-
区議会活動
2011年第3回定例会 代表質問
2011年09月15日に行なわれた第3回定例会での代表質問です。
<これはあくまでも概要です。新宿区議会の議事録が出来次第入れ替えます。ご了承ください。>(田中区議)
第3回定例会にあたって日本共産党区議団を代表して区長ならびに教育委員会に質問いたします。
3月11日の東日本大震災以来、6ヶ月が経過しました。また先日の台風12号は紀伊半島を中心に甚大な被害を及ぼし13日現在なくなった方63人行方不明の方33人に及んでいます。なくなられた方のご冥福を心からお祈りするとともに、被害を受けた皆さんにお見舞い申し上げます。台風12号の被災地、東日本大震災の被災地の復興、原発事故の一刻も早い終息と放射能汚染の対策が求められています。
野田内閣発足わずか9日 目にして無責任な失言による鉢呂経済産業大臣の辞任という国民からみれば、またか、いいかげんにしろといわんばかりのあまりにもあきれた事態がおこってい ます。辞任は当然であり、野田首相の任命責任も極めて重いといわざるを得ません。どじょう内閣と評され泥臭い政治はあたかも復興支援や原発事故の終息への 国民へのアッピールでしたが、国民の期待をするりと通り抜け、つかみどころのない内閣という印象を与えているのではないでしょうか。ミスター増税とよばれ る野田首相の財界べったりの姿勢、法人税の実効税率の引き下げや消費税増税への意欲、いまだ福島原発事故が終息しないなかでの原発の再稼動への意欲などこ の内閣で本当に復興と原発事故への対応ができるのか国民のなかに不安や不信が広がっています。わが党は野田内閣のもとで引き続き被災地の復興支援や原発か らの撤退めざし奮闘する決意です。
1、放射能から子どもと区民をまもる施策について
政府は、東京電力福島第1原発事故で放出されたセシウム137が、広島型原爆の168個分になるという試算を発表しました。また国 立環境研究所の地域環境研究センター長の大原利真(としまさ)さんらのシュミレーションでは、東京電力の福島第一原発事故で、大気中に放出された放射性物 質は、岩手県南部から静岡県西部までの広い範囲に拡散しているとみられ、専門家は長期的な計測が必要になるとしています。東京では6,7月と連続して人口が減少。6月の減少は15年ぶりで東京都は原発事故を受け西日本へ転居した人が増加したことも要因のひとつとみています。原発事故の影響は区には出ているのか、外国人の來区、転居などによる人口の変動など区が震災や原発事故の区政や区民生活への影響をどうみているかお答えください。わ が党の第2回定例会での質問に対し、原発から撤退すべきかどうかという点では明確な答弁がありませんでした。区長が原発に対してどのような立場に立つのか は、放射能汚染から区民の命をまもる今後の対策にも大きく関わります。原発から撤退する立場に立って、国に対しても原発からの撤退を求めるべきと考えます がいかがでしょうか。
私たちは、8月29日、内部被曝の専門家、矢ヶ崎克馬琉球大学名誉教授を講師に講演会を行い、160名の方が参加されました。放射性微粒子を吸い込んだり飲食物から摂取する内部被曝は、ガンになる危険が高まり、対策をただちに講じる必要性を改めて認識しました。
新 宿区でも6月23日から7月27日まで196か所で放射線量の測定が行われ、また、給食のサンプリング検査も先日行われました。私たちは、9月8日、区長 に対し「放射能から子どもと区民をまもるための申し入れ」を行いました。今、区に求められているのは、少なくともICRP(国際放射線防護委員会)が定め る年間被曝1ミリシーベルトに達しないよう、無用な被曝は避けるための対策を講じることです。
現 在広く使われているICRPの年間積算線量を推計する計算式は、屋外に8時間、木造家屋内16時間居ると仮定し、屋内は屋外の被曝量の40%という係数を 掛け、さらに自然放射線量の毎時0.05マイクロシーベルトを差し引いて計算します。新宿区が196か所測定した中で、最も高い毎時0.2マイクロシーベ ルトをこの計算式に当てはめると、年間0.78ミリシーベルトとなりICRPの基準である被曝許容量の年間1ミリシーベルトを下まわりますが、実際には屋 外より屋内の方が高い場合もあり、計算式自体も専門家の中でも意見がわかれています。千代田区、足立区、江東区、葛飾区、墨田区では毎時0.25マイクロ シーベルト、年間換算1.05ミリシーベルトの基準を設け、これを超えた場合は、学校や公園の砂場の土を交換しています。なるべく被曝はしないことが良い のですが、少なくとも年間1ミリシーベルトを上回らないよう対策が必要です。
対 策の第1は、定期的な放射線量測定についてです。区は、定期測定を行うのは週1回、区役所と牛込弁天公園だけです。子どもが過ごす施設で定期的な測定をす るために、放射線量測定器を各小中学校、保育園、子ども園、幼稚園に置くべきです。それまでの間は、区が少なくとも毎月継続して放射線量を測定し、公表す べきと思いますがいかがですか。さらに区内の計測値を記した放射線量マップをつくるべきと考えますがいかがでしょうか。少なくとも年間1ミリシーベルト、 毎時0.25マイクロシーベルトを超えた場合は除染のため、砂場は砂の入れ換えを行うべきと考えますがいかがでしょうか。
対 策の第2は、給食等の放射線量測定についてです。この9月に給食のサンプリング検査が20施設で行われたことに区民のみなさんから、「心配だったのでやっ てもらって良かった。」という声がたくさん寄せられています。一方で、「自分の子どもの学校でもやってほしい。」「もっと細かく検査してほしい。」という 要望も寄せられています。
杉 並区では、独自に検出器を購入して学校、保育園など115施設の給食の検査を始めることになりました。杉並区の危機管理室は「民間に検査を依頼すればその 分被災地からの検査需要を圧迫しかねない。日々子どもの口に入るものだけに2、3年は徹底的に調べて不安を解消したい」と説明しています。新宿区でも食品 検査機を購入し、独自に検査すべきと考えますがいかがでしょうか。また、給食の産地表示は、各施設任せでなく、小中学校は教育委員会が、保育園、子ども 園、認可外保育園などは子ども家庭部が集約しホームページに掲載すべきです。給食のサンプリングは、品目ごとに定期的に行い、給食に安全、安心な食材を確 保するために必要な予算措置を講ずるべきと考えますがいかがでしょうか。
また、消費者の不安を解消するため、現在行っている収去品検査を大幅に拡充し、放射線にも対応すべきと考えますがいかがでしょうか。
対 策の第3は、飲料水についてです。水道水の検査は、東京都健康安全研究センターでも行われていますが、そのほかに、毎月区内数カ所で行うべきではないで しょうか。放射性物質が検出された場合は、学校・保育園等に放射性物質を取り除く効果のある逆浸透膜装置の浄水器を設置することとし、それまでの間は、給 食調理に用いる水は軟水のミネラルウォーターで対応すべきと考えますがいかがでしょうか。
対策の第4は、放射能対策室の設置についてです。現在放射能問題にすべて対応する担当窓口はなく、東日本大震災被災者支援等対策本部の放射能影響等対策部会で対応しています。千葉県柏市では8月19日に環境部内に室長以下4名の職員を配置する放射能対策室を設置し積極的な対応をおこなっています。同じく千葉県の我孫子市、埼玉県の三郷市でも設置されていますが、新宿区も対策室を設置し、総合的な相談窓口を置くべきではないでしょうか。
次に、国と東京都に要望することについてです。日本の甘すぎる基準値そのものを見直す必要があります。水道水のヨウ素131は日本が1リットルあたり300ベクレル、乳幼児は100ベクレルなのに、アメリカは0.111ベクレル、WHOは10ベクレルです。
国 や都に対して、規制値についてはせめてWHO並に見直し、各自治体が、徹底した放射能汚染調査や除染対策ができるよう放射能測定機器を必要数貸与するとと もに、財政的支援を行うよう求めるべきです。また、放射能に関わる補償を国と東京電力が全力でおこなうことも求めるべきと考えますがいかがでしょう
(区長)田中議員のご質問にお答えします。
放射線から子どもと区民を守る施策についてのお尋ねです。
まず、原発事故による人口変動などへの影響についてです。
新宿区の人口は、9月1日現在で31万7,528人で、昨年の9月1日と比べると、1,792人減となっています。その内訳を見ますと、日本人は、930人の増で、震災直前の3月1日と比べても858人の増となっています。外国人については、昨年の9月1日と比べると2,722人減となっています。転出数が多いのは、国籍別にみると韓国又は朝鮮の方が13.5パーセント減、フランスの方が13.1パーセント減となっています。これは放射能影響への不安も原因であると推測しています。
次に、国に対して原発からの撤退を求めるべきとのお尋ねです。
