子どもたちに希望ある未来を…
日本共産党 新宿区議団 > 2011年第4回定例会 代表質問 
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    2011年第4回定例会 代表質問 

    (代表質問の概要と答弁をアップしました。概要は議事録ができ次第訂正いたします)

     

    日本共産党区議団の川村のりあきです。

    新宿区議会第4回定例会にあたり、日本共産党新宿区議団を代表して質問を行います。

     

    1、放射能から子どもと区民を守る対策のさらなる充実について 

     

    (質問)

    私 は、同僚議員とともに過日福島市を訪ね、特定避難勧奨地点の指定を検討された、渡利や大波地区を中心に、同市の放射能対策の現況を調査してまいりました。 仮置き場が市内で初めて決まり、表土をはぎ取る除染がはじまった大波地区のお宅に聞き取りにうかがうと、「作業完了まで1週間かかった」というお話や、そ のお宅の立派な植木もすべて伐採しなければならなかったが、「母の記念の木なので切れなかった」と1本の木だけが残されていたこと等を見聞きました。名物 の干し柿も作れば必ず500ベクレルを超えるということでつくってはならないとの話もご案内の方が肩を落としながらおっしゃいました。私が測ってみると、 かつて地域の運動場であった残土の仮置き場の空間放射線量は8マイクロシーベルト/毎時と新宿の100倍 を超える線量を記録していました。私自身、除染がいかに大変で、生活に影を落としているかを実感しました。お話を聞いた中でも東電から補償がされていない 実態も伺いました。その上、燃料がどこにあるかもわからず事故収束のめども立たない中、やらせメール問題では知事や県の関与も指摘されているにもかかわら ず、再稼働をすすめようとする野田政権に対しては、国民の安全・安心ではなく原子力村、財界の利益が一番なのかと怒りさえ覚えます。私どもは脱原発と震 災・放射線被害から被災者の生活再建のため尽力するとともに、野田政権がアメリカの求めのまま進めるTPP交渉参加や沖縄への新基地推進、財界の求める派 遣法骨抜き修正や子ども子育て新システム推進に対し、国民の利益を対置し正面から対決する決意を申し述べまして質問に入ります。

     

    まず、放射能汚染から子どもと区民を守る対策のさらなる充実について伺います。

    都内では相次いでホットスポットが見つかり、自治体が除染を行う事態が広がる中、政府は11月11日、東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質の除染に関する基本方針を閣議決定し、年間被ばく線量が1ミリシーベルト以上の地域を除染対象地域に指定しました。新宿区内でも、私たち区議団の独自調査により、雨水マス周辺では国の除染基準となる毎時0.23マイクロシーベルトを上回るホットスポットが見つかり、区が再測定と除染を行っています。また、福島県産の米から政府の基準値を超える放射性物質が検出され出荷停止となるなど、食品の放射能汚染と内部被曝に不安が広がっています。

    私 ども区議団はこの間の経過を踏まえ、11月16日、区長に対して放射能汚染から子どもと区民を守る対策のさらなる充実を求めるため、10項目の申し入れを 行いました。特に、既に測定を実施した施設等での継続的な空間・土壌等の測定と公表、高線量が予測される地点のきめ細かい測定と公表、高線量地点の除染、 区民に貸与する測定器の台数増、食品の放射線量測定器の購入と子どもの施設の毎日の給食食材の測定、学校給食に関し弁当・水筒の持参を認める区教育委員会 方針の現場への徹底について、区と教育委員会はどのように対応したのか、今後の方針についてもお答えください

     

     

     

    (答弁・区長)

    川村議員のご質問にお答えします。
    放射能汚染から子どもと区民を守る対策のさらなる充実についてのお尋ねです。
    区はこれまで、子どもが通う場所を中心とした区有施設の空間放射線量、砂場の砂、土壌、学校のプール水、神田川の河川水、さらに給食サンプリング調査を 行ってまいりました。その結果として、高い測定値は出ておらず、全施設を同じ測定地点で継続測定することは考えていません。しかし他区の小・中学校の雨樋 下で高い放射線量が確認されたとの報道があり、新宿区内でも高い放射線量の箇所があるのではないかという不安が寄せられている中、文部科学省が、「放射線 測定に関するガイドライン」を取りまとめ、高い放射線量が想定される場所として、雨樋等の雨水が集まる所を示しています。
    そのような状況を踏まえ、保育園、幼稚園、小・中学校、公園等の区有施設で、高い線量が想定される所を測定し公表していきます。
    その結果、区有施設において高い値が測定された場合は、必要に応じて除染を行います。
    また東京都健康安全研究センターの測定と合わせて、第1分庁舎、牛込弁天公園の区内2箇所での定期測定を継続し、空間放射線量の推移を見守っていきます。
    測定器の貸出し台数の増加については、区では9月から、他区に先駆けて測定器2台の貸出しを行っていますが、世田谷区の道路に関する報道などから要望が増 えたことを受け、11月から1台増やし3台にしました。今後貸出し台数をさらに増やし、より多くの方にご利用いただけるよう充実を図っていきます。

    次に、食品の放射性物質測定器の購入、子どもの施設の毎日の給食食材の測定についてのお尋ねです。
    区 は、9月に学校、保育園などの給食については、サンプリング調査を行ったところですが、結果はすべて不検出でした。食品に関する測定については、市場に流 通している食品は安全であると認識していますが、消費者庁の測定器を借り受け、流通食品や給食の食材についての検査方法等有効活用を検討していきます。

     

     

    (答弁・教育委員会)

    教育委員会へのご質問にお答えします。
    小・中学校の毎日の給食食材の測定についてのお尋ねです。
    学校給食の食材の放射性物質の検査は、9月7日のサンプリング調査の結果、不検出でした。今後の検査については、消費者庁から測定器の借り受けができた場合には、教育委員会として検査方法等を検討していきます。
    次に、学校給食に関し弁当・水筒の持参を認める区教育委員会方針の現場への徹底についてのお尋ねです。
    学校給食の食材料に関し、牛肉の放射能汚染問題以降、国や都道府県でのモニタリング検査が強化されたことにより、現在は安全な食材料が流通しているものと 考えています。しかし、保護者の中には、不安に思っている方もいることから、各学校に弁当等の持参の申出があった保護者に対しては認めるように指導してま いりました。今後とも、校長会等を通じて、食材料等に不安をもつ保護者に対しては、弁当等の持参を認めるよう徹底してまいります。

     

     

     

    2、第2次実行計画について 

    (質問)

    次に、第2次実行計画についてうかがいます。

    質問の第1は、計画決定までのプロセスにおける説明責任と区民参加についてです。

    第2次実行計画は自治基本条例制定後初めて策定される実行計画であり、条例第5条、12条、14条、15条等に定められた区民の区政情報を知る権利と区政 参加の権利を実質的にどう保障するのかが問われています。まずはじめに、第2次実行計画の策定にあたり、区民討議会の他に、自治基本条例の趣旨を活かして 特に努力した点、改善した点があればお聞かせ下さい。

    私ども区議団は、全ての「しんじゅくトーク」に参加し、区民討議会を傍聴しましたが、率直のところ、情報伝達や区民参加が大きく前進したと受け止めることはできませんでした。そこで、以下何点かにわたり質問します。

    1点目は、「しんじゅくトーク」についてです。

    第2次実行計画、高齢者福祉計画・第5期介護保険計画、健康づくり行動計画の3計画を一緒に説明するには無理があると指摘していましたが、3計画を30分で説明しきれたとは思えませんし、1時間30分の質疑時間も消化不良の感が拭えません。私も、落合第2地 域センターで行われた集会に参加しましたが、時間不足で、挙手したのに発言できない方が10人もいました。また、一人1回5分の発言のため、質問の趣旨と 異なる回答が区長から返っても再質問できず、お互いの理解も議論も深まらないジレンマを感じました。10回の「しんじゅくトーク」を終えて、区長がどのよ うに総括・評価しておられるのかお聞かせください。

    「ふ れあいトーク宅配便」を活用した説明会が1件あったようですが、さまざまなツール・チャンネルを活かした丁寧な説明と意見集約のための工夫と努力も必要で す。特に、保育料や幼稚園・保育園の全園子ども園化と民営化など、計画素案で示された方針で大きな影響を受ける区民や関係団体に対しては、今からでも積極 的に出向いて説明し、意見を聞くべきと思いますが、いかがでしょうか。

    2点目は、区民討議会についてです。

    10月22日・23日の2日間にわたって区民討議会がもたれました。参加者からは、「区政への関心がとても高まった」、「皆真面目で、自分の意見を率直に 言っており、啓発され希望をもった」との感想がある一方、「機械的な班割のため、よくわからない分野について意見を言わなければならず、とても難しかっ た」「個別の事業と全体の事業との関わりがわからないまま議論していた」といった声も聞かれました。同様に、傍聴した同僚議員からも、熱心に真摯に議論す る姿に感銘を受けるとともに、事業の理解が生煮えのまま議論している場面もあったとのことで、議論の質という点では課題を残したと感じました。初めての取 り組みでしたが、現時点で、今回の試みをどう評価しているのかうかがいます。

