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区議会活動
2020年第4回定例会 沢田あゆみ議員が代表質問を行いました
11月30日の本会議で沢田あゆみ議員が
1. 平和について
2. 第二次実行計画(素案)について
3. 新型コロナウイルス感染防止対策について
4. 中小業者への支援について以上4項目について、代表質問を行いました。
* 正式な会議録ではありませんが、概要をご紹介します。◆(沢田あゆみ議員) 日本共産党区議団の沢田あゆみです。新宿区議会第4回定例会にあたり、会派を代表して質問します。
新型コロナウイルスの感染拡大は、欧米諸国で再びロックダウンが行われるなど深刻な状態が広がり、日本国内も第3波で新規感染確認数も最多を更新し続けています。医療現場も保健所も逼迫している中、日々働いて下さっているみなさんに、改めて感謝申し上げます。
感染拡大が余談を許さない状況の下で、菅政権になって初めての国会が開かれていますが、コロナ対策では無策ぶりが露呈し、「日本学術会議委員の任命拒否」問題では支離滅裂の答弁で、桜を見る会の問題も再燃しています。一方、菅政権は中曽根元首相の葬儀を自民党と国の合同葬儀とし、葬儀費用の半額9600万円を国民の税金から負担するだけでなく、大学や自治体などにも弔意を表すよう通知を出し、まさに大学の自治や内心の自由を侵害する事態が起こりました。新宿区も、国の通知を各所管に通知し、区教育委員会は区立学校等に「参考周知」しました。当日は雨天のため弔旗を掲げた所はありませんでしたが、そもそも内心の自由を侵すような国の通知をそのまま垂れ流すことは問題です。菅政権が自治体を動員し憲法で保障された「自由」を侵害することは、断じて許すわけにはいきません。
最初の質問は、平和についてです。
質問の第1は、吉住区長がドイツ・ベルリン市ミッテ区に送付した書簡についてです。区長は10月21日、ミッテ区の区有地に設置された「平和像」、いわゆる「平和の少女像」に関する書簡をミッテ区長に送付しました。この像は、今年7月6日、ミッテ区の都市空間文化委員会が1年間の期限で区有地に設置することを許可し、9月25日に「コリア協議会」により設置されたものです。像設置に対し日本政府は9月29日、加藤官房長官が像の撤去要請の意向を表明し、10月1日、茂木外相がドイツ外相とのテレビ会談で撤去を要請しました。ミッテ区長は10月8日(現地時間7日)、像の設置許可を取り消し14日までの撤去を通告しましたが、10月12日には設置許可取り消しの効力停止を求める仮処分申請が裁判所に出され、これを受けて10月13日、ミッテ区長が撤去方針を撤回し司法判断に「妥協案を探る」と表明し、加藤官房長官も10月14日、「ドイツ司法の手続きを見守る」としていました。そのような中で、ミッテ区と友好都市である新宿区の吉住区長が10月21日、ミッテ区長に書簡を送ったのです。
10月28日の自民党の会合で外務省は、像の撤去に向けて日本国内の各自治体と連携していることを明らかにしたと報道されています。区民を代表する立場の新宿区長が、友好都市の内政に関し、裁判にもなっている問題について書簡を送ることは、内政干渉や他国の司法に対する介入と取られかねない行為であり、厳に慎むべきです。ミッテ区の議会では10月27日、戦時中の性暴力を記憶するために少女像の保存をする決議案が提案され、賛成27反対9で可決されています。
菅政権が、「平和の少女像」の撤去に固執するその根底には、外務省のホームページにもあるように日本軍慰安婦に対する歪んだ歴史認識があるからに他なりません。日本政府の正式見解は1993年の河野内閣官房長官談話で、日本軍慰安婦が存在した事実を認め、「我々はこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。このような問題を長く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないというかたい決意を改めて表明する」としています。日本政府の対応は、河野談話からの逸脱であると言わざるを得ません。
区長の書簡は、「この様な全世界を対象とした普遍的な悪を質すことは当然のことですが、特定国を対象として戦争犯罪を表す像が第三国の公有地に設置される運動には、違和感を持っています。」としていますが、これを見た区民から、「河野談話を否定するような書簡に大きな『違和感』を覚える。」「区長の考えが新宿区民の総意だと思われては困る。」「このような書簡を送ることは友好都市の関係にマイナスになるのではないか。」という声が私たちにも寄せられています。何より、新宿区とミッテ区が今後も友好都市として良好な関係を継続するよう願う声が寄せられています。区長は、像の設置が継続されてもミッテ区と友好都市を継続するお考えか、伺います。
区長は、自民党都議時代、日本会議地方議員連盟の役員をしておられましたが、当時、同連盟は、オバマ米大統領、ロサンゼルス市長、アメリカ大使館宛に、慰安婦像撤去を求める抗議文を送っています。抗議文は、日本軍「慰安婦」は「単なる売春婦」であり「高額な給与が支払われて」いたとするものでした。慰安婦像設置反対が、区長個人のかねてからの持論だとしても、区長という新宿区を代表する立場である以上、区民の総意に基づく冷静な行動が求められます。書簡は、区長の個人的な思想にもとづく活動に新宿区政を巻き込み、区長の立場を利用して特定の思想を区政に押しつけるものと言わざるを得ず、とても残念です。書簡は撤回すべきと考えますが、区長の見解をお示しください。
質問の第2は、「核兵器禁止条約」についてです。2017年に122カ国の賛成で採択された「核兵器禁止条約」は、いよいよ来年1月22日、発効することとなりました。被爆者のみなさんの長年の運動が、国内外に大きく広がり、人類史上初めて核兵器は違法なものとして扱われることになるのです。一方で、アメリカや中国、ロシアなどの核保有国など批准しない国に拘束力は及びませんが、批准国が世界中に広がり核保有国を包囲することが重要です。残念ながら日本政府は条約の批准に否定的です。唯一の戦争被爆国である日本こそ批准すべきです。「核兵器禁止条約」が発効することについてと、日本政府の対応について、区長の見解を伺います。
