-
区議会活動
2016年第2回定例会 一般質問
6月10日の本会議で、沢田あゆみ議員が以下の項目について一般質問を行いました。
1.Wi-Fi(ワイファイ)の整備について
正式な会議録ではありませんが、概要をご紹介します。
(沢田あゆみ議員) 日本共産党区議団の沢田あゆみです。私は、Wi-Fi(ワイファイ)の整備について質問いたします。
Wi-Fiは、スマートフォン等の急速な普及に伴い、外国人観光客の強い要望であると同時に、ICTインフラの中でも災害に強いことから、災害時に電話回線がいわゆる輻輳(ふくそう)と言われる状態となり電話が利用できない場合でも、インターネットにつながりやすく、効果的に情報を受発信できる通信手段として整備促進が求められています。実際に、熊本地震の際も有効に活用されたことでますます注目されています。
国は、総務省がWi-Fiの整備を推進しており、民間と同時に防災拠点などは官主導で補完すべきとして、自治体の無料Wi-Fi設置にあたってはガイドブックも出されています。また、文部科学省は第2期教育振興計画において来年度までに超高速インターネット接続率および無線LAN整備率100%を目標に掲げていますが、総務省が2020年度までに、全国すべての小・中・高校にWi-Fiを導入するため費用の一部を来年度概算要求に盛り込む検討を始めたと報じられ、国の主導で急速に整備促進が図られています。
一方、新宿区は、今年4月1日から区内の公共空間で利用できる公衆無線LANサービス「Shinjuku Free Wi-Fi」の提供を本格的に開始しました。外国人観光客等来街者の利便を図るために、まず新宿駅周辺に整備され、今年度は高田馬場、大久保、新大久保の各駅付近に整備される予定です。しかし、災害時の通信手段確保策としての位置付けはまだ認識が浅く、地域防災計画にも記述はありません。
第1の質問は、災害時の通信手段確保策としてのWi-Fiの整備についてです。
熊本地震で実際に行われたように、災害時の被災地ではWi-FiのAP(アクセスポイント)が00000JAPAN(ファイブゼロ ジャパン)というSSID(識別名)を選択することで、どのスマホ・タブレットでもすべてのWi-Fiが無料で使えるように一斉に切り替わる仕組みとなっており、多くの方がスマホ等でインターネットに接続し、必要な情報を得ることができるようになります。また、熊本では各避難所にも通信事業者が特設APを設置し、ほぼすべての避難所で無料Wi-Fiが使えるようになり、被災者のみなさんはもちろん行政の職員やボランティアにも活用されています。
自治体が設置する無料Wi-Fiが観光地を中心に増えていますが、災害時には外国人観光客に適切な情報提供ができるツールとしても有効で、「Shinjuku Free Wi-Fi」も災害時にはネットに繋がった時の最初の画面が災害モードに切り替わって避難所などの情報が多言語で伝わるようになっています。東京23区でも災害時の活用を前提とした無料Wi-Fi設置を進めている区が増え、お隣の渋谷区では学校のそばに設置することで通常は区や観光協会のホームページ以外はアクセスが制限されていますが、災害時には制限が解除され区民や観光客など来街者が自由に使えるようになっています。災害対策と観光の両面から、駅周辺だけでなく区の施設に無料Wi-Fiを設置する動きも広がっています。以下、具体的に質問します。
1つ目は、区の施設に無料Wi-Fiを整備することです。現在、区の施設でAPが設置されているのは区立図書館9館のみですが、本庁舎や地域センター、文化センター、スポーツセンター、など他の区施設にも設置をすべきと考えますがいかがでしょうか。
2つ目は、避難所にAPを設置することです。熊本では避難所となった所には学校も含めてWi-Fiの整備はされていなかったため、通信事業者が可動式のAPを配置しました。国は、避難所にもなる学校にWi-Fi導入を促進しようとしていますが、教育に対する費用対効果や運用上の難しさなど課題が多く、時期尚早と思いますが、災害対応として例えば渋谷区のように通常はアクセス制限をかけたAPを体育館などの近くに設置するなどしてはいかがでしょうか。
