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    2011年第2回定例会 代表質問 

    sawada20110608

     

    2011年06月08日に行なわれた第2回定例会での代表質問です。
    <これはあくまでも概要です。新宿区議会の議事録が出来次第入れ替えます。ご了承ください。>

     

    (沢田区議)

    日本共産党の沢田あゆみです。私は、2011年新宿区議会第2回定例会にあたり日本共産党区議団を代表して、区長並びに教育委員会に質問いたします。

     

     

    (1) 東京電力福島第1原子力発電所の事故と区の対応について

    4月に行われた区議会議員選挙は、東日本大震災と福島第一原発の事故という、まさに国難と言うべき状況のもとで行われました。改めて犠牲になられた 方々に心から哀悼の意を表しますとともに、今も困難な避難生活をされている方が大勢居られ、新宿区内にも避難して来られています。被災されたみなさんに心 からお見舞いを申し上げます。今回の区議会議員選挙は、震災対策の強化や被災者への支援、そしてエネルギー政策の見直しなどに区民の大きな関心が寄せられ ました。私ども日本共産党は、この選挙で残念ながら新人一人が当選できませんでしたが、前回と同じ8議席を確保することができました。ご支援いただいたみ なさんにこの場をお借りして心からお礼を申し上げますとともに、公約実現に向けて全力で頑張る決意を申し上げます。

    今、この国難に総力を挙げて立ち向かわなければならないときに、国政は混乱を極め、国民の不安や怒りが広がっています。国会に不信任決議案が提出さ れた背景には、震災後の政府対応、とりわけ原発事故に関する情報も二転三転するなどあまりにもお粗末な対応が問題となっていますが、しかし、原発事故の大 本には自民党政権時代から引き継がれてきた安全神話に基づく原発推進の政策があるのです。更には復興財源を口実に来年度から消費税を増税しようとしている ことは許せません。日本共産党は、国民のくらしを守り、復興と被災者の支援に全力をあげる決意です。

    私たちは、5月17日~19日の3日間、宮城県石巻市に行き、復興支援活動に参加しました。実際にこの目で見た被災地の状況はこの世のものとは思え ないほど悲惨なものでした。津波でほとんど流され大きな舟が打ち上げられている沿岸部の地域。津波から逃れたのに地盤沈下で満潮の度に家が浸水してしまう 地域。自宅の2階で助かった人も、「屋根に乗って泣きながら流されていた子どもが凍死したと、後から聞いた。」などと、一生トラウマとなるような体験をさ れていました。私たちは、救援物資を届け、津波が運んだヘドロを掻き出す作業などをお手伝いしながら様々な事を学ばせていただきました。そうした体験も踏 まえて、以下、質問に入ります。

    最初に、東京電力福島第1原子力発電所事故と区の対応について質問します。

    東日本大震災による津波で、東京電力福島第一原子力発電所の3基が次々炉心溶融となり、レベル7という最大級の事故が発生し、国民に大きな恐怖を与 えています。事故の収束は、日本だけでなく世界中が注視していますが、5月17日に東電が示した工程表も、肝心の原子炉冷却方法の見直しを迫られるなど、 予定どおり進むのかはなはだ疑問です。今回の原発事故は、「安全神話」をふりまき、あらゆる事態を想定して講じるべきだった安全対策を怠ってきたこと、そ して事故後の対応が後手後手にまわったために事態が悪化したという点で、二重の「人災」です。

     

     

    第1の質問は、区長が東電福島第一原発事故についてどのような認識に立っているのかかおうかがいします。

    第2の質問は、放射能汚染に関して区民の不安を解消するための対策です。

    東電も政府も、正確な情報を迅速に示さないことが国民の不安を増大させています。私たちのところにも、子育て家庭を中心に、心配する声がたくさん届 いていますが、区にもかなり寄せられているのではないでしょうか。今求められているのは、放射線量の測定箇所を増やして逐次正確な情報を提供することで す。モニタリングポストを大幅に増やすことを国や都、東京電力に要望すべきと考えますが、いかがでしょうか。

    住民から不安が寄せられ、独自に放射線量を測定する自治体が増えており、23区では6市が決定、3区が検討となっています。チェリノブイリ事故の後 医師として現地の子どものガン治療に関わった菅谷昭氏が市長をつとめる長野県松本市は、早くから市内各所で測定し、結果や測定の様子をホームページで公表 しています。区は5月20日からホームページ上に相談窓口のお知らせとQ&Aを掲載していますが、これで不安が解消できるとは考えられません。新宿区でも 校庭やプールに堆積した放射線の調査・分析をするとともに、測定機を購入して区内各地で定期的に測定して情報をホームページで公開していくべきと考えます がいかがでしょうか。

    体外被曝より体内被曝の方が発ガン率を高めると言われ、子どもさんのいるご家庭はとても敏感になっています。農産物が土壌から吸収する放射能、食物 連鎖による魚への影響などを考えると今後長期にわたってこうした不安が続きます。特に学校や保育園の給食の安全性について保護者はたいへん心配しており、 区としても対応が求められていると思います。横浜市が野菜を中心に食材の放射線量を測定すると発表しましたが、新宿区でも各学校・保育園ごとに給食食材の 産地を公表し、水道水に関する情報だけでなく農産物や海産物の放射線情報にもすぐアクセスできるようにホームページを改善すべきではないでしょうか。お答 えください。

     

     

    第3の質問は、節電・省エネ対策についてです。

    政府は東電・東北電力管内で15%需要抑制する夏期電力需要対策を呼びかけ、区も大口需要家として、7月から9月の節電計画を5月31日に策定しま した。区有施設の利用が制限され、区民生活にも潤いやゆとりがなくなりストレスが溜っています。これまでの夏の各施設の電力使用量を精査したうえでの計画 だと思いますが、そうした根拠についても説明し、区民からも意見やアイデアを出してもらい、よりピークカットがすすむように、広報に加えて説明会を開くこ とが必要と考えますが、いかがですか。また、区有施設への太陽光発電は徐々に増やしてきましたが、未設置のところに一気に増やすことも必要ではないでしょ うか。お答え下さい。

    今回の節電計画で、高齢者施設が削減対象から外されたことは了とするものです。しかし、ことぶき館等のお風呂は節電とは直接関係がないのに休止状態 で、私たちのところには再開を望む声がたくさん届いています。お風呂休止後の利用状況がどうなっているのか、休止を続ける理由、再開の時期についてもお聞 かせ下さい。

    区は2年前から太陽光発電などに助成し成果があがっていますが、区民の節電・省エネに対する関心が高まっているこの機をとらえて一気に促進すること が大事だと考えます。足立区が、LED電球購入費補助の予算として今年度5千万円を計上し、6月1日から申請を開始したところ区民が殺到していると注目さ れています。佐賀市も6月1日に申請を受け付けたら、千件の予算に対して一日で600件を越す申し込みがあったそうです。省エネ機器購入助成でトップクラ スの区の制度にLED電球も加えて、さらに省エネを促進すべきと考えますが、区長のご所見をうかがいます。

     

     

    第4の質問は、脱原発についてです。

    福島の事故を受け、ドイツは2022年までに、スイスは2034年までに原発の廃止を決めました。日本も期限を明確に定めて原発をゼロにするプログ ラムを早急につくるべきだと考えます。原発の技術は未完成であり、使用済み核燃料の処理はさらに未完成で「トイレなきマンション」と言われてきました。管 首相は、5月25日パリで開かれたOECD(経済協力開発機構)設立50周年式典で演説し、自然エネルギーの発電比率を20年代の早い時期に20%にする こと、「エネルギー基本計画」は白紙で見直すこと表明しましたが、肝心の原発依存からの脱却については言及しませんでした。

    区長は、原子力発電はこのまま続行すべきと考えているのか、それとも期限を定めて廃止すべきと考えているのかお聞かせ下さい。国に追随しているだけ では区民のいのちと安全安心が守れないことは今回の事故ではっきりしました。区長の立場を明確に区民に示していただきたいと思います。

     

     

     

    (区長)沢田議員のご質問にお答えします。

    東京電力福島第一原子力発電所の事故についてのお尋ねです。

    福島第一原子力発電所は今回の地震に加え大津波の被害により日本では初めての「炉心溶融」を起こすなど、チェルノブイリと並ぶ大きな放射能事故とな りました。避難を余儀なくされた方々の困難な状況とともに、農水産物への被害や人体への影響など社会に不安が広がっており、誠に憂慮すべき事態となってい ます。これまで安全とされてきた原子力発電所について、過去の事故からの教訓や様々な研究・提言から学ぶことを怠り、十分な安全対策や危機管理対策が図ら れてこなかったと考えざるを得ません。

    国や東京電力においては、正確な情報を速やかに提供するとともに、事態の安定化と安全な終息に向けて全力を尽くしてもらいたいと考えています。

    放射能汚染に関する区民の不安を解消するための対策についてのお尋ねです。

    大気中の放射線量調査については、新宿区百人町の東京都健康安全研究センターが屋上で継続的に測定を行っており、現在の測定値は事故前と同レベルに 低減し、健康に被害を及ぼす量ではないため、子どもを含め普段通りの生活をして問題ない状況とされています。また、同センターでは5月末から地上1メート ルでの測定も開始し、その測定値は屋上の測定値とほとんど変わらない数値となっています。

