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区議会活動
2012年第1回定例会 代表質問
日本共産党区議団の近藤なつ子です。2012年第1回定例会にあたり、会派を代表して区長ならびに教育委員会に質問します。
東日本大震災と東電福島第一原発事故から間もなく1年になります。被災地では生活再建も除染も賠償も大きく立ち遅れたままで、「政治は一体何をやっている のか」という声が上がっています。東京に住む私たちも、震災対策の見直しや放射能汚染対策など新たな課題を突き付けられた1年でした。大震災と原発事故は 長期にわたる不況に追い打ちをかけ、欧米経済の悪循環と円高で輸出も行き詰まり、GDPが2年ぶりのマイナスとなりました。
この状況下で、民主党政権・野田内閣は2月17日「社会保障・税一体改革」大綱を閣議決定し、消費税10%への大増税とあらゆる分野の社会保障切り捨て方 針を決めました。商店では「消費税は価格に転嫁できないし、赤字でも支払う消費税の増税なんてとんでもない」、年金生活の方からは「年金支給額が減らさ れ、さらに医療費の窓口負担も増えるのでは、これからの生活が不安でしかたがない」「大型公共事業や政党助成金の無駄使いを止めないで、こんな公約違反は 許せない」など、国民の怒りと不安が高まっています。国民の批判をかわそうと、衆議院の比例定数80を削減しようとしていることは、民主主義を破壊するも ので断じて許すわけにはいきません。
国益を損なうTPP参加や米軍普天間基地の辺野古移転の問題などでも、「民主党政権のやり方は自民党以上にひどいではないか」という声が上がり、時事通信 社の2月世論調査では、内閣支持率は24.9%に落ち、不支持率は52.7%と政権発足後初めて50%を超えました。政治への失望感や閉塞感をさらに高め ている民主党政権の責任は重大です。
私たち日本共産党は、国民の困難を解決し、国民が主人公の政治をつくるため、引き続き奮闘する決意を述べ、以下質問に入らせていただきます。
(1)区政の基本方針説明と第二次実行計画・2012年度予算について
最初に、区政の基本方針説明と第二次実行計画・2012年度予算について伺います。
第一に、区長の政治姿勢について伺います。
野田内閣がやろうとしている社会保障の後退と消費税増税は、区民生活と区財政にも大きな影響を与えるものですが、区長はどのようにお考えですか。また、区 民の命とくらしを守る立場から、社会保障制度の改悪を許さず、消費税増税にもきっぱりと反対をすべきですが、あわせて区長の見解を求めます。
第2に、区民生活の実態についてです。
区長は、基本方針説明の来年度の区政運営の基本認識で、「今」「未来」「絆」の3つをキーワードに掲げました。現場を持つ強みを生かしたセーフティネット 機能を充実するといいますが、区民生活の厳しさについては内閣府の月例経済報告の引き写しで、「今」区民の置かれている状況を区長がどう認識しているのか 言及がないため、現場で起こっている課題や区民の願いがどのように改善され実現していくのか胸に落ちません。新宿区では4年前の第1次実行計画策定時と比 較しても、生活保護率は22.9から30.0パーミリに、就学援助の認定は区立小学校で21.7%から22.4%に、区立中学校で28.0%から 35.1%に上がるなど、区の指標でも区民生活が年々厳しくなっていることがわかります。経済的な支援を含め、きめ細かな対応が区政に求められています。 区長は、区民生活の実態をどのように把握し、どのように感じているのかお聞かせ下さい。
第3に、区民の要望に応える予算についてです。
基本方針説明で、「高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できる施策を進めていきます」としていますが、実際に介護保険料や医療保険料も上がる中で、昨年 も、区が行った区民意識調査では、「区政への要望」のトップが引きつづき「高齢者福祉の充実」で4割を占めました。年金が減り続ける中で負担増にあえぐ高 齢者の生活が、今現に進行しているからこうした回答が寄せられるのではないでしょうか。区長は、区民の要望にどのように応えようとしているのかお答え下さ い。
最も要望の強い「高齢者福祉の充実」の中でも優先すべきは、命と健康を守る施策の充実です。1月27日、国の厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会で、 高齢者肺炎球菌ワクチンを現行の予防接種法に位置づける場合の疾病区分の考え方が示され、定期予防接種に向けた検討が進んでいます。そして、来年度23区 のうち21区が高齢者の肺炎球菌ワクチン予防接種に助成を実施します。私どもは新宿区でも実施に踏み切るよう、条例提案を含め繰り返し要求してきました。 残り2区となった現在、区が高齢者のために優先して行うべき事業と位置づけ、一刻も早くあらゆる手だてを打って実施する必要があります。昨日、他会派に実 施の方向で答弁していますが、対象者、実施時期もあわせて、区長の決断を求めます。
第4に、財政運営についてです。
区政の基本方針説明で区長は、昨年と同様に、「今後、区財政を取り巻く環境はますます厳しくなることが予想されます。」と述べられました。第2次実行計画 (素案)が示された昨年の第3回定例会で区長は、「区財政は将来需要への一定の対応力を確保している」と、今後の財政見通しを示されていましたが、その認 識は現時点でも同じなのか伺います。
区長は、健全な財政の確保のためには「区税等の増収対策に加え、内部管理経費や職員定数の削減、事務事業の実績や成果の検証、受益者負担のあり方の検討な ど、常に区民の視点で見直すことが必要」と言われ、来年度予算は、決算実績に基づく大幅な軽費削減と徹底した事務事業の見直しをして編成したと言われまし た。事務事業の見直しでは高齢者クラブへの助成、いきいき活動事業、敬老会の参加景品の3事業で約400万円削減し、高齢者のささやかな喜びまで奪おうと する一方で、新宿クリエイターズ・フェスタには900万円が計上されています。昨年10月に実施した学生クリエイターズ・フェスタにも区は1000万円を 投入し、協賛金と合わせて4500万円のイベントでしたが、区民生活にとってどのような効果があったのか、事業の意義と評価を改めて伺います。この事業は 協賛金だけで運営が可能ではないかと思われますが、区民の税金を投入する必要がどこにあるのかお答え下さい。そして、来年度の新宿クリエイターズ・フェス タに900万円の予算で、高齢者福祉関係では400万円削減ですが、区長の言う予算の「選択と集中」とはいかなる基準で行うのかお聞かせ下さい。
また、今定例会にはいわゆる「地域主権改革」の一環で都から特別区に権限が移譲されることによる条例が7件も提出されています。今後もこのような流れは続 きますが、地方自治体への権限移譲は財源も同時に措置されなければなりません。そのことを国や東京都に強く要求する必要があるのではないでしょうか。一 方、都区財政調整についても、特別交付金については5%を2%に戻すことを基本に都区協議が行われていましたが、またもや都に押し切られ区側の要求は通り ませんでした。そもそも、今回の7件の条例だけでなく区の仕事は増えています。都と区の配分割合自体を見直さなければ間尺に合わないのではないでしょう か。区長は、財政の確保を言うのであれば国や東京都にもっと強力に財源を要求すべきです。区民からも見えるような強力な働きかけをすべきだと思いますがい かがでしょうか。
第5は、区民が自治の主役となる区政運営についてです。
第二次実行計画と2012年度の予算編成は、自治基本条例施行後、初めてのものとなります。まちづくり基本目標の一つ目は「区民が自治の主役として、考 え、行動していけるまち」ですが、区長は本当に区民が主役とお考えでしょうか。第二次実行計画に対するパブリックコメント388件中子育てに関してが7割 もあり、多くは区の方針に疑問や反対の意見でした。区民が意見表明というアクションを起こしても、結果として区立幼稚園の廃園などで何ひとつ方針を変えな いのでは、「区政の主役は一体誰なのか」と言われても仕方がないのではないでしょうか。総務区民委員会では、区民の理解不足で意見が出されたと受け止めら れる答弁がありましたが、もしそうだとしたらあまりにも区民を馬鹿にした態度ではないでしょうか。このことについて改めて区長の認識を伺います。
(答弁・区長)
近藤議員のご質問にお答えします。
区政の基本方針説明と第二次実行計画および平成24年度予算についてのお尋ねです。
まず、社会保障制度と税の一体改革および消費税増税の認識についてです。
現在、少子高齢化による人口構成や社会経済状況が大きく変化する中、給付と負担の両面から全世代の公平性が確保された持続可能な社会保障制度の再構築が強く求められているものと認識しています。
政府の社会保障と税の一体改革の大綱では、社会保障改革の考え方や方向性、また、税制抜本改革の考え方などが示されていますが、今後の検討に委ねられているところが多く、とりわけ地方が担う役割については不明確となっています。