    3点目に、インターネットの有効活用についてです。

    各計画事業をインターネットを通じて充分説明すれば、忙しくて説明会等に参加できない区民も接近しやすいですし、時間的制約で説明不足になる「しんじゅく トーク」の課題もクリアでき、区民も自分に影響のある分野を選んでじっくり視聴して意見を述べやすくなります。今後の計画策定では、インターネットの動画 配信等も活用し、説明責任を果たすと同時に、ネットを通じた区民意見の聴取を強めてはいかがでしょうか。

    4点目に、出された区民意見の反映です。

    これまで寄せられたパブリックコメントは約270件とのことですが、区民は自分が提出した意見がどう計画にいかされたか、また他にどんな意見が出ているの かも決定するまで知ることができません。区民討議会で出された意見も同様で、言いっぱなしでやりとりのキャッチボールがないため双方の理解も議論も深まり ません。決定の前にパブリックコメントや区民討議会の意見、それに対する区側の見解を公表し、さらに区民から意見を求めるような柔軟で懐の深い対応をする ことが区民の信頼を増し、自治基本条例の趣旨に合致するものと考えますが、区長のご所見をお聞かせ下さい。

    質問の第2は、財政収支見通しについてです。

    まず歳入についてですが、第2次実行計画期間中の特別区民税は景気動向を反映して大きく落ち込む見通しです。第1次実行計画の当初の見通しと比較して4年 間で150億のマイナス、特別区交付金も84億円マイナスです。一方、計画予算総額は4年間で418億円増となっており、財政調整基金の取り崩しと区債の 発行によって歳入の不足をまかなう方針と思われます。財政調整基金残高は2010年度末で218億円、2012年度末見込みで148億円です。一方、今後 4年間で309億円取り崩す計画ですが、差し引き約160億円足りません。繰越金を財調基金に充当するとしてもかなりの額ですが、どのように確保するのか お答えください。また、基金総額は2010年度末で467億円、2011年度末見込みで335億円と聞いております。今後4年間の基金の推移と、2005 年からは基金残高が区債残高を上回ってきましたが、区債残高の見通しも併せてお聞かせください。

    歳 出では、なんと言っても扶助費が第1次と比較して4年間で額にして約540億、率では46%増えることが突出しています。国際的にも国内的にも景気回復の 要因は見当たらず、扶助費の増大が見込まれるもとで、計画事業・経常的事業とも、不要不急の事業を見直し、区民生活を支えることを重点に置いた予算配分を することが必要と考えますが、区長はどのように認識されているか、お聞かせ下さい。

     

    質問の第3は、区政運営編の個別の事業の中でも、地域で存続の要望が高い清風園についてです。

    素 案では、施設の老朽化が進み、維持管理の負担がかかるから、地域の高齢者施策の需要を踏まえて清風園のあり方を検討すると書かれており、これは廃止を意味 しているのか、まず伺います。この計画を聞いて、落合地域では西落合ことぶき館がなくなったうえ、さらに清風園も廃止されたら困るという声が広がっていま す。落合だけではありません。清風園は、無料パスでバスを乗り継ぎ区内全域から高齢者が集まって来るオアシスともいうべき場所ですし、ことぶき館の機能転 換でお風呂がなくなった地域の高齢者も通っています。去年、一昨年とも利用者が45,000人と高齢者の需要は高く、楽しみつつ通うことが運動になり引き こもり防止にもなる、効果抜群の施設です。こんな良い施設を廃止するなんてとんでもありません。利用者の声を聞き、存続すべきです。区長の明確な答弁を求 めます。

     

     

     

    (答弁・区長)

    第二次実行計画についてのお尋ねです。
    はじめに、第二次実行計画の策定にあたって努力や改善した点についてです。
    第二次実行計画の策定にあたり、行政評価の実施時期を例年より早め、学識経験者や公募区民等からなる外部評価委員会の意見を素案に反映させました。
    ま た、多様な区民の声を取り入れた計画とするため、無作為抽出した区民による「区民討議会」を実施し、普段あまり区政に参画する機会の少ない区民から、区民 目線による率直な意見を伺いました。区民討議会は昨年の自治基本条例制定時に続いて実施したものですが、これまでの実行計画策定時にはなかった取組みで す。
    このほか、地域説明会を「区長と話そうしんじゅくトーク」の中で実施しました。計画素案の事業について、直接区民の皆さんと意見交換をすることができました。
    また、実行計画の内容をより理解していただけるよう、わかりやすく完成度の高い素案となるよう努めました。具体的には、計画事業の主な指標を一覧で表示す るとともに経常事業の概要を施策体系順に掲載し、区の施策や事業の全体像を素案の段階からお示しすることができました。
    こうしたことから、今回の実行計画については、策定段階から区民を含む外部の視点を取り入れるとともに、素案に対する区民への情報提供や区民参加のもとでの計画づくりになっているものと考えています。

    次に、「区長と話そうしんじゅくトーク」の評価についてのお尋ねです。
    今 年度は、現在策定を進めている区の「第二次実行計画」、「高齢者保健福祉計画・第5期介護保険事業計画」、「健康づくり行動計画」を主なテーマとし、10 月17日の柏木地域センターを皮切りに、特別出張所単位で11月13日の落合第一地域センターまで10回のトークを開催しました。参加者は、延べ419人 1回平均40人を超える区民の皆様のご参加をいただきました。
    最初に区側から各計画のポイントや区民生活に密接にかかわる事業を中心に簡潔に説明した後に、区民の皆様と直接意見を交換しました。
    この意見交換では、子育て支援、高齢者福祉、災害対策、自転車交通対策などの計画事業に係る区民の声を直接お伺いし、それに対する私の考えも直接お伝えすることができ、大変有意義な機会であったと考えています。
    なお、殆どの地域では、再質問も含め十分な意見交換ができたものと考えますが、限られた時間の中で、発言ができなかった方については、当日配付した意見用 紙により、ご意見を提出していただきました。回答が必要なご意見については個別に対応するとともに、パブリックコメント制度による意見としても取り入れる こととしています。

    次に、さまざまなツールをいかした丁寧な説明と意見集約についてのお尋ねです。
    今回の第二次実行計画素案の地域説明会は、「区長と話そうしんじゅくトーク」の中で行いましたが、区の情報提供のツールの一つとして、「ふれあいトーク宅 配便」があります。これは、区民等の要請により、職員が講師として出向き、区政の取組みを説明する制度で、「しんじゅくトーク」の中でも、制度の紹介を行 い、活用を呼びかけました。これまで1団体から要請があり、実行計画全般と介護保険、防災、子ども園化について各担当課長が説明し、参加者と意見交換を行 いました。
    パブリックコメントの期間は終了しましたが、今後も、「ふれあいトーク宅配便」等の要請があった際は、職員が出向いて説明し、ご意見等を伺ってまいります。

    次に、保育料や幼稚園・保育園の全園子ども園化と民営化についての説明会についてのお尋ねです。
    「保育サービスと保育料についての区民説明会」については、10月25日、27日、29日の3日間開催し、延べ27名の方にご参加いただきました。
    説明会に参加できなかった方のために、説明会で使用した資料をホームページに掲載し情報提供するとともに、ホームページからも意見をお寄せいただけるようにしています。
    保育園の子ども園化については、該当園における保護者説明会を通じて保護者の方に情報提供をしていきます。
    また、保育園の民営化については、今回の「保育サービスと保育料についての区民説明会」の中で、これまで区が進めてきた民営化や今後の民営化計画についても説明いたしました。
    今後とも、保育園の子ども園化や民営化の際には、保護者や保育園・子ども園の利用を考えている方々も含めて、適宜説明を行ってまいります。

    次に区民討議会をどのように評価しているのかとのお尋ねです。
    今回の区民討議会は、事業仕分けの手法を活用した初めての区民討議会でしたので、時間配分や情報提供のあり方など、さらに工夫すべき点もあったと考えています。
    しかしながら、参加者においては、2日間にわたり、19事業を熱心に討議し、率直かつ多様なご意見をいただきました。
    無作為抽出した方に参加依頼した結果、20代から80代までの幅広い世代の方が参加し、普段あまり区政に参加する機会のない方も多く参加していただいたものと考えています。
    また、有識者が情報提供の整理をしたり、班構成を少人数にするなど参加者が討議しやすい環境を工夫しました。
    私は、今回の討議会は、自治の主役であり、生活者である一般の区民の方が第2次実行計画素案の各事業について、熱心に討議し、貴重な意見を多数出していただいたことについて、とても有意義なものであったと評価しています。