新宿区は、「平和都市宣言」を行い35周年を迎えます。2012年12月からは、「核兵器禁止条約」の早期実現を目指した市民署名活動に区としても取り組んできました。被爆者団体など市民のみなさんは今、日本政府に「核兵器禁止条約」の批准を求める署名を開始されています。区としてこの署名も、従前の署名同様、ホームページで署名を呼びかけ、総務課など区の窓口に配置し、さらに区を通じて寄せられた署名数の公表など積極的にとり組むべきではないでしょうか。以上、答弁願います。
◎(吉住健一区長) 沢田議員のご質問にお答えします。
平和についてのお尋ねです。
はじめに、ミッテ区に送付した書簡についてです。
これは、ミッテ区の区有地にいわゆる慰安婦像が設置された報道がなされ、新宿区に対し、様々なご意見やご要望が相次いでいることを受け、今後も両区の友好関係を保ち、緊密な情報交換を続けていきたいとの新宿区長の意向をミッテ区長に伝えるため、公式書簡を送付したものであり、撤回は考えておりません。また、この書簡では「ミッテ区との交流事業で出会った多くの青少年やスタッフの皆様の友情に感謝し、今後も友好提携を大事にする」としており、ミッテ区との友好関係がさらに発展するよう努めてまいります。
次に、「核兵器禁止条約」の発効と日本政府の対応についてのお尋ねです。
世界の国々が核軍縮のために団結し、核兵器の廃絶に向けて取り組みを進め、核兵器のない世界を作っていくことは大変重要であり、来年1月の発効は有意義なものと考えております。また、日本が、安全保障上の理由で条約不参加となっていることについては、残念に思っています。区が加盟する平和首長会議では、条約への参加も含め、核兵器の廃絶を進める取組みを政府に要請しています。区はその一員として、新宿区平和都市宣言に基づき、今後ともすべての国の核兵器の廃絶を全世界に訴えてまいります。
次に、「核兵器禁止条約」の批准を求める署名の呼びかけについてのお尋ねです。
被爆者団体など市民のみなさんが開始した、日本を含めた全ての国に核兵器禁止条約の批准と核兵器廃絶を求める「ヒバクシャ国際署名」については、総務課窓口や平和事業で配布しているほか、区ホームページでも協力を呼びかけています。リンク先の「ヒバクシャ国際署名」のホームページからは、公表されている署名数が確認でき、オンライン署名や署名用紙のダウンロードも可能です。今後とも、多くの方に署名にご協力いただけるよう努めていきます。
◆(沢田議員) 次に、第二次実行計画素案について質問します。
第二次実行計画素案は11月16日までパブリック・コメントが行われ、来年1月に区が計画決定する予定となっていますが、コロナ禍で策定される今度の実行計画は、これまで以上に区民の要望を丁寧に聴き取り、その要望を最大限採り入れた、くらしと営業を守るものにしなければなりません。その観点から見て素案の内容はあまりに貧弱と言わざるを得ず、抜本的に改善する必要があります。
今回初めてSDGsの推進が掲げられ、SDGsの目標との対応表が示されましたが、残念ながら素案は、区がやろうとしている個別施策がSDGsの目標の何番に該当するかあてはめているに過ぎません。SDGsの目標達成のため区としてどのような事業が必要かという観点から計画事業を再構築すべきと考えますがいかがでしょうか。SDGs推進を基本にすえて、以下、具体的に質問します。
質問の第1は、区民参加の保障についてです。
SDGs目標16のターゲット6では、「有効で説明責任のある透明性の高い公共機関を発展させる」とあり、ターゲット7では「あらゆるレベルにおいて、対応的、包摂的、参加型及び代表的な意思決定を確保する」とあります。これに照らして区の計画策定過程はどうでしょうか。今回の第二次実行計画素案は、通常行われる地域や団体等への説明会も行われないままパブリック・コメントが実施されましたが、パブコメには何人から何件の意見が寄せられ、それは第一次実行計画の時と比べてどうだったかお答えください。
素案では詳細が「調整中」と表示されているものが13カ所もあり、中身がわからないままパブコメにかけられ、計画決定の段階まで区民にも議会にも公表しないとしていますが、これでは何のためのパブコメかと言われても仕方ありません。「調整中」となっている事業は区民にとって関心が高く、これまでも多くの意見が寄せられた分野が多いのです。「調整中」の部分は最終決定前に公表し、再度パブコメにかけて区民の意見を聴くべきと考えますがいかがでしょうか。
公共施設等総合管理計画の具体化も、当初の実行計画で示さず、毎年のローリングで突然示して、議会にも地域にも説明責任を果たそうとしないやり方は、「有効で説明責任のある透明性の高い公共機関」「参加型」からはほど遠く、こうした区の姿勢こそSDGsに沿って見直すべきではないでしょうか。
この間、区長トークや様々な説明会等がコロナ禍を理由に開かれない事態が続いています。当面コロナ禍が続くことを前提とせざるを得ない状況のもとで、いかにして区民の意見を集約するのかは大きな課題です。今回初めて、素案の説明が動画でアップされ、4百数十件の視聴数ですが、この動画は一方的な説明でしかなく、質問も含めてパブコメに出せば答えると言いますが、それではキャッチボールになりません。ユーチューブなどを活用すれば、配信をしながら質問を寄せていただくことが可能です。今後はICTを活用した説明会の開催を実施してはいかがでしょうか。
2つ目は、計画事業の経常事業化についてです。
現在の第一次実行計画も充分とは言えない内容ですが、今回の素案では第一次実行計画と比べても枝事業を含む事業数が179から94に半減しています。コロナ禍で苦しむ区民から見ればあまりにもやる気が感じられないと言われても仕方がないのではないでしょうか。区長は、計画事業が半減することについてどのようにお考えなのか、区民から意見があれば経常事業化とされていても計画事業に戻す気があるのかお答えください。