    区では、独自の測定は行っていませんが、公式ホームページに「放射線による健康被害を心配されている方へ」を作成し、同センターの測定値ページへのリンクも掲載して、区民の皆さんの不安に対して応えられるよう、情報の提供に心がけています。

    現在の福島第一原子力発電所の状況や各地のモニタリングポストなどの測定結果を見ますと、新宿区の放射線量が健康被害に直結するまで高まるおそれは低いと考えておりますが、今後も同センターとの連携を強め、放射線量の把握に努めてまいります。

    ご指摘の放射線量の測定箇所の増設については、都に対して、区長会として要請しており、必要に応じた適切な判断がされると考えています。併せて、学校等の放射線量の安全基準値の策定・公表、また、区の独自の測定についての支援等についても要請しています。

    都は、東日本大震災への緊急対策のひとつの柱として、「放射能の不安から都民や事業者を守る」をあげ、放射能測定体制の強化と正確な情報提供、大 気・水道水・土壌・農作物・魚介類のモニタリング調査、乳児用ミネラルウォーターの確保、保育園などの備蓄品の充実などを含んで、114億円を補正予算に 計上すると発表しました。

    このような状況を踏まえて、学校の校庭やプールにおける放射線量の独自調査などについては、今後の都や国の動向なども見据えながら検討してまいります。

    次に、保育園の給食食材の産地を公表すべきとのご指摘についてですが、区立保育園では、地域の小売業者と契約して、通常の販売ルートを通じて食材を購入しています。

    その際には、産地を限定したり、特段の制限を設けたりという対応はしていませんが、契約している小売業者は、どこも長年の実績があり、これまでも、子ども達のために安心できる食材を納入していただいています。

    こうしたことから、すべての食材について産地を把握しているわけではありませんが、産地をお伝えできる食材もありますので、今後は、可能な限り毎日の献立サンプルの中で表示に努めてまいります。

    また、農産物や海産物の放射線情報については、現在区ホームページのトップに「放射線による健康影響を心配されている方へ」の中で、東京都産の物は、東京都のホームページにリンクして掲載しています。

    今後は、全国の放射性物質の検査結果についても、農林水産省のホームページにリンクして掲載してまいります。

     

     

    (教育長)

    教育委員会へのご質問にお答えします。

    学校の校庭やプールに蓄積した放射性物質の調査・分析についてのお尋ねです。

    学校のプールは、実施する前に貯水されている水を排水し、委託業者が清掃を行い、新たな水道水に入れ替えます。東京都健康安全研究センターの放射線 測定によると、現在、水道水の測定値は「不検出」が続いており、空気中及び降下物の測定値は平常値ですので、プールの実施は安全であると言えます。

    プールに貯まっている水の放射性物質については、降下物が蓄積していきますが、東京都健康安全研究センターの日々の測定値から積算しても、放射性物 質の飲用物の摂取制限に関する指標よりかなり低いレベルになることから、現在のところ、区独自の調査・分析は考えておりません。

    なお、校庭については、区長部局と協議をしながら、今後の状況に応じて検討してまいります。

    次に、学校ごとの給食食材の産地の公表についてのお尋ねです。

    各学校では、食材の搬入時に品質や産地などを毎日確認しています。これまでも保護者からの産地の問い合わせに関しては、各学校で説明していますが、今後、教育委員会としては、給食サンプルを展示する際に、産地の表示も行うように学校に指導していきます。

     

     

    (区長)

    次に、節電・省エネ対策についてのお尋ねです。

    区は、東日本大震災被災者支援等対策本部会の下に、区有施設節電対策等検討部会を設置し、区としての節電の取組みに関する対策をまとめました。

    節電対策の実施期間は、7月1日から9月30日の間、平日の9時から20時までで、区民サービスを極力低下させずに、区有施設全体で昨年比15%以上の電力のピークカットに取り組んでいきます。

    具体的には、職員の執務が中心の本庁舎や分庁舎では、削減目標を30%と高く設定し、重点的に取り組みます。コズミックセンターなどの大規模施設で は、25%の削減を行うとともに、地域センターや野球場のナイター利用など一部施設においては、輪番閉館を行うなど、15%を大幅に上回る節電を行いま す。

    一方で、主に子どもや高齢者等が利用する施設においては健康面に、また、街路灯については安全面に配慮するなどして、無理のない節電を行うこととしました。

    このような節電に関する説明や協力依頼等については、広報やホームページ等を活用して周知するとともに、環境関連イベント等あらゆる機会を捉え、積極的に説明し協力を依頼していきます。

    次に、区有施設への太陽光発電設備の導入についてですが、これまでもCO2削減の観点から新規施設へは原則として導入し、既存施設でも導入可能な施設には順次導入を進めています。節電効果も考え今後も積極的に導入してまいります。

    次に、ことぶき館等のお風呂の再開についてのお尋ねです。

    ことぶき館等では、余震が繰り返しある中で、利用者の安全を第一に考え、3月16日からお風呂の利用を中止しています。

    現在、入浴中の地震発生に備えた安全対策や、再開の時期について検討しています。

    次に、区民の節電に関する区の助成についてですが、ご指摘の通り太陽光発電設備などについては平成21年度からCO2削減の観点から助成をしてきています。助成対象の選定にあたっては、国や東京都の動向、助成の必要性や効果等を検討して決めています。

    ご提案のLED電球については、熱を持ちやすく、放熱が困難な器具には設置できないなど、ふさわしい用途が限られていること、最近、市場価格が低下 していること、また、電球型蛍光灯など他にも多くの省エネ型製品があることなどから、助成対象に含めることは現在考えておりません。

    次に、脱原発についてのお尋ねです。

    原子力は我が国の発電の大きな部分を占め、電力の安定供給のために不可欠なものと考えられてきました。しかし、震災以来、多くの課題が明らかになりました。

    安全面については、これまで問題はないとされていましたが、現実には、大事故が発生してしまいました。

    また、温室効果ガスの削減効果や経済性などで優位だと言われてきましたが、今回のような大規模な事故が発生した場合は想定しておらず、その対策のコストなどは見込まれていませんでした。

    この他にも核廃棄物の処理について、また、事故発生時の政府や自治体との連携についてなど、さまざまな課題が今まで以上に明らかになっています。

    一方で、現状では、電力の供給力が不足していることも事実であり、緊急事態として火力発電が増強されてはいますが、地球温暖化対策を考えれば適切と は言えない面もあります。又、提唱されている自然エネルギー、再生可能エネルギーについてもまだまだ需要に応えることは難しいだろうと言われています。

    こうした見えてきたすべての課題について、正確な情報をできる可能な限り限り公開したうえで、専門家、関係者、住民の代表などによる真摯な議論を通じ、国民全体での議論を深め、我が国のエネルギー政策の将来を検討することが必要であると考えています。

     

     

    (沢田区議)

    (2)地震から命と財産を守る対策の強化について

    第1の質問は、耐震化支援事業を進めるための周知についてです。

    新宿区の耐震化支援事業は全国的にもトップクラスの制度で、区民の関心も高まっています。東日本大震災から4月末までの1ヶ月半で200件を超す予 備診断の申請があり、5月15日号の広報新宿で制度を紹介したところ、更に申請が続いているとうかがいました。担当課は多忙を極めていると推察しますが、 区民の命に関わる大事な事業ですので、必要なら職員も増員して頑張っていただきたいと思います。

    広報新宿の「建物の耐震化を応援します」は大変わかりやすい内容でしたが、さらに工夫して耐震化工事を促進していただきたいのです。例えば、耐震工 事を施した建物が今回の地震でどうだったのか調査・検証し、体験者の生の声も含めて紹介し、工事の効果を区報やホームページで大いにアピールしてはいかが でしょうか。

     

     

    第2の質問は、ステップ1の予備診断、ステップ2の耐震調査・計画作成からステップ3の耐震工事につなげる課題についてです。

    せっかく充実した制度ができたのになかなか耐震工事に至らないという課題を解決するため、区は、工事鑑理者の配置、工事費の支払い方法改善、耐震ア ドバイザー派遣、モデル地域を設定して説明・訪問するなど、取り組みを強めてきました。それでも2010年度は、ステップ2が82戸なのにステップ3は 42戸と約半数に止まりました。

    道路付けなどの問題で法律に合致しないために、耐震化支援ができない老朽家屋が課題といわれてきました。こうしたケースは、区民の命を第1に考え て、可能なところでは助成をして共同建替を推進すべきです。また、必要な強度にするには耐震工事より建替の方が得策だという物件もありますが、現行の制度 では建替には助成がありません。耐震診断をした結果、建替の方が有利と判断された場合も、耐震工事と同じ条件で助成し、結果としての耐震化を実現すべきだ と考えますが、いかがですか。