    次に、インターネットを通じての各計画事業の説明についてです。
    区ホームページではインターネット動画サイトと連動した動画配信を行っています。映像情報は静止画の文字情報よりも視覚的に理解しやすい場合もあり、トーク会場に足を運べない方のために有効であると考えます。
    説明を動画ファイルに格納すれば、インターネット上に公開することにより動画配信することが技術的には可能ですので、今後の計画づくりにおいては必要に応 じた導入を検討してまいります。また、区民の方からのご意見は、ご意見専用フォームによって、ネット上での意見聴取が可能です。
    ユーストリーム など、リアルタイムに動画配信と視聴者コメントを双方向でネット配信するサービスについては、区民参画を図る上では魅力のあるものと考えますが、個人情報 の漏えい等やいわれなき誹謗中傷等にどのように対応するか等課題も多く、今後の十分な研究が必要だと考えます。

    次に、計画決定前にパブリックコメント等の意見と区の見解を公表し、さらに区民から意見を求めるべきとのお尋ねです。
    パ ブリックコメント制度は、公正で透明性の高い区政を推進するため、区民生活に広く影響を及ぼす区の基本的な計画等を決定する際に事前に案を公表し、区民等 の誰もが意見を述べる機会を保障する制度です。手続きを規則で定め、計画等の意思決定を行ったときは、区民意見とそれに対する区の考え方に加え、計画等の 修正内容を公表することとしています。
    第二次実行計画については、10月中旬から11月中旬にかけて、パブリックコメントや地域説明会、区民討議会を実施し、現在、これらの区民意見を考慮し、来年1月の計画決定に向けて、区の考え方を詰めているところです。
    ご指摘の、計画決定の前に区民意見や区側の見解を公表し、さらに区民から意見を求めるということはいたしませんが、計画の決定にあたっては、決定した内容、寄せられたご意見、ご意見に対する区の考え方をしっかり公表してまいります。

    次に、財政収支見通しについてのお尋ねです。
    まず、第二次実行計画期間中の財政調整基金の残高確保についてです。
    計 画期間の財政調整基金は、特別区税などの一般財源の伸びが期待できない中で、ご指摘のとおり大幅な取り崩しとなり難しい局面を迎えています。そのため、執 行過程で生じる不用額を積み立てるとともに、土地建物貸付収入などについて、社会資本等整備基金などから財政調整基金に積立て先を変更するなど、財政調整 基金の残高確保に取り組んでいく考えです。
    また、23年度の財政調整基金の繰入額の圧縮に加え、24年度予算編成でも、より一層の効果的効率的な行財政運営を図り、財政調整基金の残高確保に努めてまいります。
    次に、今後4年間の基金の推移と区債残高についてのお尋ねです。
    区 債残高は、後年度負担に配慮した計画的な区債発行を予定しており、22年度末の259億円から27年度末には207億円に減少する見込みです。一方、基金 については、計画期間中に、309億円の財政調整基金からの繰り入れを想定していることなどから、27年度末には、基金残高が区債現在高を下回る可能性も あります。
    そのため、24年度予算編成では、政策推進経費を廃止するとともに、決算実績に基づく経費削減と事務事業の見直しを積極的に行っていま す。区税等の財源確保、内部管理経費の削減や公共サービスのあり方の見直しなど、今後も徹底して行財政改革に取り組むことにより、基金残高の減少を抑制 し、区債現在高を下回らないように努めてまいります。

    次に、区民生活を支えることに重点を置いた予算配分についてのお尋ねです。
    区では、これまでも厳しい経済情勢を踏まえ、暮らしを支えるセーフティネット機能の充実など、区民生活を支えるための施策について、積極的に推進してきました。
    第二次実行計画素案では、介護保険サービス・障害者福祉サービスの基盤整備や保育園待機児童解消対策などに取り組むとともに、生活保護受給者の自立を支援するなど、だれもが互いに支え合い安心してくらせるまちを目指しています。
    また、24年度予算見積もりの依命通達では、震災対策をはじめとする区政の緊急課題に的確に対応することを編成の基本的方針として、予算の重点化を図ります。
    区を取り巻く財政環境は厳しい状況ですが、第二次実行計画及び24年度の予算編成において、安全で安心して、質の高いくらしを実感できるまちの実現に向け、これからも取り組んでまいります。

     

    清風園についてのお尋ねです。
    清 風園は、昭和40年に東京都より移管され、昭和55年に改築をし、ご利用いただいています。改築後、31年が経過しており施設の老朽化が進み、施設の維持 管理にかかる負担が増大してきています。そのため、地域の高齢者施策に対する需要を踏まえながら、今後のあり方を検討していきます。

     

     

    (質問)

    次に、子ども園について質問いたします。

    第1に、子ども園化の進め方の問題です。

    第2次実行計画素案では、現在4園の子ども園を2015年度には、21園増やし25園に、区立幼稚園は、現在の18園のうち3園を子ども園化し5園は廃止 という方針が打ち出されました。今年2月に出された「新宿区子ども園化推進の基本方針」では、区立保育園・幼稚園の全園子ども園化が打ち出されており、第 2次実行計画はそれに基づくものですが、そもそもこうした重要な基本方針を、区民や保護者のみなさんにも何の説明もなく進めるのはあまりにも拙速ではない でしょうか。これまでも指摘したように、第2次実行計画で対象とされている園は当然のことながら、全園で説明会を開き保護者のみなさんや今後の対象者も含 めた地域のみなさんからも意見を聞くべきです。ご所見を伺います。

    第2の質問は、子ども園化に伴う問題点についてです。

    質問の第1は、人員配置の問題です。子ども園の幼児クラスでは、給食を食べる子とお弁当の子。午睡をする子としない子。保育時間も短、中、長時間に延長保 育とまちまちで、細かい対応が求められ業務が大変煩雑になっています。職員の負担も大変なもで、職員の年休の取得が2010年、新宿区職員は平均14.3 日、保育園平均10.3日なのに対し、子ども園平均が6.0日という実態を見ても、子ども園の職員を増員することが必要と考えますがいかがでしょうか。

    質問の第2は、充分な保育スペースを確保する問題です。子ども園化計画では、保育園型・幼稚園型・幼保連携型があり、保育スペースの面積基準は、保育園型 は保育園の、幼稚園型は幼稚園の設置基準を満たし、幼保連携型は保育園と幼稚園の両方の基準を満たさなければなりません。既存施設の活用で定数を増やそう とする柏木やおちごなかい子ども園は保育園型ですが、これまで4・5歳児だけだった幼稚園舎を改修して3歳児からの施設となるため、柏木では遊戯室がなく なります。幼児1人あたりの面積は、幼稚園の時と比べてどの位狭くなるのかお答えください。また、現状より狭くならないよう対策を講じるべきと考えますが いかがでしょうか。

    本来、子ども園の理念は保育園と幼稚園それぞれの良いところを取って、子どもにとってより良い環境で育ちを保障することだったのではないでしょうか。とこ ろが、待機児童解消を優先し、大規模化と詰め込み的な子ども園化で、今までより保育環境が後退しているのではないでしょうか。今後予定されている高田馬場 4丁目の子ども園についても、単に保育園の面積基準を満たせば良いというのではなく、子ども園特有の複雑な保育内容にも対応できる充分な保育スペースを確 保すべきと考えますがいかがでしょうか。

    質問の第3は、子ども園の待機児童の問題です。第3回定例会で子ども園の幼稚園認可部分についても保育に欠ける子どもの待機児童を把握し入園調整を区が行 うことを求めました。西新宿子ども園は、来年4月入園の3歳児募集枠30人のうち2歳児からの持ち上がりを除く11人の枠に対し16人の応募があり、抽選 の結果補欠となった子どもの中には保育に欠ける子どもが居たと聞きました。保育園なら待機児童として扱われる子どもが、子ども園では待機児童となっても区 はまったく責任を負わないのです。区が子ども園化を進める眼目の一つが待機児童解消であったはずで、大きな矛盾です。子ども園の幼稚園認可部分についても 待機児童の把握と区で入園調整を行うべきです。お答えください。