社会保障制度の運営は、国のみならず地方が重要な役割を担っていることから、地方の適切な役割分担に基づく地方への税源移譲などが必要と考えます。
また、今後の社会保障制度の安定的な運営のため、消費税など税財政制度全般にわたる広範な議論が必要と認識していますが、一方、国の行財政改革の取組みによる国民の理解を得る努力が重要であり、景気への影響など多岐にわたる慎重な判断が必要と考えます。
次に、区民生活の実態についてのお尋ねです。
現下の経済情勢は先行きが極めて不透明です。
平成23年度の区民意識調査では、生活における心配事のうち「暮らしに十分な収入が確保できないこと」について「今、心配である」と答えた人が19.6%、「2~3年で心配になると思う」と答えた人が9.5%という結果になっています。
24年度予算においても、生活保護費などの扶助費が大幅に増加するとともに、区民所得の低迷により特別区民税が減少しています。
こうしたことから、私は、区民のくらしは依然として厳しく、先行きへの不安を拭(ぬぐ)えない状況にあると認識しています。
次に、区民の要望に応える予算についてのお尋ねです。
最初に、区民意識調査の区政への要望についてのお尋ねです。「高齢者福祉の充実」については平成6年 度以降、常に区政への要望の上位を占めています。これは、高齢化が進む中、医療や介護などの支援が必要になっても安心して住み慣れた地域で暮らし続けたい という区民の願いであると受け止め、区は一貫して「高齢者福祉の充実」を区政の重要かつ重点的な施策と位置付けています。
今 後も、これまでに実施してきた高齢者総合相談センターの機能強化や介護保険サービスの基盤整備、介護保険外の様々な助成事業や情報紙の訪問配布、認知症サ ポーター事業など、高齢者とその家族を支える施策を総合的かつきめ細かく実施していくことで区民の要望に応えていきます。
次に、高齢者の肺炎球菌ワクチン予防接種に助成を実施すべきとのお尋ねです。
区は、これまでも国の動向や他区の状況などを参考にして、公費助成を実施する場合の必要経費や助成額など実施方法について検討してまいりました。
ご 指摘のとおり、平成24年1月27日に開催された厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会では、高齢者肺炎球菌ワクチンを現行の予防接種法に位置づける場 合の疾病区分の考え方が示されました。このワクチンは、インフルエンザワクチンと同様に、個人の発病や重症化を予防することを目的とした2類疾病に該当す るとしており、定期予防接種に向けた検討が進んでいます。
現 在、区では、助成実施に向け具体的な条件を検討しており、高齢者の健康を守る上で接種が推奨されている65歳以上の方と呼吸器系の慢性疾患や腎不全等の基 礎疾患のある方を対象とし、医療機関での平均的な価格である8千円の半額を公費助成として、予診票は区から対象者に送付することが望ましいと考えていま す。
こうした条件のもとに、現在、新宿区医師会と実施に向けた協議に入っていますが、24年度内の早期実施に向けて、高齢者にとって分かりやすく、また接種率の向上につながるような具体的な方法を検討してまいります。
次に、現時点の区財政の認識についてのお尋ねです。
23年度の2月補正予算後の区の貯金にあたる基金残高は376億円の見込みとなり、区債の残高見込みの254億円に対して、122億円上回っていることから、区財政は一定の財政対応力を確保しているものと認識しています。
しかし、財政構造の硬直化など以前にもまして区財政は厳しい環境になっていることから、24年度予算では、大幅な経費の削減や徹底した事務事業の見直しを進めるとともに、将来需要を支えるための基金残高の確保など、財政基盤の強化に努めることが重要と考えています。
次に学生クリエイターズ・フェスタについてのお尋ねです。
区は、昨年10月15日から23日までの9日間、歌舞伎町にある公共の空間・施設や新宿駅東口のモア4番街を活用した、学生によるアートイベント「学生クリエイターズ・フェスタ in 新宿 2011」を開催しました。
このフェスタでは、学生のアート・コンペティションを中心に、被災地支援の特別企画など計12のイベントを実施し、開催期間中に、延べ24万人の観覧者を得たところです。複数の会場で、様々なイベントを同時に実施したことから、新宿駅東口から歌舞伎町への人の動線づくりなど、回遊性を高めることができました。
また、繁華街の歩道や広場で開催したアートイベントは珍しく、多くのメディアが本フェスタを取り上げ、まちのイメージアップを図ることができたと考えます。
さらに、本フェスタは、多くの民間企業や地元団体などの協賛・協力に加え、作品の制作や各種イベント、募金活動のボランティア等に、延べ68校、500人の学生が参加した、これまでにない取り組みです。
私は、こうした取り組みによる、まちの活力づくりこそが、新宿の持続的発展と、福祉など様々な施策を支える財政基盤づくりに繋がると考えています。
一 方、日本の文化芸術振興に対する予算は、他国と比較して低く、国民が文化芸術を享受する機会や、芸術家の発表の場が、十分に提供されていないとの指摘もあ ります。本フェスタをはじめとする、区の文化芸術事業は、区民の創造性をはぐくみ、ゆとりと潤いある心豊かな生活を実現するとともに、芸術家の発表の場に も繋がります。
民間企業や地元団体には、こうした区の考えや取り組みに対して、ご協賛、ご協力をいただいているところです。
これらの点を踏まえ、引き続き、区は文化芸術事業を通した新宿の活力づくりを、民間企業や地元団体等とともに積極的に取り組んでまいります。
次に、予算の「選択と集中」についての基準となる考え方についてです。
24年度予算編成では、決算実績に基づく大幅な経費削減の一方で、各部が主体的に創意工夫を活かす仕組みとして、各部ごとに一般財源充当目途額を提示するなど、自主的な予算の選択と集中を高める取り組みを継続しています。
ご指摘の「新宿クリエイターズ・フェスタ」については、既に答弁しました事業の効果や必要性に加えて、都市再生整備計画事業の一環として国庫補助対象となることからも予算化したところです。
また、24年度予算の高齢者福祉施策の経費については全体で74億円であり、対前年度比で8億円、12%の大きな伸びを確保しており、重要な施策に重点的に予算を配分したものとなっています。
次に、地域主権改革による権限移譲に伴う財源措置や、特別区交付金の配分割合の見直しについてのお尋ねです。
平 成22年6月の地域戦略大綱では、「国は、権限移譲に伴い、適切に既存の財源措置を見直し、市町村に対して、地方交付税や、国庫補助負担金などに関し、確 実な財源措置を行うこと」が、閣議決定されています。区としても、地方交付税不交付団体が抱える財政需要や大都市特有の行政需要にも十分留意することなど を、全国市長会等を通じて、国に求めているところです。
また、今回の地域主権推進一括法について、既に区で実施している事務や都区の役割分担の変更に及ぶ場合など、実績を踏まえてその影響額を見極めたうえで、特別区に必要な需要額が担保されるよう都区財政調整制度の区側配分率の見直しも含めて都へ協議してまいります。
次に、区民が自治の主役となる区政運営についてのお尋ねです。
第二次実行計画のパブリック・コメントでは、区民から388件のご意見をいただき、そのうち、「認証保育所への支援」「保育園・幼稚園の子ども園への一元化」「区立幼稚園のあり方の見直し」「学童クラブの充実」に対する意見が274件と、全体の約7割を占めました。
パ ブリック・コメントは、公正で透明性の高い区政を推進するため、区民生活に広く影響を及ぼす区の基本的な計画等を決定する際に事前に案を公表し、区民等の 誰もが意見を述べる機会を保障する制度です。寄せられたご意見については、意見の多い、少ないに関わらず、計画に盛り込むべきかどうかを総合的に判断し、 その結果を公表します。
今回の第二次実行計画では、子育てに関するご意見について計画に反映したものはありませんでしたが、いただいたご意見に対する区の考え方をお示しするとともに、事業を実施する際、区民や関係者に区の考え方を丁寧に説明することで説明責任を果たしていきます。
今後、第二次実行計画に掲げる事業を着実に実施することで、基本構想で定める「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」の実現に努めてまいります。
(2)震災対策について
次に、震災対策についてです。
まず、第1に震災に対しての認識についてお伺いします。東京大学地震研究所は1月23日、首都圏でM7級の直下型地震が4年以内に70% の確率で起きる可能性を発表し都民・区民に大きな衝撃を与えました。中央防災会議での首都直下型地震の提起から久しく、区長も大地震がいつ起こってもおか しくないという考えで対策をしてきたことと思いますが、今まさに、これまでの延長線上ではなく一気に対策を強化すべき時と考えます。東京都防災対応指針で は、従来の首都直下型地震、海溝型地震に加え、活断層で発生する地震として、立川断層帯地震が加えられました。区長は、地震をどう想定され、震災について どう認識されているのか、いま取り組みの強化と迅速化が求められていると思いますが、ご所見を伺います。