原発事故では、当初の公式発表が不十分であったことや、政府や関係者の説明を上回る放射能汚染の実態が次々と露呈したことなど、不手際な対応に振り回されたと思っています。また、情報が的確に伝えられなかったことから、区民の放射能に対する不安も増大しています。こ のような状況をみると、現状のままで原子力発電所を運転していくことは適切とは言えません。一方で、この夏は電力の供給力が不足していたことも事実です。 また、緊急事態として火力発電が増強されてはいますが、地球温暖化対策を考えれば適切とは言えない面もあります。さらに、提唱されている自然エネルギー、 再生可能エネルギーについても、まだまだ需要に応えることは難しいだろうといわれています。
こうした見えてきたすべての課題について、正確な情報をできる限り公開したうえで、専門家、関係者、住民の代表などによる真摯な議論を通じ、国民全体での議論を深め、我が国のエネルギー政策の将来を検討することが必要であると考えています。
次に、放射線量測定についてのお尋ねです。
これまで区は、区内での空間放射線量について、小中学校、保育園、子ども園、児童館、幼稚園、公園等201か所で測定してきました。東京都健康安全研究センターでは、以前から継続して測定していますが、併せて区役所第1分庁舎前、牛込弁天公園の2か所でも週に1回定期的に測定しています。いずれも年間1ミリシーベルトに満たない値が続いていることから、今後新たな事態が生じない限り区内では安定した状態がつづくものと考えています。このためすべての施設で定期的な測定を行う必要はないと考えていますが、必要に応じて測定ができるよう、放射線測定器を、子ども家庭部、教育委員会、みどり土木部に、各1台ずつ、配備しています。
次に、放射線量マップの作成についてですが、区内全域で高い測定値は出ておらず、全域が安全域であるためマップを作成する意味はないものと考えます。
次に、砂場については、現在高い値が測定されていませんが、今後の状況によっては、必要に応じて除染を行います。
次に給食等の放射線量測定についてのお尋ねです。
現在、消費者庁では、消費者の安全・安心確保に向け、地方自治体における食品等の放射性物質検査体制整備を支援するため、地方自治体に対し放射性物質検査機器の貸与を計画しています。この検査機器を借用できることになった場合は、機器を有効活用した食品等の検査を検討してまいります。
また、給食食材の産地をホームページに掲載することについてですが、公私立保育園、子ども園、認可外保育施設といった多くの施設から、毎日品目ごとの産地の情報を集約することは、施設側にも所管課にも非常に多くの負担がかかることになります。現 在、区立保育園・子ども園では、給食の食材の産地表示を給食サンプルの場所に掲示し、保護者の方々に毎朝ご覧頂けるようにしており、私立保育園や認証保育 所、保育室等についても、同様の実施を依頼しています。こうしたやり方の方が、保護者との直接的な情報交換も可能であり、効果的であると考えています。
次に、給食の放射能測定検査は、9月7日に公私立保育園6園、子ども園1園、認可外保育施設3園及び子ども総合センターの給食について、献立を一括して測定する方法で実施しました。検査の結果、測定した給食のすべてで、セシウム134、セシウム137、ヨウ素131等の放射性物質は不検出でした。今後、放射性物質検査機器を借用し、区が独自に食材の検査を実施する場合は、検査に必要な食材費についての予算措置も必要であると考えています。
次に、収去品検査を大幅に拡充し、放射線にも対応すべきとのお尋ねです。
現 在、食品中の放射性物質に関する国の「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」により、食品の産地である17都県において、出荷前に放射 性物質検査を行っています。暫定規制値を超えた場合には、出荷制限や摂取制限が行われます。また、暫定規制値に近い値が検出された場合には、その該当する 都や県での検査体制が強化されています。このことから、区としては、現在、市場に流通している食品は安全であると認識しています。したがいまして、食品衛生法に基づく、違反食品の発見を目的とした、収去検査での放射性物質の検査を実施する考えは、現在のところありません。
次に、飲料水についてのお尋ねです。まず、水道水の検査を区内でも行うべきではないかとのお尋ねです。区内に供給されている水道水は、水道事業者である東京都水道局が、金町等各浄水場で毎日、放射能検査を実施しており、放射能汚染が発生した場合は、浄水場で最初に検出されます。東京都健康安全研究センターでも毎日、蛇口からの検査を実施し安全を確認しています。指標値を超える場合は、東京都が給水や摂取の制限及び代替水の供給措置を取ることとなっていますので、区独自に検査する必要がないものと考えています。また、公私立保育園等では、水道水に放射性物質が検出された場合等の対策として、ミネラルウォーター12,500リットルあまりを確保しています。緊急時には、それで給食調理等に対応いたしますので、浄水器の設置は考えていません。
次に、放射能対策室を設置し、総合的な相談窓口を置くべきではないかというお尋ねです。
区では、放射能影響等対策部会を設置し、区が一丸となって対策をとるとともに、各部各課が連携して相談にも対応してきました。放射線の測定全般については環境清掃部が、健康影響等については健康部が窓口として、様々な相談に応じています。相談内容は、測定やその結果に基づく健康影響、施設の空間放射線量や給食の食材の産地等多岐にわたり、それぞれ専門性も高いことから、連携して対応しています。今後も各部各課にわたる相談についても次に、基準値の見直しや財政的支援、補償等を国や都に要望すべきとのお尋ねです。、総合的に対応していきます。
基準値を定めることは、放射能に関する調査や対策の基本と認識しています。また、基準値が明確ではないことが区民の不安材料の一つにもなっています。した がって、国には、専門的立場から十分な議論をし、根拠を明確にしたうえで、一日も早く基準値を定めるよう要望してまいります。放射能測定機器については、都からの貸与に加え消費者庁からも貸与が予定されていますが、財政的支援を含め今後も必要な支援を求めていきます。また、国や東京電力への補償に関することにつきましても、必要に応じて特別区長会を通して国や都に要望してまいります。
(教育長)教育委員会へのご質問にお答えします。
給食等の放射線量測定についてのお尋ねです。
区長の答弁にありますように、放射性物質検査機器を借用することになった場合は、検査機器を有効活用した食品等の検査を検討してまいります。小・中学校では、給食の食材の産地表示を給食サンプルの場所に掲示し、保護者の方々にご覧頂けるようにしています。教育委員会が集約することは、自校方式であること、また、日々膨大な量になるため考えておりませんが、学校にはホームページへ掲載するよう極力求めています。
給食のサンプリング調査については、9月7日に小学校6校、中学校2校及び養護学校の給食の献立のすべてを各学校ごとに放射能検査を実施いたしました。検査の結果は、すべての学校において不検出でした。また、牛乳の検査でも不検出でした。検査機器が貸与され、区が独自に食材の検査を実施する場合は、検査に必要な食材費の予算措置を講じたいと考えております。
次に、飲料水の放射能対策についてのお尋ねです。
現在、水道水の放射性物質は、東京都健康安全研究センターの測定で不検出です。仮に、水道水から基準値以上の放射性物質が検出された場合は、学校給食の実施には大量の水が必要なため学校給食を中止せざるをえないと考えております。そのため、浄水器の設置等は考えておりません。
(田中区議)
2、区財政と第二次実行計画について
現在区では2012年度予算の見積もりについての依命通達が9月1日に出され、予算編成が進められています。2010年度決算には3月11日の東日本大震災や福島第一原子力発電所の事故の影響は少なく本年度や来年度予算に大きな影響を及ぼすことは明らかです。また、2012年度は2012年度から2015年度までの第二次実行計画の初年度であり、あわせて区長のマニフェストの2年目であり、この第二次実行計画は区長のマニフェストの達成度も問われてきます。したがって、区の財政運営も第二次実行計画の財政フレームとリンクして行われるものになるのではないでしょうか。
依命通達では2012年 度予算は「将来を見据えた財政の持続性をめざすとともに、喫緊の課題に即応し、基本構想の実現に向けて、第二次実行計画達成の堅実な道筋をつける予算」と 位置付け、①震災対策をはじめとする区政の緊急課題に的確に対応すること、②決算実績に基づく大幅な経費削減と徹底した事務事業の見直しを行うことを基本 に、編成するとしています。
まず最初に、区長のマニフェストの実行と第二次実行計画の関連についてお伺いします。すでに国では自民党などがマニフェストの放棄を民主党政権に迫る中でマニフェストからの撤退がはじまっています。区長就任からほぼ1年が経過し、東日本大震災、原発事故という新たな情勢を踏まえ、区長はマニフェストをどう実現しようとしているのか、それを第二次実行計画の中でどのように反映しようとしているのかお聞かせください。