素案では、SDGsの目標に合致する事業を計画事業から経常事業に変更するものもあります。SDGs第1の目標に掲げられている「貧困をなくそう」についてはどうでしょうか。格差と貧困の拡大はコロナ禍でますます深刻になっていますが、第1次実行計画では「子どもの貧困の連鎖を断ち切る」事業がありましたが、当初掲げた数値目標を達成しないまま計画事業から外され経常事業化するとしています。「子どもの貧困の連鎖を防止するための取り組み」を計画事業として残し、さらに様々なセーフティーネットを計画事業に盛り込むべきではないでしょうか。コロナ禍では貧困の拡大にどう対応するかが問われます。社会福祉協議会は生活資金の貸付けなどを行っていますが、新宿区の貸付件数は23区中、世田谷区に次いで2番目に多く、それだけに区としての対応が重要です。総合支援資金を4・5月頃に借り、延長で6ヶ月間借りた方々が9・10月で資金が切れ、社協の窓口にも「次は何かないですか」という相談が増えているそうですが、次の手がなく担当者も苦悩しています。区として国や都に対し更なる対策を要望すると同時に、目の前で困っている区民を救う独自の貸付や給付を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
SDGs目標の第5「ジェンダー平等を実現しよう」についても、これまで「男女共同参画の推進」事業が計画事業としてありましたが、これも数値目標未達成のまま経常事業化するとしています。SDGsを言うのであれば「ジェンダー平等の実現」こそ計画事業に掲げ、性的指向・性自認を理由とした差別解消とパートナーシップ制度の実施を位置づけるべきと考えますがいかがでしょうか。
経常事業化される事業に「こころの健康づくり」があります。コロナ禍で自殺者が急増している今だからこそ計画事業として位置づけ、メールやSNSに加え、コロナ禍でも顔を見ながら対話できるズームのようなICTを活用した相談も事業化すべきと思いますが、いかがでしょうか。一般的な相談だけでなく、カウンセリングへの支援も重要です。カウンセリングは一部を除いて自由診療のため1回50分程度で1万円前後の費用がかかります。経済的な負担を軽減し、安心してカウンセリングを受けることができるよう助成制度を創設したり、区民が気軽に相談できるカウンセラーを配置してはいかがでしょうか。また、東京都の制度で生活保護の法外援護事業として年に72000円を上限とするカウンセリングへの補助制度があります。東京都が10分の10を区に補助する制度で、23区中15区が取り組んでいます。新宿区も直ちに取り組むべきと思いますが、いかがでしょうか。以上、答弁願います。
◎(吉住区長) 第二次実行計画(素案)についてのお尋ねです。
はじめに、SDGsの目標達成のための計画事業の再構築についてです。
区は、基本構想で掲げるめざすまちの姿「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて、総合計画に示す5つの基本政策のもと、「健康寿命の延伸」「教育の充実」「まちづくり」「地球温暖化対策」「資源循環型社会の構築」など様々な施策に取り組んでいます。その成果はSDGsの掲げる「保健」「教育」「まちづくり」「気候変動」「エネルギー」などの目標達成につながるものと考えているため、計画事業を再構築することは考えておりません。
次に、第二次実行計画策定への区民参加の保障についてのお尋ねです。
はじめに、第二次実行計画(素案)に対するパブリック・コメントの状況についてです。
10月15日から11月16日に実施したパブリック・コメントでは、現在調整中ではありますが、70名の方から、379件のご意見をいただきました。第一次実行計画のパブリック・コメントでは、52名の方から240件のご意見をいただいており、意見提出者数、意見数ともに増えています。
次に、素案で「調整中」とした事業への対応についてです。
パブリック・コメントでは、「調整中」としていた事業に対しても約50件のご意見が寄せられており、こうしたご意見も踏まえ各事業の査定を進めていることから、再度パブリック・コメントを実施する考えはありません。また、区有施設のあり方については、公共施設等総合管理計画に基づいて検討を進めており、方向性が定まった施設については実行計画に位置付け、議会や地域住民等へ説明をしながら進めてまいります。
次に、ICTを活用した説明会の開催についてです。
第二次実行計画(素案)のパブリック・コメントの実施にあたっては、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、地域説明会を中止しましたが、パブリック・コメント実施に関する周知チラシの掲出場所の拡充や、計画事業内容の説明動画の配信を実施しました。また、特別出張所や図書館では、計画を分かりやすく説明する資料を、素案冊子とともに閲覧場所に配置したことで、第一次実行計画時を上回る数のご意見をいただきました。今後は頂いたご意見一つひとつに対して、区の考え方をお示ししてまいります。計画策定等の機会における区民への情報提供及び意見収集については、新型コロナウイルス感染症の状況なども踏まえ、適切な手法を検討してまいります。
次に、計画事業の経常事業化についてのお尋ねです。
第二次実行計画(素案)の策定に当たっては、第一次実行計画の計画事業のうち、事業の仕組みの構築がなされている事業や、取組として定着している等の事業については、原則として経常事業に位置付けました。経常化した事業については、個別施策の実現に向けて計画事業とともに着実に推進していく事業として、計画(素案)に掲載しています。今回経常事業化した事業に限らず、手法の変更や拡充等により、計画的に実施していくことが必要となった経常事業は、計画事業に位置付けることとしており、パブリック・コメントで頂いたご意見も参考とさせていただきます。
次に、「子どもの貧困の連鎖を防止するための取組」を計画事業として残し、さらに様々なセーフティーネットを計画事業に盛り込むことについてのお尋ねです。