第2に、地震の状況をリアルに掌握する体制についてです。実際に地震が発生した場合の対応として、初動がまず大事です。その初動のカギは迅速で正確な情報 収集に尽きます。現在、新宿区は、区役所、新宿消防署、上落合防災拠点の3ヶ所が震度の観測地点となっています。一方、横浜市では、全国で初めて1997 年に「リアルタイム地震防災システム」を作り、市内150ヶ所に地震計を設置、地震発生から3分程度で、市内各地の震度を集約し表示できるようにし、順 次、迅速に50mメッシュの被害推定表示、震度5弱以上で市内建設業の協力業者が巡回し、緊急輸送道路の被害情報を集めるシステムを構築、地震から1時間 後には災害対策本部に全ての情報が集められ、これを元に職員配備、関係機関への応援要請、緊急物資の確保などを迅速に行う体制ができています。そこで区長 に伺います、新宿区でも、横浜市の様な体制を構築すべきと考えますがいかがでしょうか。新たに地震計を設置せずとも、東京ガスの測定箇所は新宿区内だけで も53ヶ所もあり、このデータ活用し被害想定も出せます。私も3.11時の新宿区のデータを見ましたが、被害の多かった若松・榎地域では震度5強を測定し ており、区内でも震度の違いがはっきりと出ていました。東京ガスと横浜市のように協定を締結しデータ活用すべきと考えます。区長のご所見を伺います。
第3に、地盤対策についてです。東日本大震災では、地盤災害というべき事態が発生しました。東京都のデータは、公共施設の建設の際、把握したボーリング データを活用しており、荒いものです。私は、民間のも含め区がデータを集約するとともに、東京都にさらに詳細な地盤情報の提供を求めることと併せ、もっと きめ細かい地盤情報を区民に提供できるようにするべきと考えますが、いかがでしょうか。同時に、地盤の強化という点では、がけ・擁壁の安全性の確保は欠か せません。来年度予算で初めて、補強工事への助成が予算化されたことは評価しますが、第2次実行計画の4年間で15件、来年度は2件しか見込んでいませ ん。必要な場合には、補正予算を組んででも対応すべきですし、一刻も早い対応のため、4月から受付できるようにすべきと考えますが、区長のご所見を伺いま す。
第4に、木造共同住宅の耐震化についてです。
新宿区の賃貸共同住宅を含む住宅の耐震化率は、08年3月の時点で83.6%です。2015年度までに90%以上にするため区が対応するのは1千戸として います。これまでの区の実績は1月末で383戸になっていますが、あと617戸の対応が必要です。先日、高齢のご夫婦から、「我が家は3・11の震災で柱 が傾き生活するのが大変な状況です」との相談を受けました。木造民間アパートで、大家さんに相談されているようですが、取り合ってもらえず、転宅しようと 区の相談窓口に来ても高齢が理由で部屋が見つかりません。住宅耐震化率90%を達成する上でも、木造民間アパートの耐震化をもっと強化すべきです。今年度 実績では49件中、共同住宅は9件30戸と耐震化に寄与しています。しかしまだ、木造共同住宅が耐震支援化事業の対象であることがあまり知られていませ ん。宅建業協会や不動産協会の協力も得て居住者や大家さんに制度周知を強化すべきと思いますが、いかがでしょうか。また、木造共同住宅の工事費助成につい て、一定規模がある物件にも十分対応できるよう限度額の検討を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。
第5に、私立保育園等の耐震化を急ぐことについてです。区立小中学校・幼稚園等の耐震化は、いち早く取り組みが完了し、保育園も一部を除き完了しています が、最も遅れているのは私立保育園です。現在判明しているだけで旧耐震基準のうち6園が補強の必要ありと判断され、1園が建替え、5園は補強工事が必要で す。都は耐震改修工事費の8分の7又は16分の13を 補助しますが、残りは法人が負担しなくてはならず、工事を進める大きな障害となっています。子どもたちが日中のほとんどを過ごす保育園という施設の性格 上、一刻も早い対応が必要です。区としても法人の負担を軽減するための補助を行い最優先で子どもたちの安全を確保すべきと考えますが、区長のご所見を伺い ます。
第6に、 東京都への要望についてです。ライフラインである上下水道の耐震化が遅れています。浄水施設にいたっては0%です。急いで改修とバックアップ体制を構築す るよう要望すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、広域避難所に指定される戸山公園内の戸山ハイツなど都営住宅の耐震化が進んでおらず、併設の区立 保育園の耐震化も遅らせています。都営住宅の耐震化を急ぐよう強く要望すべきと考えますがいかがでしょうか。
(答弁・区長)
次に、震災に対する認識についてのお尋ねです。
ご 指摘のとおり、東京都防災対応指針では、首都直下地震に加え、相模トラフに震源をもつ海溝型地震や立川断層で起こる地震、連鎖的被害が懸念される東海・東 南海・南海連動地震などが東京を襲う地震像として例示されています。私は、マグニチュード7クラスの首都直下地震をはじめとするこれらの地震は、いつ起き ても不思議ではなく、避けることのできないものと認識しています。そのうえで、地震による被害を最小限に抑え、「逃げないですむまちづくり」に向けて取り 組むことが必要であると考えます。
今後は、時間との競争の中で、震災に対する備えを行うとともに、早期復興を可能とする減災社会を構築していくことが必要であると考えます。
次に、地震の状況をリアルに掌握する体制についてのお尋ねです。
ご指摘の横浜市のリアルタイム地震防災システムは、市内150箇所の地震計で観測された地震動情報などを用いて地震被害を推定し、これにより緊急対応を行うものです。
私も震災対策においては、迅速な初動態勢の確立と、そのための正確な情報収集が重要と考えます。
現在、区では、新宿区事業継続計画地震編にもとづく震度分布予測やライフラインなどの被害予測、地震ハザードマップにもとづく建物倒壊危険度や火災危険度の事前の把握を行っています。
また、第二次実行計画において災害情報支援システムの再構築により、初動態勢の迅速な確立に向けた体制づくりを行っていきます。この計画では、既設の防災行政無線に加え、平成26年度までに、災害活動拠点となる工事・公園事務所、保健センター及び清掃事務所、並びに、避難所への情報処理端末を設置していきます。
こ れにより、現在、特別出張所に設置している情報処理端末や防災行政無線と併せ、災害情報システムのネットワーク化を図り、災害対策本部において、区内3か 所に設置している地震計の震度データを活用しながら、区内全域での被災状況を的確に把握し、迅速な初動態勢の確立ができるようにしていきます。
また、横浜市での市内建設業の協力業者の巡回による緊急輸送道路の被害情報収集については、区においても区内建設業者16業者で構成する新宿土木防災協力会との協定により、区からの要請のほか、23区内で震度5弱以上の地震があり区と連絡がとれない場合、自主的に緊急巡回及び措置にあたることとなっています。
一方、東京ガスの地震観測データは、自動的にガスの供給を遮断するため、ガスの導管や構造物に被害を及ぼすような地震を感知する地震センサーで観測されたデータを東京ガスの関連会社から自治体や企業に有償サービスとして提供しています。
したがって、費用対効果などの点から、現時点での、横浜市と同様のリアルタイム地震防災システムの導入及び東京ガスのデータの活用については、考えておりません。
次に、地盤対策についてのお尋ねです。
地盤情報については、すでに新宿区では、民間建築物の建築確認申請書に添付された約5,800件のボーリングデータを集約し、地盤資料として平成22年度から区のホームページ上で閲覧できるようにしました。
今後、新たなボーリングデータの追加など更新する際には、東京都にボーリングデータの提供を求め、公表地点を増やすことにより、区民により多くの地盤情報を提供していきます。
次に、擁壁・がけ改修等支援事業の規模及び開始時期についてです。
本事業の規模については、改修工事費助成の対象を「崩壊や転倒した際に生命、財産に大きな危害をおよぼす恐れのある擁壁」及び「大規模な災害時の避難や救助活動に重要な道路に近接する擁壁」に重点化したことから、助成対象件数を約100件と想定しました。改修工事は、建築物の建て替えと同時に施工することが効率的であるため、事業期間を建て替えが想定される今後20年間に合わせ、各年度の目標件数を当初の2年間を除き5件と設定しました。
今後、事業を進める中で、改修工事費助成の申請が事業の目標を超えることが想定される場合には、見直しを検討していきます。
