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    2017年第2回定例会 一般質問

    6月13日の本会議で、田中のりひで議員が以下の項目について一般質問を行いました。

    1. 空き家対策について 【区長】

     

     

    ◆37番(田中のりひで) 日本共産党区議団の田中のりひでです。
     空き家対策について一般質問をいたします。
     区が昨年度に実施した「空家等実態調査」では、新宿区全域に存在する民間建築物4万8,798棟のうち、区内の空き家棟は441棟で、区内の空き家率は0.9%です。空き家と判断した441棟のうち、登記簿調査等により所有者を特定できた260棟に対し、建物・土地の所有形態について、建物の使用状況について、建物を使用する上での課題について、空き家の利活用の意向についてアンケート調査を行っています。この調査では、所有者が特定できることから、対策は比較的行いやすいのではないでしょうか。特に利活用の問題、管理不全への対応など、適切に行えるのではないでしょうか。
     その一方で、441棟のうち所有者を特定できなかった181棟、特定できた260棟のうち、宛て先不明で返送されてきた66棟の247棟が、空き家の中でも解決困難な物件になっているのではないでしょうか。これらについて、実態に合わせ対策を立てることが求められています。
     現在、区では、実態調査を踏まえ、ことし6月に最初の有識者会議を持ち、9月中には素案が策定される予定になっています。区は、新宿区空家等対策計画骨子の中で、基本的な方針の第1として、管理不全な状態の空き家やごみ屋敷等の解消を挙げ、そのために管理不全な状態の空き家等への実効性のある対応や、居住者のいるごみ屋敷の廃棄物除去等、「新宿区空き家等の適正管理に関する条例」による対応、方針の第2として、空き家等対策の周知啓発活動、また、専門家団体等の連携により解決する取り組みを挙げています。
     最近、空き家に関し幾つかのお話や御相談を受けました。妙正寺川を挟む中井駅周辺では、空き家を活用し、着物関係の工房がつくられています。しかし、家屋の老朽化により立ち退きが迫られ、工房に活用できる新しい空き家を求めているお話を聞きました。また、高田馬場三丁目にある空き家は、床が抜けることもあった老朽家屋で、管理不全な空き家になっていました。しかし、所有者の方とは連絡がとれるものの、一向に対応がされていないそうです。上落合では、空き家のイチョウの木が茂り、隣家や電線、道路に葉っぱが落ちるなど、近隣から苦情が寄せられています。これまでも区に相談はしているものの、区の努力にもかかわらずいまだに解決されていません。良好な近隣環境をつくるためにも空き家対策の充実が求められています。
     そこで質問いたします。
     第1に、計画の策定に当たっては、実態調査に基づいた個々のケースを実際にどのように解決するのか、そのために何が必要なのかを明らかにし、具体的な解決が展望できる計画策定を貫くべきと思います。そのためにも、先進自治体の事例も取り入れるべきと思いますが、いかがでしょうか。
     質問の第2は、相談窓口の一本化を図る問題です。
     現在、区では、危機管理課、建築調整課、ごみ減量リサイクル課の3課が窓口になっています。確かに各課の役割分担は決まっているのでしょうが、区民が区に相談をする際、どの課にすればいいのか迷うという声が寄せられています。そのことが相談へのちゅうちょなどを生んでいます。
     大田区では、ワンストップで対応できるように、「大田区空家活用相談窓口」を設けています。杉並区も空き家等に関する相談を広く住宅全般の相談として捉え、区の相談窓口を一元化しワンストップサービスを実施するとともに、空き家になる前からの空き家等対策についての周知啓発活動を重視し、ホームページやパンフレット等による意識啓発とともに、東京都と連携して固定資産税の納税義務者に対して空き家等の適正管理をお願いする啓発文書の配布を検討しているそうです。空き家等の所有者や区民からの空き家等に関するさまざまな相談に応じるために、ワンストップで対応できる「空家総合相談窓口、空家活用相談窓口」を開設すべきと思いますが、いかがですか。
     質問の第3は、特に高齢者のひとり暮らしなど、介護施設の入所などで空き家になるケースも多くあります。本人や関係者などが事前の対策を講じておくことができれば、空き家の管理不全状態を防ぎ、活用へとつながる可能性もふえるのではないでしょうか。大田区では、建築、法律、不動産、福祉の各専門家が相談に応じる「空家総合相談会」を毎月定期的に開催しています。区としても計画に盛り込むとともに、直ちに開催すべきと思いますが、いかがですか。
     質問の第4は、空き家の活用についてです。
     大田区では、「空家活用相談窓口」を設置、空き家を貸したい人と借りたい人を登録しマッチング、保育ママ施設など、2015年度から5件の実績があります。豊島区では、空き家のリノベーション事業プランを作成するスクールを既に3回開催、これまでに2物件を事業化しているそうです。区として利活用に対する具体的な方針を持つべきではないでしょうか。
     質問の第5は、空き家や老朽家屋に対し文京区のように解体費用を助成し、区の事業への活用を図ってはどうでしょうか。
     文京区では、空き家解体費用を上限200万円で補助、敷地を区が10年間無償で借り上げ、消火器具置き場などに活用、2014年度から4件の実績があります。
     質問の第6は、地域との連携の強化についてです。
     山形県酒田市の空き家見守り事業では、空き家所有者と自治会、いわゆる近隣住民が連絡をとり合える関係をつくり見回りを実施、市から自治会へ年1万円の支援金が出され、2016年度には市内450自治会中123自治会が登録し、活動をしているそうです。自治会から申し出があり、市としても実態把握に役立ち、また、直ちに改善の必要性があるかどうか、市として日常的に把握できないところを補う役割も果たしているそうです。町会、社協などの協力も得て進めるべきと思いますが、いかがですか。
     質問の第7は、「特定空家等」に対する対策です。
     「特定空家等」とは、4つの状態が国のガイドラインで示されています。倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態、衛生上有害となるおそれのある状態、景観を損なっている状態、生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態のものをいいます。撤去や修繕の勧告を受けると固定資産税の優遇措置を受けられなくなります。今、新宿区では、「特定空家等」は何件あるのでしょうか。その対策も明確にすべきです。
     最後に、東京都と一体となって固定資産税の減免制度の実施で解体の促進を図ってはどうでしょうか。
     福岡県の豊前市では、老朽危険家屋の認定を受けた空き家を解体したとき、土地の固定資産税を最長10年間減免、2015年度から累計20人に対して減免をしています。こういった事例も参考に対策を立てるべきと思いますが、いかがですか。
     空き家の問題は、高齢化の進行など社会状況の変化の影響を強く受けています。したがって、この問題の解決は、良好な近隣関係をつくる上でも欠かせません。実効性のある計画になるよう要望して答弁をお願いいたします。

