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区議会活動
2012年第3回定例会 一般質問
日本共産党新宿区議団の近藤なつ子です。
2012年第3回定例会にあたり、早稲田南町地区の再編計画と戸山第3保育園に関連する問題と待機児童解消計画について、区長に一般質問します。
最初に、早稲田南町地区の再編計画について質問いたします。
「早稲田南町地区の再編計画」のそもそもの出発は「漱石山房の復元」計画です。そのため夏目漱石終焉の地である早稲田南町第3アパートを移転する必要があ りました。現在、早稲田南町第3アパートにお住まいのみなさんにできるだけ負担なく近隣に転居できるよう、私も弁天町の国有地は適地ではないかと申し上 げ、区に購入を要望してきました。しかし、この計画では、関係のなかった早稲田南町アパート・第2アパートも再編の対象とされ、早稲田南町保育園の子ども 園化や早稲田幼稚園の廃園、児童館・学童クラブ、地域交流館の行方、弁天町の土地利用の問題にまで広がっています。
質問の第1は、区営住宅の増設についてです。
景気が回復しない下、区は財政状況の厳しさを強調していますが、区民の暮らしの実態も大変厳しく、安心して住み続けられる安くて良質の公営住宅への希望は 高まるばかりです。区が区営住宅増設をしない理由は、「区営住宅の割合が23区の中でもトップクラス」だからとしていますが、劣悪な居住実態で我慢をして いるなど、区民の置かれている現実を直視すれば、絶対量が足りないのは明らかなはずです。それぞれが1971年、73年に建築されており、建替えずに改 修・維持するという戸山ハイツの平均築年数より若く、耐震補強工事も2005年と2007年に実施されています。早稲田南町第3アパート以外の早稲田南町 アパート・第2アパート53戸は残すべきです。この2つのアパートには8戸の空きがあり、すぐに募集もできます。2011年第1回定例会の私の一般質問で この問題を取りあげた際にも、区は「存続する考えはない」と答えていますが、いまこそ方針を転換し区営住宅を増設すべきです。いかがでしょうか。
質問の第2は、弁天町の土地利用計画との関連です。
区は弁 天町の土地に、早稲田南町3カ所の区営住宅73戸分を全部移転し、(仮称)弁天町コーポラスとして10階建てを建設、付置義務の駐車場を12台分設置しよ うとしています。地域からは「高く建てれば良いというものではない」「敷地いっぱいに建ちすぎている」「駐車場が多すぎる」など計画そのものへの意見や外 苑東通りの拡幅計画との関係で傾斜がきつくなる保健センターとの間の道路に危惧する声などがあり、それに区として応える必要があると思います。この間、多 少の計画変更がなされましたが、早稲田南町アパートと第2アパートを残せば、(仮称)弁天町コーポラスの住戸を10戸~20戸程度減らしても、区営住宅の 総数を増やしつつ、弁天町の計画を改良することができるのではないでしょうか。区長の見解をお示しください。
質問の第3は、8月3日の区教育委員会と政策経営会議で方針案として決定された「区立幼稚園のあり方の見直し」との関係です。
第2次実行計画で、「早稲田南町区営住宅再編整備後の活用方針」は、今年度、来年度の2年間で検討し、2014年度に決定すると示されています。ところ が、今回の方針案の中には、早稲田南町保育園の建替えと同時に子ども園化を行うので、その1番近くにある早稲田幼稚園の廃止は妥当と説明しています。
日本共産党区議団の昨日の代表質問で、区立幼稚園・保育園の全園子ども園化の既定の方針を見直し、4園廃止計画の白紙撤回をするよう求めましたが、区長自 身、課題のとらえ方や解決の方向性が一致がしていることを表明されただけで、残念ながら区民の声に耳を傾ける姿勢は示されませんでした。
早稲田 南町アパートには、区営住宅と一緒に、保育園、児童館・学童クラブ、地域交流館があり、地域の方々の大切な施設となっています。前議会でも、他会派の議員 から地域交流館の行方を心配する質問がされましたが、子どもや高齢者を真ん中に地域のつながりをつくっているかけがいのない施設だからと思います。今回の 「区立幼稚園のあり方の見直し」で「早稲田南町保育園は建替える」と示されたのは、早稲田南町第2アパートのところに児童館・学童クラブ、地域交流館、そ して子ども園の合築施設を作るということなのでしょうか。地域住民全体に関わるこの「早稲田南町区営住宅再編整備後の活用方針」については、区内部の施設 活用検討会で全部決めるのではなく、各施設についての地域のニーズ、コスト、施設容量などについても地域住民・関係者と一緒にデータを検討し、存続も含め 検討すべきと思いますが、区長の所見をお聞かせください。最後に、戸山第3保育園に関連する問題と待機児童解消計画について伺います。