事業開始時期については、助成金の申請前に擁壁の設計に要する期間や事業の周知期間を考慮したことから7月としました。
次に、木造共同住宅の耐震化についてです。
区では、旧耐震設計基準で建てられた木造の住宅や共同住宅を対象に、耐震化支援事業のリーフレットを戸別にポスティングするとともに、年4回広報しんじゅくへの掲載や地域センター祭り等のイベントを活用した様々な普及啓発活動を実施するなど、きめ細かな周知を行っています。
木造共同住宅を含む耐震化支援事業を、より多くの区民の方に知っていただくため、ご提案の宅地建物取引業協会や全日本不動産協会の協力も得るなど、今後、幅広く周知の強化策について検討していきます。
次に、木造共同住宅への助成限度額の検討についてです。
建築物の耐震化は、それぞれの建築物の所有者が、自らの責務として取り組むことが基本であると考えていますが、区民の生命、財産を守るため、木造共同住宅等の耐震改修工事では、規模に応じて、最大300万円の助成を行っているなど、他の地方公共団体に比べても手厚い助成を行っています。このため、助成限度額の増額については、現在のところ考えておりません。
次に、私立保育園等の耐震化についてのお尋ねです。
区では、私立保育園の耐震診断について、必要な園に対して、再三にわたる受診指導をしてきました。その結果、23年度で耐震診断が必要な園は全園終了したところです。
耐震改修が必要とされた園舎については、現在、私立保育園において改修計画を作成中ですが、24年度にそれぞれの園で改修工事が行われる予定です。
私立保育園でこれまで耐震診断が進まなかった理由に、合築施設としての調整がありましたが、昨年の東日本大震災の影響により、それぞれの施設において危機管理についての認識が一致したため今年度進展したものと考えられます。
今後につきましては、都の社会福祉施設等耐震化促進事業制度を十分活用し、子どもたちの安全を確保するために、改修が順調に進むよう、区としても支援してまいります。
次に、上下水道の耐震化についてのお尋ねです。
東京都では、既に上下水道の耐震化に取り組んでいましたが、昨年の東日本大震災を受け、計画を前倒しして実施するとともに、新たに、都市機能の早期回復を目指すためバックアップ体制の構築を進めていくと聞いています。
災害時におけるライフラインの確保は大変重要ですので、東京都に対して、これらの耐震化が着実に実施されるよう要請してまいります。
次に、都営住宅の耐震化を急ぐよう強く要望すべきとのお尋ねです。
東京都では、平成20年3月に策定した「都営住宅耐震化整備プログラム」に基づき、昭和56年 以前の旧耐震基準で建築された都営住宅の耐震化を進めることとしています。区内の都営住宅の耐震診断については概ね終了していますが、耐震改修について は、改修の優先順位が高い広域避難場所にある戸山ハイツなどでも、未実施の住宅があることから、耐震化を速やかに進めるよう要望していきます。
(3)放射能汚染対策の一層の充実について
次に、放射能汚染対策の一層の充実について質問します。
東京電力福島第1原発事故から1年が経とうとしていますが、国の収束宣言とは裏腹に、国民に不安を与える状況が続き、「原発なくせ」の声が強まっていま す。放射能汚染の現状についても、福島県二本松市で新築マンションのコンクリートに使われた砂利や砂が原因で高い放射線量が測定されるなど新たな事態も起 こり、食品では横浜市の学校給食で使われた干しシイタケから一キログラム当たり350ベクレルの放射性セシウムを検出したため、使用を取りやめたと報道さ れました。食品の放射性物質検査について区は、国から貸与される機器で測定するとしていましたが、消費者庁の第3次募集でも新宿区は対象になりませんでし た。こうした事態を受けて、私ども区議団は2月14日の朝、区長に申し入れを行い、区として食品の放射性物質検査機器を購入することなどを求めました。席 上、食品の検査機器については今年度中に予算を流用して購入するとの答えを頂き、防災等安全対策特別委員会にもそのことが報告されました。それを踏まえて 以下質問いたします。
第1は、区が購入する食品の放射性物質検査機器についてです。区が購入しようとしている簡易型ガンマ線スペクトロメーターの検出限界値は10ベクレルで、 それ以下の数値は「不検出」となります。国は、今年4月から食品中のセシウム規制値を牛乳は1キログラムあたり200ベクレルから50ベクレルに強化する 見込みですが、子どもを持つ保護者は限りなくゼロに近いことが望みで、食品の測定も、できるだけ細かい数字を知りたいという声が強く、独自に検査を行って いる自治体では、精密な測定が可能なゲルマニウム半導体検出器を使用しているところが少なくありません。新宿区でも、保護者の不安を解消するためにゲルマ ニウム半導体検出器を導入すべきではないでしょうか。
質問の第2は、測定結果の公表についてです。総務区民委員会のメンバーと消費者団体連合会の懇談の場でも、区が行った放射線量の測定結果はHPだけでなく インターネットを使えない人にも情報がわかるように施設への掲示や紙ベースで知らせて欲しいという要望が出されましたが、私どもの申し入れ以降どのように 検討したのでしょうか。
また、子どもを持つ保護者のみなさんからは、測定結果をメール配信して欲しいという要望が寄せられています。豊島区では、パソコンや携帯で登録すると区か らの情報が配信される「安全・安心メール」を活用し、放射線量測定結果が配信されています。このようなメールによる情報提供は、千葉県柏市、神奈川県平塚 市、立川市や国立市でも行われています。新宿区も、これから食品の検査器機を購入し本格的な測定も始めますから、これを機に測定結果のメール配信を実施す べきではないでしょうか。区長の見解を伺います。
(答弁・区長)
放射能汚染対策の一層の充実についてです。
まず、食品の放射性物質検査機器について、精密な測定が可能なゲルマニウム半導体検出器を導入すべきとのお尋ねです。
区が導入を考えている機器は、消費者庁が自治体に貸与している機種のうちのひとつです。多くの自治体が活用すると想定され、4月以降厳しくなる食品の基準値にも対応したものです。
また、この機器は、消費者庁の仕様に基づき、保育園、小中学校の給食をはじめとした食品について、スクリーニング検査を行うことを目的として導入するものです。測定後の必要に応じて、委託によりゲルマニウム半導体検出器を用いた精密測定を考えています。
次に、区が行った放射線量測定の結果を、区ホームページだけでなく、施設への掲示や、紙ベースで公表してほしいという要望に対する検討状況についてのお尋ねです。
区の広報には、これまで区の取組みについては、掲載してきましたが、今後は測定の結果もお知らせしてまいります。また、区施設においての紙媒体による周知等に向けて、記載の内容、周知方法等について検討しています。
次に、区が行った放射線量測定の結果を、メール配信すべきとのお尋ねです。
区 が現在発信している「安全・安心メール」は、防犯上、または緊急に必要な情報を登録者に配信するものであり、あまり多くの事柄を配信対象とすることは危機 管理上好ましくないと考えています。しかしながら、今後緊急にお知らせすべきことが生じるような状況には、メール等を活用できるかについて研究していきま す。
(4)脱原発の観点から電力の購入制限付き一般競争入札を導入することについて
次に、脱原発の観点から電力の購入に制限付き一般競争入札を導入することについてです。東電福島第一原発事故後、城南信用金庫が脱原発宣言をおこない、使用電力を全面的にPPSに切り換えたこ��%��ー派遣についてのお尋ねです。
区では、独自に退院時等の回復支援家事援助や認知症高齢者の介護者の支援を実施しています。また日常的に介護が必要な方については、介護保険サービスで、適切なアセスメントとケアマネジメントに基づき、必要なサービスが提供されているものと考えます。
次に、特別養護老人ホームの報酬改定のお尋ねです。
今 回の報酬改定は、施設利用者の尊厳保持のため、施設の個室ユニット化を推進するという考え方に基づき、ユニット型個室、従来型個室、多床室の順となるよう に報酬水準が設定されています。その結果多床室については約3%の引き下げとなっていますが、これは介護保険事業全体の中で、特別養護老人ホームを経営す る社会福祉法人の黒字幅が特に大きいという現状を踏まえたものとなっています。なお、報酬単価は引き下げになったものの、施設での看取り加算など各種加算 が新たに設定されています。
区内には多床室型の特別養護老人ホームが4所ありますが、いずれも経営状態は安定しており、報酬改定後もそれぞれの経営努力で十分対応できるものと認識しています。
ま た、新たな特別養護老人ホームの整備については、区は従来から個室ユニット型での整備を進めており、新宿区第二次実行計画で下落合駅前国有地に民設民 ��%B�自治体でPPSの導入が急速に広がると、供給能力が低いPPSが入札に参加しないのではないかという心配もありますが、東電以外を選択肢にする ということは、「脱原発」と「経費削減」へ向けて区が努力を示すという意味で、大きな意義があると思います。そこで質問です。
