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    2017年第4回定例会 一般質問

    11月30日の本会議で、近藤なつ子議員が以下の項目について一般質問を行いました。

    1.建物の耐震化と住宅施策について 【区長】

     

     

    ◆31番(近藤なつ子) 日本共産党区議団の近藤なつ子です。
     建物の耐震化と住宅施策について一般質問いたします。
     東日本大震災が起こってから6年8カ月余がたちました。この間、日本周辺ではマグニチュード7規模の地震が年に一、二回起きています。どこで大規模な地震が起きてもおかしくなく、建物の耐震化は喫緊の課題です。
     今月出された区の住宅マスタープラン(素案)によれば、2015年度末の区内の耐震化率は91.5%、未耐震の住宅は、まだ約1万7,300戸もあります。区として耐震化計画は2020年度末までに95%、次期総合計画期間中におおむね100%を目指しています。待ったなしの課題である住宅の耐震化を進めるため、以下、質問いたします。
     第1に、重点地区のあり方と耐震化のための建てかえについてです。
     現在、区は、重点地区について、倒壊危険度及び火災危険度が4または5であることや、不燃化地域など地区計画のある地域、そしてまちの周辺の2分の1以上が重点地区に接しているまちなど、8つの区分で指定しています。
     地元の戸山一丁目で老朽化した未耐震の木造に3世代で住んでいる方から、「家の状況を考えると耐震補強も必要だけれども、全体的に傷んでいるから、本当は建てかえするほうが合理的。でも、この地域には補強工事への支援もわずかだし、建てかえともなれば何も支援がないから」と、二の足を踏んでいることを訴えられました。この戸山一丁目は、重点地区である原町や喜久井町などと接し、古くからの町並みで、幅1メートル未満の路地の両脇に老朽化した未耐震の住宅が建ち並ぶ危険な場所もあるまちですが、重点地区ではありません。重点地区であれば、工事費の最大4分の3、300万円まで補助がありますが、それ以外では最大で100万円と3倍もの違いがあります。納得がいかないともおっしゃられていました。
     非木造住宅の支援策は、地域によっての区別はなく、不公平感は否めません。どの地域に住んでいる区民でも、命の重さに変わりはありません。より危険な地域から耐震化を進めたいという区の姿勢はわかりますが、区が本気で今後10年以内におおむね100%の耐震化目標を達成しようというのなら、区内全域を重点地区と同レベルの施策にし、未耐震を残さぬよう切りかえるときではないでしょうか。区長の見解を求めます。
     あわせて、耐震化のための建てかえへの支援についても伺います。
     新耐震基準になってから既に36年たっています。築50年を超す木造住宅なら、建てかえたほうがかえって安上がりになる場合があります。区は、昨年6月から地域限定で不燃化のための建てかえに補助を開始しましたが、区内全域での建てかえ補助にはまだ踏み出していません。耐震化のための手段として建てかえに同様の補助が行われれば、さらに耐震化率はアップし、細街路の解消や不燃化など、まち全体の環境を改善することができます。23区中、8区では実施しています。建てかえへも補助を実施すべきです。お答えください。
     第2に、耐震補強工事を実施するための支援体制の強化についてです。
     1つ目は、区内施工業者の活用についてです。
     地域の方から「耐震工事をしたいけれども、設計・工事をする業者をどうやって探したらいいのか」と聞かれることが多々あります。耐震支援事業の説明と同時に、診断士である建築士については登録制度があることは説明できますが、住宅課の住宅リフォーム工事等で区内業者等をあっせんしているような制度は耐震支援化事業にはないので、説明できませんでした。税金を活用した事業ですから、地域活性化のためにも区内業者に多く発注されることが望ましいと思います。
