思い ますが、いかがでしょうか。お聞かせください。以上、答弁願います。<子ども家庭部長>次に、国有地の活用に対するお尋ねです。
今年度の緊急対策は、待機児童の急増、特に箪笥町及び榎町地域の切迫した状況に対応するために実施しました。今後も地域の保育ニーズを的確に把握し、必要な場所に必要なサービスを提供していくにあたり、適地として国有地があれば検討してまいります。
次に、保育士の処遇改善についてのお尋ねです。
民 間施設給与等改善費は、保育所職員の官民の給与格差是正を目的にできた民間保育所への補助制度です。常勤職員の平均勤続年数に応じて事業費単価が加算され ることから、保育士の定着に寄与しています。保育士の処遇改善は国の待機児童解消加速化プランの目玉の一つでもありますが、東京都はそれを先取りする形で 「東京都保育士等処遇改善臨時特例事業」を開始しています。そこで区としても早速、本定例会において保育士の処遇改善に取り組む民間保育所への補助金を補 正予算で計上しています。
また、保育士の定着だけでなく保育従事者の保育士資格取得を支援する「保育従事職員資格取得支援事業」に係る経費もあ わせて補正予算で計上しています。このほか、私立保育園や認証保育所職員の研修支援など、保育の量・質の拡充を支える人材の確保については区としてもあら ゆる手立てを使って取り組みます。
次に、労働環境モニタリングの実施についてのお尋ねです。
労働環境モニタリングは、社会保険労務士が常勤職員のみならずパート職員にも聞き取り調査を行い、細部にわたる検証を行うなど、労働環境を知るうえで非常に有効な手段であると認識しています。
保育園の運営につきましては、東京都による指導検査や会計検査院監査、第三者評価制度等、数々のチェック機能がありますが、新宿区は私立保育園に対する日 常的な運営指導の中で保育環境や労働環境の把握に努めています。区民がお子さんを安心して預けられる保育所を支えるのは、保育に携わる職員のやりがいと笑 顔であると考えます。労働環境モニタリングにつきましては、雇用者としての事業実施法人の認識が非常に重要であるため、法人が自らの責任において実施する よう、働きかけてまいります。
2013.10.04 更新