第1は、区長が「脱原発」の立場に立つのかどうかです。第2次実行計画のパブリックコメントで寄せられた「脱原発を区からも発信してほしい」という意見に 対し、「電力を原子力に依存する態勢から脱却する必要があります。」と答えていますが、区長は明確に「脱原発」の立場に立たれるのでしょうか。お答えくだ さい。私は、区長が「脱原発」の立場に立ってこそ、省エネや再生可能エネルギーの活用などに本気で取り組むことができると思いますがいかがでしょうか。
第2は、新宿区の電力消費の実態です。昨年度と今年度の見通しで、区有施設全体ではどれだけの電力を消費し、いくらの電気料金になっているのでしょうか。また、入札を導入しなかった場合、東電の値上げによる影響額はいくらになると試算しているのでしょうか。
第3は、電力の購入に制限付き一般競争入札を導入することです。新宿区でも、国立市のような「環境配慮方針」を策定し制限付き一般競争入札を導入すること が、原発に頼らず再生可能エネルギーによる発電を促進していくことにつながり、更に経費削減にもつながれば区民の願いに大いに応えることになるものと考え ます。
現在も、清掃工場の余剰電力が小学校4校、中学校2校で利用され、来年度も1校増えると聞いていますが、それ以外の学校施設や本庁舎も含めてPPS導入が 可能な施設は、来年度の早い時期に電力を制限付き一般競争入札で選定すべきです。新宿区も来年度実施と聞いていますが、今指摘したことを踏まえて、今後の スケジュール、対象とする施設をお答えください。
(答弁・区長)
脱原発の観点から電力の購入に制限付き一般競争入札を導入することについてのお尋ねです。
区長が脱原発の立場に立つのかどうかについてです。
私 は、電力を原子力に依存する態勢から脱却する必要があると考えています。そのためには、社会基盤や生活スタイルを省エネ型にしていかなければなりません。 今後の省エネ、新エネ等の技術の進歩や社会情勢の変化を見据えながら、環境審議会等でエネルギー政策について議論していくように考えています。
次に、電力消費の実態についてのお尋ねです。
平成23年1月から12月までの実績をもとにした一定条件での試算では、区有施設全体の年間電力使用量は、約2千9百万キロワットアワーであり、使用料金は、約7千4百万円の増となる見込です。
次に、一般競争入札による電力の購入についてのお尋ねです。
電力自由化により、環境への配慮や経済性の観点から、今後は、競争入札等による電力購入をしてまいります。
しかしながら、PPSについては購入期間における電力推計を示す必要があることから、大幅な節電を実施した昨年夏以降の電力使用量を検証した上で、購入予定期間の推計値を算出するとともに、電力調達に係る環境配慮契約方針を策定し、入札により電力を購入する予定でいます。
なお、現在、区立小中学校の一部で電力を購入している東京エコサービスについては、今後とも、活用の拡充を図ってまいります。
(5)介護保険と国民健康保険について
次に、介護保険と国民健康保険について質問します。
第1に、介護保険について質問いたします。1点目は保険料についてです。
来年度から3年間の第5期介護保険事業計画が示され、本定例会には次期保険料の条例が提案されています。介護給付準備基金に加え、今回は財政安定化基金の 取り崩し交付をしてもなお月額1000円の値上げです。区は、私たちの提案どおり、第4期の12段階からさらに多段階化をすすめ14段階まで設定しており この点は大いに評価するものですが、それでも大幅な値上げです。一昨年行った介護モニター第3回アンケートで、「保険料はいくらまでなら負担できるか」と の問いに7割の方が月額5000円までと回答しており、私たちにもこれ以上の値上げは耐えられないという声がたくさん寄せられています。65才以上の第1 号被保険者の多くは年金生活者であり、来年度は年金受給額が減ることは確実です。高齢者に追い打ちをかける値上げに区長は痛みを感じないのでしょうか。お 聞かせ下さい。
保険料かそれともサービスかと高齢者に迫る制度設計がそもそも間違いです。同アンケートでは、財源は公費負担の引き上げとの回答が一番多く寄せられました。国の負担を引き上げるように、区長として国に積極的に働きかけをするよう重ねて求めます。
2点目に、定期巡回・随時対応型訪問介護看護についてです。
昨年の第3回定例会での我が党の月額包括定額制に関する質問に対して、区長は介護報酬の議論を注視すると答えました。その後1月25日に社会保障審議会の 答申が出され報酬の改定案が示されましたが、このサービスは、1回5~10分程度の短時間・複数回訪問はあるものの、それ以外の訪問介護は受けられませ ん。施設から在宅へを強引にすすめ、「中重度者の在宅生活を可能にする」といいますが、身体介護中心で、掃除・洗濯・買い物などの家事援助が全く不足する 心配がありますが、この点についての区長のご所見を伺います。また、同サービスの定額利用料は介護度別利用上限との差が少なく、リハビリなど他のサービス をあまり利用できない報酬設定となっています。これで安心の在宅生活が送れるとは到底考えられませんが、区長の認識をうかがいます。モデル実施の評価につ いては、10月に中間報告、3月に最終報告をすると答弁がありましたが、議会には詳細の報告がありません。利用見込みを含めて事業者が継続してサービスを 提供できる介護報酬だと受け止めておられるのか、区長に再度うかがいます。
3点目に、今回の報酬改定で大きく変わる訪問介護の時間区分の変更についてです。現場のヘルパーの実態も把握せず、訪問介護の生活支援の時間単位が60分 から45分に短縮され、介護報酬も2割下がります。洗濯機を回しながら掃除をし買物に行って帰るだけでも1時間で可能なのかと思いますが、45分に削られ たら、利用者の様子も見ず、会話もせず黙々と行ってもやり切れません。自宅に洗濯機がなくコインランドリーを利用する場合は45分では絶対無理だと私が 伺ったヘルパーさんは口をそろえています。報酬が下がり、今でも移動時間ばかり多い、時給が低い等、劣悪なヘルパーの処遇がますます悪化して、ヘルパーの なり手がいなくなるのではないでしょうか。現場にそぐわない報酬改定はやめるべきだと政府に申し入れるべきと考えますが、いかがでしょうか。そうでなけれ ば今回の改訂を容認する立場か、区長のご所見を伺います。そして、この改訂が実施された場合、要介護者がその人らしい在宅生活を送るためにはますます保険 外の上乗せサービスの必要が増してきます。改めて、周辺の区が既に実施している区独自のヘルパー派遣を求めるものですが、いかがでしょうか。
4点目に、やはり報酬改定の影響が大きい特別養護老人ホームについてです。在宅重視が鮮明になり、施設サービスは軒並み報酬ダウンの改訂です。中でもかつ て区が運営していた多床室型の特養はより下げ幅が大きく、これまで以上に経営が厳しくなります。施設軽視の報酬改定により参入事業者はもっと減り、特養 ホームの増設という区民の願いに背くとはお考えにならないでしょうか、区長の認識を伺います。
第2は、国民健康保険についてです。
今定例会には、来年度も国保料を均等割・所得割とも値上げする条例が提案されています。国保会計の見込みでは、加入者が1276人増えているのに医療費が 6700万ほど減っています。診療報酬も大きな変動がなく、またここ数年の値上げ要素であった前期高齢者交付金精算による値上げもないため、来年度の国保 の基礎賦課額分はマイナスになりました。単純に考えれば国保料は下がって当然ですが、残念ながら後期高齢者支援金分と介護納付分が大幅に増加したため、ま たしても値上げです。低所得者に配慮して均等割・所得割の割合を据え置いたと言いますが、値上げは値上げです。医療費総額が減少する年くらい値上げしない で欲しいというのが率直な思いです。まして来年度は、年少扶養控除廃止、物価下落分と特例水準解消分で2度にわたり年金が減るなど、国の政策によって現役 世代も年金生活者も生活が厳しくなるのがわかっているのですから、一般財源からの繰り入れを増やしてでも値上げを抑えるべきと考えますが、区長の見解をう かがいます。
今回の値上げをみると、加入者や保険者の様々な努力にかかわらず、まるで世代間の対立を煽るような国の制度設計に根本的な問題があると改めて思わざるをえ ません。幾度も申し上げてきたように、国保・介護・後期高齢者のいずれの保険制度についてももっと国庫負担割合を引き上げるべきだと考えますが、いかがで しょうか。また、区は第5期の介護保険料を14段階にして累進制を強めました。国保においても保険者の裁量で、賦課限度額を大幅に引き上げ、累進性を強め られるように国に制度改正を迫るべきと考えますが、区長のご所見を伺います。
(答弁・区長)
介護保険と国民健康保険についてのお尋ねです。
最初に、介護保険料についてのお尋ねです。第5期介護保険事業計画では、要介護認定率が特に高くなる85歳以上人口の増加等に伴う居宅サービス給付費の増加見込みや介護報酬の改定、第1号被保険者の負担率の改定などにより、総給付費は第4期よりも約2割増になると見込んでいます。その結果、介護保険料は、準備基金などを最大限活用して抑制を図りましたが、第4期と比較すると基準額が月額1,000円の上昇となります。