この事業は、これまで、全庁での総合的な推進体制として設置した「子どもの貧困対策検討連絡会議」を中心に、子どもの貧困対策に資する事業の推進、子育て支援施策ガイドの発行等による周知の充実、子どもの貧困対策計画の策定、国の「子供の貧困対策に関する大綱」を踏まえた、区の指標の設定と実施状況の確認等を行ってまいりました。このように、既に「子どもの貧困の連鎖を防止するための取組」は事業の仕組みの構築がなされ、取組として定着していることから、第二次実行計画では経常事業としています。経常事業となっても、子どもの貧困対策計画において、国の新大綱を踏まえ、現在見直しを行っている区の指標により目標を設定し、引き続き、取組を推進してまいります。
次に、国や都に対し、総合支援資金の更なる対策を要望すると同時に、区として独自の貸付や給付を行うべきではないかとのお尋ねです。
現在、国の制度である総合支援資金や緊急小口資金の特例貸付については、受付期間が令和2年12月末まで延長され、新宿区社会福祉協議会の窓口で申請受付を行っているところです。この特例貸付は、国が申請期限を2度延長しており、また「令和3年3月までの延長を検討している」との報道もあることから、国の動向を注視している状況です。区独自の貸付や給付を行うことは考えておりませんが、特例貸付の延長については、東京都を通じて国に要望しております。
次に、「ジェンダー平等」の実現を計画事業に掲げ、性的指向・性自認を理由とした差別解消とパートナーシップ制度の実施を位置付けることについてです。
「男女共同参画の推進」事業は、啓発講座の実施や情報誌の発行、小・中学生向けの啓発誌の配布等、意識啓発や情報提供に関する取り組みが定着していることから、経常事業化するものです。性的指向・性自認を理由とした差別解消については、同事業の中で情報誌や講座、ホームページ等による意識啓発を引き続き実施していきます。同性パートナーシップについては、婚姻制度のあり方について十分な議論を踏まえたうえで、国において結論を出すことが必要と考えており、区での実施は考えておりません。
次に、「こころの健康づくり」を計画事業に位置づけ、顔を見ながら対話できるようなICTを活用した相談についてです。
平成30年度から計画事業として、休養の重要性や十分な睡眠をとることなどストレスと上手に付き合うための普及啓発や関係機関とのネットワークの強化を行ってきました。今後は経常事業として、広報新宿やホームページを通じての普及啓発や、これまで構築してきたネットワークを活用し、こころの病気になったり、ストレスを感じた際に、対処しやすい環境づくりに継続して取り組んでいきます。また、顔を見ながら対話できるようなICTを活用した事業について、他自治体の取り組み状況なども含め研究してまいります。
次に、カウンセリングの支援についてです。
現在、自殺対策として、メールでの相談やネット上で相談窓口案内の事業を実施しています。また、保健センターでは精神科医師による相談を無料で実施するとともに育児不安やうつ傾向が強い方には「親と子の相談室」で精神科医やカウンセラーによる相談も行っています。このため、新たなカウンセリングの支援は予定していませんが、引き続き相談者に寄り添いながら、支援してまいります。
次に、生活保護の法外援護事業についてです。
東京都の補助事業である「被保護者自立促進事業」は、生活保護法による保護を補完し、経済的負担を軽減させ、自立更生を図ること等を目的としています。この事業において、「精神科カウンセリング受診料」の補助は、各区市の判断により実施できる「選択事業」となっています。区では、精神的不安を抱える生活保護受給者に対して、担当ケースワーカーが個々の状況を把握した上で、精神科医等への受診を勧めるとともに、精神保健福祉士の資格を持った会計年度任用職員を任用し、窓口での相談に応じたり、ケースワーカーの家庭訪問時に同行するなどの支援を行っています。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響により、これまでの生活環境が一変し、生活保護の受給に至った方も多く、心身面でのサポートが重要となっており、こうした方は今後も増えることが見込まれます。そこで、精神的な不安を抱える生活保護受給者も対象とする「精神科カウンセリング受診料」の補助により、必要なカウンセリングにつなげることは、個々の状況に応じた支援を行う上で有効な手段と考え、検討を行ってきたところであり、来年度の実施に向け準備を進めていきます。
◆(沢田議員) 次に、新型コロナウイルス感染防止対策について質問します。
新型コロナウイルス感染者数は連日のように過去最多を更新し、東京都も警戒レベルを最高度に引き上げました。感染防止対策の抜本的強化は待ったなしです。
質問の第1は、これまでの新宿区の取り組みの総括と感染拡大の具体策についてです。
世田谷区は、「新型コロナウイルス感染症予防の取り組みと今後の対応について」の報告書をまとめ、 区内の感染状況とPCR検査の実績をふまえ、10月28日までの区の取り組みと今後の対応について発表しました。報告書では、クラスター、社会福祉施設等、区立施設と類型ごとに感染の発生状況及び対応が、区民にも分かりやすくまとめられています。新宿区としても新型コロナウイルス感染症対策本部会議の議事録を公表することと合わせ、世田谷区や以前も紹介した那覇市の報告書などを参考に、新宿区の新型コロナウイルス対策の取り組みを総括し、感染拡大防止のための具体策を示すべきと考えますが、いかがでしょうか。
質問の第2は、区施設をはじめとする事業所での感染拡大防止についてです。
国の専門家分科会が指摘している第2波との違いは、事業所での感染が増えていることです。新宿区のPCR検査(行政検査)の実績でも、陽性者数は、接待を伴う飲食業よりも会社員・公務員の方が圧倒的に多くなっています。