3つ目は、災害対応型のAP設置です。災害時は民間のものも含めWi-Fiはすべて無料で使えるようになるものの、停電してしまうと使えないことが課題です。その対策として太陽光発電の防犯灯と一体型のAPや太陽光発電付き移動式APなどが有効です。例えば、区が設置するAPのいくつかを太陽光発電の物にしたり、避難所に太陽光発電付き移動式APを配置したり、そうしたものの設置を民間にも協力してもらってはいかがでしょうか。
4つ目は、「Shinjuku Free Wi-Fi」の周知です。まだまだ、その存在は知られておらず、本来のターゲットである外国人観光客の利用が少ないと聞いていますが、これまでの実績をどのように分析されているでしょうか。災害時の事も考えると、外国人の来街者に広く周知されることで、いざという時に混乱を避けることができます。「Shinjuku Free Wi-Fi」を更に多言語化することとあわせて、例えば海外の出版社に働きかけて外国人向けの旅行ガイドブックに掲載してもらうなど、更に周知を図るべきと思いますがいかがでしょうか。
5つ目は、地域防災計画にWi-Fiを位置付けることです。これまでも、災害時の通信手段の確保策について災害時優先電話の提案をし記載されてきましたが、Wi-Fiについての記載はありません。地域防災計画は来年度改定される予定です。熊本地震の教訓を活かし、災害時に無料で使えるWi-Fiについても位置づけるべきと考えますが、いかがでしょうか。
第2の質問は、商店会などの無料Wi-Fi設置についてです。
区は、都の補助金を活用して、商店会などが「Shinjuku Free Wi-Fi」のネットワークを活用した無料Wi-FiのAPを設置する場合、設置費用の10分の10を助成する予算を計上しましたが、昨年度末の申請締め切りまでに相談は5件あったものの申請はゼロで予算額がそのまま不用額となってしまう事態です。ランニングコストがネックになっていることは明らかで、今の補助金の枠組みの改善を含め、工夫が必要です。
質問の1つ目は、ランニングコストを抑えたシステムについてです。現在、区が設置しているAPは高機能型で、電波範囲が100度前後の扇型に広がる指向性で70メートル前後まで電波が届くものとなっており、ランニングコストは月3万5千円です。APを何基設置するかによりますが、これでは商店会にとってハードルが高すぎます。最近は簡易型もあり、半径20メートル前後に電波が届くもので、ランニングコストは月8千円と聞いています。このタイプを商店会に周知していくことも必要ではないでしょうか。
2つ目は、商店会への対応です。無料Wi-Fi設置が全額補助対象となるのはNTT東日本の「Shinjuku Free Wi-Fi」を利用する場合に限定され、「Shinjuku Free Wi-Fi」以外の場合、設置費の6分の1が商店会の負担となってしまいます。設置のメリットが理解されなければ商店会員のコンセンサスは得にくいと思います。また、商店会によっては独自の無料Wi-Fiを設置していますが、いずれの方法も経費の捻出が課題です。こうした経費の問題も含めて、商店会のみなさんが様々な方法を選択できるよう、区が勉強会を実施し、商店会の要望を聞く場を設け、支援を強化してはいかがでしょうか。
以上、答弁願います。(総合政策部長) 沢田議員のご質問にお答えします。
Wi-Fi(ワイファイ)の整備についてのお尋ねです。
はじめに、災害時における区の施設へのWi-Fiアクセスポイントの整備についてです。
大規模災害発生時には、誰でも公衆Wi-Fiを無料で利用できるようにする「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」という取り組みが進んでいます。先の熊本地震の際にも、普段は携帯電話キャリア各社がそれぞれ加入者向けに運用しているWi-Fiスポットにおいて、災害時用の統一SSID「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」を設定し、加入者以外にも開放されました。また、避難所などに臨時のWi-Fi基地局がただちに設置された実績があります。区の施設におけるWi-Fiアクセスポイントの整備については、このような取組みの状況を注視しながら、慎重に検討してまいります。