    質問の第4は、民間の子ども園の運営主体や移行時の問題点についてです。第2次実行計画では、子ども園化と同時に民営化する方針が出されました。現在進め られている高田馬場4丁目の子ども園については当初、民設民営の認可保育園として募集したため、事業者は区の私立認可保育園設置基本方針に基づき実績のあ る社会福祉法人に限定されました。今後、区が進めようとしている子ども園の民営化が、国の進める子ども・子育て新システムを前提とするとしたら、利潤追求 を目的とした株式会社などの参入に道を開くことになり、保育がもうけの対象にされてしまいます。そのようなことがあってはならないと考えますが、区はどの ような方針なのかお答えください。また、これまでの区立幼稚園・保育園の子ども園化も、保育園の民営化も、移行に当たって現場は困難を余儀なくされまし た。今回の大久保第二保育園、新宿第二保育園、東戸山幼稚園の子ども園化と民営化は、二重三重の困難が予想されます。このことを区長はどのようにお考えでしょうか。子どもの最善の利益を考え、より良い保育環境にする子ども園化ならまだしも、現場に困難を押しつけるような子ども園化と民営化は行うべきではないと考えますがいかがでしょうか。

    第5の質問は、柏木子ども園とおちごなかい子ども園の送迎の対応についてです。

    無理な分園方式のため園舎が2ヵ所に分かれることによる送迎の問題については、第3回定例会でも様々な問題点が指摘されました。「今の在園児については兄 弟・姉妹とも乳児園舎で受け入れるが、これから入園する子どもには対応しない」という区の方針に保護者の怒りが広がっています。あいじつ子ども園は、乳児 と幼児の受け入れ場所が200メートル近く離れているため、兄弟・姉妹は乳児園舎で受け入れを行い、入園時期に関係なくすべての子どもに対応しています。 柏木やおちごなかいでも入園時期で子どもの対応に差を付けるのではなく、保護者の状況に応じて必要な子どもに対応すべきと考えますがいかがでしょうか。

     

     

     

    (答弁・区長)

    子ども園についてのお尋ねです。
    はじめに、子ども園化の進め方についてです。
    私は、保護者の就労の状況にかかわらず、就学前の子どもの成長と発達段階に応じた一体的な保育・教育が重要であるとの考えから、区長に就任以来、機会あるごとに区立保育園・幼稚園の子ども園への一元化の考え方を示してきました。
    昨年3月に策定した「次世代育成支援計画」の中でもあらためてその考え方を示しており、この計画の地域説明会やパブリックコメント等を通じてご意見もいただいております。
    さらに今年2月に決定した新宿区子ども園化推進検討委員会による「新宿区子ども園化推進の基本方針」についても、関係保育園、幼稚園はもとより、町会連合会、青少年育成委員会会長会、民生委員・児童委員協議会、次世代育成協議会等にも広くご説明させていただいております。
    今回の第二次実行計画素案についても、パブリックコメントを実施し、広くご意見をいただくと同時に、地域団体から説明を求められ大久保地域センターや柏木 地域センターでも説明会を行いました。今後とも対象園の保護者や関係者への説明会を中心に様々な機会を通じて地域のご意見を伺っていきたいと考えていま す。

    次に、子ども園化に伴う問題点についてのお尋ねです。
    まず、人員配置についてですが、既存の幼稚園や保育園に比べると保育時間も細分化され、対応も細やかになっていますが、職員配置基準に従い、必要な人数は 配置しています。子ども園職員の年休取得については、今年度、ローテーションや交替時間等の工夫を重ねていく中で、昨年度に比べ改善していますので、増員 は考えておりません。
    次に、現在整備中の柏木子ども園の幼児園舎の幼児一人あたりの面積についてですが、確かに園児が幼稚園の時の4,5歳児か ら3,4,5歳児と定員が拡大するに従って、一人当たり約0.8㎡減ります。しかし、一人あたりの基準面積1.98㎡より0.52㎡上回る2.5㎡は確保 しており、さらに同一敷地内の柏木小学校との連携により、体育館や他の教室等も利用できるように学校と協議してまいります。
    また、今後予定している(仮称)私立高田馬場四丁目子ども園の保育環境については、既に事業者から受けている提案内容によると、面積基準を上回る保育室の他にランチルームや多目的室など、十分な保育スペースが確保されています。
    次に、子ども園の幼稚園認可部分についても待機児童の把握と区で入園調整を行うべきとのお尋ねです。
    幼保連携型の区立子ども園は、年齢区分型の類型を採っており、四谷子ども園とあいじつ子ども園の4歳児、5歳児、西新宿子ども園の3歳児から5歳児までは幼稚園としての認可を受けています。
    現在、西新宿子ども園の3歳児では4人の方が補欠登録されており、そのうち1人の方が長時間保育を希望されています。幼稚園認可部分については、保育要件 にかかわらずに入園できる制度としており、保育園と同様の入園調整にはなじまないこと、子ども園で補欠登録している場合であっても、保育園の入園申し込み が可能であることなどから、待機児童という考え方を採っていません。

     

    次に、私立子ども園の運営主体や移行時についてのお尋ねです。
    まず、私立子ども園の運営主体については、新たな発想や創意工夫を取り入れるべく、十分な経験や実績を持つ社会福祉法人、学校法人、株式会社の中から広く公募し、選定したいと考えています。
    株式会社の参入により、保育が儲けの対象となるのではとのご懸念ですが、私立子ども園の運営は、どのような運営主体であっても、保育所保育指針、幼稚園教 育要領並びに新宿区子ども園保育・教育指針に基づいた保育・教育の内容を実施し、面積基準や人員配置基準、運営費補助などが変わるものではなく、質の高い 保育を行っていただけるものと考えています。
    仮に、株式会社が選定された場合であっても、他の法人の場合と同様に、指導検査基準に基づき指導・監督していきます。
    次に区立保育園や幼稚園が私立子ども園へ移行する際には、これまでの区立保育園の民営化の際と同様に、時間をかけて、丁寧な移行引継ぎを行ってまいります。

     

    次に、柏木子ども園と(仮称)おちごなかい子ども園の送迎の対応についてのお尋ねです。
    分園方式の子ども園では、乳児園舎と幼児園舎それぞれの園舎に送迎していただくのが基本となりますが、これは、保護者と担任との日々のコミュニケーション が重要との考え方からです。しかし、兄弟在園の場合に保護者の通勤時間などで、それぞれの園舎に送迎が難しい場合には、同一園舎でお預かりするなど、個別 の事情に応じて柔軟に対応してまいります。

    4、学童クラブの全所民間委託について 

     

    (質問)次に、学童クラブの全所民間委託化について質問します。

    新宿区は2003年度から学童クラブ児童指導業務の委託化を進めてきました。現在26所中16所を委託していますが、第2次実行計画素案では残る10所を すべて委託化し、児童館は16館中6館がすでに指定管理者制度を導入し、素案ではさらに6館で導入する方針です。 私たちはこれまで、保護者・関係者の意 見も聞きながら委託化によって保育の質が低下することのないよう提案をし、一定の改善をさせてきました。

    委託業者を選定する際、保護者や区民の意見を反映することや、当初、委託された学童クラブで職員が年度途中に複数やめるケースが多数発生したため委託費の 引き上げなどで改善を図り、また委託であっても区直営と同等の質を確保するために区職員の研修に委託事業者の職員も参加できるようにしたり、委託クラブに 区職員が巡回指導を行うなどしてきました。しかし、そうしたことも、今は区が直営の現場を持っているから可能なのであって、全て民間にしてしまったら区職 員の研修はなくなり、民間を指導すべき経験を積んだ区職員が居なくなってしまいます。その点を、区長はどのようにお考えですか。

    これまで委託化の最大の理由は、通常時の平日午後6時以降や長期休業中の午前9時以前の保育ニーズに応えるためということのみで、子どもたちの健全育成、 保育の質の向上といった観点ではありませんでした。8年間の委託推進の総括、評価をそういった観点で行うべきではないでしょうか。時間延長のみが委託化の 理由であるならば、現在残っている6所は直営のまま時間延長を行い、これ以上委託すべきではないと考えますがいかがでしょうか。

    また、すでに委託されている学童クラブについては、職員の処遇改善のため委託費の引き上げをすべきではないでしょうか。また、学童クラブを運営する区の責 任として、委託職員がどのような雇用契約で働いているのかチェックすることは重要です。しかし現在、指定管理者に対しては労働環境モニタリング制度で把 握・指導ができますが、委託事業者にはできません。区民が利用するサービスを民間にゆだねるということでは、指定管理も委託も同じです。委託事業者に対す る労働環境モニタリングを実施すべきと考えますがいかがでしょうか、お答えください。

     

     

    (答弁・区長)