今回は素案を区民討議会による「事業仕分け」の判定結果とともに地域説明会やパブリックコメントによせられた意見とあわせて総合的に判断し反映させるとしています。素案の策定日程や、地域説明会やパブリックコメントの実施時期についてもお答えください。10月17日から柏木地域センターを皮切りに「区長と話そうしんじゅくトーク」が10ヶ所で開かれ、今回は現在策定中の区の第二次実行計画の地域説明会を兼ね、さらに、高齢者保健福祉計画・第5期 介護保険事業計画、健康づくり行動計画を一緒に説明し質問を受け付け、加えて自由なテーマでの意見交換もおこなうとしています。自治基本条例制定後初めて の区民参加が問われる取組みとして、果たしてこの取組みがそれにふさわしいものになるでしょうか。本来ならばそれぞれの計画ごとに地域説明会が求められて いるのではないでしょうか。特に介護保険料案を提案した後は独自に説明会を行なうべきだと思いますがいかがですか。
区民の中には「区はお金がないんじゃないか」という声をよく耳にします。23区の2010年度決算がでそろい、全体では歳入、歳出ともに前年度よりも減少していること、そして経常収支比率が前年度よりも3.6%アップし、財政状況が厳しくなっていると言われています。一方、新宿区は過去最高の予算規模であり実質単年度収支は赤字、経常収支比率は87.8%と財政の硬直化がすすんでいると評価されています。区財政は、区民生活や震災対策などを盛り込んだ2012 年度予算編成や第二次実行計画を推進することに対応する財政力があるでしょうか。
港区や渋谷区は財政力指数が1を超えながら経常収支比率は渋谷区は前年比で10.2%のび92.5%です。港区は前年比8.8%アップし73.2%になっています。これをみると経常収支比率は人件費や扶助費、公債費など経常的経費の割合を示すが、それが直接財政の豊かさを示すものにならないことがわかります。新宿区は財政力指数や公債比率は23区平均よりも高く、基金残高も含め比較的安定的な財政運営であると評価できるのではないでしょうか。2010年度決算に対する評価と現在の区の財政状況についてその評価をお聞かせください。また、第二次実行計画の財政フレームをお示しください。
103億円の基金の減少も待機児童解消策など区民の要求に積極的にこたえたものが含まれています。その点では基金が財政運営上有効に活用されているといえるのではないでしょうか。
依命通達では予算編成を行うにあたって、決算実績に基づく大幅な経費削減と徹底した事務事業の見直しを行うとして、「政策推進経費」の廃止、一般財源充当目途額のシーリングであわせて一般財源20億円の削減を掲げています。2010年度決算では執行率は昨年度よりは減少したとはいえ93.1%、不用額はほぼ95億円です。例えば産業経済費は執行率76.3%、不用額は融資資金の貸付等の実績等約12億円、健康費は執行率83.8%、生活習慣病予防事業等の実績による不用額5億円など約24億 円になります。この執行率と不用額をどのように評価し、来年度予算編成へどのようにのぞむのかお示しください。当然適切な見積もりをするとともに区民生活 に影響することなく、逆に区民のニーズを掘り起こしきれていない事業についてはあらためて需要の把握と区民ニーズの掘り起こしをすべきと思いますがいかが ですか。
この項の最後は上落合1-276-1の旧国際学友会跡地の取得・活用についてです。
これまで区はこの国有地の取得についての質問に取得するつもりはないと答弁をしています。 この国有地は公用・公共用の取得等要望を受け付ける物件としてこの9月1日からホームページに掲載され、受付期限11月30日までの3ヶ月間、新宿区や東京都などの地方公共団体、社会福祉法人とうの取得、また保育所、介護施設等社会福祉法第2条に規定する社会福祉事業の用に供する場合の定期借地権を利用した貸し付けを受け付けています。今回取得した弁天町の国有地と同程度の敷地面積であり、多様な行政需要に答えることができるのではないでしょうか。
第二次実行計画やマニフェストの実現の立場からみると特別養護老人ホームの建設、保育園の待機児童の解消めざし受け入れ枠1000人の増、障害者の作業所などの拡大などの行政需要が求められています。
また、当面は工事事務所・公園事務所や地域図書館の仮施設としても活用できるのではないでしょうか。
区長のマニフェストや第二次実行計画からみても十分に行政需要が見込まれています。下落合駅付近の国際学友会跡地を取得または貸付など活用すべきと思いますがいかがですか。
(区長)区財政と第二次実行計画についてのお尋ねです。
はじめに、震災等の新たな情勢を踏まえた区長マニフェストの実現と第二次実行計画への反映についてです。
私 は、昨年11月の区長選挙の際のマニフェストで、そこに掲げた施策については第一次実行計画や第二次実行計画で財源を担保、または各年度の予算で措置する ことを示しました。平成24年度以降に実施する施策のうち、計画的に進めるべきものは第二次実行計画に盛り込み、計画事業として実施してまいります。
ま た、第二次実行計画の策定にあたり、3月11日に「社会状況の変化に伴う新たな行政需要や区民生活が直面する課題等に的確に対応した計画とする」ことを策 定の基本的考え方として掲げ、計画策定に着手しました。5月20日には新宿区緊急震災対策を決定し、緊急震災対策のうち必要なものは第二次実行計画の中に 明記する考えを示しました。
こうした方針に基づき、現在、第二次実行計画素案を作成しているところであり、震災対策等についても、緊急に実施すべき事業は補正予算等により対応していますが、計画的に実施すべき事業については計画事業として実施していきたいと考えています。
次に、第二次実行計画素案の策定日程と地域説明会等の実施時期についてのお尋ねです。
次に、「区長と話そうしんじゅくトーク」で第二次実行計画、高齢者保健福祉計画・第5期介護保険事業計画、健康づくり行動計画の素案を説明することについてのお尋ねです。
私は、今回の「区長と話そうしんじゅくトーク」の実施にあたり、今年度が第二次実行計画の策定年度であることから、今後の4年間で区が計画的・優先的に実 施していく計画事業の素案について、区民と直接お話しをし、区民の率直な意見を伺いたいと考えました。同様に、高齢者保健福祉計画・第5期介護保険事業計 画と健康づくり行動計画についても、今年度が策定年度であり、これらの計画は相互に密接な関係を有し、かつ、区民生活に密着した重要な計画であることか ら、これらの計画を同時に区長トークの中で説明することとしました。
また、介護保険料については、今回の「区長と話そうしんじゅくトーク」では、第5期 介護保険事業計画期間中の総給付費の見込み、介護給付費準備基金の活用、現時点での保険料の推計額、保険料の段階設定や低所得者対策の考え方など、これま での介護保険事業計画の素案と同程度の説明を行っていきます。この素案についてパブリックコメント、介護モニター会議などを通じ、保険料についても十分に ご意見・ご要望を伺い、それらを反映させながら、政省令が出揃う年度末までに保険料を確定し、区民の皆様にお知らせいたします。
次に、区の財政対応力についてのお尋ねです。
22年度決算の厳しい財政環境に加えて、日本経済の先行きは極めて不透明であり、24年度予算の財政対応力を確保するには、難しい編成作業になることが想定されます。
このため、24年度予算編成では、23年度に実施した政策推進経費を廃止するとともに、決算実績に基づく経費削減と事務事業の見直しを行います。すべての事務事業について、改めて、その必要性や効率性を厳しく見極め、選択と集中を図るなど、徹底した見直しを実施します。
ま た、今後も厳しい経済状況が予想される中で、第二次実行計画期間中の財政対応力を確保するためには、24年度予算編成の取組みに加え、不断の行財政改革を 行うことが必要です。基金と起債については、基金残高と区債現在高とのバランスや後年度負担に配慮した適切な活用を行うとともに、精力的に区税等の一般財 源収入の確保にあたることが重要と考えます。このような取組みを行うことにより、第二次実行計画を支える財政対応力の確保を目指し、健全な財政運営に努めてまいります。
次に、22年度決算の評価と現段階での区財政の評価についてです。
ご指摘のとおり、一般会計決算は実質単年度収支が2年連続の赤字となり、経常収支比率が87.8%に上昇しました。基金残高については、前年度末の570億円から103億円減少して467億円になっています。これは、21年度決算に引き続き、扶助費などが伸びるとともに、一般財源収入がさらに減少するなど、区の財政環境が一層厳しくなったことによるものと考えています。