     

     

    第3の質問は、瓦屋根の破損対策についてです。

    区は、3月14日から瓦屋根損壊の実態調査とブルーシートによる緊急措置に取り組み、被災された区民からも対応が早いと喜ばれました。しかし、地震 から2ヶ月過経ちましたがまだブルーシートがかかったままのお宅がたくさんあります。これから梅雨や台風の時期になりますので雨漏りが心配ですが、費用負 担が大変で工事の決断ができないという声を聞いています。群馬県の桐生市と太田市は、工事費の30%15万円まで助成する緊急補助を始めました。新宿区も 屋根の修復に助成をすべきと思いますが、いかがですか。また瓦からスレート葺にして軽量化したいが、耐震化支援の対象に該当しないようなケースも、住宅リ フォーム助成制度があれば救済されます。震災を機に住宅リフォーム助成制度を実現し、区民の命を守る対策を前に進めるべきではないでしょうか。お答え下さ い。

     

     

     第4の質問は、崖・よう壁の安全対策についてです。

    今回の地震により、区内でも崩壊3件を含めて33件の崖・よう壁被害が発生しました。新宿区は、2009年から3年計画で区内3900件の崖・よう 壁の点検調査を進めています。初年度は1130件調査し、やや不健全と不健全の合計が47%で、半分近くが健全でないと報告されています。最終年度に当た る今年の調査結果を待つことなく、早急に区としての方向を示して区民の安心・安全をはかることが求められます。

    地震で地盤が緩んでいるところに5月は雨が多く、崖の近くの方はさぞご心配でしょう。先ずは不健全・やや不健全の順に再度調査点検すべきではないで しょうか。区の方針は、安全化啓発と、判定結果の通知、改善方法や概算工事費の情報を提供するとのことですが、崖の工事は多額にのぼるので最大の工事促進 策はなんといっても費用の支援です。工事費の一定割合を区が助成する制度を実施して区民の生命・財産を守る姿勢をきっぱり示すべきです。また、現在の「が け等整備資金融資あっせん制度」は限度額を2倍に引き上げ、本人の利子負担がゼロなるよう改善もすべきです。区長の答弁を求めます。

     

     

    (区長)

    地震から命と財産を守る対策の強化についてのお尋ねです。

    はじめに、耐震化支援事業促進のための周知についてです。

    私は、いつ起きてもおかしくない「首都直下地震」に対する時間との競争の中で、「逃げないですむまちづくり」を目指し、耐震化支援事業に積極的に取り組んできました。

    ご指摘のとおり、東日本大震災の発生から5月末までの木造予備診断や非木造アドバイザー派遣の申込件数は、急増しております。

    今後とも、新宿区耐震補強推進協議会などの関係団体との連携や体制の強化を図り、区民の要望に迅速に対応してまいります。

    次に、耐震化支援事業促進のため、さらに周知の工夫をしたらどうかとのお尋ねです。

    区では、耐震化支援事業をより多くの区民の方に知っていただくため、年4回広報新宿へ掲載するとともに、木造建築物編、非木造建築物編など建築物の 実態に即した3種類のリーフレットを作成し、昭和56年以前に建てられた住宅を対象に戸別のポスティングを行うなど、きめ細かな普及啓発活動を実施してい ます。

    耐震化支援事業の総合パンフレットや木造建築物向けのリーフレットでは、補助事業の内容だけでなく、補助を受けて耐震改修工事を行った人たちの声、図面や写真を用いた実例等を紹介し、区民の耐震改修工事への理解が深まるように努めています。

    東日本大震災の発生後、区民の耐震に対する意識が高まっている機会を捉え、より一層区民の方に耐震化の重要性を認識していただくため、さらに周知の内容について、幅広く検討していきます。

    次に、耐震工事につなげる課題の解決策についてです。

    はじめに、耐震化支援ができない老朽家屋の共同建替に助成すべきとのお尋ねです。

    道路付けなどで耐震化支援が困難な住宅では、権利者の合意形成という課題もありますが、共同建替が有効な手段であると考えています。木造住宅が密集し、住環境の改善が必要な若葉地区においては、積極的に共同建替に取り組んでいます。

    また、敷地面積300㎡以上などの一定の要件を満たした場合は、都心共同住宅供給事業による区の補助制度があり、可能なところでは、この制度を用いて共同建替を実施しています。

    これらの共同建替の取り組みを進めるとともに、無接道など道路付けの問題から耐震化支援ができない住宅については、モデル地区事業を含む実績等を踏まえながら、検討していきます。

    次に、建替についても、耐震工事と同じ条件で補助し、耐震化を実現すべきではないかとのお尋ねです。

    建築物の耐震化は、それぞれの建築物の所有者が、自らの責務として取り組むことが基本であると考えています。区の耐震化支援事業では、区民の生命、財産を守るため、建築物の所有者が主体的に耐震化の取り組みができるよう、補助金等により支援しています。

    耐震改修工事ではなく、建替を実施される方の場合、高額な費用を準備できる方が行っていることから、ご提案の建替費用の補助については、現在のところ考えておりません。

    次に、破損した瓦屋根改修に対する支援策についてです。

    まず、屋根の修復に助成すべきとのお尋ねです。

    区では今回の東日本大震災後の緊急対策として、屋根をブルーシートで覆うなどの緊急措置を実施しました。屋根の補修については、新宿区住宅リフォー ム協議会と連携した住宅修繕工事等業者あっ旋事業により、約70件のあっ旋を行って、多くの区民の方から喜ばれています。資材不足などにより、修繕工事が 遅れているものもあると聞いておりますが、今後も引続き住宅修繕工事等業者あっ旋事業により、区民の支援を行ってまいります。

    住宅の修繕工事に対しては、既に住宅資金融資あっ旋利子補給事業を実施しており、新たに助成を行う考えはありません。

    また、住宅リフォーム助成制度を創設し、区民の命を守る対策を前に進めるべきとのお尋ねです。

    耐震化支援事業においては、屋根を瓦からスレート葺にして軽量化することで、耐震性の評点の基準を上回る場合は、耐震改修工事の補助対象となります。

    こうしたことから、リフォーム一般の助成制度は考えておりません。

    次に、がけ、擁壁の安全対策についてです。

    はじめに、すでに実施したがけ等点検調査について、先ずは、不健全、やや不健全の順に再度調査点検すべきではないかとのお尋ねです。

    区は、東日本大震災の発災直後から、区内のがけ等のうち、平成21年度に実施したがけ等点検調査で「不健全」であったものや区民の方から通報のあっ たもの215箇所について緊急点検を実施し、被害を確認した33件の所有者に、2次災害を防止するための緊急対策を依頼するとともに、改修などの本格的な 安全対策の実施を指導しているところです。

    すでに3年計画で点検調査を実施したがけ等について、再度の点検調査の実施について、現在、検討しています。

     

     

    (沢田区議)

    (3)災害時の消防団活動の支援強化について

    消防団のみなさんは、日ごろから地域社会の中で災害対応や警戒活動に当たるなど、多岐にわたる活動をされています。特に大規模災害発生時には、地域 の実情に精通し、即時に対応できる防災機関として極めて重要な存在です。3月11日の震災発生時は、それぞれが生業をもつ消防団の方々は仕事中の発災とな りましたが、分団本部等に駆け付けた団員は消防署の出張所などそれぞれの持ち場につき、帰宅困難者の誘導など精力的に活動されました。消防団のみなさんに 改めて敬意を表し、以下質問いたします。

    第1に、全団員への無線機の支給です。通常、分団内の連絡には携帯電話が使用されていますが、震災当日は電話もメールも通じず、災害発生から出場要 請の連絡網は寸断され、出場要請を受けられなかった団員も多かったそうです。電話が不通で分団長がメールを送信しても、受信できたのは6時間後、10時間 後だったとの例も聞きました。新宿区内の消防団では、無線機の配備は行われていますが、数が限られていることや、大半が格納庫に配備されているため、無線 による連絡も行き渡りません。他の自治体では、全団員に無線機を支給しているところもあります。迅速な出場と活動を保証するため、全団員に無線機を支給す るよう、東京都へ要望すると同時に、区として全団員配備に全面的に協力すべきと考えますがいかがでしょうか。

    第2に、全分団の本部施設整備についてです。消防団の活動単位は分団が基礎です。本来であれば分団本部施設を整備し、いざという時の防災拠点となら なくてはなりません。新宿区内は、敷地の確保が困難で十分な施設建設が困難なことは理解できますが、分団本部施設ではなく防災資機材格納庫のみで待機場所 さえない分団が4つのこされています。やむを得ず防災資機材格納庫を本部として扱っている分団は、格納庫の広さが15平米足らずのところもあり、会議ス ペースはおろか待機場所やトイレもなく、電話・ファクスもないという状況で、中にはコンクリートブロック造で震度7の地震に耐えられるのか、疑問を持たざ るを得ないような施設もあります。区としても消防庁と連携し、全分団に本部機能を持てる施設を、着実に整備すべきと考えますが、いかがでしょうか。特に、 耐震性が疑われるような施設については、敷地の確保とあわせ早急に整備をすべきと考えます。区長のご所見をうかがいます。