    学童クラブの全所民間委託化についてのお尋ねです。
    かつて家族や地域が担っていた、子育てに関する支え合いの機能は、大きく変化してきています。父母ともに働く保護者の増加等を背景に、学童クラブ需要は増 加し続けてきました。さらに、保護者の就労時間が長くなったことや、放課後に安全で安心してすごすことのできる居場所の提供の観点から、時間延長を望む声 が増してきました。
    こうした状況を踏まえ、区では、平成16年度から、順次、職員配置やシフトを柔軟に組むことができる児童指導業務の民間委託を 導入してまいりました。今後も、学童クラブ利用者の延長利用のご要望にお応えするとともに、充実した保育を実施するために、全学童クラブに児童指導業務委 託を導入していきたいと考えています。
    その際、事業者にすべてを委ねるのではなく、直営の児童館や子ども家庭支援センターの児童指導業務経験のある職員を中心に、巡回指導を行うなどの助言・指導を行ってまいります。
    また、児童館・学童クラブの職員への実技研修や、他の児童館や学童クラブでの体験研修などを継続し、委託学童クラブの職員の参加を促すなど、区が責任を持って事業者のサービスを向上させ、質の高い保育を提供できるよう、努めてまいります。
    次に、委託化による健全育成、保育の質の向上の評価についてのお尋ねです。
    委託学童クラブにおいては、導入当初は、課題もございましたが、事業者の創意工夫により、様々なサービスの向上が図られています。例えば、定員を上回る状 況の中で、手厚い職員配置により、公園や放課後子どもひろばへの外出の機会を増やし、思う存分体を動かせるような配慮をしているクラブもあります。また、 塾等への外出や帰宅時間の管理について、児童の自主性を育てながらきめ細やかな管理を行っています。
    指定管理児童館における学童クラブの事業評価 や、委託学童クラブの保護者や地域の代表の方々で構成する児童館運営協議会での評価も、全ての委託学童クラブで、一定水準以上の評価を受けております。今 後も、利用者要望の事業への反映等もしっかりと確認しながら、サービスの向上に努めてまいります。
    次に、直営のまま時間延長をすべきではないかとのお尋ねです。
    直営の学童クラブの長期休業中等の利用時間を延長するためには、大幅なシフト勤務を組む必要がありますが、現行の職員数では手薄な時間帯ができてしまうため、対応が難しい状況です。
    次に、職員の待遇改善のための委託費の引き上げについてのお尋ねです。
    現在の委託費の予算は、常勤職員の人件費を区の勤続10年目の職員の給料表をベースとする等、一定の水準に達していると認識しています。職員の勤続年数も 安定しており、現段階では、委託費の引き上げは、考えておりませんが、今後とも、適正な人件費による運営が図られるよう、注視してまいります。

    次に、委託事業者に対する労働環境モニタリングを実施すべきとのお尋ねです。
    委託契約においては、モニタリング調査の内容に準じた事項に関して、労働環境チェックシートにより事業者自らが確認するとともに、区がその内容を確認し、必要な改善を求めることなどによって、適正な労働環境の確保を図っているところです。
    こ の取組みは、平成22年7月から実施したもので、2000万円以上の委託契約を対象としています。学童クラブ児童指導業務委託については、16所中15所 が対象となっています。学童クラブに関して改善指導に至ったものはありませんが、業務委託全体では5件の改善指導を行っており、一定の効果を挙げていると ころです。
    今後も、対象範囲の見直しを含め、この制度を充実させていく中で、委託契約における適正な労働環境の確保に努めてまいります。

     

     

     

    5、学校図書館司書の全校配置について 

    次に、学校図書館司書の全校配置について伺います。

    学校図書館に司書を配置することは、PTAをはじめ学校関係者の切実な願いでした。私ども区議団はこれまで、予算の修正案を含め繰り返し要求し、また今年 の第1回定例会では先進的な取り組みを行っている荒川区の事例も示して学校図書館司書の全校配置と支援体制の確立について提案をしてきたところです。

    第2次実行計画(素案)では、「学校図書館の充実」として2013年度から学校図書館司書を2校に1人、区立40校すべてに配置し、児童・生徒の不読者率 を小学生5%以下、中学生20%以下にする目標を設定しています。更に、2013年度は図書購入費を各校30万円ずつ例年より上乗せすることで図書の更新 と充実を図る計画となっています。私どもの繰り返しの要求と現場の要望が、第2次実行計画に採り入れられた点では、大きな前進であり評価できるものです。 しかし、区長トークでも意見が出されたように、さらに充実した計画とする必要がありますので、以下質問いたします。

    質問の第1は、人員配置の充実と実施年度の前倒しについてです。

    今年の第1回定例会では実施時期について教育長が、「来年度のモデル校における検証結果を踏まえて、学校図書館の効果的な運営策を検討し、平成24年度か らの実現につなげていく」との答弁でした。さらに今年度は学校図書館資料のデータベース化が完了することになっており、来年度は、これらも活かして図書を 抜本的に整備することとあわせた学校図書館全体の充実を図るスタートの年でもあり、そうした意味からも司書の全校配置の実施時期は2012年度からとすべ きです。人員配置については2校に1人配置の計画となっていますが、荒川区の先進事例でも司書を常駐化させることに大きな意味がありました。教育委員会と して、学校図書館の司書のあり方についてはどのような形をめざしているのでしょうか。第2次実行計画においても各校1人の常駐化とすべきと考えますがいか がでしょうか。

    質問の第2は、支援体制の確立についてです。

    荒川区では、教育センターに学校図書館支援室を設置し、主任学校図書館指導員を置き、司書や教員の研修や連携の支援を行うことで、全体のレベルアップに大 きな役割を果たしています。新宿区でも、単に司書の全校配置だけでなく、支援体制の確立が必要と考えますがいかがでしょうか。

    質問の第3は、司書教諭の発令についてです。

    これまでも学校図書館や子どもの読書活動の議論の際、教育委員会は司書教諭の役割を強調してきました。司書教諭の発令については、法改正により2003年 度以降は12学級以上の学校には司書教諭を必ず置かなければならないとされているにもかかわらず、それが守られていない実態が続き、私どもも繰り返し改善 を求めてきましたが、今年度もなお早稲田小学校は区内最大の18学級でありながら司書教諭は配置されていません。また、来年度新たに12学級以上になるこ とが予想される学校もあり、学校図書館に司書を配置することとあわせて来年度は必ず12学級以上の学校に司書教諭を置き、11学級以下の学校も配置をめざ すべきと考えますが、いかがでしょうか。

    第2次実行計画では不読者率を小学校児童は1.4%、中学校生徒は7.2%の改善をするという、とりわけ中学校については高い目標が設定されています。こ れを本当に実現するためにも実施年度の前倒しと司書の常駐化、支援態勢の確立は必要不可欠と考えますが、いかがでしょうか。お答えください。

    質問の第4は、学校図書館へのパソコンの設置と新聞の設置についてです。

    学校図書館は読書活動とともに、調べ学習でも大きな役割を果たします。今日の調べ学習においては、パソコンでインターネットを使うことはあたりまえになっ ています。さらに、新聞を使った学習も行われていますが、昨今は新聞離れが進み、新聞を購読していない家庭も増えていると聞きます。財団法人日本新聞販売 協会は、希望する学校には6大紙を無償提供しています。現在、それを活用しているのは小学校3校、中学校4校のみと聞いていますが、全校に新聞を設置し、 学習に活用すべきです。学校図書館にパソコンと新聞を配置することについて教育委員会の見解をお示しください。

     

     

    (答弁・教育委員会)

    学校図書館司書の全校配置の時期についてのお尋ねです。
    学校図書館司書の全校配置に向けては、その方法や支援体制の検討が必要であり、人材の確保についても一定期間を要することから、実施時期については、25年度からとしたものです。
    次に、学校図書館の司書のあり方と各校1人の常駐化についてのお尋ねです。
    現在、各学校には、地域の人材を活用した図書館スタッフが週1、2日程度配置されており、この取り組みは今後も継続を予定しています。
    今回の計画では、学校図書館司書を2校に1人配置し、教員や現行の図書館スタッフと連携しながら、学校図書館の充実を目指すものです。先ずは、こうした取組みを進めながら、取組みの検証を行うことが必要であると考えています。
    次に、支援体制の確立についてのお尋ねです。
    研修については、新たに導入する蔵書管理と図書検索機能を有した学校図書館システムに関する研修を新設するとともに、中央図書館と連携した研修を行うなど、充実を図ってまいります。
    今後の支援体制については、学校図書館運営を支援する教育支援課と中央図書館とがより一層連携を図っていくとともに、学校図書館司書の配置に併せて、学校図書館の運営等を検討する委員会を立ち上げることを計画しています。

    次に司書教諭についてのお尋ねです。
    これまでも学校図書館法等に基づき12学級以上の学校に司書教諭を置くように努めてまいりました。
    今年度については、12学級以上ある学校13校中、1校のみ人事配置の事情により、置くことができませんでした。
    来年度については、12学級以上のすべての学校に司書教諭を置くことができるよう東京都教育委員会に働きかけてまいります。
    また、11学級以下の学校についても可能な限り司書教諭を置くことができるよう努めてまいります。