     

     

    ◎総務部長(針谷弘志) 田中議員の御質問にお答えします。
     空き家対策についてのお尋ねです。
     初めに、実態調査に基づいた具体的な解決が展望できる計画策定についてです。
     区では、空家等対策計画策定のための実態調査で明らかになった441棟の空き家に対し、所有者が判明した建物等について、既に適正な維持管理の周知啓発を行うとともに、老朽化が著しいなどの建物については改善指導を行っているところです。また、居住中の建物のごみ屋敷についても、所有者に適切な管理を行うよう指導を進めております。
     このように、管理不全な状態の空き家やごみ屋敷等の解消に当たっては、個々のケースに応じた具体的な対応を講じる必要があります。このため、本年度の「空家等対策計画」の策定に当たっては、空き家等データベースを活用した効果的な改善指導に取り組むほか、ごみ屋敷については状況に応じた指導・相談及び助言などを行う体制について検討してまいります。
     また、既に「空家等対策計画」を策定している他自治体の取り組み事例も参考に、管理不全な状態の空き家やごみ屋敷等の解消に向けた実効性のある取り組みについて検討してまいります。
     次に、空き家等の所有者や区民からワンストップで相談に応じる総合相談窓口の開設についてのお尋ねです。
     現在、区では、管理不全の空き家については建築調整課、ごみ屋敷についてはごみ減量リサイクル課、関係機関との調整に関することは危機管理課が窓口となっておりますが、所有者や区民等からの相談にはどちらの窓口においてもお受けし、適切に対応をしております。現在リーフレット等で周知しておりますが、今後、区ホームページにおいても案内してまいります。
     また、区民の個々の事情に応じた相談に、より的確に対応できるよう、「空家等実態調査」により把握したデータベースを関係各部で共有し、庁内の横断的な連携を図ってまいります。
     次に、建築・法律などの専門家が相談に応じる「空家総合相談会」を計画に盛り込むとともに、直ちに開催することについてのお尋ねです。
     空き家等となる理由は、御指摘のような高齢者の方が介護施設に入所することや、自分の家のほかに親の家を相続することなどさまざまです。空家等対策計画骨子では、区内の専門家団体と連携して、さまざまな事情に応じた相談や所有者等へのアドバイスなどを行うことで、管理不全な空き家等の抑制に取り組むことを示しました。
     今後は、相談体制や専門家団体との連携などについて有識者会議で意見を聞くとともに、他自治体の取り組みなどを参考にしながら、区民が利用しやすい相談会を検討し、「空家等対策計画」に盛り込みます。
     次に、空き家の活用についてのお尋ねです。
     区では、「空家等対策計画」策定のために特定できた所有者に対し、「空き家の利活用の意向について」アンケート調査を実施しました。この結果、「利活用の意向がある」との回答が31%、「ない」との回答が30%という結果でした。
     また、「空家等対策計画骨子」の策定に当たっては、こうしたアンケート結果を踏まえ、有識者会議において各専門的な立場から利活用に関する御意見もいただいているところです。委員からは、御指摘のような他区で行っている空き家のマッチング事業を例に挙げた御意見や、商業地の多い新宿区にあっては、利活用の支援に区が直接かかわるべきではないとの意見など、さまざまな御意見をいただいているところです。
     「空家等対策計画」の策定では、こうしたアンケート結果や有識者会議での議論及び都心部であることから不動産価値が高く、不動産市場での流動性が高いことなどの区の特徴を踏まえ、専門家と連携した空き家の利活用等の相談体制について検討してまいります。
     次に、地域との連携強化についてのお尋ねです。
     管理不全な状態の空き家やごみ屋敷については、防火・防犯上の問題があるほか、周辺環境へ悪影響を及ぼすことから、近隣住民など地域との連携による空き家等の対策の取り組みが重要です。区では、これまでも近隣住民や地域団体などからの情報提供に基づき、空き家等の現状把握を行い、所有者等への改善指導を行っているところです。
     御指摘の山形県酒田市における自治会による空き家等の見守り活動については、町会と所有者の良好な関係を築くことにより、管理不全な空き家等の発生を抑制することを目的に実施されている事業です。今後とも、地域団体などと連携し積極的な情報把握に努めるとともに、警察、消防など関係団体との連携を密に行い、空き家の適正管理やごみ屋敷の解消につなげてまいります。
     次に、空き家等の解消を促進するための固定資産税の減免制度の実施についてのお尋ねです。
     御指摘のとおり、福岡県豊前市では、老朽危険家屋等除去後の固定資産税を最長10年間減免する制度を平成26年6月から実施しております。一方、国は、平成27年5月に、「空家の除去等を促進するための土地に係る固定資産税等に関する所要の措置」として、自治体が「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、所有者等に対して生活環境保全のための必要な措置をとることを勧告した場合は、固定資産税等の住宅用地特例の対象から除外することとしました。
     区としましては、御指摘のような固定資産税の減免制度の検討を都に働きかける考えはございませんが、こうした国の税制度を踏まえるとともに、対象となる建物の状態の推移を的確に把握し、着実に空き家等の解決につなげてまいります。