     

     

    (区長)

    消防団の全団員に対する無線機配備への協力についてのお尋ねです。

    3月11日の震災当日は、携帯電話及びメールに発信規制がかかり、分団内での出場要請に時間を要したと伺っております。

    このような不測の事態に備えた通信手段の確保として無線機の整備は、区としても迅速な活動態勢の確保につながり、災害対応力の向上に大きく寄与するものと考えます。

    現在、消防団の各分団本部には、無線機とトランシーバーが最低5機以上配備されています。

    また、東京消防庁において消防団に無線機等を増強する計画が検討されています。

    区といたしましては、こうした東京消防庁の無線機等の配備計画の動向を踏まえ、消防団及び消防署との連携を密に保ちつつ、消防団活動を支援してまいります。

    次に、分団本部施設の整備についてのお尋ねです。

    地域の防災リーダーとしてまちの安全・安心を担う消防団の分団本部施設の整備は、区としても地域防災力の向上に大きく寄与するものと考え、できる限りの支援を行っています。

    ご指摘のあった4つの施設のうち、牛込消防団第3分団施設及び新宿消防団第2分団施設については移転計画の話が進んでおります。

    新宿消防団第5分団施設及び第12分団施設については、建設整備を行う東京消防庁との情報共有化を図り、早期整備に向けて引き続き支援してまいります。

     

     

    (沢田区議)

    (4)地域防災計画の見直しと震災予防条例の制定について

    今回の東日本大震災で新宿区は震度5弱でした。区内の被災は、瓦屋根の破損で区がブルーシートの応急措置をしたお宅が116件等、区民の中には震度7の地震が来たらどれ程の被害になるのかという不安の声が広がりました。

    第1の質問は、今回の震災を踏まえた地域防災計画の見直しについてです。

    第1は、見直しの時期と想定規模です。5月13日に2011年度第1回防災会議が開催され、新宿区地域防災計画 の修正方針案が明らかにされています。すでに新宿駅西口や東口の事業者にアンケートがおこなわれ、区は区有施設の点検、さらに非常用発電機の配備や中央図 書館の解体等の緊急震災対策も計画されています。一方、東京都は5月27日に95項目の「東京緊急対策2011」を発表しました。地域防災計画の見直しに ついては、M8・7となる東海・東南海・南海の三連動地震を新たに想定し、液状化や津波、帰宅困難者対策強化、耐震化では中小規模の病院への補助や緊急輸 送道路の機能確保、放射性物質対策、被災地支援や都内の中小企業対策として制度融資の充実を打ち出しており、東京都の地域防災計画の大幅な修正が予定され ています。新宿区も地域防災計画の見直しをおこなうことにしていますが、どのようなスケジュールで行うのでしょうか。11月にまとめられる東京都の仮称 「防災対応指針」の結果を反映させることを含め、東京都の動向も注視しながら進めるべきと考えますが、ご所見をうかがいます。その際、想定規模について は、今回の都の対策ではM8・7で想定するとしていますが、現実に東日本大震災ではM9震度7の地震が起こっており、今回の修正ではこれを前提とした被害 規模、減災目標の見直が必要と考えますが、いかがでしょうか。

    第2に、帰宅困難者対策の強化です。今回の震災では、発災直後から鉄道などが止まり、帰宅困難者が多数うまれ、 地域防災計画の想定に近い状態がおこりました。特に、ターミナル施設周辺等についてはJR新宿駅などから人々がしめだされ一時混乱状態になりました。ま た、帰宅困難者は、地域の公共施設を、安全度が高くかつ一時休息や情報確保ができる場所としてとらえ、多数の方が保護や情報等の提供を求め集まりました。 問題は、対策がおいついていなかった点です。予算特別委員会でも指摘しましたが、道路沿いにある区民センターは閉鎖され、避難所としての学校が十分な機能 を果たすことができなかった等、問題点が浮き彫りになりました。区として今回の震災を受けて、これまでの帰宅困難者対策についてどのように評価し、どう課 題を整理しているのかお聞かせください。

    第3に、指定管理者を含めたBCP計画についてです。昨年度、区は新宿区事業継続計画の地震編、いわゆるBCP 計画をつくりました。今回の震災は震度5弱でしたが、計画に基づき各所管でどのような体制がとられたか、計画通りにすすめることができたのか、まずお聞か せ下さい。また今回の経験を踏まえ、BCP計画についてどのように見直すべきとお考えなのかお聞かせ下さい。現在、71の区施設を指定管理者に運営させて います。これらの施設が災害時どのように機能できるかは、区民の安全確保にとって重大です。今回の震災では区と指定管理者の間ではどのような体制がとられ ていたのかお答えください。今後、指定管理者や委託事業者が区と一体となって対応するため、協定の締結や、指定管理者等のBCPの策定、近隣町会組織など と連携した防災訓練などを行なう必要があると考えますが、いかがでしょうか。

    第4に、災害時要援護者の安全確保についてです。今回、民生委員の方々が災害時要援護者をいち早く訪問され、安否確認が行われました。今回は建物の 倒壊もなくスムーズに行われましたが、大震災となれば民生委員だけでは回りきれないことも想定されます。その際、地元を知り尽くした消防団と情報を共有す ることでより確実に安否確認と救助ができるのではないでしょうか。また、防災区民組織と消防団との連携が図れるよう、区がコーディネートを早急に行うべき と考えますがいかがでしょうか。

    第5に、地域防災計画の見直しに当事者・関係者の声を生かすことです。防災会議には障害者、高齢者などの当事者団体が入っていません。障害者セン ター等ではアンケートを行うなど今回の震災時対応の分析を行なっているとのことですが、このような声を災害時要援護者の安全確保をはじめ地域防災計画に生 かすため、当事者・関係者の意見を反映させるためにアンケートや当事者の会議などを開くべきと考えますがいかがでしょうか。さらには民営化した事業、例え ば区立保育園から民間保育園になったところ、私立保育園や認証保育園、あるいは特別養護老人ホームなど、まさに援護すべき区民が集まる施設については区が 安全対策について地域との連携を積極的に図るべきと考えますがいかがでしょうか。この分野でもBCP計画を区と一体となって策定すべきと考えますが、お答 えください。また、現在被災地へのボランティア派遣や避難所の運営では社会福祉協議会が大きな役割を発揮しています。社会福祉協議会も防災会議に加え意見 を聞くべきだと思いますがいかがですか。さらに、帰宅困難者対策についても、区職員や防災区民組織、その他当事者への幅広いアンケートの実施、HPを活用 することも含め体験者から意見を集め分析を深め、計画の見直しに活かすべきと考えますがいかがでしょうか。

     

     

    第2の質問は、震災予防条例の策定についてです。

    1971年に制定された当時の東京都震災予防条例は「地震は自然現象であるが、地震による災害の多くは人災である」との前文で、都民の生命と財産を守るため に全力をつくすことを表明しました。
    地域防災計画は、備えあれば憂いなしの立場から震災予防計画があり、普段から災害に強いまちを作り上げることで被害を最小限に食い止めようとしています。 渋谷区では震災対策総合条例がありますが、より充実した防災対策を行ううえでも、人間の英知と技術と努力により、地震による災害を未然に防止し、被害を最 小限に食い止めることができる立場を明確にした震災予防条例の制定をすべきではないでしょうか。区長、区民、事業者の責務も明確にした条例を制定すること によって地域防災計画のいっそうの充実を図るべきと考えます。区長の見解を求めます。

     

    (区長)

    地域防災計画の見直しのスケジュールについてのお尋ねです。

    地域防災計画の修正にあたっては、今回の震災を受けて明らかとなった帰宅困難者対策や避難所の運営、災害時要援護者の支援体制、災害医療などを緊急 検討課題として修正を行います。見直しのスケジュールについては、5月13日の「新宿区防災会議」の決定に基づき、11月までに修正案の取りまとめを行 い、年度内に修正を行う予定です。

    次に東京都の動向を注視した修正が必要であるとのお尋ねです。

    ご指摘のとおり、東京都は今回の震災を受け、早期に震災の検証を行い、都として取り組むべき対策と方向性を仮称「防災対応指針」として11月に取りまとめ、平成24年夏の東京都地域防災計画の修正に反映させていく予定です。

    区の地域防災計画については、既に見直し作業を進めていますが、東京都地域防災計画で被害想定等が修正となった場合は、その内容に基づき、区の計画を見直してまいります。

     

    次に、これまでの帰宅困難者対策の評価と課題の整理についてのお尋ねです。

    「新宿ルール」では、「組織は組織で対応する」、「地域が連携して対応する」、「公的機関は地域をサポートする」と定めています。新宿駅周辺防災対 策協議会に参加するメンバーの中には、社員や来館者の一斉帰宅の抑制に努めた事業者や、帰宅困難者の受け入れ、避難誘導を行う事業者も一部ありました。ま た、地域からの要請を受け、区施設や都庁舎等の公共施設でも帰宅困難者の受け入れを行うなど評価できる点もありますが、次の4つの課題が挙げられます。