    次に、中学生の不読者率の改善についてのお尋ねです。
    平成21年度の中学生を対象にした読書についての調査結果では、本を読まなかった理由として、「読みたい本がなかったから」と回答した生徒が一番多い結果となりました。
    今後、各中学校に学校図書館司書を配置することで、生徒が興味・関心を示す図書購入を行うとともに、教育活動と連携した図書紹介や、今日的な話題など中学生の趣味や興味に応じたレファレンスが行える図書館づくりをすすめてまいります。
    こうした取り組みを通して読書活動への関心を高め、読書意欲を持続させることで、不読者率の改善を図ってまいります。

    次に、学校図書館にパソコンと新聞を設置することについてのお尋ねです。
    区立の小・中学校では、普通教室や学校図書館等において、インターネットを活用できるネットワーク環境の構築と学校図書館へのパソコンの設置が今年度中に完了します。今後は、このような環境を生かした多様な教育活動を進めてまいります。
    新 聞の設置については、新学習指導要領においても言語活動の充実に関して新聞の活用にふれていることから、今年度、新宿区新聞販売同業組合の協力を得て、希 望する学校へ新聞の提供を始めました。提供を受けた学校では、授業での活用や、学校図書館や玄関への新聞コーナーの設置など、児童・生徒が新聞に親しむ環 境を作っていることから、教育委員会としては、今後もこのような取り組みを進めてまいります。

     

     

     

    6、高齢者・低所得者の住宅確保策等について 

    次に、高齢者・低所得者の住宅確保策等について

    11月6日朝に発生した大久保1丁目のアパート火災により、4名が亡くなられ、3名の方が重軽傷を負われました。亡くなった方のご冥福をお祈りするととも に、重症の2名の一日も早いご快癒をお祈り申し上げます。当日は区役所に13人が避難し、特別区の厚生施設に一時入居した12人については、住宅相談で新 しい住まいを確保してもらい、ケースワーカーを別途配置してフォローしていくと伺いました。引き続き丁寧な対応をお願いします。

    火災に遭ったアパートの入居者22世帯23人中、19世帯19人が生活保護を受給していたことから、「都会の孤独 おそった炎」「孤独な老後 映 す悲劇」などの見出しでマスコミでも大きく取り上げられました。保証人がなくても入居可能なアパートで、身寄りのない孤独な高齢者が多く、死者の身元確認 にも時間がかかるなど、無縁社会の厳しい実態があぶり出され、今回の事件を教訓とした対策が区に求められております。以下質問します。

    第1に、老朽化した共同住宅改善のための支援についてです。

    火災にあったアパートは、築48年の建物で、火の回りが早く大惨事となりました。老朽建物の耐火化やリフォーム、バリアフリー化等を進め、高齢者が安心し て住める賃貸住宅を確保することを家主任せにしていたのでは事態は前に進みません。行政の役割が問われています。この点では、文京区の高齢者賃貸住宅登録 事業が先例です。室内に浴室・トイレを設置し、浴室・トイレ・階段には手すりをつけることが条件で、この分については全額、それ以外の例えばトイレを洋式 にする等の任意部分は2分1の工事費用が助成されます。上限は、専用部分が30万円、共用部分が100万円です。昨年度2棟の実績で、今年度は4棟の申し 込みと聞きました。新宿区でも、文京区を参考に、老朽化した共同住宅を高齢者が住みやすくリフォームすることを支援する制度を構築すべきと考えますが、い かがでしょうか。

    第2に、家賃債務保証制度の改善についてです。
    火災のあったアパートは、保証人なしで入居できるためか、近傍の家賃と比較して割高の物件でした。保証人問題は、家族の縁の薄い高齢者にとって大きな壁です。そのため、新宿区も高齢者等入居支援事業で保証会社をあっせんし、保証料2年分助成を行っていますが、今年度の実績は2件しかありません。必要な方がもっと制度を利用できるように、保証会社の数を増やし、対象者も高齢者・障害者・ひとり親に限定しないで低所得者にも広げ、助成期間も延長すべきと考えますが、いかがですか。

    また、住宅課が行っているこの制度は生活保護世帯の場合、条件が合致すれば保証会社のあっせんを受け、費用は法内援護で受けられます。ホームページ等の入 居支援事業の説明は生活保護の方も同様の支援が受けられることを明記し、生活福祉課・保護担当課の職員に制度の活用を促し、第2分庁舎の1・2階に保証会 社斡旋や保証料支援があることを掲示していただきたいと思いますが、いかがですか。

    家賃債務保証制度が保証する内容は、滞納家賃、残存物処理、原状回復などが含まれます。無縁社会が広がる中で特殊清掃・遺品整理の仕事に注目が集まってい ますが、生活保護世帯の死後の住宅引き払い費用を法内の扶助費とするよう国に働きかけ、実現を迫るべきと考えます。また、かねて要望しているように区の家 財処分費の支給は、今年度も僅か64万円しか予算計上されていませんが、大幅に拡大し柔軟な対応を求めます。区長のご所見をうかがいます。

    東京都防災・建築まちづくりセンターの「あんしん居住制度」は見守りや、入居者の死後の葬儀・残存家財の片づけ費用を予め預託しておく制度で、中央区では 転居の際にこの制度を利用すると利用料の半額を助成しています。高齢者入居促進に役立つ制度であり、新宿区も早急に検討し、助成を開始すべきと考えます が、いかがでしょうか。

    第3に、公営住宅の増設と家賃助成についてです。

    住宅に困窮している低所得者が一縷の望みを託しているのが、都営・区営などの公営住宅です。しかし現実は厳しく、特に都心区の単身者には極めて「狭き門」 です。大震災前の2月の都営住宅の抽選結果は、単身者向けが都内平均69.1倍、新宿では186倍の高倍率、シルバーピア単身者向けも都内平均は83.4 倍、区内の高いところでは186倍でした。「10年、20年申し込んでも当たらない」と嘆く高齢者がいます。

    都営住宅の増設を東京都に要望し、区営住宅を増やすことを改めて強く求めます。また、早稲田南町の区営住宅は空き家になっても募集していません。移転先の 弁天町でも住戸数は同じなのですから、何も空き家にしておく必要はないはずです。来年5月には空き家募集すべきです。区長の答弁を求めます。

    民間の住宅が充足しており既存ストックを活用するというのがこの間の区の方針ですが、どんなにストックがあっても手の届かない家賃だから、結果的に火災に あったような老朽アパートに住まわざるを得なかったのではありませんか。高齢者等に対して家賃助成をすることが、良好な既存ストック活用を促進すると考え るものですが、いかがでしょうか。

    第4に、保護担当課の職員の増員についてです。

    11月9日公表された7月の生活保護受給者数は約205万人で、敗戦直後の混乱期を超え過去最多となったと報じられました。新宿区はこの傾向が最も顕著な自治体です。

    保 護担当課が担当する受給者は、11月1日現在6252人で、職員は61人とうかがいました。ワーカー1人当りの担当は平均100人を超えており、中には 120人も担当している職員がいるとうかがいました。社会福祉事業法では、ケースワーカー1人あたりの担当は80ケースが標準です。法改正で法定から標準 になったとはいえ、80ケースは重要なメルクマールです。新宿区の現状は平均でこれを28%も超え、人によっては1・5倍ですから、早急に職員の増員が必 要です。また、第2分庁舎の保護担当課の部屋はすでに満杯状態であり、スペースの拡大も必要です。区長は、この問題にどのように対応されるのかお答えくだ さい。

     

     

    (答弁・区長)

    高齢者・低所得者の住宅確保策等についてのお尋ねです。
    はじめに、老朽化した共同住宅改善のための支援についてのお尋ねです。
    区では、新宿区リフォーム協議会と連携した「住宅修繕工事等業者あっ旋」や、東京都建築士事務所協会新宿支部と連携した「安全安心・建築なんでも相談会」により共同住宅を含む住宅改修を支援しています。
    また、賃貸住宅の所有者には、住宅改修に当たり「新宿区中小企業向け制度融資」による融資あっ旋を行っています。さらに、身体機能に一定の低下がみられる高齢の入居者には「自立支援住宅改修」や「住宅設備改修費助成」などの様々な事業を行っています。
    したがいまして、老朽化した共同住宅のリフォームへの支援制度については、実施する考えはありません。

    次に、家賃債務保証制度の改善についてのお尋ねです。
    区では家賃債務保証制度として高齢者等入居支援事業を実施しています。この事業は、保証人が見つからないために、民間賃貸住宅への入居が困難な高齢者世帯等の入居を支援するため、区と協定を結んだ保証会社を紹介し、保証料を助成するものです。
    今年度については、新たに保証会社1社と協定を結び、取扱い保証会社を2社とする事業の改善を行いました。
    この事業は高齢者世帯等の入居を支援するためのものであり、低所得者一般を対象とする考えはありませんが、来年度については、助成対象者の年齢を引き下げることにより対象範囲を拡大することを検討しています。
    また、この事業は新たな入居を支援するものであることから、助成期間については現行制度のとおり実施していきます。