このように給付が増加すれば負担も増加するという介護保険制度の仕組みの中で、区はより負担能力に応じた対策が必要と判断し、保険料段階についてはこれまでの多段階設定の考え方をさらに進めて12段階から14段階へと細分化しました。また、所得の低い方が該当する第1段階から第3段階の保険料の上昇を極力抑えるために、基準額に対する高所得層の最高負担割合を、現在でも都内最高の2.9倍から、さらに引き上げて3.5倍とするなどの対策を講じました。
次に、総給付費に対する負担割合に関する国への働きかけについてのお尋ねです。
介護保険制度は、介護の不安や負担を社会全体で支える社会連帯の仕組みです。
しかし、保険料負担にも限界があることから、区はこれまでも、国の調整交付金を国庫負担割合の25%の枠外とするように全国市長会を通じて要望しています。
次に、定期巡回・随時対応型訪問介護看護についてのお尋ねです。
定 期巡回・随時対応型訪問介護看護は、朝夕の着替えや食事介助、トイレ誘導など、一日複数回の定期訪問ニーズや随時対応による安心感の提供によって、在宅生 活の継続に効果のあるとされる中重度の方を想定して、制度設計されています。複数回の訪問の中に、短時間・複数回の身体介助と1回1時間程度の生活援助サービスを組み込むことも可能です。
他の介護保険サービスとの併用については、介護報酬の算定の中で通所と短期入所のニーズに柔軟に対応できるような仕組みが設けられているものと認識しています。
モデル事業については、24時間対応の定期巡回・随時対応サービスを昨年の8月から開始しました。10月の中間報告では、モデル事業開始後間もないことから2か月間の実績報告のみを国に報告しました。利用者の状態の変化や効果、事業運営の継続性などの分析については、3月のモデル事業終了後に最終報告としてまとめ、国に報告すると同時に議会にも報告いたします。
介護報酬については、モデル事業で設定した報酬額と利用実績をあてはめて試算したところ、事業継続が可能な額と考えています。
次に、今回の報酬改定で変わる訪問介護の時間区分の変更についてのお尋ねです。
新 たな区分は、高齢者の自立支援に重点を置いた在宅サービスの実施という介護保険制度の基本理念に基づいて設けられたものです。これまでのサービス提供実態 を踏まえ、限られた人材の効率的活用を図り、より多くの利用者に対し、そのニーズに応じたサービスを効率的に提供することを目的としていると認識していま す。今後のサービス提供にあたっては、利用者の心身の状況や生活環境、家族の状況を踏まえた適切なアセスメントとケアマネジメントに基づき、必要なサービ スが適切に提供されるよう、保険者として注視していきます。
次に区独自のヘルパー派遣についてのお尋ねです。
区では、独自に退院時等の回復支援家事援助や認知症高齢者の介護者の支援を実施しています。また日常的に介護が必要な方については、介護保険サービスで、適切なアセスメントとケアマネジメントに基づき、必要なサービスが提供されているものと考えます。
次に、特別養護老人ホームの報酬改定のお尋ねです。
今 回の報酬改定は、施設利用者の尊厳保持のため、施設の個室ユニット化を推進するという考え方に基づき、ユニット型個室、従来型個室、多床室の順となるよう に報酬水準が設定されています。その結果多床室については約3%の引き下げとなっていますが、これは介護保険事業全体の中で、特別養護老人ホームを経営す る社会福祉法人の黒字幅が特に大きいという現状を踏まえたものとなっています。なお、報酬単価は引き下げになったものの、施設での看取り加算など各種加算 が新たに設定されています。
区内には多床室型の特別養護老人ホームが4所ありますが、いずれも経営状態は安定しており、報酬改定後もそれぞれの経営努力で十分対応できるものと認識しています。
また、新たな特別養護老人ホームの整備については、区は従来から個室ユニット型での整備を進めており、新宿区第二次実行計画で下落合駅前国有地に民設民営で計画している特別養護老人ホームについても、個室ユニット型での整備を進める予定です。
下落合駅前のほか、東京都内では公有地等を活用した特別養護老人ホームの計画が数多く進行しており、いずれも全国の社会福祉法人から多数の参入意向が示されていると聞いています。今回の報酬改定が区内での特養整備にマイナスの影響があるとは考えていません。
(6)区立保育園・幼稚園の全園子ども園化計画について
次に区立保育園・幼稚園の全園子ども園化計画について質問します。
第1に、区立保育園・幼稚園の全園子ども園化についてです。
新宿区の子ども園の理念は、保育園と幼稚園それぞれの良いところを取って、子どもにとってより良い環境でより良い育ちを保障することだったのではないで しょうか。しかし、現実に進んでいるのは大規模化と詰め込み的な子ども園化で、子どもの育つ環境を悪化させてるのではないでしょうか。現に、柏木こども園 は、遊戯室がなくなり、幼児1人あたりの面積は、0.8平米狭くなりました。第2次実行計画では、既存の区立保育園に今居る子どもに加えて保育に欠けない 子どもも預かることで詰め込み的な子ども園が5園開設される予定です。パブリックコメントでも、「西落合保育園は部屋数も少なく体を動かす場所もないあの 園でどのようにしていくのか疑問である」とか、信濃町では「廊下で遊ばせているような状況でさらに受け入れられるの」か等、懸念の声が多数寄せられていま す。しかし、区の考えは、「基準を満たしているから大丈夫」というものです。区長に伺います。区立保育園を転用する子ども園化によって、子ども一人当たり の広さがどのよう変化するのか、各施設でどのような工事をしなければならないのか、第2次実行計画の5園について具体的にお答えください。また、担当課が 各施設を回って説明する中で、どのよう声が出されているかお答えください。私は、あいじつ子ども園の一日を視察してまいりました。大勢の子どもが居て、遊 戯室をはじめとしたスペース確保の重要性ということを感じました。園長先生に伺うと、隣接する区有地が使えるようになったことで現在の園庭の広さを確保し たが、それでももっと広い場所がほしいとおっしゃっていました。私は、政府が進める安かろう悪かろうの子ども園化ではなく、子どものよりよい育ちを追求 し、いささかも面積や人的配置を後退させてはならないと考えますが、区長のご所見をお聞かせ下さい。
第2に、子ども園への株式会社参入についてです。
私たちは、認可保育園に営利を目的とする株式会社の参入は認めるべきではないと言ってきました。国は、2000年の規制緩和で株式会社の参入を認めていま したが、新宿区は2010年1月に、「区立認可保育園民営化及び公有地又は公共施設の活用による私立認可保育園設置基本方針」を策定し、「認可保育園の運 営は公共性が極めて高い事業であることから、」「社会福祉法人のみ」を事業者としてきました。しかし、2011年12月に策定した「私立認定子ども園設置 基本方針」では、一転して株式会社の参入を認めました。区は、国が規制緩和を行った下でも区独自の理念を持って保育の公共性を大事にしてきたのに、区長 は、子ども園は公共性が低いとお考えなのですか。わずか2年足らずの間になぜ理念を後退させたのか、お答えください。
国は、子ども園に参入する株式会社が子ども園で得た収益を株の配当に使うことを認め、会社の自由意志で事業から撤退することも認めています。現在も私立保 育園の指導監督は区が直接行うことはできませんが、子ども園も同じです。区立保育園に指定管理者制度を導入した中野区では、P株式会社がパワハラや退職強 要問題で裁判が起こされるなど問題になりました。区長は、保育園経営に参入した株式会社がこのような問題を起こしている実態についてご存じでしょうか。指 定管理者にはまだ区の権限が及びますが、「私立認定子ども園設置基本方針」で本当に良質な事業者が確保できるのか、区はどのような権限を持って指導監督 し、保育の質を確保するつもりなのかお答えください。
第3に、区立幼稚園5園廃止と3園子ども園化の方針についてです。
第二次実行計画では、全園子ども園化に伴って、2015年度までに現在18園ある区立幼稚園を5園廃止し、3園は子ども園化するとしています。廃止の5園 について対象園は決まっておらず、「地域の需要と供給、地域バランスを考慮して決める」としています。これに対する、118件のパブリックコメントには、 「身近に通えるから震災の時も安心だった。公立幼稚園を存続してほしい。」「助成制度はあるが私立幼稚園に通わせるのは大変。」など区立幼稚園存続を望む 声が多く、区立幼稚園に対しては3歳児保育の拡大が最大の要望です。教育委員会が3歳児保育を行えば定員は充足し、廃園にする必要もなくなると考えますが いかがでしょうか。以上、答弁を求めます。
(答弁・区長)
区立保育園・幼稚園の全園子ども園化計画についてです。