事業所の例として、新宿区子ども総合センターのケースは教訓化すべき事例ではないかと思います。10月21日発熱した職員1人の陽性が判明し、濃厚接触者なしとの判断で、他の人の検査は行われませんでした。10月24日に2人目の陽性が判明した時は、濃厚接触者4人のみ検査を行い、結果は全員陰性でした。3人目の陽性者が判明した10月30日から11月4日にかけて1階フロアなど約140人のPCR検査を行い、4人の陽性が判明。全部で7人の感染者が見つかりました。このケースは、クラスターと認識されているのかお聞かせください。7人の方は、必ずしも席が近いわけではなかったそうですが、更衣室やランチタイムの接触は想定していなかったのか、なぜ1人目の陽性者が判明した時点で職員全体に検査をしなかったのか、今回のケースで教訓とすべき事は何か、区長の見解を伺います。また、利用者へのお知らせは休館に至るまで行われず、利用者に対するPCR検査も行われませんでした。どのような判断でそうしたのか、少なくとも利用者にはいち早い情報提供と、検査の対象としない理由などを説明すべきだったと思いますが、いかがでしょうか。このケースでも、保健所が当初、濃厚接触者としなかった人が感染していましたが、他にも同様のケースが見られます。1人でも職場内で陽性者が確認された場合、議会事務局のケースで行ったように、当該職場全体と接触の可能性のあった利用者も含めPCR検査を実施することが、職員と区民を守ることになると思いますが、いかがでしょうか。
質問の第3は、新型コロナウイルス感染拡大とインフルエンザの同時流行に備える体制についてです。
まず、診療体制についてです。都内では、帰国者・接触者相談センターが発熱相談センターとなり、受診と検査の流れが再整備されました。一方、一般患者と発熱などコロナ疑いの患者を分けて診療できるクリニックは限られています。対応可能なクリニックは現時点で何軒でしょうか。かかりつけ医のいない方が具合の悪い中あちこちに電話しなくても済むように、区民に公表できる専門の発熱外来を確保すべきと考えますが、いかがでしょうか。
質問の第4は、保健所の体制強化についてです。
保健所職員のみなさんのご苦労には、心から敬意を表します。他の部署からの応援体制とともに派遣の保健師13人電話対応に5人を手当てしているものの、体制はひっ迫していると聞いております。新たに、初期スクリーニング集団検査体制を強化し、非常勤医師と看護師・保健師を3人雇用し、チームを編成し対応するとの事ですが、人材確保はできたでしょうか。また、いつからスタートする予定かお聞かせください。
保健師の負担軽減と感染拡大防止のための体制強化の両立に関して、世田谷区では、医師を課長とする第二感染対策課を設置し、派遣の看護師をトレーサーとして配置し保健師の負担を軽減しています。墨田区では、疫学調査や相談班、健康確認のトレーサーは応援の保健師で行い、相談はすべて民間に委託しています。正規の保健師を大幅に増員することが重要です。来年度の採用は何人かお聞かせください。また、情報処理のための専任職員を増員すること、保健師以外でできる業務を最大限分離、合理化して保健師の負担軽減と体制強化をすべきと考えますがいかがでしょうか。
質問の第5は、エッセンシャルワーカーへの定期的検査の実施と検査の抜本的拡充についてです。
居宅系の介護従事者と障害福祉従事者、計6300人に対し今年度末までに1回、PCR検査を実施することになりました。しかし、これから冬本番の時期、たった1度の検査で高齢者への感染が防止できるだろうかと危惧する声が上がっています。世田谷区では11月18日時点で1297人に定期・随時の検査を行い19人の陽性者を確認しました。ある特養ホームの職員61人を検査したところ13人の感染者が発見されました。その後、利用者97人の検査で更に2人の感染者を発見し、社会的検査によって無症状の陽性者から感染拡大することを防げたことは教訓的です。千代田区では介護施設に、8月から3ヶ月ごとに定期検査を実施しています。新宿区は11月末から実施するとしていますが、3月末までにせめてもう1回実施すべきと思いますが、いかがでしょうか。
また、この事業でケアマネジャー、相談員や福祉用具事業従事者は対象外とされましたが、そもそもの目的は重症化しやすい高齢者や障害者に感染させないことです。接触する可能性のあるすべての職種の方を対象にPCR検査をしなければ感染を防ぐことはできないのではないでしょうか。人数にすれば約200人程度です。区として実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。
この事業は都と「区市町村との共同による感染拡大防止対策推進事業」のメニューで、他にも特別支援学校や特別支援学級、接待を伴う飲食店などを対象にPCR検査を実施する事が可能なのに、なぜやらないのでしょうか。検討経過と申請しなかった理由をお聞かせください。今からでも実施すべきと思いますが、いかがでしょうか。
特に都が接待を伴う飲食店への検査支援を打ち出したことは重要です。これから年末年始の掻き入れ時です。名古屋市の繁華街対策では、町目ごとに順次、飲食店の従業員と住民に無料でPCR検査を実施しています。啓発ももちろん大切ですが、繁華街では積極的なPCR検査を行って安心して営業ができるようにすることが必要です。東京都が全額補助する「接待を伴う飲食店のPCR検査」は、今まさに必要とされている事業にもかかわらず、なぜ区は申請しなかったのですか。区として独自にでも取り組むべきです。区長の見解をお聞かせください。
PCR検査の積極的な実施については、財政的負担を懸念する向きもありますが、世田谷区の社会的検査については行政検査同様国庫負担との事で、東京都が提携するソフトバンク系の検査会社は1件2000円で検査可能です。墨田区は検査会社を誘致し、1件6000円で実現しています。民間事業者と連携し、検査体制を抜本的に強化することで、経済活動など区民の日常と防疫を両立させるべきと考えますが、区長の見解を伺います。
第6に、無症状・軽症感染者の自宅療養等に対する支援についてです。