     

     

    ◎都市計画部長(新井建也) 次に、空き家や老朽家屋の解体費用を助成し、区の事業への活用を図ることについてのお尋ねです。
     御指摘の文京区の事業では、区が空き家除却後の跡地を有効活用できる場合に、空き家の除去費用を助成しています。新宿区では、不動産団体や法律関係団体、金融団体などへのヒアリング調査で、空き家に対する利用のニーズが高いこと、不動産市場での流動性が高いことなどの特徴が挙げられています。また、空き家を適切に維持管理することは所有者または管理者の責務であり、除却工事についても所有者等の責任において行うべきものと認識しています。したがって、現時点で区が空き家等除却後の跡地を活用することや、空き家等の除却工事費用に助成をすることは考えていません。
     次に、「特定空家等」の件数及びその対策についてのお尋ねです。
     「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、御指摘のように、倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態や、生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態の空き家などを「特定空家等」としています。一方、「新宿区空き家等の適正管理に関する条例」では、管理不全状態にある空き家や、いわゆるごみ屋敷と言われる建物を対象としています。
     現在、特別措置法に基づき、「特定空家等」として除却や修繕などの措置について助言・指導などを行ったものはありませんが、区の条例に基づき、管理不全状態として認定したものが4件あります。このうち1件については、区の条例に基づく指導等を行った結果、所有者が建物を除却しました。ほかの3件についても、所有者等に対し改善に向けた指導を行っているところです。
     また、「特定空家等」や管理不全状態にある空き家、ごみ屋敷への対策については、空き家等に関する実態調査により把握した情報を活用するとともに、消防、警察など関係機関との連携を強化して、総合的で効果的な改善指導などを行っていきます。
     以上で答弁を終わります。

     

     

    ◆37番(田中のりひで) 御答弁ありがとうございました。
     いずれにしましても、各地域を回ってみますと、やはり空き家、あるいは管理不全の老朽建物が存在をしていますし、存在をする可能性も広がっているのを見ます。この前、私も、あるところで奥まったところに行きますと、そのやっぱり奥まったところの一軒家が、もう誰も住んでいないような状態になっています。
     先ほど答弁があったように、新宿区の土地というものを考えた場合に、民間活用ができる可能性はあるとは思うんですけれども、空き家になった、相続の問題、介護の問題を含めて、そのときには、幾らそういう活用の価値があったとしても、現実的にはなかなかできない状態ですので、それらを解決するとともに、ぜひ計画では、いわゆる空き家になる前にどうするかという点で、事前の対策を強化していただきたいと思いますし、さまざまな区民の相談に積極的に今も対応していただいていますけれども、より対応していただきたいと思います。そのことを要望して質問を終わらせていただきます。
     御清聴ありがとうございました。(拍手)

    区議会活動 | 田中のりひで

    2017.09.01 更新

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