こ のような状況から、21年度と同様に財政調整基金からの繰り入れを行うなど、今まで培ってきた財政対応力を活用しました。また、区債現在高は、12年連続 で減少し259億円となったことから、基金残高が区債現在高よりも208億円上回ることとなり、区財政は将来需要への一定の対応力を確保していると考えま す。また、財政健全化の一つの指標として、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に基づく、22年度新宿区財政健全化判断比率では、区財政が健全で あることが確認できます。
基 金の活用については、財政調整基金からの繰り入れのほか、介護基盤整備や保育所建設事業助成、学校建設やふれあいの森用地購入など、社会資本等整備基金を はじめ特定目的基金で97億円の取り崩しを行い、区民の要望に応えるとともに、基金を有効に活用できたものと認識しています。
しかし、現在の財政状況については、基金残高の減少や財政構造の硬直化など、以前にもまして厳しい環境になっていることから、経費の削減や事務事業の見直しを徹底して行うなど、将来需要を支えるための財政基盤の強化に努めていく必要があります。
次に、第二次実行計画期間中の財政フレームについてですが、本年10月、第二次実行計画の素案を公表する中で、お示しする予定です。その後、 24年2月の当初予算の上程とあわせて、財政収支見通しを確定してまいります。
次に、執行率と不用額の評価についてです。
22 年度決算では予算の執行率は93.1%に改善しましたが、依然として95億円の多額な決算不用額となっています。区を取り巻く財政環境が厳しい折、多額の 不用額は、区の財政運営にとって望ましいことではありません。不用額を徹底して精査し、財源を有効に活用することが重要と考えています。
そ のため、24年度予算編成では、決算実績を基に、執行率が低く多額の不用額が生じている事業に着目し、不用額の一定割合を既定経費から削減します。対象と なる事業については、昨年度に比べて、不用額の対象基準額を300万円以上から200万円以上に引き下げるとともに、執行率90%以下から93%以下に引 き上げるなど、予算見積もりの精度の向上を図ります。こうした取組みを通じて、貴重な財源を有効に活用するとともに、より効果的効率的な行財政運営に努め てまいります。
次に、新たな区民ニーズの掘り起こしについてです。区民の視点から現場現実を重視した新たな事業展開は必要なことですが、予算の編成にあたっては、積極的に財源確保を図り、区民福祉の増進に対応できる財政対応力を保つことが必要です。新たな事業を実施する場合は、スクラップ・アンド・ビルドを基本として、選択と集中など事業の見直しを図る中で、対応していくことが重要と考えています。
次に、下落合駅付近の国際学友会跡地について、取得または貸付など活用すべきとのお尋ねです。
国 有地を取得または借受けて事業を推進するかどうかについては、長期的な視点に立った的確な事業予測による行政需要があること、国有地の取得により事業が著 しく推進され、かつ費用対効果が見込まれることなどの視点を考慮するとともに、取得時点における財政状況や既存施設の老朽化などから総合的に判断していま す。また、国際学友会跡地の周辺においては、旧西戸山第二中学校を活用した私立子ども園や学童クラブ事業の誘致など行政需要に応える施策展開を行っています。
さらに、中央図書館移転後の跡地については、地域図書館を整備するとともに、福祉施設に対する要望も多いことから、福祉施設の併設について検討しています。これらの視点も踏まえ総合的に判断すると、国際学友会跡地を取得または借受ける考えはございません。
(田中区議)
3、国民健康保険料と後期高齢者医療保険料について
まず最初に国民健康保険料についてです。
第一に、旧ただし書き方式に賦課方式を変更した影響についてです。
わが党がおこなった区政アンケートの「健康保険料の負担は昨年と比べてどうですか」との問いに、「負担が重くなった」に46%の方が○をつけました。そし て、自由意見欄に「保険料が月額2倍以上値上げされた。」「収入が減ったのに負担が増えた。母子家庭でパートのため年収が200万円程度でも、毎月の保険 料が2万円近くで本当に大変です。」等の声が寄せられました。
賦課方式変更により諸控除が排除されたため、複数世帯等の値上げが予想されましたが、値上げになる人数などを何度聞いても、区は、6月までは出せないの一 点張りでした。所得割が上がるのは16,905人で16.5%と予想していましたが、結果はどうだったのでしょうか。前年比較で増えた人、減った人の人数 と割合をお答えください。
また、値上げした世帯には、高齢の夫婦や障害者世帯、ひとり親世帯が含まれているはずです。経済的に厳しいこれらの世帯の負担が増えたことについて、区長の心は痛みませんか。区長のご見解をうかがいます。
第二は、今後の対策についてです。
賦課方式変更による値上げは2年後にまた襲いかかります。今の制度のままであれば、一般財源から拠出するのが値上げを押さえる最も有効な手立てです。区長会で今からそのことを主張し、2年後の値上げはやめるべきと考えますが、区長の見解をうかがいます。
また、来年度の国保料についてはまだ区長会の議題に上っていないようですが、担当部課長会で議論のテーマになっていることがありましたらお聞かせください。
第三は、資格証明書についてです。
新 宿区が昨年6月に内規を変え、9月から滞納の基準額を80万円から40万円に引き下げたため、今年3月の資格証発行件数は544件、9月9日発送分は 685件と激増しました。区民の命にかかわる重大な基準変更を、今この時期になぜ行ったのか、その理由を聞かせてください。
全日本民医連の2011年3月2日発表によると、国民健康保険の保険料を滞納して無保険状態になり、受診が遅れて亡くなった人が、24都道府県で71人、前年の約1.5倍に増えているそうです。この中には、短期保険証の方が10人、資格証明書の方7人が含まれています。資格証になると、医療機関で10割自己負担しなければならず、保険料を払えない人は病院に行けずに重症化したり亡くなってしまう危険性が増加します。
厚 労省は2008年10月の通達、2009年9月の事務連絡で、経営難や失業など「特別な事情」がある場合は資格証明書を出してはならないと強調し、 2010年3月の参議院予算委員会で、当時の長妻昭厚労大臣が「払えるのに払わないと証明できた場合以外は慎重な対応」と答弁しているのです。
新宿区は内規を変更するまでは、「支払能力があるのに払わない悪質な人に資格証を発行し、経済的に大変な方には十分に話を聞いて対応する」というのが議会答弁でした。この姿勢を引き続き堅持し、滞納基準額は元に戻すべきと思いますが、お答えください。
質問の第2は、後期高齢者医療保険料についてです。
8 月22、23日、東京都後期高齢者医療広域連合議会で、次期保険料のたたき台の説明報告がありました。それによると、来年度以降の診療報酬や国の財政措置 などは含まれていませんが、葬祭費などを一般財源で対応する都広域連合独自の4項目の軽減策と所得割への軽減策を実施した場合でも、1人当たりの保険料 は、均等割が今年度3万7800円から4万2500円と4700円増え、所得割は7,18%から9,04%に引き上がるとのことです。年金の年収211万 円の2人世帯で、年8万1200円から9万4200円と1万3000円の値上げです。同じ世帯で年間10万1,800円の値上げの試算もでており、最低で も独自策の実施が求められています。
これ以上値上げさせないためには、制度の廃止しかありません。。廃止しないのなら国庫負担の引き上げをすぐにやるべきです。そのことを国に求めるととも に、当面各区の一般会計からの繰り入れを増やして値上げを押さえるよう、区長会その他あらゆる場で強く主張していくべきと思いますが、区長のご所見を伺い ます。
(区長)国民健康保険料と後期高齢者医療保険料についてのお尋ねです。
はじめに、国民健康保険料について、旧ただし書き方式に賦課方式を変更した影響についてのご質問です。
国民健康保険料所得割額の算定方式変更に伴い、所得割額が上がる方については激変緩和のための経過措置を設けています。昨年11月にこれに該当すると思われる被保険者を、平成21年中の所得に基づいてシミュレーションを行ったところ、16,905人、割合では16.5%と試算しました。実際には、今年6月の保険料算定で経過措置に該当した方は、ほぼ同様の結果でり、17,477人、16.6%でした。
し かしながら、前年度比較で保険料の増えた人、減った人の人数と割合については、賦課方式変更以外の、被保険者の世帯における所得の変動や被保険者数の増 減、世帯の中で介護保険2号被保険者に該当する方、該当しなくなる方など被保険者の年齢でも増減することとなり、様々な要因で保険料が増減するため、賦課 方式の変更のみによる影響で保険料が増減した方々を把握することは困難です。
また、経済的に厳しい世帯の負担が増えたことについてのご質問です。
今回の賦課方式の変更に伴い、住民税非課税の方で新たに所得割額がかかる方や所得割額が上がる方に対しては、この経過措置を設けることで、負担の軽減を図っています。
