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    2015年第4回定例会 一般質問

    11月27日の本会議で、阿部早苗議員がについて一般質問を行いました。

    正式な会議録ではありませんが、概要をご紹介します。

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     日本共産党のあべ早苗です。
     私は、高齢者の住まい安定確保と空き家活用について一般質問します。
     2011年に「介護サービスの基盤強化のための介護保険法一部改正法」が成立し、各自治体には地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みが求められるようになりました。地域包括ケアシステムとは、「ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、生活上の安全・安心・健康を確保するため、医療や介護、予防のみならず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが日常生活の場(日常生活圏域)で適切に提供できるような地域での体制」と定義されています。ここでいう高齢者の住まいとして、国はサービス付き高齢者住宅(略称サ高住)の供給を促進する方針を打ち出し、国交省が補助金を出し、税制上の優遇措置も講じて、10年間で60万の目標で整備が進められてきました。新宿区でもこの国の方針を受けて、支援付き高齢者住宅整備のための検討を行ってきましたが、民間を誘致する見通しが厳しいためか整備方針を見直し、高齢者保健福祉計画では「高齢者が安全・安心に暮らし続けるための居住支援」として、以下の三つの方向が示されました。
     「①住み替え相談や高齢者等入居支援等の施策・事業と連携をとりながら、高齢者の賃貸住宅への入居制限の軽減措置や助成金の支給など、居住支援を進める。
    ②意見交換・情報共有の場として「高齢者の住まい安定確保連絡会」を設立し、「高齢者の住まい安定確保」にきめ細かく取り組んでいくための基盤をつくる。
    ③「支援付き高齢者住宅の整備」のあり方を見直し、公有地の活用による建物の建設に限定するのではなく、どの住宅においても、必要な人が必要なサービスを受けられる仕組みづくりを進めることで、「整備」を実現する。」
    の3点で、第三次実行計画もこれを踏襲したものとなっています。
     第1の住み替え相談は、相談件数はそれなりにあるものの契約に至った件数が昨年度27件と少なく本来の目的達成のために何らかの改善策が必要ではないでしょうか。また住み替え助成は高齢者世帯が8世帯、保証料助成に至っては1件のみでした。第三次実行計画では保証料助成件数の目標数値を20件とし、実績に対して高く見積もっていますが、どうやって目標に到達するのですか。住み替え助成は助成金算定期間を延長し、保証料助成は公的保証人制度をつくって貸し手の信用を担保する等制度の改善・充実をすべきと考えますが、いかがですか。
     私の知人の80代の方は今年手術で人工肛門になり病院から自宅に戻りました。自宅は風呂がなく、トイレは和式の共同トイレですから転居が必要でした。探したところ価格的にも手頃なお風呂トイレ付きの物件が見つかりましたが、高齢を理由に断られました。介護サービスが定期的に入り、区が孤独死の判断基準している2週間に1回以上見守りがあるケースでも高齢だと入居を断られるわけです。また介護が必要になって1階の部屋に移転を希望しても、それだけでも探すのは結構大変です。どの住宅でも必要な人が必要なサービスを受けられる仕組みといいますが、介護保険制度をはじめ行政のサービスは制度の枠組みが決まっています。必要な人が受けられる必要なサービスの仕組みとは、どのようなサービスを指すのか、具体的にお示しください。「高齢者の住まい安定確保連絡会」は今年度立ち上げたとうかがいましたが、どのような取り組みをしていくのかもお聞かせ下さい。
     先ほどのストマになった方は10年以上にわたって都営・区営住宅を申し込んでも入居できなかった方です。支援付き高齢者住宅が増えないなら、シルバーピアの区営住宅を増やすのが多くの高齢者のニーズに合致していると考えますが、いかがですか。
     私は先日台東区の山谷地域で活動するNPO法人訪問看護ステーション・コスモスが運営する高齢者アパートなどを見学させていただきました。2000年に訪問看護と居宅介護支援事業を開始して以降、15年間地域に密着して活動してきました。事務所のある建物の1階でディサービスを運営するとともに、すぐ近所で無料低額宿泊所を開設している他に、事務所周辺の空き家に3つの支援付きアパートを展開していました。どの施設も事務所から徒歩1分位の範囲にあり、宿泊所にはかなり重度の障害者が入居していますし、アパートにはがんのターミナルの患者、認知症の高齢者などが入居し、医療と介護が連携したサービスを享受できています。入居者数名のお部屋に案内していただき、お話ししましたが、みなさん安心感からかとてもオープンで明るくて、住まいが確保されたうえでの地域包括ケアシステムとはこうしたことなんだろうと実感することができました。そして、新宿でもこのような住まいがあれば喜んでくれる方が多いだろうとも感じました。
     コスモスが運営しているアパート等は、元々の事務所のオーナーの所有物件に加えて、近くに手頃な空き物件があると近所の方が教えてくれて、建て替えやリフォームをしてアパート等にしているとのことでした。その点では空き家の有効活用でもあります。
     今年2月施行(関連規定は5月26日から)の空き家対策の推進に関する特別措置法では、自治体は空き家の調査とデータベース整備の努力をするとともに、空き家や跡地情報の提供、活用のための対策の実施が必要になりました。そこで新宿区でも、第三次実行計画で2017年度末までに実態調査、データベースの整備と空き家等対策計画策定の方針を打ち出しています。
     空き家対策では、都内では文京区や世田谷区で利活用の対策が一歩進んでいます。文京区は専門家が相談にのる空き家相談会を開催するとともに、管理不全な空き家等の除却費用を200万円を上限に区が助成し、除却後の跡地を区が無償で10年間借り受けて行政目的で使用する制度をつくっています。これまでに木密地域の無接道敷地に簡易水道消火装置等を設置したり、地域コミュニティ形成のための「憩いの広場」を整備しています。
     世田谷区は、空き家を地域の資源と考え、地域コミュニティ活性化につながる公益的な活用を進めるため、オーナー向け相談窓口を開設するとともに、空き家地域貢献活用モデル事業を実施しています。モデル事業は、空き家を改修して、地域交流スペースや認知症カフェとディサービス施設、未就学障害児の居場所にする等の実績があり、今年度も発達障害児と保護者の居場所など3件が採用されています。モデル事業に選ばれると、最大200万円の初期整備費用(総額最大600万円の費用)助成と、整備に当たって専門家の建築アドバイスが受けられます。
     世田谷区の事例は新宿区でも大いに参考にできると考えます。空き家を有効活用して高齢者のための住まいを確保する努力をもっと強力に進める対策を早期に打ち出すべきと考えますが、いかがですか。支援付き住居も座して待っているだけでは実現しないわけで、知恵と工夫と熱意を持って空き家活用に取り組んで頂きたいと思います。