    次に、生活保護世帯の方への保証会社あっ旋の周知に対するお尋ねです。
    高 齢者等入居支援事業の利用の拡大を図るためには、より多くの方に事業内容を知っていただくことが重要です。お尋ねの生活保護世帯に対する保証会社のあっ旋 については、庁舎内で連携して実施しておりますが、さらに周知を図るため、区のホームページ等へ掲載いたします。また、庁舎内にポスターなどを掲示いたし ます。

    次に、生活保護世帯の死後の住宅引き払い費用と区の家財処分費についてのお尋ねです。
    まず、死後の住宅引き払いに伴う原状回復費用ですが、現在の生活保護基準の中で、この費用の仕組みはありませんが、実際に家主等が、敷金等では賄えきれず、お困りになっている事例もあります。
    そのため、単身の被保護者が死亡した場合の原状回復費用を葬祭扶助として支給できるよう、東京都を通じて国に改正意見の要望を上げています。
    次に、区の家財処分費についてですが、国の保護基準が改正に至らない現状から、国制度を補完するために区の単独事業として、家財の処分経費を家主等に支給しているものです。
    また、平成18年度以降の実績では、予算の範囲内で対応ができていますので、予算額の拡充は考えておりません。

    次に、「あんしん居住制度」に対する助成についてのお尋ねです。
    区では貸主、借主双方の不安を解消することが高齢者の入居促進にとって重要と考えています。
    こ のため、賃貸住宅への入居にあたり、財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターの「あんしん居住制度」のうち、安否確認や緊急時の対応を行う「見守り サービス」を利用した一人暮らしの60歳以上の方に対して、費用の一部を助成する事業を、来年度の実施に向けて、現在検討中です。

    次に、公営住宅の増設と家賃助成についてです。
    まず、公営住宅の増設についてのお尋ねです。
    都営住宅については、現在のところ、東京都は、供給管理戸数を抑制し、新規建設を行わないこととしていることから、区として、都営住宅の増設を要望することは考えておりませんが、区内で建て替えを行う際には、増戸などの要望を行っていきます。
    区営住宅については、区が管理する公営住宅の総戸数及び世帯数に対する割合は特別区の中で上位にあることから、区営住宅の増設は行わず、いまある区立住宅ストックを有効に活用していきます。

    次に早稲田南町地区の区営住宅の空き家募集についてのお尋ねです。
    早稲田南町地区の区営住宅の再編整備は、老朽化が進んでいる、早稲田南町アパート、早稲田南町第2アパート、早稲田南町第3アパートを対象とするものです。これらの住宅について、近隣に位置する弁天町国有地を取得し、平成27年度当初に建替え、移転を予定しています。
    現在、この3住宅には、8戸の空き家があります。これらの空き家に入居いただいても、短期間の内に再び移転することになり、居住環境の変化や移転作業などの負担が大きいため、空き家募集は行いません。

    次に、高齢者等に対する家賃助成が、民間住宅の良好な既存ストック活用を促進するという考えについてのお尋ねです。
    区では、貸主の不安を解消し、高齢者等の入居を促進するため、安否確認や緊急時の対応を行う「見守りサービス」を利用した方への助成事業を検討しております。また、住み替え居住継続支援や住宅相談などの入居支援事業を行っております。
    高齢者等に対する家賃助成については、実施する考えはありませんが、様々な入居支援事業を通じて、民間の良好な既存ストック活用が図られていると考えます。

    次に、保護担当課の職員の増員についてのお尋ねです。
    11 月1日現在で、保護担当課のケースワーカー1人あたりの担当数は、平均102.5世帯となっています。平成20年度以降、急増する被保護者に対するケース ワーカーの配置については、23区の平均担当ケース数を上回らないことを基準に、これまでも増員を図ってきたところです。
    更に、自立支援員等の専門非常勤職員の増員を図り、被保護者のための適切な支援を補助することで、ケースワーク業務の補完・支援に努めています。
    また、保護担当課の執務スペースについては、平成24年4月には拡大する方向で現在検討を進めています。

     

     

     
    7、防災対策について 

    次に防災対策について伺います。

    現在、新宿区では防災計画の見直しが行われていますが、今年度は要援護者対策を中心に行ない、本格的な防災計画の見直しは東京都の新たな地震規模と被害想定の下、見直しが行われるとしています。東京都防災会議の地震部会では、今後想定対象とすべき地震として、従来の2つ の首都直下地震に加え、海溝型地震の関東地震と、断層型地震の立川断層帯地震をあげ、海溝型の関東地震を想定目標に加えたことにより、これまで想定してい なかった津波被害や長周期地震動被害を被害想定項目に列挙しています。こうした流れからすれば、地震規模や被害想定が大きくなる方向は間違いなく、第二次 実行計画では従来の事業を飛躍させる必要があります。

    ま ず、耐震化率を引き上げるため、抜本的な助成増額や、高齢者・障害者世帯への上乗せ、部分改修を対象にする等、費用負担軽減を図ることが必要と考えます が、ご所見を伺います。またその際、東京都に対し静岡県が行ったように全都的な制度構築と積極的な財政支援をすることを求めるべきと考えますがいかがで しょうか。がけや擁壁については、改修工事費助成15件をすることになっていますが、これではあまりにも目標が低すぎます。震度5弱の地震で区内被害がこれだけ起こったのですから、改修工事費助成件数については抜本的に高い目標を掲げるべきと考えますが、ご所見を伺います。

     

    次に災害情報システムについてです。
    第二次実行計画素案では災害情報システムの再構築として第一次整備、第二次整備として3億2千万の総事業費で事業を行なう計画となっています。どのような内容になり、どう見積もられているか、お示しください。この10月に総務区民委員会が視察した西宮市情報センターでは、現在200の 地方公共団体が試験的、または本格的な導入が行われている、西宮市が開発した被災者支援システムの説明がありました。これは阪神淡路大震災で被災した西宮 市が市民への義捐金の配布や罹災証明の発行、その後、避難所や仮設住宅関連、犠牲者・遺族関連など復興に向けて展開される業務を支援するために新たな機能 を順次開発、被災時から復興に至る情報の収集、分析、活用を一貫して支援するシステムとして構築したとのことで、他市に比べ復興の速度を速める上で大きな 役割を発揮したとのことです。住民基本台帳を基礎にしたこのシステムは当然要援護者対策や帰宅困難者対策にも大きな力を発揮する可能性を持っています。す でに東日本大震災で被災した自治体の中でも一部運用が始まり、2009年1月17日に総務省から被災者支援システムVer2.0として全国の自治体に無料で配布されています。コスト的にも低廉で実践的に検証されている被災者支援システムの導入について新宿区でも検討すべきと考えますが、いかがですか。

    現 在、小中学校全校にメール配信システムが構築されており、震災時に学校からメールがきて「子どものことが心配だったが、すぐにメールがきて様子がわかり安 心した」と保護者の皆さんから歓迎の意見が寄せられまました。ただ、幼稚園、こども園、保育園には現在こうしたシステムがありません。保護者の皆さんから も要望が強いメール配信システムを幼稚園、こども園、保育園に導入すべきと考えますがいかがでしょうか。

     

    最後に原子力災害対策についてです。

    1999年9月30日に茨城県東海村にあるウラン加工施設において、臨界事故が発生し、わが国で初めて原子力災害による住民の避難や屋内退避が必要となりました。この事故を教訓に、原子力災害対策特別措置法が1999年 に制定され、国、地方公共団体および関係機関において原子力災害に対する対策の抜本的な強化を図ることになりました。しかし、東京都地域防災計画「原子力 災害編」では都内には原子力施設が存在せず、また国の原子力安全委員会が定めた原子力施設に関して「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲=EPZ(半 径8~10km)に含まれていない」とし て、この計画では都民の不要な混乱を防止することが目的となっています。したがって具体的な対策はなく、東京は安全だという論が展開されており、まさに 「安全神話」そのものです。しかし福島第一原発事故で、区民を取り巻く情勢は一変しました。現在区では、放射線量の測定とともに、0.23マイクロシーベルト/毎時を越えれば除染の対象とするなど新たな対応が始まっています。さらに、東京は福島第一原発からは約230kmの地点ですが、浜岡原発から約180㎞ にあり、もし東海地震によって浜岡原発にチェルノブイリ原発事故に匹敵する大事故が起これば、風向きによっては東京に深刻な放射能汚染が及ぶことは確実で す。したがって、東京都に対し東京都地域防災計画の「原子力災害編」を見直すことを求めるべきと思いますが、いかがですか。さらに、区の地域防災計画の中 にも福島第一原発事故の教訓をくみ出し、原子力災害編を策定すべきと思いますがいかがですか。また、原子力災害の根絶めざし、原子力発電ゼロをめざすべき と思いますが区長のお考えをお示しください。