     豊島区では、区内施工業者に発注した場合に、工事費の6分の1、最大で50万円の加算をしています。診断士と同様に、必要な研修を受け、登録していただいた区内業者をあっせんする仕組みをつくり、地域密着、区内循環型の支援を強めるためにも、区内業者を活用した場合の補助加算を豊島区の事例を参考にして実施すべきと思いますが、いかがでしょうか。
     2つ目は、仮住まいの支援についてです。
     現状の耐震補強工事では、転居せず家の中で何とかやりくりをしているケースがほとんどのようですが、仮住まいが必要な場合もあります。敷金、礼金を支援し、家賃分だけで済むように補助したり、特定住宅の空き家を活用すれば大変喜ばれ、耐震化を進める力になると思います。検討すべきです。
     以上、2点についてお答えください。
     第3に、改正住宅セーフティネット法についてです。
     改正住宅セーフティネット法が10月25日に施行されました。改正住宅セーフティネット法の新たな制度は、1つ目に、住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の登録制度、2つ目に登録住宅の改修や入居者への経済的支援、3つ目に住宅確保要配慮者に対する居住支援という3つの柱で成り立っています。高齢者、低額所得者、子育て世帯などの住宅確保要配慮者が入居を拒まれずに住めるようにするためにも、空き家・空き室を活用し、耐震化が必要な物件には工事費の補助をすることや、家賃を低廉にするために月に最大4万円の補助をすることなどが盛り込まれています。この制度のかなめを担うのは各地方自治体でつくる居住支援協議会ですが、区は、この居住支援協議会を設置していません。改正法が施行された今、新たな制度との関係で改めてお聞きします。
     住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の登録制度は都道府県に設置された居住支援協議会が行いますし、耐震化の補助も国へ申し込みができるので、区が設置していなくても問題はありません。しかし、最も大事な家賃補助については、3年ごとに市区町村の居住支援協議会で継続の審査をすることが前提になっているため、新宿区が居住支援協議会を設置する必要があります。また、住宅確保要配慮者に対する居住支援こそ、身近な自治体にある居住支援協議会が行うことが必要です。
     改正住宅セーフティネット法でいっている登録住宅とは25平方メートル以上であることから、区は、低廉な家賃で物件を提供することはできないと思っているようですが、区が供給促進計画を持てば、登録基準を強化・緩和することも可能になり、25平方メートル以上を例えば20平方メートル以上にするなど、より新宿に合った基準にすることで住宅確保要配慮者が求める対応もできると思います。急いで住宅支援協議会を設置し、供給促進計画を持つべきと思いますが、お答えください。
     第4に、分譲マンションの耐震化についてです。
     区内では、8割以上の方がマンションを含む共同住宅に住んでいます。区の昨年11月のマンション実態調査では、調査に応じた旧耐震分譲マンションの72棟のうち33棟しか耐震診断を行っていませんでした。合意形成が必要な分譲マンションが耐震化されなければ、区の耐震化100%はできません。今、区は、耐震アドバイザーを派遣する事業を重視し、約400棟で簡易診断を実施してきましたが、その後の合意形成がなかなかできずに先に進んでいないのが現状です。
     都では、特定緊急輸送道路沿いの耐震化を進めるため、昨年度から無料で耐震設計の工法、補強箇所、工事費、助成額、自己負担額、工事スケジュールなど改修イメージ案をおおむね3案まで提案し、比較検討できる支援を行っています。今年度、既に5棟の工事補助決裁がおりておりますが、この制度が合意形成に役立っていたからではないでしょうか。この都が行っている改修イメージ案づくり支援を特定緊急輸送道路沿い以外の地域には区として行ってはいかがでしょうか。
     以上、答弁願います。