10月28日より自宅療養者に対する配食サービスがスタートしましたが、10万円の見舞金支給対象者から食料品代1万円分を差し引くという有料サービスで、11月20日現在、累計対象者65人に対し実績は1人です。住民票がある見舞金支給対象者は区内感染者全体の6割程度で、4割の方は対象外です。これでは感染拡大防止の目的は達成できません。お届けする食品もレトルトのようなものが中心です。療養者には栄養バランスの良いお総菜系のものや、地元飲食店のデリバリーを活用するなどして温かいものを、区内で自宅療養している全ての方に支援をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
第7に、外国人への支援についてです。
墨田区では、10月に外国人コミュニティーでクラスターが発生しました。無保険で分娩のために病院に行った方が陽性だったため、そのコミュニティーに関わる全員検査を行ったところ6人の陽性者が見つかったそうです。無保険者は具合が悪くても病院に行かず我慢してしまうため、感染拡大の温床になりかねません。19日の区長定例記者会見では、「感染予防の意識啓発を多言語に拡げて、より一層進める」と表明されましたが、区内の外国人の実態を把握し、検査につなげるべきと考えますが、いかがでしょうか。以上、答弁願います。
◎(吉住区長) 新型コロナウイルス感染防止対策についてのお尋ねです。
はじめに、新型コロナウイルス感染症対策本部会議の議事録の公表についてです。
新型コロナウイルス感染症に対して、全庁で迅速かつ確実に情報を共有し、組織的・機動的な対策を講じていくために、本年2月3日からこれまでに、43回にわたり本部会議を開催しました。議事録については、第1回分から各回ごとに案件の概要をまとめたものを、11月末にホームページに掲載したところです。
次に、新宿区の新型コロナウイルス感染症対策の取り組みを総括し、感染拡大防止のための具体策を示すことについてです。
区は、これまでも、日々の対策の中での積極的疫学調査を通じて、発生状況を分析し、繁華街対策や初期スクリーニング検査などの具体的な対策に結び付けてまいりました。また、そうした分析から総括した情報については、報告書としてはまとめておりませんが、新型インフルエンザ等対策連絡会等を通じて、医師会、医療機関、消防、警察等の関係機関と共有し、連携して対策を実施しているところです。今後も、刻々と変化する状況を分析し、適切な対策を実施することで感染拡大防止に努めてまいります。
次に、新宿区立子ども総合センターでの感染拡大防止についてです。
子ども総合センターにおいて、約2週間にわたり休館したことにより、一部区のサービス提供ができなかったことについては重く受け止めています。保健所では陽性者が判明した際、積極的疫学調査を実施し必要な対応を行っています。陽性者本人から聞取り調査を行い、濃厚接触者とされた方についてはPCR検査を行います。また、同じ施設で複数の陽性者が発生した場合等、クラスター化のリスクが高い場合にはスクリーニング検査を実施し、感染拡大防止を図っています。子ども総合センターでの対応についても、職員、利用者に積極的疫学調査のうえ、必要なPCR検査を実施しました。結果として複数の陽性者が判明しましたが、保健所の調査によると同一施設内での散発事例でありクラスターとは断定できないと報告を受けています。区民や利用者への周知については、子ども総合センター職員の感染が確認される都度、必要な情報を速やかにプレスリリースするとともに、区ホームページへの掲載も行ってきました。また、休館前に学童クラブの保護者や親と子のひろば、ひろば型一時保育、相談等を予約していた方に、個別に電話で連絡を行ったほか、区ホームページに、休館することとその間の対応について速やかに掲載し周知に努めており、情報提供は適切に行ったと認識しています。区では今後も必要な感染対策を適切に実施し、感染拡大防止に努めてまいります。
次に、一般患者と発熱などコロナ疑いの患者を分けて診療できるクリニック数についてのお尋ねです。
区内では、現時点で約100の医療機関が、必要な検査体制が確保されている診療・検査医療機関として東京都の指定を受けています。
次に、区民に公表できる専門の発熱外来を確保することについてです。
ご指摘のとおり、発熱等の症状がある方については、かかりつけ医に、かかりつけ医がいない場合は、東京都発熱相談センターに電話相談のうえ、診療・検査医療機関に受診いただいているところです。医療機関の公表については、急な来院や患者が殺到することで、現場に混乱や不安を招くなど、医療体制への支障が懸念されるため、現時点では公表を予定していませんが、発熱等の症状がある方が相談できないことがないよう、都の相談窓口とも連携し対応してまいります。
次に、保健所の体制強化についてです。
初期スクリーニング集団検査のための人材確保として、会計年度任用職員の看護職と非常勤の医師を雇用し体制を強化する予定です。看護職は現在採用手続き中であり、必要な人数を確保できる見込みです。会計年度任用職員の採用には所定の手続きが必要であるため、看護職の任用は来年の1月からを予定しています。それまでの間は、従来通り保健所の医師・保健師を主として、必要時に保健センター等庁内の保健師で応援体制を組みながら初期スクリーニング集団検査を実施してまいります。
次に、来年度の保健師の採用数についてのお尋ねです。
職員の採用は、退職者数や業務量等を考慮のうえ需要数を確定し、特別区人事委員会が実施する競争試験等により採用者を決定いたします。保健師の採用については、新型コロナウイルス感染症対策の強化を図るため、前年度と比較して、採用の拡大を図る予定ですが、現在、選考中であるため、具体的な採用者数についてのお答えはできません。また、保健師以外の職員で対応可能な業務については、全庁的な応援体制の構築や、労働者派遣の活用、国・都からの職員の受け入れなどを行うことで、人員を確保し、対応してまいりました。今後も新型コロナウイルス感染症の状況に応じて、必要な人員を増配置し、組織体制の強化を図ってまいります。
次に、エッセンシャルワーカーへの定期的検査の実施と検査の抜本的拡充についてのお尋ねです。