国立国際医療研究センター内に建設予定の私立認可保育園の建設計画は、東日本大震災の影響で仮園舎のプレハブ建設や解体工事の遅れがあり1年遅れているこ とは承知していました。ところが7月末に、「建築確認が降りていないため工事ができず、更に3ヶ月は遅れそう」なので「その旨を伝える保護者説明会を開催 したい」との連絡が保育課からありました。そもそも今年4月に開設しているはずの計画です。なぜ、ここまで分からなかったのか、昨年度、担当者はどう進行 管理をしてきたのか事態を明らかにすべきです。区長の説明を求めます。
また新園計画については、現時点で1年半も遅れています。8月23日に建築確認が降り、9月24日から工事を始めると言っていますが、改めて、工事説明はもちろん、新園計画等を含めて地域説明会を開催すべきです。区長の見解を伺います。 そしてこの事態を受け、来年2013年4月から10月末まで、区立としては現在の戸山第3保育園の園舎をそのまま使いながら、運営は新園を設置する「いる ま保育会」に委託する「公設民営」で行い、11月から医療センター内新園を予定通り137名でスタートするとしています。来年4月からの経過措置として、 定員を1歳児5名、2歳児2名、3歳児1名、4・5歳児各2名ずつ計12名増やし、保育時間は1時間延長し実施するとしています。この定員拡大にあたり、 面積基準に問題はないとしていますが、保育士の配置はどうなるのでしょうか。具体的にどうなるのかお答えください。また、つくし保育園の子どもを十分に受 け入れることになるのでしょうか。お聞かせください。
区はこ の新園計画が待機児童解消と保育の充実になると言ってきました。しかし、この新園工事の遅れ、西戸山第2中学校跡利用計画の変更により、区の待機児童解消 対策は大幅に後退すると思われますが、区としてのどのような対策を考えているのでしょうか。9月1日現在、新定義で111人、旧定義で230人の待機児童 がいます。子どもの出生数が増えている現状を踏まえるならば、来年の11月以降も戸山第3保育園は保育施設として残すことを真剣に検討しなければならない のではないでしょうか。待機児童対策部会ではどのようになっているのかを含め、お答えください。(答弁)
近藤議員の質問にお答えします。
早稲田南町地区の再編整備計画についてのお尋ねです。
はじめに、早稲田南町アパートと早稲田南町第2アパートを残して、区営住宅の総数を増やすとともに、仮称 弁天町コーポラスの計画を改良すべきではないかとのお考えについてです。
区営住宅の総戸数とその世帯数に対する割合は、特別区の中で上位にあるため、今ある区営住宅の戸数を確保していきますが、増設は考えておりません。
早 稲田南町アパート、早稲田南町第2アパートは、建物本体や設備の老朽化が進むとともに、住戸内外のバリアフリー対応が不十分であるため、入居者の居住環境 を早急に改善する必要があります。また、区有地の有効活用を図る必要があることから、早稲田南町アパート、早稲田南町第2アパートを存続させることは考え ておりません。したがいまして、仮称 弁天町コーポラスについては、現在ある73戸の住宅を整備していきます。なお、仮称 弁天町コーポラスの建設にあたっては、地域の声を十分に聞きながら進めていきます。
次に、早稲田南町地区の区営住宅再編整備後の活用方針についてのお尋ねです。
早稲田南町地区の3つの区営住宅のうち、早稲田南町第3アパートの跡地については漱石山房を復元することとし、残る2つのアパートについては、現在、有効な活用方針を検討しているところです。検討に際しては、併設している地域交流館、児童館、保育園に加え、さらなる行政需要と地域の声を十分に把握したうえで施設の有効活用を総合的に判断し、活用方針の案を作成いたします。活用方針案については、地域に対して十分な説明を行い、いただいたご意見を踏まえ活用方針として決定いたします。