次に、今後の対策についてのお尋ねです。
保険料の算定方式の変更に伴い実施している激変緩和のための経過措置は、24年度までの2年間実施することとしています。23区では、保険料の上昇を抑制するため、毎年度相当額を一般財源から繰入れてまいりました。しかしながら、区財政の状況が厳しい中で、さらに繰入額を増やすことは、現在のところ難しい課題であると考えています。
また、経過措置の考え方などについては、25年度の保険料率の算定の際に、その時点での状況を勘案しながら判断していきたいと考えています。
現在、担当部課長会では、24年度基準保険料率算定のための作業を進めているところです。今後、各区の被保険者数、医療費の動向等を勘案しながら国民健康保険料を検討していくことになります。
次に、資格証明書についてのお尋ねです。
国民健康保険制度は、被保険者や区民の方に支えて頂いており、滞納を解消して収納率を上げることは、極めて重要な課題と認識しています。
資 格証明書の交付については、保険料を滞納している世帯主に対して、督促状や催告書の送付、電話催告等を行なったうえで、保険料の納付がない場合に保険証の 返還予告、特別事情届の提出を求め、弁明の機会の付与など、交付に至るまでには様々な対応を行っています。それでも、納付相談や納付に応じようとしない世 帯、資力がありながら納付しない世帯に対して、国民健康保険の被保険者間の負担の公平を図る観点からやむを得ず資格証明書を交付しているものです。このこ とは、国民健康保険制度の安定的な運営を行って行くうえでも、必要なものと考えております。
資 格証明書の交付基準については、滞納額が少ないうちに早めの相談をしていただくことで、無理なく納付に結びつけるため、昨年6月に短期証の更新時期にあわ せて見直しを行いました。したがって、今後も保険料の確実な納付に結びつけるため、資格証明書の交付基準を戻す考えはありませんが、経済的に大変な方に は、十分に話を聞いたうえで対応するという、これまでどおりの姿勢に変わりはありません。
次 に、後期高齢者医療保険料についてのお尋ねです。現行制度は、「社会保障と税の一体改革」でも改めて見直しとされました。今後は来年の通常国会に関連法案 が提出される予定のため、その推移を見守る必要があります。一方、保険料改定では、前回は特別対策以外にも、都広域連合の余剰金61億円の活用等により小幅な上昇で留めた経緯があります。
都広域連合の見込みでは、余剰金が殆どなく、特別対策を継続しても、次期保険料は大幅な改定になるとの試算になっています。そこで、全国広域連合協議会から、国へ保険料抑制の要望をしています。
都広域連合は62自治体で構成されていますが、それぞれ厳しい財政状況にあります。
今後は、国の動向や他自治体の状況を見据えつつ、被保険者に急激な負担増が生じないよう都広域連合に対して様々な工夫を行うことを働きかけてまいります。
介護保険開始から12年経過しましたが、3年ごとの見直しで、軽度要介護者の利用抑制、深刻な施設不足、高い保険料と利用料など、「保険あって介護なし」 の状況がますます深刻になっています。本年6月15日、わずか18時間の国会審議で「改正」介護保険法が成立し、予防給付の一層の切下げ、医療から介護へ の移行、給付を重度者に重点化するなどの改悪がされました。
(田中区議)
4、第5期介護保険事業計画について
区政アンケートでは「認定が現実にあわない。」「認知症の親を介護し、常に臨戦態勢で夜も眠れない。」「車イスの家族が院内の移動に保険を使えるようにしてほしい。」「年金から介護保険料を払うとわずかしか残らない。」などの声が寄せられました。
9月6日の高齢者保険福祉推進協議会に「高齢者保険福祉計画・第5期介護保険事業計画」素案の案が資料として示されました。この協議会資料の介護保険計画 部分は、供給見込みは作業中で、保険料は空白状態です。成文化された素案や中間報告はいつ頃どのような形で区民や議会に示されるのか、お答えください。以下、次期「高齢者保険福祉計画・第5期介護保険事業計画」に関して4点にわたり質問します。
第1に、「地域包括ケアシステム」の基本となる住宅についてです。
今 度の法改正は、厚生労働省の研究依頼で「三菱UFJリサーチ&コンサルティング」がまとめた「地域包括ケア研究会報告書」を参考に行われました。同報告書 では、地域包括ケアシステムとは、ニーズに応じた住宅が提供されることを基本に、医療・介護サービスや様々な生活支援サービスが30分以内に受けられると しています。
基 本となる住宅について、協議会資料では、民設民営や既存ストックを活用して支援付き高齢者住宅を整備することを検討する方向性が示されていますが、誰でも 入れる家賃かどうかが問題です。土地代の高い区内では、高齢者専用賃貸住宅も高齢者向け優良賃貸住宅もなく、有料老人ホームは一時入居金なしだと月60万 円かかると聞きます。支援付き住宅も高額収入者や資産家しか入れないなら、多くの高齢者は指をくわえて眺めるだけで、逆にこの分の給付が増えて、他の介護 サービスを削られるだけです。区営住宅程度の家賃設定で、低所得者も入居できる支援付き住宅を、区が充分に助成金も出して提供すべきと考えますが、区長の 見解をうかがいます。
第2に、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」についてです。
支援付き住宅に入居し、24時間定期的にヘルパーや看護師が巡回訪問し、必要な時はすぐ来てくれるのなら確かに安心です。しかし、この事業も課題が多く、実施を決めている自治体は少数です。ここでは3点お聞きします。
1点目は、今年度モデル実施している本事業の評価についてです。協議会資料では、ニーズ調査結果を反映して、東・中央・西の3つの基盤整備圏域で整備するとのことですが、モデル実施した利用実績や評価をお示しください。
2点目は、月に一定額を支払う包括定額制についてです。訪問回数にかかわらず月々決まった利用料のため、利用者は必要回数巡回してもらえない恐れがあり、逆に良心的な事業者は持ち出しになりかねない不安定な制度です。この点はどのようにクリアしていくのでしょう。
3点目は人材確保です。介護・看護職員は慢性的な人手不足が課題です。参入事業者の数や人材確保の見通し、また事業者選定の方法をうかがいます。
第3に、第5期の介護保険料についてです。
今 回の法改正では、都道府県に積み立てている財政安定化基金を取り崩し保険料に回せるようになりました。東京ではこの基金がいくらあり、どの程度引き下げに 貢献するのかお答えください。全国平均で50円下げられると言われますが、国と都にも同額戻し入れされると思います。東京都や国の分も活用すれば150円 です。区長として国や都の分も保険料引き下げに活用させるよう要求すべきと考えますが、いかがですか。
第4期の介護給付準備基金残高は8億円程度と聞きました。これは給付が計画を下回ったために残った黒字の保険料ですから、当然第5期も保険料算定に組み込むものと考えます。これによりどの程度引き下げが可能でしょうか。
次期保険料は全国平均で1000円程度上がると見込まれています。現在の区の基準保険料は4400円ですから、1000円上がると夫婦2人で介護保険料だ けで月1万円を越します。国保料が値上げし、後期高齢者医療保険料も値上げ予定です。居宅サービスの平均利用率は要介護5でも限度額の67.8%で、軽度 になるに従って率が下がっているのは経済的負担が大きな原因ではないでしょうか。さらに医療・介護の保険料が上がればサービス利用をさらに削らざるを得な くなります。
新宿区が第4期保険料で12段階方式を採用し、低所得者の値上げを据え置いたことは評価しています。第5期も、例えば高額所得層の区分をより細分化し、各 区分の上位所得層の倍率を引き上げる工夫をするなど、さらに累進性をすすめ、低所得者対策をすべきと考えますが、区の考えをお聞かせ下さい。
保険料の値上げか、あるいは利用抑制かという二者択一を解決するために、国庫負担割合を制度開始前の50%に引き上げるよう強く国に求めるべきです。区長の見解を求めます。
第4に、認知症高齢者の介護者リフレッシュ等支援事業の改善についてです。
近 隣各区にくらべて新宿区の保険外サービスは遅れているのが率直な現状ではないでしょうか。そんな中現場で歓迎されているのがリフレッシュ事業で、利用実績 も飛躍的に伸びています。協議会資料では、随所にリフレッシュ制度の希望の多さと保険外支援策の必要性が述べられています。現行年24時間の利用時間を、 介護度等に応じて大幅に延長すべきです。また、利用できるのが1つのヘルパー事業者に限定されているため、事業者が派遣要請に応えきれずもらったチケット を使い残す場合があるといいます。複数の事業者を利用できるよう至急改善をはかっていただきたいと思いますが、いかがですか。
(区長)第5期介護保険事業計画についてのお尋ねです。
はじめに、素案や中間報告の作成の時期と公表の方法についてです。
