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    2014年区議会第3回定例会 一般質問

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    日本共産党新宿区議団のあざみ民栄です。

     

    私は、建築物の解体工事をめぐる紛争防止策について一般質問いたします。

    近年、更新時期を迎えた家屋、ビル・マンション等の建てかえや再開発がふえ、それに伴い解体工事も区内のあちこちで行われています。

    新宿区では、昨年度、騒音規制法及び振動規制法に定められた「特定建設作業」は755件、「新宿区における建築物の工事に係る騒音等の紛争の予防に関する要綱」に基づく床面積80平米以上の建築物は419件、またアスベスト含有建築物解体工事は118件と大変多くなっています。

    そうした中、環境対策課公害係に寄せられる苦情件数も解体を含む建設作業に関する苦情が最も多くなっており、昨年度は苦情総数140件のうち85件となっています。

    新宿区は、2005年に「新宿区における建築物の工事に係る騒音等の紛争の予防に関する要綱」を策定し、これに基づいて指導を行っています。

    担当課職員の皆さんが日々努力されていることは十分承知していますが、解体工事をめぐる近隣トラブルは後を絶ちません。

    私も区民の皆さんから、「解体工事の被害をもっと軽減できないのか」、「行政はもっと業者を厳しく指導できないのか」など、たびたび御相談を受けます。 ある解体工事現場の隣に住む高齢の女性は、振動と騒音に苦しみ、体調を崩して入院を余儀なくされました。

    別の現場では、境界部分の塀をお隣に連絡せず壊し始めトラブルになりました。また、1枚の周知チラシがポストに投げ込まれただけで1週間もしないうちに解体工事が始まったという例もあります。 私は、紛争を防止するためには現行の要綱を改善することが求められていると考え、以下質問します。

     

    1つは、要綱を条例にすることです。

    要綱は、言うまでもなく行政の内部規定であり、法的拘束力はありません。

    ですから、発注者や請負業者に指導するとはいっても、それは「お願い」になってしまいます。せっかくさまざまな措置を規定しても、やるかやらないかは発注者・業者次第では意味がありません。 渋谷区は、要綱ではなく「解体工事計画の事前周知に関する条例」を定めています。

    担当者にお話を伺ったところ、「制定当時、アスベスト被害への社会的関心が高く、しっかりと規制するには条例が必要と考えた。施主・業者には『法令遵守』という意識を持ってもらっている」とのことです。新宿区も実効性のある指導ができるよう法的拘束力を持つ条例にすべきと考えますが、いかがでしょうか。

     

    第2に、近隣への周知についてです。

    解体作業に伴う苦情は、騒音・振動・粉じんに関することが実際多いと思います。

    しかし、それらも工事開始前に近隣住民に対し十分に周知・説明し、理解していただければ、工事中の苦情も幾分緩和されるのではないでしょうか。 新宿区の要綱では、解体工事の標識設置は工事開始の2週間前までとなっています。

    しかし、23区でも渋谷区、港区、足立区などは30日前です。新宿区も標識設置を30日前にすべきと考えますが、いかがでしょうか。

    標識設置に続き、説明については、区の要綱では工事開始1週間前までに行うこととなっています。1週間前では余りにも短過ぎます。

    せめて2週間前までにすべきではないでしょうか。

    また、一定の規模以上の解体については、戸別説明ではなく、説明会の開催が必要ではないでしょうか。

    品川区は、3階以上または地下がある、または床面積500平米以上の建築物の解体に当たっては、「説明会によるものとする」としています。ただ、品川区も要綱なので実際は義務ではありませんが、昨年度は対象の1割から2割程度が説明会を行ったそうです。 渋谷区は、延べ床面積3,000平米以上かつ高さ20メートル以上の建築物の解体は説明会を義務づけています。新宿区も一定の規模以上の解体工事については説明会を義務づけてはいかがでしょうか。

     

    第3は、隣接建築物に対する事前の家屋調査と補償についてです。

    どんなに配慮しても、解体工事によって隣接の建築物に何らかの被害が発生するケースは多々あります。

    最近は事前の家屋調査を行うようになりつつありますが、中には住民が繰り返し求めてやっと行う業者や求めても行わない業者もいるようです。

    品川区や大田区の要綱では「説明事項」の中に、「近隣住民の財産損傷についての対策」を位置づけています。

    大田区はこれに基づいて「損傷させた場合は補償しなさい」という指導を行っているそうです。新宿区として、事前の家屋調査と隣接建物を損傷した場合の補償を行うことを発注者等に求める必要があると考えますが、いかがでしょうか。

     

    第4は、工事期間中の近隣への対応についてです。

    事前に大まかな工事期間・工程の説明が行われますが、工事期間中はより細かい作業工程の周知が必要です。

    月間工程表や週間工程表を作成し、現場に表示するとともに、近隣住民に配布すべきです。

    また、工事期間中の問い合わせ、苦情窓口を明確にさせることが重要です。住民が現場で作業員に話をしても通じず、「どこの誰に言えばいいのかわからない」ということをよく聞きます。こうした対応についても発注者に対し、「講ずるべき措置」として求めてはいかがでしょうか。

     