    一つ目は、一斉帰宅の問題です。震災当日は、鉄道全線が運行を停止したことから、多数の徒歩帰宅者が発生し、区内の幹線道路は、満員電車並みの混雑となりました。

    地震の直撃により、火災や大きな被害が出ている中、今回と同様に一斉帰宅が行われた場合、大混乱や多数の負傷者の発生など二次災害を招く恐れが高くなります。

    二つ目は、帰宅困難者の受入れ施設の確保です。今回、新宿区では、区内小中学校、本庁舎、文化センター等で帰宅困難者を受け入れました。しかし、公的機関による受け入れにも限界があり、民間施設を活用した受け入れ体制の構築も必要と考えます。

    三つ目は、情報収集・伝達手段の確保です。

    今回の震災では、発災直後から携帯電話などが利用できず、連絡手段が限られていたことから、帰宅困難者の受入れを行っていたにもかかわらず、利用さ れなかった民間施設もありました。このため、情報連絡手段の確保、区民や帰宅困難者への的確な情報伝達手段のしくみづくりが課題となっています。

    四つ目は、避難誘導です。新宿駅東口では、広域避難場所である新宿御苑に、1万人近い人々が集まり、これらの帰宅困難者を近隣の学校避難所へ避難誘導するにあたり、周辺の地理に不案内な方が多く、一部混乱が生じました。

    こうした課題に対しては、5月25日に、区、企業、大型商業施設、商店街、交通事業者、警察や消防などの防災関係機関で構成する新宿駅周辺防災対策協議会で検討を始めています。

    協議会では、一斉帰宅の抑制が徹底されなかった事実もあることから、今後はルールの更なる周知が必要との意見が出されました。

    また、民間施設において避難スペースとして利用可能な場所を事前に提示しておくことの可否や、帰宅困難者の受け入れに対する行政からの支援についての要望が出されました。

    情報収集・伝達については、区は4月1日から公式ツイッターによる情報提供を始めていますが、区や協議会メンバー間の連絡手段として、防災行政無線の配備や長距離無線LANの活用、ワンセグ放送システムなど新たな情報提供ツールの実験的導入が提案されました。

    さらに、避難誘導に関しては、帰宅困難者向けの避難所マップの作成や誘導標識の設置、新たな情報提供ツールを活用した避難誘導、新宿御苑などの一時退避場所から避難所への避難誘導の手順などについての意見交換が行われました。

    このような議論を踏まえ、実現可能性の高い提案については、11月に実施予定の訓練に取り入れるとともに、防災会議へ提起し、今年度の地域防災計画の修正につなげてまいります。

    次に、今回の震災での区と指定管理者との間ではどのような体制がとられたのかとのお尋ねです。

    今回の震災では、文化センターや地域センターで、帰宅困難者の受け入れを行いました。また、区民健康村、区民保養所及び新宿コズミックスポーツセン ターでは、被災された方々を受入れました。これらの区施設は、いずれも指定管理者による施設運営であり、各所管課と連携して柔軟な対応が行われたもので す。

    区と指定管理者が締結する基本協定書には区の施策に協力することや災害時の役割として区の活動に協力することが盛り込まれています。今後は、今回の経験を踏まえ、活動体制や費用負担などの統一的な整理が可能な課題について検討してまいります。

    次に指定管理者のBCPの策定及び防災訓練など地域との連携についてのお尋ねです。

    指定管理者に対しては、事業継続計画の説明会や報告会を兼ねたセミナーへの参加を呼び掛けるなど、計画策定の支援を行っています。今後は、災害時の 具体的な活動マニュアルの策定など協力体制を整えるとともに、地域の事業者として、防災区民組織による防災訓練への参加や、帰宅困難者対策など地域との連 携した災害活動への取り組みについて、積極的に参加を求めるなどの指導を行ってまいります。

    次に、災害時要援護者の安全確保についてのお尋ねです。

    今回の地震では、消防団の方に消防署と連携して巡回警戒及び帰宅困難者の誘導を行うなど、災害発生の未然防止に努めていただきました。

    また、民生委員のみなさまには、新宿区内の建物や道路に大きな被害はなかったため、名簿登録者の安否だけでなく、困りごとの有無の確認のために訪問をしていただきました。

    区では、地域防災計画やBCPの修正等を検討するための各部長を構成員とする、新宿区災害対策推進委員会の下に設置した、災害時要援護者対策部会において、平成23年3月に新宿区版災害時要援護者支援プラン骨子を策定します。

    その中では避難所書を拠点として、防災区民組織及び民生委員等が主体となった安否確認体制、安否確認情報を消防署など防災関係機関へ情報提供する連 絡体制づくりの方向性が示され、具体化に向けたマニュアルの整備に取り組んでいます。こうした取り組みを通じ、災害発生時は、災害時要援護者の安否確認情 報等を消防署及び消防団へ迅速に連絡できる通報体制の構築を図ってまいります。

    次に、地域防災計画の見直しに当事者・関係者などの声を生かすことについてのお尋ねです。

    新宿区防災会議は、災害対策基本法により、その組織及び所掌事務について都の防災会議の例に準じて、区が条例で定めるとしています。

    一方で、ご指摘のとおり地域防災計画の修正等にあたっては、地域の高齢者団体、障害者団体及び社会福祉協議会の意見を反映させていくことが、必要であると認識しています。

    高齢者や障害者などの災害時要援護者の支援体制については、現在、災害時要援護者部会において、「新宿区災害時要援護者支援プラン」の策定に向けた 検討を行っています。災害時要援護者名簿登録者の拡充、安否確認や避難誘導の方法、二次避難所の運営などを検討し、その結果を地域防災計画に反映させてい くこととしています。また、検討にあたっては、関係機関等の連絡会議を設置することとなっており、障害者団体や高齢者団体、社会福祉協議会など地域の福祉 団体に参加していただき、さまざまなご意見を参考にしてまいります。

    次に、私立保育園や特別養護老人ホーム等のBCPの策定や地域連携支援についてのお尋ねです。

    区の指定管理者に対しては、21年度から事業継続計画の説明会や報告会を兼ねたセミナーを開催するなど、BCPの策定を支援しており、今後も引き続 き取り組んでまいります。また、私立保育園や特別養護老人ホーム等を運営する社会福祉法人等を中心に、地域の防災訓練への参加を促すなど地域との連携体制 づくりに向けた支援について検討を行ってまいります。

    次に、帰宅困難者対策におけるアンケート調査及びその分析と地域防災計画への反映についてのお尋ねです。

    現在、震災当日、災害対策本部条例に基づく災害対策各部や避難所運営に携わった地域活動班の職員に対し、当日の状況や課題に関するアンケート調査を 行い、その分析を行っているところです。また、各地域の防災区民組織に対し、発災当日の状況や今回の震災を受けての課題についてのアンケート調査を行って います。このアンケートについては、結果をとりまとめ、課題を整理した後、地域防災協議会において、避難所運営等の検討材料としてまいります。

    こうした様々な分野からのご意見、ご要望を踏まえたうえで、地域防災計画の見直しを進めることにより、区の総合的な防災力の向上を図ってまいります。

    次に、震災予防条例の制定についてのお尋ねです。

    新宿区では、区の地域並びに住民の生命、身体及び財産を災害から保護することを目的として地域防災計画を定めています。この計画は区及び防災機関の 責任を明確にし、区の処理すべき事務を中心として防災機関が処理する事務を定めるとともに、区民及び事業者の基本的責務も包含する総合的かつ基本的な計画 です。

    また、被害想定から減災目標を設定し、災害活動体制の整備といった事前の備え、建築物の耐震及び不燃化等の防災都市づくりの具体的な方策や地震発生 時の応急活動態勢、復旧復興体制を定めており、区、区民、事業者それぞれの役割のもと、震災対策を進めていくこととしています。そして、被害想定や減災目 標等の修正の都度、必要な見直しを行うことで、より充実した防災対策を目指すことができる計画となっています。

    さらに、区では、昨年7月に新宿区事業継続計画地震編を策定しました。この計画では、災害時に限られた資源を用いて、優先的に取り組むべき業務にあたるための課題と対策について明らかにしています。本年度は、事業継続計画に基づき、具体的なマニュアルを策定していきます。

    したがって、震災予防条例を制定することは考えておりませんが、地域防災計画と事業継続計画を両輪として、災害の未然防止や被害の最少化を一層強力に推進し、総合的な防災体制を整えてまいります。

     

     

    (沢田区議)

    (5)東日本大震災の影響を受けている中小企業への支援について

    東日本大震災は日本の経済に大きな影響を与えています。

    東京商工会議所は、震災に伴う地域商工業者が受けた影響について実態を把握し、支援策および行政への要望に向けた起訴し資料に向けたアンケート調査 を3月24日から4月5日まで23区の1009社を対象に実施しました。結果によると、震災により何らかの影響を受けていると回答した企業が全体の 92,7%にのぼり、売り上げ・来店者数への影響は78,2%、材料・商品等の調達の影響は59,6%でした。