高齢者保健福祉計画と介護保険事業計画は一体で定めるものとされており、区では新宿区高齢者保健福祉推進協議会を中心として検討を重ねてきました。第5期の素案については、さる9月6日の協議会に素案の案をお示しし、地域包括ケアを基本理念とする計画の方向性や、利用見込みの考え方、介護サービス基盤の整備の考え方など基本的な内容は了承されました。その内容に、サービス給付費の増加見込みや保険料の現時点での推計額等を加えて、第5期介護保険事業計画素案としてまとめ、本年10月に実施する「区長と話そうしんじゅくトーク」や広報しんじゅくでお知らせし、同時にパブリックコメントも実施します。
次に、支援付き高齢者住宅の整備と家賃設定についてのお尋ねです。
昨年度実施した「新宿区高齢者の保健と福祉に関する調査」の中で、介護が必要になっても在宅で暮らし続けるためには何が必要か尋ねたところ、一般高齢者調査、居宅サービス利用者調査ともに、「安心して住み続けられるすまいがあること」との回答が、約75% と最も多く寄せられました。区としても、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で継続して住み続けることができるよう、医療、介護、予防、すまい、生活支援 サービスが、高齢者の状態に応じた適切な組み合わせで、継続的に提供される地域包括ケアを推進していくことが大切であると考えています。
支援付きの高齢者のすまいについては、平成23年4月に「高齢者の居住安定確保に関する法律」が改正・公布され、その後、国では5月から「サービス付き高齢者向け住宅」の整備を対象とした補助事業の公募を開始しています。また、東京都も6月から既存の補助事業を法改正に対応した形に改め、モデル事業を実施しています。
区は、支援付き高齢者住宅の整備について、これらの国及び都の補助制度を活用し、民設民営で整備を推進するため、民間事業者の参入促進に努めていきます。
支援付き高齢者住宅の整備では、区内の土地が高く建設コストがかさむ等、結果として家賃設定が高額になることも予測されます。そのため、区は公有地の活用も含め、検討を行っていきます。
また、既存の住宅ストックの活用では、都営住宅、区営住宅等について、地域包括ケアの視点から必要とされる支援サービスの整備・充実を図り、より安心できる高齢者のすまいとしていくことも考えています。
このように、新規建設や既存ストックを活用した方策により、家賃、サービス利用料等、入居費用に幅を持った形での支援付き高齢者住宅の整備を検討していきます
次に「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」についてのお尋ねです。
はじめに、今年度実施しているモデル事業の評価についてです。
この事業は中央の基盤整備圏域において対象者10名程度を想定し、8月中旬から実施しています。今後、委託事業者からの実績報告を分析し、第三者委員会である新宿区地域包括支援センター等運営協議会での検討を経てから10月下旬に中間報告を、来年3月に最終的な評価検証の報告書をまとめる予定です。
次に、包括定額制についてです。
介 護報酬については、国の社会保障審議会介護給付費分科会において検討されています。包括定額制の導入にあたっては保険者の責任においてサービス提供の実態 を把握し、適正な利用が行われるようにする必要があると指摘されています。今後の給付費分科会での議論を注視し、その結果を踏まえて適切な制度運営を図っ ていきます。
次に、人材確保および事業者選定についてです。
事業者の参入については、介護・看護職員の配置人数等を定める指定基準が判断材料となりますが、現時点では指定基準が示されていません。したがって、正確 な見込みは困難ですが、看護職員の確保など課題はあるものの、昨年度実施した「高齢者の保健と福祉に関する調査」では、区内事業者の中で、「積極的に検討 したい」との回答が8事業者、「今後の状況をみて検討したい」との回答が19事業者あり、一定の参入意向があると認識しています。
事業者の選定については、今後、厚生労働省令の定める基準に従い区が公募を行い選定していきます。
次に介護保険料についてのお尋ねです。
最初に、東京都に積み立てられている財政安定化基金についてです。基金残高は約240億円程度となっています。区への交付額については、都と区市町村との協議の第1回目がようやく開催されたばかりであり、現在のところ具体的な金額は示されていません。今後は都内の保険者で共同歩調を取りながら、国および東京都分の活用も含め、確実に保険料の引き下げ効果が見込める交付額を強く要望していきます。
次に、介護給付費準備基金についてです。
現時点では8億から9億円程度の積立残高が見込まれます。これを、全額、保険料引き下げに繰り入れると月額約400円の減額が見込まれます。
次に、保険料段階の工夫による低所得者対策です。第4期においては、低所得者層に対する区の特別対策の実施、負担能力に応じた12区分の保険料段階の設定や最高段階の負担割合を基準額の2.9倍にするなど、きめ細やかな保険料体系を設定しました。
第5期においては、住民税課税の方が対象となる第5段階以上の細分化の継続のほか、住民税非課税の方が対象となる第3段階の細分化が新たに可能になります。今後は、保険料段階の設定基準を定める介護保険法施行令の改正を踏まえ、負担能力に応じた適切な保険料段階を設定していきます。
次に、国庫負担割合の引き上げについてです。
今後も高齢社会の進展に伴い介護給付費の増大が避けられない中で、制度の持続可能性には、安定的な財源が必要なことは言うまでもありません。一 方で、国の財政事情や給付と負担の在り方も含め、安定的な財源をどこに求めるかは、「社会保障と税の一体改革」など、様々な議論があります。国に対して は、国の責任で制度を持続するための財源確保を求めると同時に、保険者は社会連帯の仕組みとしてそれぞれが負担を分かち合い、区民に信頼される制度運営を 行うことが、責任ある立場と考えます。
次に、認知症介護者リフレッシュ等支援事業についてのお尋ねです。
この事業は認知症高齢者を介護するご家族等のリフレッシュにつながる事業として、介護保険外サービスとして平成21年7月から開始しました。平成23年3月末現在の利用登録者は、614人となっています。区と委託契約を結んでいる訪問介護事業所は、64法人約80か所です。
利用にあたっては、介護保険サービスの利用状況や生活状況等に合わせて計画的にヘルパー派遣を行っています。利用時間については、今後実態把握を行い検討していきます。
次に、利用できるヘルパー事業所を複数にすべきとのお尋ねです。
認知症高齢者の介護者リフレッシュ等支援事業では、複数事業者を同時に利用することはできませんが、利用事業者の変更は可能となっています。
し かし、認知症高齢者は、環境の変化や新しい状況への適応が困難で、不安定になりやすいという特徴もあります。また、介護者にとっても、顔見知りのヘルパー に継続的に対応してもらうことで、安心して認知症高齢者の介護を任せることができることや介護者自身の話を継続的に聞いてもらえることなど、より良いリフ レシュ効果につながっていると考えます
(田中区議)
5、「子ども・子育て新システム」と保育園の待機児童解消策について
最初に、「子ども・子育て新システム」についてです。
国は、少子化社会対策基本法により少子化社会対策会議を設置し、「子ど・子育て新システムの基本制度案要綱」を策定しています。「子ども・子育て新システ ム」では、現在の保育制度の要である「自治体の保育の実施責任」自体をなくし、自治体の役割は、保育の必要度を認定し、それに応じた「幼保一体給付」とい う補助金を支払うこととなります。保護者は自分で保育園を探して直接契約をしなければならず、認定されない部分は自己負担になります。「新システム」で は、保育園経営で受けた補助金を、すべて保育に充当せず株式の配当に回すことも可能になり、そのことは保育の質の低下につながります。保育を介護保険制度 のようにしようというものです。そして、保育の最低基準の緩和などあらゆる規制緩和を行い、保育園は基本的になくす、「幼保一体化」を進めるとしていま す。
規 制緩和では、地域主権一括法により保育の最低基準の見直しが先行しており、面積規準は都道府県の条例で設定することとなりました。東京都は、0~1歳児の 保育室面積基準を、国基準の1人あたり3.3㎡から、年度途中に限って2.5㎡へと引き下げる案を、児童福祉審議会の専門部会に提示したところ、委員であ る文京区長が反対の立場で論陣を張るなど激論の末、両論併記の報告を審議会にしています。新宿区は、国の動きを先取りし、幼保連携型子ども園では3歳児以 上は「保育に欠ける児童」であっても直接入所方式を導入し、その部分については待機児童数の把握すらしていません。