    第5に、安全対策についてです。

    先月21日、中央区のビル解体現場で鉄製パネルが倒れ、歩行者の男性が死亡する事故が起きました。

    私たちは、一昨年大京町の解体工事事故を受け、第4回定例会で解体工事の安全対策について質問しました。事故を機に国土交通省から出されたガイドラインを「建築の手引き」に掲載することを求めたところ、「掲載する」との答弁でした。

    また、安全を確保するための条例を制定することなどを求めましたが、「条例ではなく建築基準法等に基づき事故の未然防止に努める」と答弁されました。その後の取り組み状況についてお聞かせください。安全対策については、国のガイドラインを踏まえた内容を要綱に盛り込んではいかがでしょうか。

     

    第6に、「建築の手引き」についてです。

    「建築の手引き」には、解体についての記述がありません。

    建物を建築する場合、多くは更地からではなく、今ある建物を解体することから始まります。「建築の手引き」は施主や施工業者、また近隣住民にとっても大変役立つ冊子です。「建築の手引き」に解体を位置づけ、要綱の内容を掲載すべきと考えますが、いかがでしょうか。

    以上、答弁を求めます。

     

    答弁  環境清掃部長(柏木直行) あざみ議員の御質問にお答えいたします。

     

    初めに、「新宿区における建築物の工事に係る騒音等の紛争の予防に関する要綱」を条例にすべきとのお尋ねです。

    この要綱は、工事に係る騒音等の紛争予防を目的とし、「騒音規制法」や「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」に規定のない事前周知について定めています。 要綱であるため拘束力はありませんが、現場や周辺環境、住民要望等さまざまな実態に合わせた柔軟な指導を行うことができます。

    また、標識設置や近隣説明の内容について報告書の提出により履行されていることを確認しています。このため、現在条例化は考えてはおりませんが、要綱の実効性が保たれるような確実な運用に努めてまいります。

     

    次に、近隣への周知についてのお尋ねです。

    解体工事による紛争の予防のためには、近隣住民への事前の周知は極めて重要であり、より早い時期での説明が効果的です。

    特に、今後、東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、大規模工事の増加が予想されることからも、工事規模に応じた周知時期の前倒しを検討いたします。

    なお、一定規模以上の解体工事についての説明のあり方については、今後十分な検討が必要と考えております。

     

    次に、事前の家屋調査と隣接建物を損傷した場合の補償を行うことを発注者等に求めるべきとのお尋ねです。

    建物を損傷した場合の補償については、当事者間で解決すべき問題と考えています。

    なお、解体工事の前に建物を調査することは、近隣住民と事業者間の信頼関係を構築し、紛争の予防に役立つことから、要綱に加えるよう検討してまいります。

     

    次に、工事期間中の近隣への対応についてのお尋ねです。

    要綱では、工程表の住民への周知は規定していませんが、長期間にわたる解体工事については、作業工程の周知について「講ずべき措置」に追加することを検討いたします。

    なお、工事期間中の問い合わせ先につきましては、既に要綱で標識に記載することとなっているため、今後も工事業者には確実に履行するよう指導いたします。

     

    次に、建物の解体工事の安全対策についてのお尋ねです。

    解体工事における事故の未然防止対策については、区職員が工事現場のパトロールを行い、現場の状況に即した安全化指導を行っています。

    このパトロールでは、工事現場の仮囲いや瓦れきの落下、重機・足場の転倒などに対する防護措置の実施状況について指導し、昨年度は周囲への影響が懸念される解体工事現場などについて79件、本年度はこれまでに19件の安全指導を行いました。

    御指摘の国のガイドラインについては、解体工事における近隣への配慮を求めるチラシに掲載し、建設リサイクル法に基づく届け出の際に、解体業者やその発注者に周知を図っています。

    今後は、このチラシを「建築の手引き」に挟み込むとともに、「建築の手引き」の改訂に合わせて、国のガイドラインの概要を掲載いたします。

    また、御指摘の要綱には、国のガイドラインを遵守する旨の規定を盛り込んでまいります。

     

    次に、「建築の手引き」に解体を位置づけ、要綱の内容を掲載すべきとのお尋ねです。

    「建築の手引き」には、既に要綱の届け出対象について記載はしておりますけれども、今後の改訂に合わせて解体工事を位置づけ、より詳しい要綱の内容を記載してまいります。 以上で答弁を終わります。

     

    あざみ民栄 

    御答弁いただきまして、ありがとうございました。

    幾つか前向きな答弁をいただいたので、ありがとうございます。

    早急に実現をしていただきたいというふうに思います。 実際、先ほども御答弁で2020年というお話がありましたけれども、それがあってもなくても更新時期を迎える建物というのが本当に多いなというふうに最近特に実感しているところです。そういったことが今後ますますふえてくるということでは、しっかりとした区の体制というんでしょうか、指導のツールとして要綱を条例化というのは、1つ大きいものではないかというふうに私は思います。 他の自治体のことを調べている中で、法的拘束力があるかないかというのが役所にとっては違うというようなお話も大分伺いましたので、そこは引き続き研究・検討をしていっていただきたいと思いますし、私もそこは今後機会があれば、また議論をさせていただきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

    区議会活動 | あざみ民栄

    2014.09.20 更新

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