はじめに、介護従事者等に対するPCR検査の実施についてです。現在、検査機関、医療機関等と打ち合わせを行い、事業の実施に向けて準備を進めています。対象事業所に対し、検査キットを送付し、職員が自ら唾液を採取し、検査を行います。そのため、事前に検体の採取方法、検査機関への配送方法等の説明を丁寧に行い、検査を確実なものにする必要があります。また、感染者が出たときの対応を各事業所が再確認する準備期間や、事業運営に支障を来さないよう、PCR検査を実施する必要もあることから、今年度末に向けて、全ての検査が終了するよう、事業を進めてまいります。今回のPCR検査事業を実施する中で、各事業所の意見を聴きながら、国の見解も注視し、効果的な支援方法を検討してまいります。ケアマネジャーや相談員や福祉用具事業従事者が、相談業務等を行う時には、マスクの着用や手指の消毒を徹底することで、感染防止を図ることが可能です。一方、入浴や食事、排せつ等の介助、介護を行うなど、直接処遇を行っている職員については、より一層の対策が必要なことから、検査の対象としたものです。
次に、「区市町村との共同による感染拡大防止対策推進事業」についてのお尋ねです。
区では、感染者が発生した施設への初期スクリーニング集団検査を早期に実施することが、感染拡大防止に効果的であると考えており、繁華街等において定期的に全員PCR検査を行う考えはありません。特別支援学校、特別支援学級については、東京都の特別支援学校の考え方に合わせ、定期的に全員PCR検査を行う考えはありませんが、感染者発生時は、迅速に初期スクリーニング集団検査を実施します。なお、区では医師、看護師で構成する「ハイリスク対策チーム」及び「繁華街対策チーム」を設置することで、初期スクリーニング体制を強化しており、東京都には、この体制強化に要する経費について補助申請を行っています。
次に、民間事業者と連携し、検査体制を抜本的に強化することについてです。
新型コロナウイルスの行政検査については、区で設置している新型コロナウイルス検査センター、東京都の支援による新型コロナウイルス第2検査センターで1日あたり最大260件の体制を民間検査機関も活用し整えています。区内診療所、病院等を含めると1日あたり最大で1,270件の検査が可能となっています。さらに、ハイリスク対策チーム、繁華街対策チームを必要に応じ編成し、初期スクリーニング集団検査体制の強化を図ります。今後も、必要な検査を適切に行うことができるよう状況に応じ体制を整備してまいります。
次に、無症状・軽症感染者の自宅療養等に対する支援についてです。
新型コロナウイルスに感染し自宅療養を行う場合、解除までの期間、療養に専念してもらうために、食品の調達支援は重要との考えから、区民の方を対象として配食サービス事業を実施しているところです。メニューについては、自宅療養期間を勘案し、一定期間、保存可能な食品をパッケージ化して配送することが効果的効率的であると考えています。
次に、区内の外国人の実態を把握し、検査につなげるべきとのお尋ねです。
区ではこれまで感染予防策や外国語による相談が可能な窓口等について、多言語による広報紙、ホームページやSNSによる周知を行っています。また、韓国、ネパール、ベトナム等からなるインターナショナル事業者交流会で新型コロナウイルスに関する意見交換を行っています。特定の外国人コミュニティで感染者が増えている場合は、NPO等の地域コミュニティと新型コロナウイルスに関する情報共有を行い、効果的な情報発信の在り方を相談しています。11月には区の感染症対策アドバイザーの助言により、韓国、ネパールをはじめ5か国の各コミュニティあてに、旧正月やそれぞれの国の記念日のイベント等での感染拡大防止策について、メッセージを発信しました。外国人の患者発生時における積極的疫学調査では、やさしい日本語や「東京都外国人新型コロナ生活相談センター」を介して、感染源や濃厚接触者の有無や周囲に発熱等症状がある方がいないか等、クラスター発生を念頭に、丁寧な聞き取りを行っています。引き続き、外国人コミュニティ等への働きかけを行い、感染拡大防止のための普及啓発や体調不良の方が相談できる窓口の周知など、一人ひとりに情報を丁寧に伝えてまいります。
◆(沢田議員) 次に、中小業者への支援について質問します。
新型コロナウイルス感染拡大によるくらしと経済への打撃は、日を追うごとに深刻さを増しています。新宿区商店会連合会の調査では、4月~9月で会員70軒が廃業、神楽坂商店会だけで老舗商店など25件商店会員の1割強が廃業したとしています。新宿区の7月~9月の中小企業の景況でも売上げ減少割合は全体で「4割以上減少した」が、35.5%で最も多く、飲食・宿泊業は、8割強になっています。コロナ禍が長期化するもとで、事業を継続できるよう最大限支援することが必要です。
質問の第1は、中小企業に対する国の姿勢と区の考え方についてです。菅首相のブレーンで成長戦略会議の委員に起用されたデービッド・アトキンソン氏が「中小企業の数を現在の半分以下、160万社程度に減らすべきだ」などと発言しましたが、とんでもありません。日本経済を支えているのは多くの中小業者であり、その数を減らすということは日本経済の活力を失い、大量の失業者を生み出すということです。この発言を区長はどのように思われますか。今、踏んばっている中小業者をしっかり支えることこそ必要と考えますが、区長の見解を伺います。
質問の第2は、営業を継続するための支援についてです。店舗等家賃減額助成金は給付期間を当初の6ヶ月から12ヶ月に10月8日より延長しましたが、10日8日以降の申請は188件と微増に留まり、11月9日現在申請が、711件、支給が632件テナント数で1242軒となっていますが、12億円の予算に対して約1億7640万円の執行です。当初から使いづらいとの声があり、テナントへの直接支援に切り替えるように要望してきましたが、このままでは大半が執行されず使い残すことになります。テナントに直接支援を行い、更に、国の家賃支援給付金が受けられない売上減少率20%などの店舗にも区が補助することに予算を振り向けるべきです。いかがでしょうか。