こ のような大規模な制度の改悪に対して、幼稚園、保育園などの関係者から反対の声があがっています。また日弁連も、今年1月に「子ども・子育て新システムに 関する意見書」を出し、「要保護児童」及び家庭への支援機能が危機に瀕する」「「すべての子ども」に保育を受ける権利を保障することと明らかに逆行する保 育制度の介護保険化」などと、厳しく批判しています。こうした運動もあって、政府は、当初予定していた今通常国会への法案提出ができず、来年の通常国会へ の提出をねらっています。
そ こで質問です。区長は、このような問題の多い「子ども・子育て新システム」に反対の姿勢を示すべきではないでしょうか。そして、その立場から国に対して、 保育の実施に関する自治体の責任を堅持することや、保育園の増設など子育て支援の充実に充分な財政措置を求めるべきではないでしょうか。保育の最低基準に ついては、東京都に対し、面積基準の引き下げは行わないよう、区として要望すべきではないでしょうか。また、新宿区の子ども園については、幼保連携型に あっても「保育に欠ける児童」については保育園同様、区が入園調整を行い、待機児童も把握をすべきと考えますがいかがでしょうか。区長の見解をお示しくだ さい。
次に、待機児童解消策についてです。
新宿区の待機児童数は、今年4月の新定義92人、旧定義223人が、8月1日現在では、新定義75人、旧定義113人と減少していますが、今年度中に早急に定員の大幅増をしなければ、例年のように年度末に向けて待機児童は増えるに違いありません。
質問の第1は、あらゆる土地・建物を視野に入れた用地確保についてです。世 田谷区では、国家公務員宿舎跡地を20年の定期借地で区が借り、それを社会福祉法人へ転貸して認可保育園を2カ所設置することで、来年度250~260人 の定員を確保するほか、学校施設や公園など、あらゆる区有地を活用して分園を設置しています。新宿区内の国家公務員宿舎も、既に空き家となっているような ところがいくつもあり、更地になっている国有地もあります。
国 公有地について、どこにどのような物件があるか、区として把握をしているでしょうか。しているとしたら、区が活用可能なものがどのくらいあるかお答えくだ さい。把握していないとすれば、早急に調査を行うべきです。そして、条件にあう国家公務員宿舎跡などを具体的に検討し、国に対して働きかけ土地を確保すべ きではないでしょうか。
質 問の第2は、家庭的保育事業等についてです。世田谷区は、社会福祉法人が設置する保育園の近くに物件を確保することで、既に50人分の定数を確保し、今年 度も30人程度の定数確保を目指すという取り組みが行われています。区の今年度予算では、世田谷区と同様の家庭的保育事業2所4室で20人の定員を7月 オープンの予定でしたが、いまだに目途が立っていません。進まない要因は、制度上の問題で社会福祉法人にとって労多くしてメリットがないことや、適当な物 件がなかなか見つからないことがあげられます。短期間のうちに定員拡大を実現するためにも、区として制度に横出し上乗せの改善を行うべきではないでしょう か。
区長は、家庭的保育事業で、いつまでに何人の定員を確保するつもりでしょうか。また、認可保育園の分園をさらに設置して定員拡大を図るお考えはないでしょうか、お答えください。
質問 の第3は、マンション事業者に対して協力を求めることです。江東区では、ファミリー向け30戸以上の大型マンションは1戸当たり125万円を寄付するか又 は、マンション内に保育園を作り、それを区に寄付してもらうという「公共施設整備協力金制度」の実施で、2008年度~2010年度の3年間だけで保育園 3園と27億9400万円という実績です。新宿区でも、大久保3丁目の住友不動産の開発で、区が要綱を策定した結果、敷地内に認証保育所を作ることになり ました。しかし、この要綱は、300戸以上の住宅建設をする場合に限られており、相当大規模の再開発しか該当しません。新宿区も江東区のような「公共施設 整備協力金制度」を創設して、子育て需要に対応する財源を確保してはいかがでしょうか。お答えください。
(区長)子ども・子育て新システム」と保育園の待機児童解消策についてのお尋ねです。
国は、すべての子どもへの良質な成育環境を保障し、子ども・子育てを社会全体で支援する一元的な制度の構築を目指して「子ども・子育て新システム」を検討しています。
その検討の中で、本年7月には、「子ども・子育て新システム」の全体像や幼保一体化のあり方等について、中間的に議論をまとめた「中間のとりまとめ」が発表されました。「子ども・子育て新システム」の議論の中では、区市町村が、客観的な基準に基づき、保育の必要性の有無を認定したうえで、利用を希望する保護者が各施設と直接契約することで入園となる公的契約がうたわれています。しかし、保護者と施設の公的契約によるだけでは真に保育を必要としている子どもに保育サービスを提供できるかが疑問です。特に都市部のように需要が供給をはるかに上回り、待機児童問題が発生している地域ではなおさらです。従って、国が基本事項を定めた上で、全国一律ではなく、区市町村が地域の実情に応じて、「利用調整」や「要請」等入園に関与できるシステムが必要であると考えています。
区としては、そうした視点からも国の検討の推移を見守り、必要があれば、財政措置等の件も含めて、国や関係団体に働きかけを行っていきます。
次に、東京都に対し、面積基準の引き下げを行わないように要望すべきとのお尋ねについてです。
保育所の面積基準について、東京都は本年3月、「0、1歳児1人当たり3.3平方メートル」の最低基準を年度途中に限って2.5平方メートルまで緩和する方針を示しました。しかし、これは暫定的な措置として考えられているため、一度緩和した影響はどこまで続くのかなどの、先を見通した中でなければ、難しい選択だと思います。従いまして、新宿区がこの方針に基づいて、保育園の面積を緩和することは考えていません。しかし、待機児童の解消策としての観点からではなく、保育の実態に合わせた面積基準としての見直し、ということはあり得ると思います。そうした部分で、有意義な見直しであれば、検討することは必要だと考えています。
次に、新宿区の子ども園については幼保連携園にあっても「保育に欠ける児童」については保育園同様、区が入園調整を行い、待機児童も把握をすべきとのお尋ねです。
幼保連携型の区立子ども園は、年齢区分型の類型を採っており、四谷子ども園とあいじつ子ども園の0歳から3歳まで、西新宿子ども園の0歳から2歳までは保育園としての認可を受けています。入園の受付窓口、手続き方法も保育園と同一に行っており、入所できなかった場合には、待機児童数にも含めているところです。
こ れに対して、幼稚園認可部分については、保育要件にかかわらずに入園できる制度としており、保育園と同様の入園調整にはなじまないこと、子ども園で補欠登 録している場合であっても、保育園の入園申し込みが可能であることなどから、待機児童数とういう考え方を採っていません。なお、現時点で補欠登録している 方はおりません。
次に、待機児童解消策に向けた保育所用地の確保についてのお尋ねです。
はじめに、国公有地の物件を区として把握しているのか、区が活用可能なものがどのくらいあるのかについてです。
区では、国が公表している「国家公務員宿舎の移転・再配置と跡地利用に関する報告書」や「国有財産の有効活用に関する報告書」などにより、処分予定の国有地について把握しています。これら処分予定の国有地のうち、区全体の行政需要や地域の要望、区財政の動向等を総合的に勘案した結果、現時点において活用可能なものは弁天町の未利用国有地であると判断したところです。
次に、条件にあう国家公務員宿舎跡などを具体的に検討し国に働きかけて土地を確保すべきとの点についてです。
従来より、国有地の取得については検討を行ってきたところですが、今後、一層の厳しさを増す区財政の状況を考慮すると、国有地の取得については、慎重に判断していく必要があると考えています。
次に、家庭的保育事業等についてです。
東京都が、平成22年度にこれまでの家庭福祉員制度を、児童福祉法にあわせ家庭的保育事業としたことを契機に、区でも国の家庭的保育事業ガイドラインに沿って、保育所実施型の家庭的保育事業を平成23年度から実施します。そのため、区内の私立保育園に対し、平成22年度末から、事業の説明を行い、平成23年4月には、産業振興課と連携し、区内の商店街空き店舗活用支援事業を活用した事業手法を紹介する等、事業の周知に努めてきました。 しかしながら、この事業は、実施保育所と家庭的保育者の保育室が近くなければ、運営が難しいこと等から、これまで申し出る私立保育園がありませんでした。そこで、7月に区内の認証保育所にも制度を周知したうえで、8月に再度、区内の私立保育園と認証保育所に募集の通知をしたところです。
現在募集期間中ですが、対象を広げたことで応募事業者もあり、実施にむけ事務を進めています。
事業者からの反応が弱かった点を踏まえ、今後の事業拡大に向けて、制度上改善すべき点については、必要に応じて、東京都に申し入れてまいります。
