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区議会活動
社民党区議団と共同で「区内4警察署への65歳以上高齢者名簿の外部提供」中止を求める申し入れ
6月26日、日本共産党区議団と社民党区議団は吉住健一区長に対し、「区内4警察署への65歳以上高齢者名簿の外部提供」中止を求める申し入れを行いました。
2018年6月26日
新宿区長 吉住健一 様
日本共産党新宿区議会議員団
社民党新宿区議会議員団
「区内4警察署への65歳以上高齢者名簿の外部提供」中止を求める申し入れ
5月31日に開催された新宿区情報公開・個人情報保護審議会において、「区内4警察署への65歳以上高齢者名簿の外部提供について」の諮問・報告がされました。その内容は、65歳以上高齢者区民の名簿(氏名・フリガナ・住所・生年月日)6万7000人分を区内4警察署(新宿・四谷・牛込・戸塚)に外部提供し、警察署は「区内高齢者宅全戸を戸別訪問し、留守番電話機能の設定や区が購入した自動通話録音機の貸出を行い、特殊詐欺被害の根絶を図るものである」として、実施にあたって「特殊詐欺根絶対策の実施に必要な情報の提供に関する協定書」を区と警察署との間で締結するとしています。
審議会では、委員から「詐欺を誘発するのではないか。」「全員分の名簿を渡すのではなく他のやり方があるのではないか。」「法律から言うと渡さないのが原則。結果として個人情報が警察に蓄積されていくことになるのでは。」等々、問題点が多数指摘され、差し戻しとなりました。
そもそも、個人情報保護条例では「目的外利用の制限」として12条1項で、「実施機関は、保有個人情報を区の機関以外のものに提供してはならない」と原則禁止しており、同条2項で例外的に、本人の同意があるとき(1号)や法令に定めがある場合(2号)、生命身体財産の保護のために緊急に必要がある場合(3号)、さらに、審議会の意見を聴いて実施機関が特に必要があると認めたとき(4号)に提供できるとしています。同条例は、区民の情報コントロール権を保護するために行政機関による個人情報の収集・保有・利用等に関して制約を設けたものなので、「特に必要があると認めたとき」は無限定ではなく、必要かつ合理的で本人同意に優越する利益があると認められた場合に限られるべきで、今回区が行おうとしている外部提供は区条例の制度・趣旨に反すると言わざるを得ません。審議会の説明では本人の同意を得るのではなく、区の広報で周知し不同意の人には申し出てもらうというやり方で、これでは同意を得たことにはなりません。
これほど大規模な警察への名簿提供は23区では例が無く、千葉県で唯一、特殊詐欺防止等のため65歳以上の高齢者名簿を提供していた千葉県野田市では、対象の市民13人からの異議申し立てを受けた市情報公開・個人情報保護審査会の2016年6月22日答申で「公益上特に必要とは認められない」とされ名簿提供をやめました。特殊詐欺は日々発生しており、巧妙化しています。直近では、はがきや携帯電話を使った特殊詐欺で被害が発生していますが、これは固定電話の対策だけでは防げません。今回の区のやり方では、逆に新たな詐欺を誘発しかねません。特殊詐欺被害を防ぐには、多くの高齢者に素早く情報提供を行うことが肝要であり、その点でも区の対応はまだ不充分であると言わざるを得ません。
警察に提供された個人情報の管理についても、漏洩防止のための充分な措置が必要ですが、戸別訪問の際の紛失等、起こりえる事象について協定書には記載がなく、最近でも新宿警察署の警察官による暴力団関係者に対する捜査情報漏洩問題などを考えると、区民にとっては不安でなりません。
よって、区内4警察署への65歳以上高齢者名簿の外部提供は中止し、特殊詐欺対策についてはより効果的な対策をとることを求めるものです。
以上
※申し入れ文書のPDFは画像をクリックしてください。
2018.07.03 更新