まず、区立保育園の子ども園化により子ども一人あたりの面積がどのように変化するか、どのような工事を予定しているかについてのお尋ねです。
第二次実行計画で平成25年度に子ども園化する区立保育園5園については、4歳児及び5歳児の短・中時間保育を実施しますが、保育園の面積基準に照らして受入れ人数を決めていきます。定員を増やす際には、園児用ロッカーの形状やレイアウトを変えるなど、工夫の余地について現場の職員とともに検討していきます。
また、各施設での工事は、北新宿第二保育園での保育室の開口部拡幅工事のほかは、表示版の変更などを予定しています。
次に、各園での説明の中でどのような声が出ているかとのお尋ねです。5園の説明は12月から1月の間に行いました。主な意見としては、定員の設定、職員の資格、子育て支援事業の内容などについて意見が出ていますが、「子ども園化に向かって、保育・教育に対する意識を変えていかなければ」といった意見も出ています。
次に面積や人的配置についてですが、子ども園化においては、面積基準を順守しており、職員配置についても、各園の実態に応じて増配置を行っています。従って、面積や人的配置で後退させることはありません。
次に、子ども園への株式会社参入についてです。
まず、子ども園の公共性についてですが、子ども園は保育園の機能と幼稚園の機能を併せ持つ施設であり、就学前の乳幼児にとって重要な施設であることから、公共性が低いと考えているわけではありません。
また、子ども園への株式会社参入についてですが、保育園への株式会社参入が認められてから10年 以上がたち、保育園経営の良好な実績を持つ法人もあることから、社会福祉法人に加え、学校法人とともに公募対象とするものです。 今後の子ども園化を進め るにあたっては、多様な運営方式を導入することにより、特色ある保育・教育の展開が期待でき、保護者の選択肢を広げることができると考えています。
次に、保育園経営に参入した株式会社が問題になっている実態についてです。
中野区立保育園の指定管理を受託している株式会社が、解雇や自宅待機を命じられた女性と男性の保育士2人に損害賠償を求められていることは、承知しておりますが、法人として保育内容には特に問題はなく、保護者からの苦情もない状況であると伺っております。
次に、区はどのような権限を持って指導監督し、保育の質を確保するつもりなのかとのお尋ねです。
ま ず、私立子ども園の事業者選定にあたっては、長期に亘る安定した経営と、保育・教育の質を維持・向上できる事業者を選定することが重要です。経営主体に関 わらず、財務状況の審査を厳格に行うとともに、学識経験者による保育・教育内容や運営方針、実績、役員構成、職員の知識や経験などを審査します。また、実 際に法人の運営状況を視察するほか、公開プレゼンテーションにより区民の方の意見もお聞きして選定してまいります。
また、運営においては、中立・公正な第三者の立場から助言を行う弁護士、学識経験者等による「第三者委員」の設置を義務付けます。さらに、事業者の質の維持・向上のため、補助金、研修、人材育成の面で区が支援するほか、指導検査基準に基づき、指導、監督していきます。
(答弁・教育委員会)
教育委員会へのご質問にお答えします。
区立幼稚園の3歳児学級の拡大についてのお尋ねです。
3歳児学級については、平成6年度に設置を開始し、現在は12園で、各地域のバランスを考慮して配置を行っています。
3歳児学級については、私立幼稚園でも設置しており、区立幼稚園と私立幼稚園を合わせると、保育需要を満たしていると考えております。
なお、区立幼稚園のあり方の見直し後の10園については、すべて3歳児学級を設置する方針です。
(7)待機児童対策等について
次に、待機児童対策等について伺います。
第1に、来年度当初の待機児童の見通しについてです。
新宿区は、第一次実行計画の4年間で、認可保育園で391名、子ども園で15名、認証保育所で436名、その他で47名とで受け入れ枠を889名増やしていますが、来年度4月1日の待機児童数について、新定義・旧定義で何名と見込んでいるのか、まずお聞かせ下さい。
第2に、待機児童対策についてです。
2012 年4月入園の募集人数が昨年と比べて92名も少ないことから、昨年度以上の待機児童が予想されます。区は認証保育所を誘致し、現在、18園677名まで拡 大させてきました。しかし、そこもあっと言う間にいっぱいです。多くの保護者は、費用負担が軽く、園庭などの施設に恵まれた、認可保育園への入園を望んで います。これまでも繰り返し要求してきましたが、認証保育所をこれだけ増やしても実態として待機児童数が減らないのですから、区は認可保育園を増やして対 策をすべきと考えますがいかがでしょうか。渋谷区は、来年度予算案の発表と同時に「これから2年間で待機児童ゼロを目指す」ことを宣言しました。新宿区 は、年度当初の待機児童ゼロを目指してきましたがそれをいつまでに達成するのかお伺いします。同時に、当面、待機児童解消が見込めないことが明白ですか ら、区立戸山第3保育園は存続すべきと考えますがいかがでしょうか。
第3に、認可外保育施設の保護者負担軽減事業の変更についてです。
私 たちは、保育料については認可・認可外にかかわらず、所得に応じた負担とするよう区に求めてきました。今回の認可外保育施設の保護者負担軽減事業の変更 は、年齢ごとに助成額を変え所得制限を導入をするものですが、支給方法が、助成額を区が施設に直接支払う方式から、保護者が一旦全額を施設に払い3か月ご との後払いで区から保護者に支払われる償還払い方式に変更するというものです。これに対して、パブリックコメントでも「これでは困る」という意見が出さ れ、区の説明を受けた各施設が保護者に説明したところでは、「あとから戻ってくるにしても保育料8万円を毎月払うのは大変。」などと、切実な声が寄せられ ています。なぜこのような不利益が生じるやり方にするのかお答えください。区が開始年度を一部遅らせる決断をしたことは当然の措置ですが、認可保育園に入 れなくてやむにやまれず預けている保護者については、せめて費用面では認可保育園と同様の措置をとり、不利益を是正すべきと考えますがいかがでしょうか。
待機児童対策等についてのお尋ねです。
はじめに、来年度当初の待機児童の見通しについてです。
待機児童の解消については、区政の最重要課題の一つとして、計画事業と緊急対策の両面から取り組んできました。待機児童数は、出生数の増加やその他様々な要因により保育需要が年々高まり、平成20年度から増加傾向に転じました。第一次実行計画当初の受入れ枠の拡大予定は314人でしたが、その後積極的に対策を見直しながら推進し、889人の拡大となりました。その結果、待機児童数は当初計画のままでは、平成23年4月には300人を超えていたと推測できますが、92人にまで抑えることができました。
来年度当初の待機児童数は、最終入園児童数や認証保育所等の入所状況が確定しないと算出できず、現時点では具体的な数値はお示しできません。しかし、平成23年4月と平成24年4月の比較で236人の受入れ枠増となりますが、申込状況からみると、残念ながら待機児童数は増える見込みです。
(答弁・区長)
次に、待機児童対策についてです。
区は、これまでも待機児童の解消については、受入れ枠の拡大を中心に、開設までに複数年を要する認可保育園及び子ども園の建設や改修とともに、施設基準や職員配置が認可保育園とほぼ同じで、年度内に開設が可能な認証保育所を増設してきました。
平成24年度から平成27年度までの第二次実行計画期間においても、引き続き地域需要を考慮するとともに、幼児への繰り上がりにも配慮しながら、0歳児から2歳児への定員設定が過半数を占めるように、私立認可保育園の整備支援、保育園及び幼稚園の子ども園への一元化及び認証保育所の増設の計画事業を中心に、保育施設全体で1,000人規模の受入れ枠拡大を図ります。
そして、これらの取り組みを積極的に推進していき、平成27年4月現在の待機児童ゼロを目指します。
さらに、これまでも繰り返し答弁してきましたが、私立(仮称)国 立国際医療研究センター内保育園設置及び区立戸山第三保育園の新園への移行計画は、認可保育園の移転により定員を拡充するほか、専用室型一時保育や病児・ 病後児保育の新規実施など保育サービスの拡充も図ることができ、待機児童解消対策としての意味も大きい計画と考えています。
また、第二次実行計画期間中は、これまで以上の限られた財源の中で、的確に保育ニーズに対応しながら効果的効率的にサービス提供できるように、他の地域での保育施設建設や施設改修などによる受入れ枠の拡大を行います。
よって、総合的判断の結果として、区立戸山第三保育園を、平成25年4月に新園に移行する考えに変わりはありません。
次に、保護者負担軽減事業の助成金の支払方法の変更についてのお尋ねです。
これまでの一律助成から所得制限を導入したことにより、区において、利用者の所得の把握を行い、助成対象の判定をすることになります。そのため、私立幼稚園の保護者への助成などと同様に、利用者が区に直接申請して、区が利用者の口座に振り込む方式に変更しました。
