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    「デモの出発地として使用できる公園の基準見直しについて」区議団の声明を出しました

    【声明】デモの出発地として使用できる公園の基準見直しについて

                              

    2018年7月13日

                             日本共産党新宿区議会議員団

     

    公園の使用制限は「表現の自由」に抵触しかねない

     6月20日、新宿区は、デモの出発地として使用できる公園をこれまでの4か所から1か所にすることを決定し、6月27日、区議会環境建設委員会に報告しました。区の説明によると、デモ件数は例年50~60件でしたが昨年度は77件に増加し、公園周辺町会及び商店会等からデモ制限の要望が寄せられており、これまでの基準を見直し、今後使用できる公園は周辺環境へ配慮する観点から、住宅街に加え、学校、教育施設及び商店街に近接していないものとしました。この結果、柏木公園、花園西公園、西戸山公園の3公園を指定から除外し新宿中央公園のみとする、というものです。これにより8月1日(6月27日以降の受付分)から、3公園がデモ集合場所として使えなくなります。

     この3公園は、これまで様々なデモの出発地として、1回30分以内で使用されてきました。昨年度の77件のうち、60件が3公園です(柏木公園50件、花園西公園9件、西戸山公園1件)。区は「新宿駅の近くにあり、区内最大の新宿中央公園を残すのでデモ規制ではない」と言い張りますが、新宿中央公園はイベント等の目的外利用が多い公園ですから場所がとりにくくなる懸念があり、また1か所にすることはコースが制約されるなど、デモがやりにくくなることはあきらかです。

     また、環境建設委員会の質疑で明らかになりましたが、地域からの要請は柏木公園と花園西公園周辺からであり、西戸山公園は具体的要望がないにもかかわらず指定を外したことは、指定公園を1つにすること先にありきと思わざるをえません。

     デモは、憲法21条で保障された「表現の自由」の行使であり、侵してはならない基本的人権です。今回の見直しは周辺への配慮と言いながら一律に公園使用を制限するものであり、憲法に抵触しかねない大問題です。

     

    拙速な基準見直しは撤回し、地域の安寧と「表現の自由」両立の対策を

     今回の見直しは、6月12、13日の区議会本会議における自民党・無所属クラブと区議会公明党の代表質問に対し区長が検討を表明、6月20日に決定、6月27日に区議会に事後報告、8月1日実施という異常なスピードですすめられています。新宿区政の民主的運営を損なうものであり、環境建設委員会でも異論が続出しました。このような状況のまま、新基準の実施に踏み切ることは許されません。そもそも「デモの出発地として使用できる公園の基準」を区議会に諮る必要のない部長決定事項の内部規定としていることは問題です。

     新宿区は今回の見直しを一旦撤回し、公園周辺地域の方々の安寧と「表現の自由」が両立するよう改善策を講じるべきです。それぞれの公園の実情を踏まえ、周辺住民やデモ主催者等、広く区民の意見を聞きながら検討すべきです。そして今後必要な見直しについては、指定公園のデモ実施状況や苦情の件数・内容等、関連するデータ及び資料をすべて公開し、区議会の議論に附すことを求めるものです。

     

    ヘイトスピーチの規制こそ区民の願い

     新宿区は今回の見直しの理由を、「頻発するデモにより迷惑しているため、公園周辺町会・商店会からデモを制限してほしい旨の要望を受けている」、としています。しかし、私たちが当該地域の区民から聞き取ったところによれば、多くの方はヘイトスピーチデモをやめさせてほしいと望んでいます。

     ヘイトスピーチは、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動(例:○○人は日本から出て行け ○○人を皆殺しにしろ)、すなわち言葉の暴力であり、「表現の自由」とは相いれません。2016年にはいわゆる「ヘイトスピーチ解消法」が施行されています。しかし、法施行前後には減っていたヘイトスピーチデモが昨年度は新宿区内で13件も行われました。新宿区が緊急に取り組むべきは、ヘイトスピーチ解消法に基づき、実効性のある対策を講じることです。

     みどり公園課は、法施行後、「公園使用許可条件」に、「デモ参加者、一般来園者、近隣住民等の生命、身体又は財産が侵害されるといった危険な状況を誘発・助長するような行為は行わないこと(この禁止事項を遵守している場合であっても、明らかに危険の発生が予見されるときは、許可を取り消すことがあります)。」という項目を加えました。しかし、実態は「公園占用許可書」発行時に「許可条件」の文書を添付するという、「条件」の意味をなさない取り扱いがされており、私たちは、申請時に「許可条件」を申請者に提示し、ヘイトスピーチを行う団体には不許可も可能と質してきました。区は、「事前にヘイトスピーチをおこなう団体かどうかわからない」ので不許可は困難との見解を示していますが、実際、警察は事前にヘイトデモを特定し、厳重な警備を行っているのですから、区は警察と情報共有することで対応は可能です。また、江戸川区は、「許可条件」に「ヘイトスピーチ解消法第2条に規定する「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」を行わないで下さい。」と、法律に基づく行為の禁止を明文化していることは重要であり、参考にすべきです。

     私たちはこれまで繰り返し、川崎市の「ヘイトスピーチ解消法に基づく「公の施設」利用許可に関するガイドライン」や、施行から2年たちヘイトデモが減少し一定の効果を上げている大阪市の「ヘイトスピーチへの対処に関する条例」を参考に対策を求めてきました。区はその都度、「検討したい」「参考とする」と答弁していながら、いつまでも具体的なヘイトスピーチ対策は実現されませんでした。吉住健一区長は、「区長と話そうしんじゅくトーク」等で、「公園使用基準の見直しの目的はヘイトスピーチ対策」という趣旨の発言をしていますが、区長も言うようにデモ出発地は公園以外でも可能ですから、指定公園を減らしてもヘイトスピーチデモは無くなりません。ヘイトだけでなく全てのデモを3公園で禁止するという、あまりにも稚拙で見当違いの「対策」ではなく、ヘイトスピーチそのものを許さない実効性ある対策を改めて求めるものです。

     東京都は「オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例(仮称)」を来年4月施行めざし検討中です。この中で、ヘイトスピーチ解消の取り組みとして、「都が保有する公の施設の利用制限」の基準を策定することを予定しています。都条例制定により都有施設でヘイトスピーチの利用制限が行われるのであれば、新宿区としても区有施設において都条例を参考に対応する必要があり、区独自のヘイトスピーチ防止のための条例を制定するべきです。

                                                        以上

     

    6月27日、柏木公園をデモ出発地として使用している様子

     

     

    声明のPDFはこちらからご覧いただけます。20180713公園声明

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    2018.07.13 更新

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