(総務部長) 次に、避難所へのアクセスポイントの設置や災害対応型アクセスポイントの設置及び、地域防災計画へのWi-Fiの位置付けについてのお尋ねです。
熊本地震では、通信事業者による既存アクセスポイントの開放や臨時アクセスポイント約444台の無償貸与などにより、避難所における通信手段が確保されています。発災時に、情報伝達のための通信手段としてWi-Fiを活用することの有効性は認識していますが、学校体育館への設置については、平常時における活用方法などの問題や費用対効果の検証等が必要であると考えています。
また、民間事業者からの協力を得ながら、太陽光発電機能を持つ災害対応型アクセスポイントを設置することについては、Wi-Fi導入の検証と合わせ、今後研究してまいります。こうした検証や研究を踏まえ、区地域防災計画へのWi-Fiの位置づけについて、検討してまいります。
(文化観光産業部長) 次に、Shinjuku Free Wi-fiの利用実績の分析についてのお尋ねです。
この4月から運用を始めたShinjuku Free Wi-fiの接続数は、4月一か月間で延べ19,152件、うち日本語以外の言語での接続は477件で、約2.5%でした。
国が観光先進国の実現を目指し、訪日外国人旅行者数を20200年までに4000万人にする目標を掲げる中、新宿へ更に多くの方に訪れていただくため、また、来街者の区内の回遊性を高めていくためには、新宿のまちの魅力の一つとしてのShinjuku Free Wi-fiの外国人への認知度が十分ではないことが、課題であると受け止めています。
次に、Shinjuku Free Wi-fiについて、多言語化等による、更なる周知についてのお尋ねです。
現在、4言語で提供していますが、更なる多言語化については、多くの外国人観光客が英語を利用できることなども踏まえたうえで、言語別の利用状況、東京都の「国別外国人旅行者行動特性調査」等を参考として検討していきます。
また、多言語化した情報について、外国人向けのガイドブックへの掲載等については、現在、新宿観光振興協会と連携して、海外プロモーション動画「SHINJUKU 9 Stories」(新宿 ナイン ストーリーズ)のリーフレット、新宿まち歩きガイド、新宿・和のおもてなしガイドブック等に掲載し、海外メディア、旅行博等で広く周知するほか、区内ホテル等でも情報提供をしています。今後は、改定作業を進めている観光マップにも掲載するとともに、開設予定の観光案内所において、翻訳ソフトウェアを用いて多言語による窓口案内を行います。こうした取組みにより、外国人観光客への認知度を高め、利用の拡大を図っていきます。
次に、Shinjuku Free Wi-fiの簡易型アクセスポイントの商店会への周知についてのお尋ねです。
昨年6月に新宿区は、一般社団法人新宿観光振興協会、東日本電信電話株式会社及びエヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム株式会社とShinjuku Free Wi-fiを協働して構築していく旨を定めた合意書を締結しています。この合意書を元に、商店会の多様なニーズに対応するため、エヌ・ティ・ティグループから新たに簡易型アクセスポイントの提案を受けました。今後は、新宿区商店会連合会と相談しながら、希望する全ての商店会に、簡易型アクセスポイントを紹介する機会を設け、Shinjuku Free Wi-fiの普及を進めていきます。
次に、Shinjuku Free Wi-fiについて、商店会向けの勉強会の開催、要望を聞く場の設置等による商店会への支援の強化についてのお尋ねです。
今年2月に開催された全商店会を対象とした「にぎわいと魅力あふれる商店街支援事業」の説明会において、Shinjuku Free Wi-fiの整備についての説明を行いました。その後、各商店会からの要望に応じて、区は、一般社団法人新宿観光振興協会、エヌ・ティ・ティグループとともに、個別に要望を聞き、対応を行っています。今後は、商店会の公衆無線LAN環境に関する多様なニーズに対応するため、エヌ・ティ・ティグループとの連携を強化して、各商店会のニーズを丁寧に聞き、状況に応じた整備プランを提供する等、きめ細かな対応を行っていきます。2016.08.08 更新