さらに、家賃が高い、高層階が多く避難路の確保が難しいという新宿区の住宅事情等を鑑み、区独自の改善策が必要であれば、検討してまいります。また、定員の確保につきましても、そのなかで検討し、効果的な待機児童解消対策となるよう進めてまいります
次に、認可保育園の分園の設置により定員拡大を図る考えについてです。
区でこれまで、保育園に分園を設置した例としては、待機児童解消のための緊急対策として旧四谷第三小学校施設に設置した信濃町保育園分園、そして私立エイビイシイ保育園分園の2例があります。今後の待機児童解消対策を検討する中で、待機児童の発生状況や活用できる公有地・公共施設と既存保育園との隣接状況等を踏まえて、分園方式が有効と判断した場合には、分園の設置について検討してまいります。
「公共施設整備協力金制度」を創設し、子育て需要に対応する財源を確保することについてです。
江東区の公共施設整備協力金は、高度経済成長期にいくつかの自治体で導入していた、開発協力金を求める寄附制度のひとつであり、一時中断していましたが、平成10年頃からのいわゆるマンション建設ラッシュでの急激な人口増加を背景として、江東区ではマンション建設を規制する条例の中で復活したと聞いています。
現在では、条例の内容は変わりましたが、学校や保育所等の公共公益施設の財源確保のための要綱として、協力金制度は残っているようです。
これに対し、新宿区においては、大きく人口が変動するのは、再開発計画の場合などです。
そのため、保育所の整備として、平成22年4月に「新宿区大規模開発等に伴う保育施設の設置に係る協力の要請に関する要綱」を設置し、再開発等の際に見込まれる、子育て世代の増加に対応しています。
この要綱に基づいて、大久保三丁目、西新宿五丁目、西富久地区等においては、協力要請の結果、保育施設の開設にむけて調整をしているところです。
今後も、このような手法も用いながら、計画的かつ緊急的な対応も含めて、多様な子育て施設の整備を進めてまいります。
(田中区議)
6、落合地域図書館等について質問いたします。
区長のマニフェストのなかでは「新中央図書館と落合地域図書館の整備をするとして、23年度は設計、平成28年度開設になっています。」さらに今年の1月の新宿区第1次実行計画ローリングでは「新中央図書館等基本計画を踏まえ、23年度には建設のための基本計画を策定します」と612万5千円の事業計画になっていました。当然、ここでは現中央図書館を維持することを前提にマニフェストでは旧戸山中学校跡地に28年度開設になっていました。
しかし、東日本大震災以後の緊急対策として現中央図書館を解体することになり、今定例会に中央図書館の移転先の旧戸山中学校の整備に560万の補正予算が計上されています。
旧戸山中学校は現在社会福祉協議会が仮施設として、大久保第一保育園も耐震補強工事のため仮園舎として使われています。今後の移転の具体的な計画についてお聞かせください。また、新中央図書館の建設の計画についてどのようになるのかお示しください。
旧戸山中学校に中央図書館が移転後、工事事務所・公園事務所も含め、現中央図書館の解体が行なわれることになると思います。しかし、地域図書館の建設やまた新しい施設建設については当然それまでに計画ができているのでないでしょうか。
現中央図書館は1階の工事事務所・公園事務所を含め、6139㎡であり、新たに建物を建てることになると現在よりも小規模にはなるものの地域要求に応える複合施設として十分に活用できるのではないでしょうか。
そこで質問いたします。現在1階にある工事事務所・公園事務所は新しい施設には入るのでしようか。また、地域図書館はどのような規模になるのでしょうか。さらに地域の要望も聞き福祉施設等も入れるべきと思いますがいかがですか。お答えください。
ま た、中央図書館移転後は一時的には、地域的に空白になる時期が生まれます。住民の中にも何とかならないかという声が上がっています。また跡地活用について は住民が参加できるようにならないかと要望の声も寄せられています。そこで質問いたします。第一に建設に当たってはこれまでの入札制度ではなくプロポーザ ル方式をとることができないか、第二に、どのような地域図書館をつくるのか住民の参加で検討できないか、第3には地域図書館ができるまで学校図書館の活用などができないか、以上お答えください。
また、今年度で地域図書館は全部が指定管理者になりました。落合地域図書館については直営で行なうべきだと思いますが、いかがですか。
以上で代表質問を終わります。ご静聴ありがとうございます。
(区長)落合地域図書館等についてのご質問にお答えします。
まず、中央図書館移転後の新しい施設に土木事務所・公園事務所は入るのかとのお尋ねです。
現在の中央図書館の施設には、1階にみどり土木部道路課西部工事事務所とみどり公園課西部公園事務所が入っています。これらの事務所は、別の場所に移転することとし、現在適切な移転先を検討しているところです。
次に、地域の要望も聞き福祉施設等も入れるべきとのお尋ねです。
中央図書館移転後の跡地については、地域図書館を整備するとともに、福祉施設に対する要望も多いことから、福祉施設の併設について検討していきます。
(教育長)教育委員会への質問にお答えします。
中央図書館の具体的な移転計画についてのお尋ねです。
今 回の定例会における補正予算の議決後、教育委員会では設計業務を開始し、現在旧戸山中学校を使用中の保育園が移転後の平成24年10月頃から改修工事に入 り、工事完了を平成25年5月末と予定しています。その後、収蔵資料の移転、図書館システムの移転、書架など什器類の解体、運搬、組立などの一連の移転作 業を実施した後、速やかに中央図書館を開設してまいります。
次に、新中央図書館の建設計画はどのようになるのかとのお尋ねです。
新中央図書館の建設計画は、区の総合的な判断の下に進めていきます。現在、教育委員会では新中央図書館の建設が可能となる時期に備え、新中央図書館等基本計画を踏まえた具体的な図書館サービスのあり方について、図書館運営協議会や中央図書館での検討を行っています。
新中央図書館に向けての準備は今後も継続し、新宿の知の拠点としてふさわしい施設になるように、検討を深めてまいります。
次に、現中央図書館解体後に建設する地域図書館は、どのような規模になるのかとのお尋ねです。今後、建設する地域図書館の規模については、区全体の施設計画の中で、総合的に検討してまいります。
まず、中央図書館移転後の新しい施設に土木事務所・公園事務所は入るのかとのお尋ねです。
現在の中央図書館の施設には、1階にみどり土木部道路課西部工事事務所とみどり公園課西部公園事務所が入っています。これらの事務所は、別の場所に移転することとし、現在適切な移転先を検討しているところです。
次に、地域の要望も聞き福祉施設等も入れるべきとのお尋ねです。
中央図書館移転後の跡地については、地域図書館を整備するとともに、福祉施設に対する要望も多いことから、福祉施設の併設について検討していきます。
次に、落合の地域図書館の建設にあたっては、入札制度ではなくプロポーザル方式をとれないか、とのお尋ねです。
落合の地域図書館の基本的な考え方や建設方法などはこれからの検討となります。今後、建設にあたっては、プロポーザル方式を含め適切な方法を検討してまいります。
次に、地域図書館を住民参加で検討できないか、とのお尋ねです。
新しい地域図書館を建設するにあたっては、区民や利用者の意見を尊重することは大切なことです。区民や利用者の意見の反映方法については、地域図書館の基本的な考え方をまとめる中で検討してまいります。
次に、地域図書館ができるまで学校図書館を活用できないかとのお尋ねです。
地域図書館ができるまでの間も、近隣の子どもたちの読書環境を確保することは課題として認識しています。従いまして、学校図書館の本来目的である児童・生徒の学習活動や読書活動に支障のないように配慮しながら、学校図書館の活用を検討してまいります。
次に、落合の地域図書館は直営で行うべきとのお尋ねです。
教育委員会では、中央図書館は区が直接運営し、各地域図書館は指定管理者制度の活用を行うという基本方針のもと、平成21年度から平成23年度にかけて、指定管理者制度を導入しました。
指定管理者制度を導入することで、地域図書館では、経費の縮減を図りながら、開館時間の拡大や地域の特性を踏まえた事業展開を通じて、図書館サービスを向上させてまいりました。
従いまして、落合の地域図書館についても、指定管理者制度の活用を図っていく予定です。
以上で、答弁を終わります。
第二次実行計画素案は、9月末の決定に向けて現在作成しているところです。また、パブリック・コメントは、10月15日から11月15日までを予定しており、地域説明会は「区長と話そうしんじゅくトーク」の中で 10月17日から11月13日の間に10地区の地域センターにおいて実施します。さらに、区民討議会を10月22日と23日の2日間で実施します。
これらの取り組みを実施することで、多くの区民から素案に対する様々なご意見を伺っていきたいと考えています。
2011.09.15 更新