    私たちも区内事業者に聞き取りを行いました。飲食店は軒並みお客さんが激減しています。荒木町の割烹料理店は売り上げが40%ダウン、歓送迎会の キャンセルが相次いだ。新宿5丁目の居酒屋も売り上げ半減、東電社員は全く来なくなった。タバコ店は、福島・茨城のタバコ工場や仙台のフィルターを作る工 場が被害を受け、生産が追いつかず売り上げが減少しています。アパートやゲストハウスを経営する方は外国人や地方からの学生さんのキャンセルが相次ぎ大変 困っているとのことでした。震災前から続く不況に震災が追い打ちをかけ、「息の根を止められた」ように倒産・廃業に追い込まれる事業者も少なくありませ ん。

    こうした東日本大震災による2次被害、いわゆる震災不況から中小企業・中小零細業者を守ることが今新宿区に求められています。そこで区長に伺います。

    第1に、実態把握です。区長は今回の震災による区内中小企業・中小零細業者への影響をどのように認識していますか。区内の業界団体等への聞き取りを行うなど十分な実態把握を行い、必要な支援を行うべきと考えますがいかがですか。

    第2に、資金繰りの支援策です。5月2日に国の補正予算が成立し、従来の一般保証とセーフティ保証(5号)に加え、震災復興緊急保証が5月23日か らスタートしました。産業振興課によれば相談受付開始の5月16日から連日30~50件の問い合わせがあり、5月23,24日だけで57件の認定を行った とのことです。

    一方新宿区は震災被害に対応する独自の商工業緊急資金融資を実施しています。貸付限度額は500万円以下、融資期間は5年据え置き6ヶ月、年利自己 負担1,05%、実施期間は6月30日まで、震災の影響が認められることが条件です。また震災前から実施されている景気対策緊急融資は限度額1000万 円、無利子、実施期間は今年9月まで、前年同月比で売り上げの減少が条件です。返済能力があれば両方借りることも可能ですが、条件が合うどちらかを申し込 む事業者が増えているそうです。震災の影響は長引き、日本の経済が震災前に戻るのは早くても2年3年先と言われています。震災対応・景気対策両緊急融資の 実施期間は少なくとも今年度末まで延長すべきではないでしょうか。また、震災対応緊急融資は景気対策緊急融資に合わせ限度額1000千万円、無利子にすべ きではないでしょうか。

    第3に、計画停電への対応です。東京商工会議所のアンケート結果では、23区は計画停電対象外にもかかわらず計画停電の影響が34,0%もありまし た。取引先や工場が計画停電地域にあったり従業員の通勤への影響など、再び実施される可能性のある夏場の計画停電は区内の中小企業にとっても今から戦々 恐々です。政府・東電に対し、計画停電を極力行わないよう求め、実施する場合は正確な情報とできるだけ早い時期の公表を求めるべきと考えますがいかがです か。

    第4に、節電対策です。政府は7月から9月の電力需要抑制目標を、一部被災地や病院等は適用除外とするも、「同じ目標を掲げて国民・産業界が一丸と なり、平等に努力してこの夏を乗り切る」との考えのもと、均一にマイナス15%としました。中小企業に対しては一律の行き過ぎた節電対策を進めるのではな く、企業と従業者自らの努力を尊重して進めることが重要と考えます。

    環境対策課が区内事業者を対象に、無料で行っている「省エネルギー診断」を広く事業者に周知し、活用を促進するべきです。そのためには産業振興課、 商工会議所、区商連等とも連携し、各団体の広報を使っての周知、説明会の開催等行うこと、また今年度予算は20件を見込んでいますが、必要であれは補正予 算を組むことを求めるものですがいかがですか。診断を受けてコスト削減につながったと喜ぶ事業者がいる一方、「古いエアコンを買い換えれば省エネになると いわれても買い換える資金がない」という事業者もいるそうです。

    東京都は、都が指定した環境整備公社が実施する省エネ診断を受けた事業者に対し、省エネ設備の導入費用の一部助成制度や融資制度、設備リース事業、省エネ設備を取得した際の事業税減免等を行っています。

    こうした都制度を区内中小企業に周知するとともに、区としても独自に省エネ診断を受けた事業者に対し、診断に基づく買い換えのための助成制度や融資制度創設を検討すべきではないでしょうか。

    第5に、イベントの自粛、中止によって多くの中小企業が影響を受けていることについてです。区内でも夏の最大のイベントである祭礼が、西向天神、花 園神社、熊野神社等々次々中止を発表しています。節電や警察の警備の関係等やむをえない状況もありますが、区主催のイベントも含め、過度な自粛を行わない こと、震災復興応援イベント等は積極的に行うことを各種団体等に呼びかけてはいかがでしょうか。また、6月1日~30日まで新宿応援セールが行われていま すが、引き続き産業振興基本条例制定記念として新宿区の経済を活性化させるためのキャンペーンを第2弾,第3弾と打つことを求めるものですがいかがです か。

    区長の答弁を求めます。

     

     

    (区長)

    東日本大震災の影響を受けている中小商工業者への支援についてのお尋ねです。

    まず、大震災による区内中小商工業者への影響に対する認識についてです。

    区では、区内事業者との会合や融資相談を通じ、生の声をお聞きする中で、この度の大震災により、区内の中小商工業者は直接被害のみならず間接被害等により、大変厳しい経営環境に置かれていると認識しています。

    次に、中小商工業者の実態把握を行い、必要な支援を行うべきであるとのお尋ねです。

    区では、本年度、新規事業として、区内中小商工業者を対象に、景気動向調査を開始しました。この調査は、様々な要因で変化する経営環境の中、事業者の経営状況の実態把握を継続的に行っていくものです。

    第一回目は、平成23年1月から3月期における景況と4月から6月期における景況見通しについて、4月に区内約1000社を対象にアンケート調査を実施しました。

    この調査において、大震災の影響が、資金繰り、従業員の確保、原材料の調達など多方面に出ていることも把握しているところです。次回は、7月の実施を予定しています。

    したがって、ご提案のような聞き取り調査について、あらためて行う考えはありませんが、今後も、区内中小商工業者の実態把握に努め、事業者の皆様が大震災の影響から少しでも早く立ち直ることができるよう、必要な支援に取り組んでまいります。

    災次に区内中小商工業者への資金繰り支援策についてのお尋ねです。

    区では、平成20年2月1日から、不況に対応した緊急融資を実施していますが、大震災発生後、速やかに大震災に対応した緊急融資制度を立上げました。

    この震災対応型の緊急融資は、大震災による直接被害だけでなく、取引先が被災したことによる間接被害を受けた区内中小商工業者も申込みができる制度となっています。

    これら二つの緊急融資について、現段階では、震災対応型の緊急融資制度は6月末、景気対応型の緊急融資制度は9月末までの実施を予定しています。実 施期間を延長すべきとのご提案ですが、今後、景気の動向や区内中小商工業者の経営の回復状況を見極め、さらに区の財政負担の状況を踏まえ、判断していきた いと考えています。

    また、震災対応型の緊急融資の限度額と本人利子負担について、景気対応型の緊急融資と同じにするべきではというご質問についてです。

    景気対応型の緊急融資制度は、売上げの減少が申請要件となりますが、震災対応型の緊急融資制度は、売上げや営業利益の減少を申請要件とせず、地震被 害の有無を主な申請要件としており、制度趣旨が異なります。そのため、震災対応型の融資を受けた方でも、売上げや営業利益が減少し、お困りの事業者の方々 には、従来の景気対応型の緊急融資もご利用いただけます。

    したがって、ご提案のような制度改正は考えておりませんが、今後も、現行の融資制度を最大限活用するなど、区内中小商工業者の経営安定化につながる支援を全力で実施してまいります。

    次に、節電対策と省エネルギー診断など事業者支援策についてのお尋ねです。

    区の省エネルギー診断については、昨年度に行った「中小企業に関する省エネルギーへの取り組みに関する調査」の際に周知したことなどもあり、18件の申し込みを受けました。

    今夏に向けて、広報等で周知することはもとより、産業振興課、東京商工会議所新宿支部、新宿区商店会連合会等と連携し、節電対策としての効果や経済効果も大きいことをしっかりと宣伝してまいります。

    今後、事業者に対して新宿区や東京都、国の省エネルギーに関する支援制度について説明会を開催し積極的な情報提供に努めます。

    また、区独自の省エネルギー診断を受けた事業所に対しては、診断の際の経費を全額区で負担していること、対策を実践した場合には、経済的効果が見込まれることなどから、助成については現時点では考えておりません。