     

    (都市計画部長) 阿部議員のご質問にお答えします。
     高齢者の住まい安定確保と空き家活用についてのお尋ねです。
     はじめに、住み替え相談の改善策についてです。
     住み替え相談は、高齢者などご自身で住宅を探すことが困難な方に、不動産仲介業者である住み替え促進協力店を介して区内の民間賃貸住宅をあっ旋する制度です。平成26年度の住み替え相談は294件で、紹介状交付が143件、ご指摘のように契約に至ったものは27件でした。今後は、住み替え促進協力店について協定を結んでいる東京都宅地建物取引業協会新宿区支部と連携し、協力店を増やすことなどで、家賃や希望階数といった相談者のニーズに応えられる多様な住宅のあっ旋に取り組んでまいります。
     次に、保証料助成件数の目標達成及び制度の改善・充実についてのお尋ねです。
     区の保証料助成は民間賃貸住宅への入居に際して保証人がいない場合に、区と協定を結んでいる保証会社をあっ旋し、保証料の一部を助成する制度です。
     保証料助成件数の目標については、協定保証会社の増加を図るとともに、手続きを簡素化することなど利用者にとって使いやすい制度とすることなどで、目標を達成してまいります。したがって、新たにご提案の区が保証人となる公的保証人制度をつくることは考えていません。
     次に、住み替え居住継続支援事業の助成金算定期間の延長についてのお尋ねです。
     この事業は、住宅の取り壊し等を理由に立ち退きを求められた場合に、転居後の家賃増加と転居に係る費用に対して、一時金として助成する制度です。家賃増加に対する一時金の算定期間は、2年間としています。転居の際に増加する家賃負担の軽減を図る制度ですので、算定期間が民間賃貸住宅の一般的な契約期間である2年間であることは適当であると考えています。
     次に、高齢者の住まい安定確保連絡会の取り組みについてのお尋ねです。
     この連絡会は、福祉及び住宅、建築に携わる関係団体と行政機関が、互いにそれぞれの立場でできることや課題と感じていることについて情報を共有し、各団体の活動に反映していくために設置したものです。この連絡会を核として、高齢者が抱える課題を的確に把握し、高齢者が住み続けられるように、住み替え相談などの事業改善に取り組んでまいります。
     次に、シルバーピアの区営住宅を増やすことについてのお尋ねです。
     シルバーピアを含めた区営住宅の戸数は1,058戸あり、23区の中でも上位にあることから、今ある区営住宅の住戸数を増やすことは考えていません。また、シルバーピア以外の区営住宅に対する区民需要は非常に高く、この区営住宅をシルバーピアに変更することは困難であることから、現時点でシルバーピアの区営住宅を増やすことは考えていません。
     高齢者からの相談に対しては、住宅部門と福祉部門が連携してきめ細かく対応してまいります。
     次に、空き家を有効活用して高齢者のための住まいを確保する対策を早期に打ち出すべきとのお尋ねです。
     区は、平成28年度からの第三次実行計画において、空き家の実態調査とその結果に基づく空家等対策計画を策定する予定です。新宿区は、不動産の価格が高く、また、民間不動産業者の活発な経済活動により、不動産の流動性が高いという特性があります。空家等対策計画の策定にあたっては、この特性を踏まえて、空き家の利活用についても検討をしてまいります。
     したがって、空き家を活用した高齢者のための住まいの確保についても、所有者と民間高齢者福祉事業者をつなぐための情報提供など、計画策定の中で、創意工夫を凝らしながら効果的な方策について検討してまいります。

    (福祉部長) 次に、どの住宅でも必要な人が必要なサービスを受けられる仕組みについてのお尋ねです。
     区は、高齢者ができる限り住み慣れた地域で生活できるよう、地域包括ケアシステムを推進しています。具体的なサービスの提供には、介護事業所による通所や訪問などの介護保険サービス、紙おむつ購入費助成や配食サービス等の区独自の生活支援サービス、訪問看護等による医療サービス、住民同士の支え合いなどがあります。そして、これらのサービスを高齢者総合相談センターがコーディネートしています。この地域包括ケアシステムを推進することが、どの住宅でも必要な人が必要なサービスを受けられる仕組みの実現につながると考えています。

    区議会活動 | あべ早苗

    2015.12.15 更新

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