質問の第3に、ワンストップの相談窓口の創設についてです。支援制度を知らないがゆえに支援から漏れている方がいます。国、都、区の支援制度は数多くあり、自分がどの制度を使えるかその方にあった制度を紹介することが大事です。
滋賀県では「ワンストップ相談窓口」を設置し、県のみならず、国、市町の支援策を含め一元的に情報提供することで、県民や事業者の不安を安心に変えられるよう、住民や事業者に寄り添った支援を行うとしています。新宿区も広報で支援策の一覧表を掲載するなどしていますが、日本商工会議所が窓口となっている持続化補助金も掲載するなど一覧を充実し、「ワンストップ相談窓口」も設置してはいかがでしょうか。
質問の第4は、おもてなし店舗支援事業補助金についてです。11月18日現在、申請383件のうち仮払いは59件です。上限5万円で対象期間が来年3月31日までに3か月延長されましたが、申請は1回限りです。制度の周知をすすめるとともに、上限を10万円まで引き上げ、申請回数も増やすべきと考えますが、いかがでしょうか。
質問の第5は、少規模商店街新型コロナ感染防止支援事業と商店会共同販促支援事業についてです。これら事業は補助率10/10で上限50万円と100万円ですが、申請件数は11月18日現在19件と4件に留まっており、申請期限を来年3月15日まで延長し、前払いを可能とする改善がはかられました。商店会サポーターによる案内がされていますが、この事業を活用していただくためには、事業のノウハウを詳しく示し具体的にお手伝いをする支援が必要と考えますが、いかがでしょうか。以上、答弁願います。
◎(吉住区長) 中小企業者への支援についてのお尋ねです。
はじめに、国の成長戦略会議の委員が「中小企業の数を現在の半分以下、160万社程度に減らすべき」などと発言していることや、中小企業者をしっかり支えることの必要性についてです。
「中小企業の数を現在の半分以下、160万社程度に減らすべき」との発言がどのような背景でどのような意図で述べられたものか詳細に把握をしていませんが、区として中小企業者を支援していくことは重要な責務であると考えています。東京都が作成した「東京の産業と雇用就業2020」によると、区内全企業のうち、98.8%が中小企業です。その中には、地場産業である染色業や印刷・製本関連業をはじめ、地域に密着した小売店や飲食店など様々な業態があります。区は、引き続き、コロナ禍において大きな影響を受けている中小企業者への適切な支援を進めてまいります。
次に、営業を継続するための支援についてのお尋ねです。
区は、区内事業者の事業継続を下支えするため、店舗等の家賃を減額したオーナーに対して減額幅の一部を助成する店舗等家賃減額助成事業を実施しています。本事業は、新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが立たない中で、家賃対象月を令和3年3月分までの全12か月分に拡大するとともに、申請期間を令和3年3月15日まで延長しました。今後も、店舗等の家賃減額を通じて、区内テナントの事業継続につなげていくことができるよう、引き続き店舗等の家賃を減額したオーナーを支援してまいります。以上のことから、テナントへの直接補助については考えていません。
次に、持続化補助金を広報へ掲載するなど支援策一覧を充実することと、ワンストップ相談窓口の設置についてのお尋ねです。
現在、区をはじめとして、国や東京都による様々な支援制度について、区ではホームページ等で支援策一覧を掲載しています。また、新宿商人(しんじゅくあきんど)への掲載やメールマガジンでの周知も行っています。広報新宿への掲載は誌面の制約から行っていませんが、今後も機会を捉え周知に努めてまいります。また、ワンストップ相談窓口の設置については考えておりませんが、各種支援制度等についての相談ができる窓口として、専門家による無料相談会を実施する方向で現在検討しています。今後も引き続き、区内事業者に寄り添った支援を行ってまいります。
次に、おもてなし店舗支援事業補助金の制度の周知をすすめるとともに、上限額を引上げ、申請回数を増やすことについてのお尋ねです。
おもてなし店舗支援事業補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている小売・飲食・サービス業の店舗を営む中小企業者が「感染症拡大防止対策」「業態転換」等を行う経費を補助する制度で、ご指摘のとおり、現下の感染者数の増加を踏まえ、対象経費及び申請期間を来年3月31日までに延長したところです。本補助金については、広報新宿及び区公式ホームページへの掲載をはじめとして、商店会加入店舗へ個別に郵送している「新宿商人(しんじゅくあきんど)」でも10月号に引き続き、12月号にも掲載する予定です。さらに、12月上旬に区内飲食店12,000軒に対して送付する「感染予防と繁華街再生に向けたメッセージ」に併せて、本補助金等の制度概要を掲載した公的支援一覧表を送付する予定です。また、補助上限額の引上げや1事業者あたりの申請回数を増やすことは今のところ考えていませんが、必要とされる方々が適切に制度を活用できるよう、様々な機会を捉えて周知に努めてまいります。
次に、商店会が小規模商店会新型コロナウイルス感染症拡大防止支援事業と、商店会共同販促支援事業を活用するにあたり、事業のノウハウを詳しく示し具体的に支援することについてです。
ご指摘の二つの事業は、商店会が感染症拡大防止の取組を行った際や会員店の売上拡大に繋がる共同での販売促進等を行った際にかかる費用を補助する事業です。商店会が補助事業を申請する際には、商店会サポーターをはじめ、区職員が各商店会の状況をお伺いしながら、申請に向けてのサポートを行っているところです。一方で、まだ申請のない商店会に対しては、これらの事業の具体的なイメージが沸くように、商店会サポーターや区職員を通じて、他の商店会の実施事例や事業実施後の効果等を具体的に紹介しながら支援を行ってまいります。併せて、12月に発行の新宿商人(しんじゅくあきんど)でも、商店会にとって分かりやすい活用事例を掲載してまいります。今後も、商店会に対してきめ細やかな支援を行ってまいります。
2020.12.23 更新