    次に、震災復興支援などを打ち出したイベント開催を様々な団体等へ呼びかけたらどうか、とのお尋ねです。

    震災直後は、犠牲者への弔意等から、多くのイベント等が中止や延期となりました。

    しかし、時間の経過とともに、少しでも早く復旧、復興につながるよう元気を出すべきだという機運が高まっています。

    歌舞伎町タウン・マネージメントでは、6月4日・5日に、「歌舞伎町ルネッサンス!大好き東北プロジェクト 第1回歌舞伎町アートマーケット」を開催し、売上金の一部を被災地への義援金とするなど、被災地の復興支援に取り組んでいます。

    この他、新宿エイサーまつり、神楽坂まつりは、地域の活性化が復興支援につながるとの考えから開催を決定しました。

    このように、被災地支援に加え区民や区内事業者が元気になるイベントの開催は、これからの時期ますます大切なことだと考えます。

    開催されるイベントについては、区としても行事の内容を踏まえた上で、後援名義の提供など、できる限りの協力をしてまいります。

    また、新宿区の経済を活性化させるためのキャンペーンを第2弾、第3弾と実施すべきというご提案ですが、経済の活性化、とりわけ商店街の活性化策については、新宿区商店会連合会とより一層、意見交換を進めてまいります。

     

     

    (沢田区議)

    (6)待機児童解消の緊急対策について

    中山区長は2003年11月に就任して以来、一貫して子育て施策のなかで待機児童解消策を最重要課題にし、2009年2月に区長を本部長とする次世 代育成支援推進本部に待機児童解消緊急対策部会を設け、精力的な取組みをされました。区の努力にもかかわらず待機児童は増加の一途をたどり、本年4月には 新定義で92人、旧定義で223人になりました。

    区は専ら安上がりにできる認証保育所の誘致でしのごうとしており、今年度も12月までに3カ所誘致して済ませる計画です。また、区立や認可園では、 “弾力化”の名で定数を越えて詰め込んでおり、4月時点で、0才・1才・2才児は合計57人も定員をオーバーしています。募集枠残りはわずかで、今後の入 園希望に応えられないのが今の実情です。この間の区の待機児解消は専ら認証保育所頼みとなっていますが、まさに今こそ緊急対策部会を開き、目の前の現実を 打開するあらゆる方策を検討すべき時です。区長のご所見をうかがいます。

    検討は、短期的打開策と中長期の計画の両面からおこなうべきです。

    短期的には、待機児童が最も深刻化している牛込地域で具体策を提起する必要があります。つい最近まで別の用途で使用し現在は空き施設となっている旧 江戸川幼稚園や旧薬王寺保育園などを、分園や保育ルームとして活用することが可能ではないでしょうか。また家庭的保育事業を4室20人分に限定せず大幅に 増やすために、場所と保育士の確保に早急に着手して実現することも重要と考えます。いかがですか。

    中期的には、あらゆる土地を洗い出し軽量鉄骨の園舎を含め2009年に5園、2010年に19園増設し、2年間で定数を1521人増やした世田谷区 を参考に増設の目処を立てること、長期的には薬王寺、加賀町、若松町などで既に空き地となった国有地を定期借地するなどして認可保育園を増やすべきです。 区長の見解をお聞かせください。

    第2の質問は、国立国際医療研究センター内等の新園建設が、東日本大震災の影響を受けて計画が大幅に遅れている問題です。

    医療センター内の新園は、つくし保育園用のプレハブ仮園舎の建設が震災の影響を受けて遅れ、既存建物の解体ができず作業が大幅に遅れているようで す。このままでは2012年4月の完成は不可能と思われますが、見通しはいかがでしょうか。西戸山2中の改修の目処もふくめてお示しください。

    医療センター内新園の完成が遅れるとなれば、区立戸山第3保育園とつくし保育園が存続しないと待機児童がさらに溢れることになります。少なくとも新 園完成まで戸山第3保育園は区立のまま存続させ、つくし保育園が存続できるように医療研究センターとも良く協議し、区として十分な対策を取るべきと思いま すが、いかがでしょうか。

    併せて、中止になったままの地域説明会は、いつ頃行う予定なのかお答えください。

     

     

    (区長)

    待機児童解消の緊急対策についてのお尋ねです。

    まず、短期・中期・長期の待機児童解消対策についてです。

    区は、待機児童解消に向けて、平成23年度から平成26年度の4年間で、認可保育園、子ども園、認証保育所及び家庭的保育事業の受入れ枠を1,000人拡大する予定です。

    平成24年度以降については、第二次実行計画の中で具体的にお示ししていきますが、認可保育園の定員約300人の増を基本としつつ、子ども園につい ても可能なかぎり乳児の受け入れ枠を確保し、約300人の増、併せて認証保育所の増設や家庭的保育事業で約400人の増を予定しています。

    開設までに複数年を要する認可保育園及び子ども園の建設や改修を計画的に行うとともに、施設基準や職員配置基準が認可保育園とほぼ同じで、年度内に開設が可能な認証保育所を増設します。

    将来的な財政負担にも考慮しながら、バランス良く対策を推進していきます。

    また、待機児童解消の緊急対策として、認可保育園の定員弾力化については、国の最低基準面積を守り、職員体制も整えた中で実施することで、受け入れ枠を増やしています。

    旧江戸川幼稚園の空き施設利用については、津久戸小学校・江戸川小学校統合等検討協議会からの要望書の内容もふまえ、子育て支援のために何ができるか検討していきます。

    また、家庭的保育事業につきましても、保育園等を運営する法人が、自ら借り上げた施設に家庭的保育者を配置し、保育を行う「保育所実施型」を今年度実施しますので、状況を見ながら拡大も検討してまいります。

    今後も引き続き、計画的な対応とともに、公有地や公共施設の有効活用、家庭的保育事業の推進など、様々な手法を組合せた取組みについても、待機児童解消緊急対策部会で検討・実施してまいります。

    次に、国立国際医療研究センター内保育園等の新園建設が遅れていることについてのお尋ねです。

    ご指摘のとおり、独立行政法人国立国際医療研究センターが進めている工事については、東日本大震災の影響で大幅に遅れる見込みです。

    現在、関係者と善後策を協議していますが、保育園の利用者には支障がないように、検討しています。

    民営化等基本方針に基づく地域説明会については、平成23年3月23日午後7時から若松地域センターで開催を予定していましたが、東日本大震災によ り公共施設の夜間利用を自粛するよう各団体に要請していたことから中止しました。今後、具体的な方針を決定後、保護者説明会等を含め開催を検討してまいり ます。

     

     

    (沢田区議)

    (7)教育環境検討協議会と学校統廃合計画の中止に伴う対応について

    5月6日に行われた教育委員会で、富久小学校と天神小学校の統廃合は行わないことの報告と同時に、教育環境検討協議会の設置が決定されました。『学 校選択制度』や『通学区域』、『学校適正配置』の見直しについては私どもも繰り返し求めてきたことであり、それらを検討する協議会が設置されたことは評価 するものです。この協議会は6月に設置し、学校選択制度についての議論を先行して行いながら1年強の期間で一定の方向性をまとめるとされています。教育委 員会の議論の中で教育委員のみなさんも、「平成4年答申」に類する重要な議論を行う協議会であるとの認識を示されていますが、協議会の委員構成がそれに見 合うものになっているかといえば、幅広い意見を出し合ってもらうには不充分と言わざるを得ません。

    私ども日本共産党区議団は、6月に設置予定の教育環境検討協議会の委員構成や運営等について、5月16日、教育委員会に申し入れを行いました。その 内容は、委員の構成について、①公募委員を複数加えること②未就学児保護者代表、小学校PTA連合会、中学校PTA協議会からそれぞれ2名以上とすること ③特別支援学級の保護者代表を加えること④区議会から代表として文教委員長を加えること。そして検討過程において、児童・生徒、学校関係者や多くの区民の 意見を聴取するための懇談会やアンケート等を行い、幅広い区民参加を保障することです。また、富久小学校と天神小学校が統合対象校ではなくなったことを区 の広報等に掲載するなどして区民に周知することと、あわせて津久戸・江戸川の統合計画がなくなったことも周知するよう改めて求めました。

    申し入れの席上、教育長は、「委員の構成については色々検討したが、公募委員は個人の意見になるし、人数が多いと日程調整だけで大変なので公募委員 は入れなかった。」などと言われました。しかし、これまでも多くの区の審議会等に公募委員を採用し、その方々が積極的に議論に参加をされていることがあた りまえの姿となっており、公募委員を採用しない理由が、個人の意見だからとか日程調整が大変だからというのではあまりにお粗末です。教育委員会事務局の考 えがそうであったとしても、私どもの申し入れは改めて教育委員会として検討することを求めたものです。