     

     

     

    (答弁・区長)

    防災対策についてのお尋ねです。
    はじめに、耐震化率を引き上げるため、費用負担軽減を図る必要があるとのことについてです。
    私は、いつ起きてもおかしくない「首都直下地震」に対する時間との競争の中で、「逃げないですむまちづくり」を目指し、建築物等耐震化支援事業に積極的に取り組んできました。
    建 築物の耐震化は、それぞれの建築物の所有者が、自らの責務として取り組むことが基本であると考えていますが、区民の生命、財産を守るため、木造住宅等の耐 震改修工事では、補助率3分の2で、最大300万円の助成を行っているなど、他の地方公共団体に比べても手厚い助成を行っています。このため、助成金額の 増額については、現在のところ考えておりません。
    部分改修工事については、建物全体の補強ではなく、部屋ごとの部分的な補強である「耐震シェルター」や、就寝中の安全な空間を確保する「耐震ベッド」の設置、建物全体の部分的・簡易的な補強である「簡易耐震補強工事」への助成を行っています。
    高齢者・障害者世帯への上乗せ助成については、災害時の避難が困難と思われる方が居住する建物の安全性を確保することは重要であると認識しており、これま でも、一般の世帯よりも手厚く助成を行っております。現在、モデル地区事業を含む実績等を踏まえながら、耐震化支援事業の課題を検証する中で総合的に検討 しています。
    次に、東京都に対し、全都的な制度構築と積極的に財政支援を求めるべきとのお尋ねです。
    東京都では、現在耐震に係る経費 について、助成を行った区市町村に対して、その一部を補助しています。東京都の補助対象区域や要件が限定されているため、事業の拡充等について検討するよ う、東京都耐震改修促進行政連絡協議会等を通じて、今後とも東京都に働きかけていきます。

    次に、第二次実行計画で、がけや擁壁に対する改修工事費助成の目標が15件となっているが、もっと高い目標を掲げるべきではないかとのお尋ねです。
    第二次実行計画における「擁壁・がけ改修等支援事業」では、改修工事費助成の目標について、事業を立ち上げる当初の2年間を除き、各年度5件を想定し、4年間で15件を計画しています。
    区 内には高さが1.5m以上の擁壁が約3,500件ありますが、改修工事費助成の対象を「崩壊や転倒した際に生命、財産に大きな危害をおよぼす恐れのある擁 壁」及び「大規模な災害時の避難や救助活動に重要な道路に近接する擁壁」に重点化したことで、助成対象となりうる件数は、約100件と想定しました。
    事業期間については、擁壁改修工事が建築物の建て替えと同時に施工することが効率的であるため、建て替えが想定される今後20年間に合わせたことから、各年度の目標件数は5件と設定しています。
    今後、事業を進める中で、改修工事費助成の申請が事業の目標を超えることが想定される場合には、実行計画のローリングにおいて見直して行きたいと考えています。

    災害情報システムの再構築の内容についてのお尋ねです。
    新宿区では、平成19年度より防災行政無線のデジタル化に取り組んでおり、平成23年度末には同報系防災無線のデジタル化更新工事が終了し、デジタル防災無線の整備が完了するところです。
    東 日本大震災においては、帰宅困難者に対する迅速な情報提供が大きな課題となりました。また、初動態勢の強化が必要であると認識しています。このため、平成 24年度からの第二次実行計画では、駅前滞留者や帰宅困難者への情報提供手段の整備を行うとともに、区内の被害状況や災害応急活動の状況を把握し、迅速か つ的確な判断・指示を行うための災害情報収集・処理システムを再構築していきます。
    まず、平成24年度に第一次整備として、駅前滞留者への情報 提供を行うため、新宿駅周辺防災対策協議会メンバーへの防災ラジオの配備、本年度にJR新宿駅東口広場に設置する防災用屋外スピーカーや大型ビジョンによ る情報提供のしくみづくり、また、JR新宿駅東口に震災時の状況把握を行うための高所カメラの設置等で約7千5百万円を見込んでいます。
    平成25 年度では第二次整備として、迅速な情報収集と的確な指示を行うため、災害医療活動拠点となる保健センターや、障害物除去、瓦礫処理などの活動拠点となる公 園・工事事務所等への災害情報システム端末の配備及び、避難所や地域情報の収集伝達を行うため避難所へのデジタル防災無線と連動した簡易情報収集端末の設 置等に、約2億4千4百万円を見込んでいます。
    次に、被災者支援システムについてのお尋ねです。ご指摘の西宮市が構築した被災者支援システム は、無償で公開・頒布されており、り災者証明の発行とその後の被災者支援に関しては優れたシステムといえます。しかし、り災証明発行のための建物被害認定 調査及び調査結果のデータ化、被災者台帳作成までの過程については自動処理ができず、また、新宿区の実状に合わせるためのカスタマイズが必要となるなどの 課題があります。
    このため、新宿区では、誰にでも建物被害認定調査ができ、建物被害認定調査票からスキャナ読み込みにより被災台帳を作成し、り 災証明の発行までを自動化して大幅に時間が短縮できる被災者支援システムを導入していくことが必要と考えます。こうした考えに基づき、新宿区の実状にあっ た被災者支援システムの早急な導入に向けた検討を進めてまいります。
    保育園、子ども園への「メール配信システム」の導入についてのお尋ねです。
    保育園、子ども園は、児童が一人で登下校等をする小学校や学童クラブとは異なり、必ず保護者の送り迎えがあり、災害時であっても保護者がお迎えに来るまで 責任を持ってお預かりする施設です。本年3月11日の東日本大震災の時には、区ホームページのトップページに「区立保育園でお預かりしているお子さんにつ いては、保護者の方がお迎えに来られるまで、各保育園で職員がお預かりしている」旨掲載し、全園児を無事、保護者に引き渡すことができました。
    こうした対応を今後も基本としますので、保育園、子ども園では、施設の性格や職員体制、費用対効果などから、メール配信システムの導入は考えておりませんが、今年度開設した区公式ツィッターなどの活用により、保護者の方々への情報提供の充実を図ってまいります。

     

     

     

    (答弁・教育委員会)

    教育委員会へのご質問にお答えします。
    メール配信システムの幼稚園への導入についてのお尋ねです。
    一斉メール配信システムについては、平成21年度に整備した校務支援システムの一部として、小学校及び中学校に導入しました。
    幼稚園における導入については、システム環境が小学校及び中学校とは異なるなど運用上の課題があります。
    今後は、幼稚園への導入の必要性や手法などについて幼稚園現場の意見を聴きながら、検討してまいります。
    以上で、答弁を終わります。

     

     

    (答弁・区長)

    次に、東京都に対して地域防災計画「原子力災害編」の見直しを求めるべきであり、区の地域防災計画にも原子力災害編を策定すべきとのお尋ねです。
    今回の福島第一原子力発電所事故を踏まえ、11月25日に発表された「東京都防災対応指針」では、放射能物質等による影響への対策の推進を掲げ、国による 抜本的な対策の強化と都独自の施策の実施による都民の不安の払拭と安全の確保についての体制整備を構築していくこととしています。区としても、今回の経験 を踏まえ、地域防災計画「原子力災害編」についても必要な見直しを行うよう都に求めてまいります。
    なお、新宿区地域防災計画の「原子力災害編」の策定については、今後の国や東京都の動向を見据えながら、的確に対応してまいります。

    次に、原子力災害の根絶をめざし、原子力発電ゼロをめざすべきとのお尋ねです。
    このたびの原発事故により、放射能汚染に対する不安や心配など、区民を取り巻く状況は一変しました。現状のままで原子力発電所の運転を続けていくことは適切とは言えません。電力を原子力に大きく依存する態勢から脱却する必要があると考えます。
    今夏は電力の供給力不足が生じ、区民の皆さんの生活へ大きな影響を与えました。現在では原子力発電に代わり、火力発電が増強されるなど、電力事情は好転してはいますが、地球温暖化対策の観点からは、好ましくない面もあります。
    そのため、徹底した省エネ対策を行うとともに、必要以上にエネルギーを使わない社会にしていかなければなりません。
    震災の復興が進む中で、今後のエネルギー政策についてさまざまな提案がなされています。
    一方、省エネ機器や自然エネルギー、あるいは、火力発電所などについても新しい技術が開発されてきています。
    こうした状況も踏まえて、専門家、関係者、住民の代表などによる真摯な議論を通じ、国民全体での議論を深め、エネルギー政策を考えていくことが大切であると考えています。

     

     


    区議会活動 | 川村のりあき

    2011.11.30 更新

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