     

     

    ◎都市計画部長(新井建也) 近藤議員の御質問にお答えします。
     建物の耐震化と住宅施策についてのお尋ねです。
     初めに、重点地区のあり方と耐震化のための建てかえについてです。
     区は、住宅木造密集地域など地域危険度が高い地域について、耐震化の重点地区に位置づけて補助制度の充実を図るとともに、個別訪問などによる普及啓発を行う耐震モデル地区事業に取り組んできました。
     一方、首都直下地震の切迫性が高まる中、区内全域でスピード感を持って耐震化を促進するため、重点地区以外でも国や東京都の時限的な補助制度を活用し、重点地区と同様な支援を行うことを検討しているところです。
     次に、耐震化のための建てかえの支援についてのお尋ねです。
     御指摘のように、区では、不燃化のための建てかえに補助を行っています。これは、木造住宅密集地域のうち、地区計画などにより不燃化に向けて地域住民が主体的に取り組んでいる地区や、防災再開発促進地区など、不燃化の促進が法令などにより位置づけられている地区を対象としています。
     耐震化については、耐震改修工事で他区と比べても手厚く、きめ細かく、多様な補助メニューを整備し、それぞれの建物の所有者の主体的な取り組みを促していることから、建てかえに対する補助は考えていません。
     次に、耐震補強工事を実施するための支援体制の強化についてのお尋ねです。
     区内施工業者の活用についてです。
     建物の所有者が耐震化に取り組むためには、工事の費用や補強内容などの面から、安心して施工業者を選定することが重要であると考えています。
     区は、施工業者の紹介について、区内の建築設計事務所団体やリフォーム団体と連携して、耐震化を含めたリフォーム業者の紹介を行っています。今後も、関係団体と連携し、リフォームに合わせた耐震改修工事を誘導してまいります。
     また、御指摘の区内業者を活用した場合の補助加算については、所有者がそれぞれの希望や事情に合わせて幅広く業者を選定できるようにすることが大切であることから、区内業者に限定する補助加算は考えていません。
     次に、仮住まいの支援についてのお尋ねです。
     御指摘の敷金や礼金は、家賃などの担保として預かる一時金や、家主に支払う謝礼金であるとともに、国や東京都の補助制度の対象外であることから、敷金や礼金を対象とする補助は考えていません。
     次に、特定住宅については、中堅所得者層の子育てファミリー世帯を支援することを目的とし、現在、空き住戸の解消のため、入居の促進に取り組んでいるところです。
     御指摘の特定住宅の空き住戸を仮住まいに活用することについては、今後の入居促進策を進めていく中で研究してまいります。
     次に、改正住宅セーフティネット法についてのお尋ねです。
     住宅確保要配慮者に関する居住支援協議会を設置し、供給促進計画を持つことについてです。
     御指摘のとおり、この法改正の本年10月25日の施行により、住宅確保要配慮者の賃貸住宅への円滑な入居に向けて、居住支援協議会などによる入居支援や、民間賃貸住宅の登録制度、登録住宅に係る経済的支援を3つの柱とする新たな制度が整えられました。
     登録住宅の家賃低廉化に関する補助については、都と区が負担することを想定するとともに、居住支援協議会が家賃低廉化の継続について審査することを要件としています。また、登録住宅の住戸面積や構造設備などの基準について緩和または強化する場合に、都と区が賃貸住宅供給促進計画を定める必要があります。
     居住支援協議会については、既に都が居住支援協議会を設置していることから、区が設置する場合には相互の位置づけや役割などについて明らかにする必要があります。供給促進計画については、登録住宅の基準のほか、賃貸住宅の供給目標や円滑な入居促進に関する事項などを定めます。策定に当たっては、供給目標や登録基準などを定めるとともに、現在策定中の都の供給促進計画との整合性を図る必要があります。
     区は、家賃低廉化の補助の費用負担のあり方とともに、居住支援協議会や供給促進計画を含めた住宅確保要配慮者の円滑な入居に向けた制度のあり方を検討してまいります。
     次に、分譲マンションの耐震化についてのお尋ねです。
     区民の約8割が分譲マンションを初めとする共同住宅に住んでおり、所有者の耐震化への理解を深め、合意形成を促すことが耐震化を促進するために重要です。
     震災時に避難や救助活動などに重要な役割を持つ特定緊急輸送道路沿道建築物については、御指摘のように、東京都と連携して改修イメージ案づくり支援などを行っています。特定緊急輸送道路の沿道以外については、現在区が行っている耐震アドバイザー派遣の中で簡易診断の結果を活用し、耐震化の進め方や補強内容などがイメージできるよう、わかりやすく説明することで、耐震化に向けた合意形成を支援してまいります。
     以上で答弁を終わります。

     

     

    ◆31番(近藤なつ子) 答弁ありがとうございます。
     重点地区のあり方については検討するというお話でありましたので、ぜひお願いをしたいというふうに思います。
     それで、居住支援協議会につきましては、私も独自で東京都に担当者のところとお話をしましたが、都としても、区にはぜひつくっていただきたいというふうに意向を示しておられました。協議の必要ではなく、やはりつくった上で内容を詰めていくということが必要だというふうにも思いますので、ぜひその辺もきちんと緊密に連絡をとって、再度検討いただいて、体制を整えていただくようお願いをいたします。
     以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

    区議会活動 | 近藤なつ子

    2018.02.01 更新

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