パブリックコメントではこの助成制度のあり方についても、多くの方からご意見を頂戴したところですが、できるだけ保護者の負担を軽くできるよう、支給回数を増やして、年4回としました。
次に、認可保育園と認可外保育施設の保育料についてのお尋ねです。
認可保育園は、国の制度であり、国、都、区が運営費を補助しています。保育料については、保護者が負担する基準が決められています。
一方、認証保育所は、東京都の制度で、都、区が運営費を補助しています。保育料については、上限は定められていますが、事業者が設定しています。
このように制度が異なる施設ですので、保育料等を全く同じにすることは考えていませんが、保護者の負担軽減の視点から、よりよい助成制度についての検討は続けてまいります。
(8)学校選択制度と学校適正配置について
次に、学校選択制度と学校適正配置について質問します。
新宿区教育環境検討協議会が1月17日に取りまとめた「新宿区立小・中学校の通学区域、学校選択制度、適正規模及び適正配置の基本的なあり方について」の答申を受け、教育委員会としての基本方針(素案)を作成し、現在パブリックコメントを実施しています。
以下質問です。
第1に、学校選択制度についてです。
基 本方針(素案)では、学校選択制度は維持することを基本にしながら、小学校については「通学区域内の児童だけで3学級編成となりうる学校等については、… 必要に応じて通学区域外の児童は選択できない学校として指定する」「選択希望校に兄姉がいる場合における抽選時の優先取扱は、平成25年度より廃止し、た だし経過措置期間を設ける。」としています。この「選択できない学校」を、どのような基準で選定するのでしょうか。
来 年度の学校選択では、抽選となった小学校が6校あり、抽選から漏れた児童は101人もいました。一方で、来年度も含め兄弟姉妹優先廃止の経過措置期間は在 学する兄姉と同じ学校を選択する弟妹は全員繰り上げる方針で、その結果35人を超えても1学級40人まで弾力運用を行い学級数は増やさないとしています。 来年度、新1年生で弾力運用する小学校は5校あり、例えば市谷小学校は7人繰り上げたために2クラスで78人、1クラス39人になります。これでは35人 学級を導入した意義が失われます。一方で、5校のうち3校は普通教室に転用可能な特別教室等があります。来年度を含め、必要な普通教室を確保し、35人学 級を堅持すべきではないでしょうか。
学 校選択制度と言いながら選択できない学校を作ったり、35人学級を推進すると言いながら35人以上の学級を作ったり、こうした矛盾は教育環境が変化してい るにもかかわらず学校選択制度を維持しようとすることで無理が生じている事の現れに他なりません。小手先の見直しではなく、学校選択制度は廃止し指定校変 更制度で必要な選択を可能とする制度に戻すべきです。いかがでしょうか。
第2に、学校適正配置と適正規模についてです。
教 育環境検討協議会の答申では、「通学区域制度が原則」だが「学校選択制度は定着してきている」ので維持する、として、学校選択制度について積極的な評価を しているわけではありません。逆に、区の教育目標や学習指導要領を実現するためには「学校の望ましい規模=適正規模を確保する必要がある」とし、その「適 正規模」をどのように確保していくのかという視点を持って検討した、とあります。平成4年答申と今回の答申が大きく違うのは、『存置の目安を下回る学校を 一律に統合の対象校として位置づけるのではなく、統合を含めた「適正規模化」の検討が必要な学校として弾力的にとらえていくことが望ましい』としているこ とです。これは、「学校適正配置というのは適正規模にするために統合するだけでなく他の対策を行うことも検討する」ということで、このことを基本方針にも 明記すべきと考えますがいかがでしょうか。そして、「適正規模」確保の道筋は、学校選択制度を廃止し、その上で通学区域内の児童生徒数の差が大きければ保 護者・地域関係者の合意を得た上で通学区域を見直し「適正規模」化していくべきで、結果として当面、統廃合は必要なくなると考えますが、教育委員会のご所 見をお聞かせください。
第3に、パブリックコメント等、区民からの意見聴取についてです。
学校選択制度や通学区域、適正配置等、学校に関わる重要事項については区民の大きな関心事です。区と教育委員会の持っているあらゆる媒体を使って周知を行い、区民から意見をいただくよう最大限努力すべきと考えますが、いかがでしょうか。
各 学校では年度末ということもありPTAの会議や保護者会等が頻繁に開かれる時期です。教育委員会は、いくつの園、学校に説明に行かれる予定ですか。少なく とも来年度、兄弟姉妹優先廃止に伴う弾力運用をする予定の小学校6校の保護者には説明をすべきです。地域説明会も3カ所しか予定されていませんが、特別出 張所ごとに行うべきです。いかがでしょうか。お答えください。
(答弁・教育委員会)
学校選択制度と学校適正配置についてのお尋ねです。
まず、選択できない学校の指定の基準についてです。
選択できない学校は、通学区域内の児童だけで3学級編制となり得る学校等を対象に、普通教室の確保及び学校間の児童数の差を緩和するという観点を踏まえ指定していく予定です。
次に、普通教室の確保と35人学級についてのお尋ねです。
平成24年度は、小学校第1学年の定員を35人としていますが、補欠順位を上位にしている在学生の弟妹について全員繰り上げました。
そのため、定員を超える学校が生じていますが、児童数の将来的な増加に備え普通教室を確保すること及び今後の転出入者の動向を踏まえる必要があることなどから、現在のところ弾力的運用の適用を考えています。
なお、平成24年度の学級編制は、4月1日の児童数を踏まえ、正式に決定します。
次に、学校選択制度は廃止し、指定校変更制度に戻すべきとのお尋ねです。
35人 学級の導入と未就学児の増加傾向という教育環境の変化の中にあって、特に抽選校となるような規模の大きい学校では、通学区域外の児童をこれまでどおり受入 れていくことは困難な状況となってきています。このことは、学級編制や児童数、普通教室数等がその要因となっているため、学校選択制度を廃止しても、その 状況は変わらないものと考えています。
意識調査の結果や教育環境検討協議会における議論も踏まえ、学校選択制度は維持しますが、教育環境の変化への対応を行い、よりよい教育環境の整備を進めてまいります。
次に学校適正配置と適正規模についてのお尋ねです。
答申では、小規模校の学校教育への影響を踏まえ、小学校においては150人程度を存置の目安としています。ただし、区全体の未就学児が増加傾向にあることを踏まえ、存置の目安を下回ったとしても、一律に統合の対象校とすべきではないとの考え方が示されました。
そこで基本方針素案では、この答申の趣旨を踏まえ「通学区域内の未就学児数等を注視しながら、通学距離や施設状況等を十分勘案したうえで、適正配置について検討を行います」としたものです。
次に、通学区域を見直すことで統廃合の必要がなくなるのではないかとのお尋ねです。
通学区域には、明治時代からの長い歴史を踏まえて指定されてきた歴史的経緯や地域社会との密接な関係があるため、見直しによって地域コミュニティに大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、未就学児が増加傾向にあるものの、児童生徒数に比して学校数が多いため小規模校が多いという課題は、依然として残っています。
従っ て、通学区域を見直すことによって統廃合が必要なくなるとは考えていませんが、普通教室不足が懸念され、改修等によってもその確保が困難な場合は、早急に 検討するほか、道路の開通等によってまちの姿が大きく変わる場合などについては、通学の安全確保の視点から通学区域の見直しを検討します。
次に、基本方針素案に関するパブリック・コメントの周知についてのお尋ねです。
パブリック・コメントの周知方法については、広報しんじゅく及び新宿区ホームページへの掲載を始め、しんじゅくの教育にも掲載する予定です。
また、基本方針素案及び答申の閲覧場所として、区役所本庁舎や特別出張所等のほか、区立小・中・養護学校、幼稚園、保育園、子ども園にも配置しています。
次に、保護者等関係団体への説明についてです。
各学校及び保育園等で行われる保護者会等で説明を行う予定は今のところありませんが、ご要望があれば、対応したいと考えています。
現在、町会連合会、青少年育成委員会、区立幼稚園や小・中学校のPTA連合会等の会合に出向き、基本方針素案の説明をしています。
なお、弾力的運用を適用する学校については、決定した段階で必要な説明を学校で行っていきます。
次に、地域説明会の開催場所についてです。
地 域説明会の開催については、平日と休日を組み合わせるとともに時間帯や地域バランス等を考慮して決定いたしました。この他にも、先ほど申し上げたように関 係団体の会合にご説明に伺ったり、学校等多くの施設に閲覧場所を設けるなど、多くの方からご意見を頂けるよう努めているところです。
2012.02.24 更新