次に、戸山第三保育園に関連する問題と待機児童解消計画についてのお尋ねです。
はじめに、(仮称)国立国際医療研究センター内保育園の開設時期が再度遅れた経緯についてです。
区は東日本大震災の影響で、昨年6月に医療センター内保育園の開設を1年延期する決定をいたしましたが、その後も、つくし保育園仮園舎の建築確認手続きで遅れが出るなど、何度かの工期見直しがありました。そうした中で区は医療センター及び運営事業予定者であるいるま保育会と密に連絡をとりながら準備を進め、昨年度末の段階では、本年4月工事着工、来年2月竣工というスケジュールを確認していました。ところが今年度に入って、医療センターから、東京都の建築確認手続きが遅れているので、区経由で関係部局に問合せてほしいとの依頼がありました。そ こで都の建築指導部門に協力を依頼し、建築確認が遅れている事情を調査したところ、医療センターから設計業務を受託している事業者の申請手続きに、数々の 瑕疵・誤りがあったことが判明しました。区としてはこうした事態に大きな危機感を持ち、契約当事者である医療センターに対し、設計事業者に対する指導と進 行管理の徹底を強く求めましたが、結果として都の建築確認が下りたのが8月23日となり、区としてもようやく保育園の開設時期の見込みを公表できることになったものです。
次に昨年度はどのように進行管理をしてきたのか、とのお尋ねです。平成23年度、区と医療センターは事業の進捗状況や新園の整備内容等について、8回にわたって詳細な打合せを行っています。工期についてもその都度確認し平成25年4月の確実な開設に努めていたところです。しかしながら、医療センターの担当者が設計事業者から受けていた報告そのものが事実と異なったものであったことにより、工期を大きく見直さざるをえなくなった次第です。
次に、医療センターの工事と新園の整備に関する地域説明会のお尋ねです。
東京都の紛争予防条例に基づく工事説明会については、昨年10月28日に行われたところですが、工事着工にあたり、近隣への説明会を今月26日に医療センターと共催で実施し、新しい保育園の概要もご案内する予定です。
次に来年4月から10月まで戸山第三保育園で実施する保育の受け入れ枠の拡大とつくし保育園の子どもの受入れについてです。新園開設までの保育を委託するいるま保育会は、11月から定員137名の新園を運営することになっており、戸山第三保育園においても定員137名分の職員を配置するとしています。したがって4月から112名の受入れとなっても十分に対応できるものと考えます。またつくし保育園の子どもについては、この112名の枠の中で十分に対応できる見込みです。
次に、区の待機児童解消対策についてのお尋ねです。
医 療センターの工事遅延に伴う対応や私立保育園の耐震工事に伴う休園については、当該地区の待機児童や在園児の状況を分析したうえで対策を講じていますが、 受け入れ枠拡大の年次別目標には、一定のずれが発生しています。こうした状況を踏まえながら、区は今後も待機児童の状況を継続的に把握し、区有施設の活用 等も視野に入れて、臨機応変かつ総合的に待機児童解消対策を進めていきます。
また、戸山第三保育園の医療センター内保育園へ
の移行は、戸山地区の認可保育園の定員拡充と一時保育や病児・病後児保育等の特別保育の充実が図られるものです。保育施設は、限られた財源を効果的効率的に活用しながら、それぞれの地域で保護者の生活圏内にバランスよく整備されることが大切です。
こうした総合的判断の結果として、戸山第三保育園を、平成25年11月に新園に移行する考えに変わりはありません。
次に待機児童解消対策部会での検討状況についてのお尋ねです。区は平成20年度に待機児童が50人を超えたことを受け、次世代育成支援推進本部の下に待機児童解消緊急対策部会を設置しました。区はその後、平成23年度までの4年間で889人の受け入れ枠拡大を行いました。しかしながら共働き世帯の増加などにより、この間の入園申し込み者数は1.5倍になっており、待機児童数は減っていないことから、対策部会は引き続き重要な役割を担っていると考えます。厳しい財政状況の中でも、出生数や保育ニーズの変化、待機児童の状況に柔軟に対応できるよう、今後も対策部会を中心に検討し、取り組んでまいります。
2012.09.20 更新