    質問の第一は、私どもの申し入れを受けて、それぞれの項目についてどのように教育委員会で検討され、今後どのように反映されるのでしょうか。質問の 第2は、牛込地区の学校適正配置を行わないという判断は当然のことであり、むしろもっと早い時期に決断すべきでした。江戸川小学校では当初入学を希望した 新入生の保護者に対して、「この学校は統合されるかも知れません。それでも入学しますか。」と問うて、その後、統合計画はなくなったにもかかわらず今年度 の新入生は3人でした。この事態に対して教育委員会はどのように思っているのでしょうか。江戸川小学校を翻弄したあげく、学校を残すと決めた教育委員会自 身の責任で児童数を増やす対策を本気で行うべきです。このことについては「統合等検討協議会」から教育委員会に要望書が出されています。6月1日の教育委 員会では、来年度の新1年生受入可能学級数を津久戸小については1学級とするなどの報告がされました。そのことも踏まえて教育委員会の見解と具体策をお示 しください。

     

     

    (教育長)

    教育環境検討協議会及び学校統廃合計画の中止に伴う対応に関するお尋ねです。

    まず、教育環境検討協議会についてです。

    教育環境検討協議会の委員構成については、短期間で継続的に議論する必要があることや、未就学児の保護者代表を含めた幅広い委員構成とすることな ど、教育委員と意見交換を行った上で決定したものです。そのため、教育委員に申し入れ書に関する情報提供は行いましたが、特に意見はありませんでした。

    なお、検討過程における区民参加については、既に学校選択制度のアンケートを実施していますが、議論の進捗状況をみながら、多くの方の意見をお聴き していく場をつくる予定です。また、富久小学校と天神小学校の適正配置の取り組みを終了したことについては、津久戸小学校と江戸川小学校のときと同様、広 報紙などを活用した周知を図ってまいります。

    次に、学校統廃合計画の中止に伴う対応についてです。

    江戸川小学校の児童数を確保していくための具体策については、統合等検討協議会から要望書も提出されていますので、今後検討し対応してまいります。

    なお、津久戸小学校では、通学区域内の未就学児が、0歳児と1歳児を中心に急増していることや、35人学級の導入により、将来の普通教室の確保についての懸念が高まっています。

    一方で、津久戸小学校の通学区域内の5歳児は、1学級でも対応可能な人数であることから、来年度の新1年生の受入れ可能学級数を1としたものです。

     

     

    (沢田区議)

    (8)外国にルーツを持つ子どもへの支援について

    私たちは、これまでも外国にルーツを持つ子どもへの支援については繰り返し質問し、施策の充実を図ってきましたが、昨年の第4回定例会では私どもを 含めて複数の会派がトータルケアの確立と区立中学校への日本語学級設置を求める質問をしました。区長は、その必要性を認める積極的な答弁をしていただき、 教育委員会も、「今後の日本語学級の設置について学校や都と(早急に)検討、協議してまいります。」と大変前向きでした。

    今年の1月からは新宿中学校で日本語教室がスタートし、その取り組みは日本語学級の設置につながるものとして支援団体等にも説明され、いよいよ設置 に向けて期待が高まりました。2012年度に新たに日本語学級を設置するにはこの6月までに都に申請することが必要です。ところが、5月になっても具体的 設置に向けた学校や都との協議が行われていないことがわかり、日本共産党区議団として5月16日に教育委員会に対し、区立中学校に日本語学級を来年度から 設置するため、具体的な協議を一刻も早く進めるよう申し入れを行いました。

    去る5月29日には、大久保地域センターで区と教育委員会が後援する「第8回東京の日本語学級・日本語教育を考えるつどい」が開かれ私も含め超党派 の都議会議員、区議会議員が参加しました。そこでは、大久保小学校の日本語学級で教員をされていた先生や、現役の日本語学級の先生方から子どもたちの実態 が語られ、中学校に日本語学級を設置して欲しいという切実な声が出されました。そして、今定例会にはかつて教育委員長をも務められた内藤頼よしさんを代表 とする陳情が、区議会に提出されています。

    区立小中学校における外国籍の子どもの占める割合は、東京都の昨年度の調査では23区全体で小学校1.25%中学校1.77%に対し、新宿区は小学 校3.86%中学校4.77%でトップであり、昨年度の日本語指導を必要とする児童・生徒数は、小学校54名、中学校で50名でした。大久保小学校には、 今年度も2クラス30名の日本語学級が設置されています。これまでも、日本語サポート指導は事業の充実が図られてきましたが、それでも不充分な実態があ り、昨年は区立中学校PTA協議会からも抜本的な充実を求める声があがりました。日本語学級を設置すれば必要な生徒は上限を切られることなく通級すること ができるという点で、これまでの日本語サポート事業とは大きな違いがあり、通年で子どもたちを指導できることで、トータルサポートの面でも期待できます。 私は、中学校の日本語学級で長年教師をされている方に直接話を伺いましたが、新宿区にも配置されている日本語加配の教員が居るだけでなく日本語学級が設置 されることで国からは教材費が措置され、子どもたちは状態がとても安定し、日本語学級の教員がコーディネーターの役割を果たすので学級担任との連携でトー タルケアも充実できるとのことです。

    質問の第1は、昨年の第4回定例会以降、教育委員会として学校や都とどのように検討・協議をしてきたのでしょうか。質問の第2は、区立中学校へ日本 語学級設置する際の課題はどのようなことで、その課題に対してこれまでどう対応し、今後どう課題をクリアしようとしているのでしょうか。質問の第3は、来 年度設置すべきと考えますがいかがでしょうか。質問の第4は、万が一、区立中学校への日本語学級設置を来年度は見送らざるを得ないとしたら、初期集中指導 の時間数を抜本的に増やすなど、日本語サポート事業の充実強化を急ぐべきと考えますがいかがでしょうか。子どもの成長にとって1年の遅れが与える影響は重 大です。迅速な対応が求められていることを踏まえ、質問にお答えください。

    外国にルーツを持つ子どもへの支援についてお答えします。

    まず、日本語学級設置について、教育委員会として学校や都とどのように検討・協議をしてきたのかについてのお尋ねです。

    教育委員会では、今年1月から3月の間、新宿中学校に教育センター内にある国際理解室の指導員を活用した「日本語サポート教室」を試行的に開設し、指導の成果や課題について整理を行ってまいりました。

    また、今年度に入り、日本語指導のための加配教員が配置された中学校において、子ども達の授業を実際に観察するとともに、校長と日本語指導の効果や支援の充実について協議を重ねております。

    東京都教育委員会とは、日本語学級の設置に関する手続きや教員の配置、指導内容等について、現在も協議を継続しており、その中では、日本語学級の設置と先ほどの日本語指導の加配教員は併用できないことなどを確認しています。

     

     

    (教育長)

    次に、区立中学校に日本語学級を設置する際の課題とこれまでの対応、今後の課題解決についてのお尋ねです。

    日本語学級では、普段は通常の学級に在籍している子ども達を、国語などの特定の授業において、別室に取り出して日本語指導を行っています。日本語指 導に特化した環境の中では、学習意欲が高まり、集中して学ぶことが期待できる反面、中学生ともなると自分一人だけが学級から離れて指導を受けることへの不 安や、友人同士の関わりから別室指導を受けたがらないなどの課題もあります。

    また、日本語指導では、個々の習熟の程度に応じて、ティームティーチングや取り出し指導を行うなど、柔軟な対応も必要となりますが、配置される教員は、日本語学級の担当以外に活用できないといった制約があります。

    昨年度に実施した「日本語サポート教室」を通しては、「学習内容をより円滑に理解させるための母語を話せる指導者の確保」や「専門教科以外の指導者の指導方法や教材の扱い」に課題があることが分かりました。

    日本語学級、加配教員、どちらの場合でも日本語の指導が必要な児童・生徒にとって、より十分な日本語学習の機会を提供することが重要であり、双方の 効果を整理し、児童・生徒にとって望ましい日本語指導の在り方を、検討してまいり次に、来年度、区立中学校に日本語学級を設置すべきとのお尋ねです。

    教育委員会としては、日本語学級の設置については、日本語の指導が必要な子ども達への支援として、有効な方策の一つであると捉えています。

    加配教員が配置されている中学校における日本語指導の状況を踏まえつつ、個々の支援策の効果や課題の比較・検討を重ねながら、今年度実施する「外国にルーツを持つ子どもの実態調査」の結果なども参考に、対応を判断してまいります。

    次に、日本語学級の設置を見送らざるを得ないとしたら、日本語サポート事業の充実強化を急ぐべきとのお尋ねです。

    日本語の指導が必要な子ども達に対しては、日本語学級の設置の如何にかかわらず、適切な支援を迅速に講じることが必要であると考えています。教育委 員会では、現在実施している日本語サポート指導や放課後の日本語学習支援といった新宿区独自の事業を十分に活用し、日本語の習得状況に応じた柔軟な対応を 取ってまいります。

     

     

    再質問(沢田区議)

    新宿区の地域防災計画の見直しについてスケジュールを明確に示してほしい。

     

     

    (区長室長)

    新宿区は2段構えで見直しをしていく。

    まず、今年度内に今回の課題等に対応した区の防災計画の改定を行います。

    東京都が示す対策については平成24年夏を目途に改定されると思われるため、それが示されたのちに、それらを反映させた防災計画の改定を防災会議に付議していきます。

     


    区議会活動 | 沢田あゆみ

    2011.06.08 更新

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