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    2014年第1回定例会代表質問

    日本共産党区議団の阿部早苗です。

     

    2014年区議会第1回定例会にあたり、会派を代表して、区長と教育委員会に質問します。

     

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    1、区長の政治姿勢について

    最初に、区長の政治姿勢について質問します。

     

    安倍内閣の「海外で戦争する国づくり」への暴走はますます拍車がかかり、この間の衆議院予算委員 会で安倍首相は、「集団的自衛権行使の判断は政府が新しい解釈をすることで可能」「憲法改正が必要だとの指摘は当たらない」「政府の最高責任者は私だ。政 府の答弁に私が責任をもって、選挙で審判を受ける」などと述べ、選挙で勝てば自由に憲法解釈を変更できるとの立場を示しました。これには自民党内からも批 判が続出し、憲法が権力行使のあり方を規制する立憲主義を破壊するものだと、幅広い層から批判の声が上がっています。区長は昨年の第2回定例会で、立憲主 義に関するわが会派の質問に対し、「憲法を尊重し、擁護することは公務員としての義務であり、憲法改正についても憲法の規定に基づいて行われることは当 然」と正当な答弁されました。安倍首相の発言は、区長の答弁とまったく異なり、立憲主義を否定するものだと考えますが、区長はどのように受け止めています か。安倍首相の一連の発言は、憲法96条に基づいて国会で発議され国民投票にかけられて初めて憲法改正が可能になるという国民主権をも踏みにじるクーデ ターだと考えますが、この点についても区長の見解をお聞かせ下さい。

     

    安倍首相の異常な歴史認識も国内外で矛盾を拡大しています。昨年末に安倍首相が靖国神社参拝を強 行したことは、中国・韓国はもとよりアメリカ政府からも「失望した」との異例の批判をうけ、国連事務総長、欧州連合などからも批判されています。戦時中は 国民を戦争に駆り立て、現在も侵略戦争を美化・宣伝し、戦争犯罪人であるA級戦犯を犠牲者として合祀する靖国神社を参拝することは、自らが侵略戦争の肯定 者であることを世界に宣言することです。戦後の国際秩序は、日独伊の侵略戦争を不正義と断罪することを共通の土台にしています。安倍首相の靖国参拝は、今 日の世界秩序に真っ向から挑戦する行為であり、絶対に許されません。

     

    区長は、安倍首相の靖国参拝について、どのような見解をお持ちでしょうか。また、安倍首相がNHK会長にすえた籾井勝人会長の「従軍慰安婦問題はど この国にもあった」などの発言も国内外から厳しい批判を受け、百田尚樹経営委員の南京大虐殺や東京裁判をめぐる発言にはアメリカ大使館から取材に難色を示 されるほどです。世界中を敵にまわし、近隣諸国との友好という国益を大きく損なう言動は、区長が推進している多文化共生と相容れない行為だと考えますが、 いかがですか。

     

    【答弁】

    阿部議員のご質問にお答えします。

     

    私の政治姿勢についてのお尋ねです。はじめに、内閣総理大臣の発言等についてです。

     

    集団的自衛権行使に関する内閣総理大臣の一連の発言に対して、さまざまな意見があることは承知し ています。自治体の長としましては、今後も国会での議論を注視していきたいと考えておりますが、憲法の改正や集団的自衛権行使に関する憲法解釈について は、現行憲法に即して慎重な議論が必要であると考えています。

     

    また、内閣総理大臣の靖国参拝についても、さまざまな意見があることは承知していますが、何よりも大切なことは、新宿区という地域の中で、異なる文 化や歴史を持つ人々がお互いに理解を深めながら、日常的に互いに信頼できる関係を地道に築いていくことが重要であると考えています。

     

     

    2、基本方針説明と財政運営について

    次に、基本方針説明と財政運営について質問します。

     

    今月行われた都知事選挙では、原発・エネルギー問題が大きな争点となり、原発積極利用を掲げた候 補の得票はわずかで、即時原発ゼロを主張する2人の候補の得票合計は約40%、桝添新知事も脱原発を表明しており、圧倒的多数の都民の声は原発からの離脱 です。しかし、安倍政権が発表した「エネルギー基本計画案」では、原発を基盤となる重要なベース電源とし、将来にわたって維持・推進し、再稼働を進めると しています。これは、事故から3年たっても故郷に帰る目途がつかない原発被災者の願いと国民の民意に挑戦するものです。区長は2012年の第1回定例会 で、「電力を原子力に依存する体制から脱却する必要があると考えている」と答弁していますが、将来にわたり原発を維持・推進する方針をどのように受け止 め、原発再稼働についてはどのような見解でしょうか。答弁願います。

     

    基本方針説明で区長は、内閣府の景気回復の報告をそのまま述べています。しかしこれは一時的なも ので、異常な金融緩和や公共事業の積み増しは、国の借金を増やすなど将来に大きなつけを残すことになります。政府はアベノミクスで株高と自賛してきました が、アメリカが量的緩和縮小を開始したことから、新興国に流れ込んでいた投機マネーが流出し、世界的な株安も起こりました。一時的に株価が持ち直しても、 アベノミクスが続けば格差の拡大、金利上昇による消費や投資の冷え込みなどが起こり、矛盾は深化するばかりです。日銀は、消費税増税が見込まれる2014 年度の物価上昇見通しを3.3%としており、一部大企業は儲かるかもしれませんが、大多数の国民の苦しみは増すばかりです。投機とバブルをあおるアベノミ クスはきっぱりやめ、国民所得と雇用を拡大して実体経済を立て直すことが必要です。アベノミクスとその区民生活への影響についての区長の評価をお聞かせ下 さい。

     

    アベノミクスによる円安で物価は高騰したまま下がりません。輸入小麦・大豆価格が高騰し、パン・ うどん・豆腐・乳製品など各種の加工食品が値上げしました。異常気象で生鮮食品も品薄なうえ、原油高で魚やハウス栽培の野菜も高値続きで、家計を直撃して います。灯油・ガソリンも2008年の最高値に近づいています。電気料金も値上げ続きで、そのうえ液化天然ガス高騰を理由に3月には電気・ガス料金が一斉 値上げ、5月にまた消費税増税にともない電気料金の大幅値上げが予定されています。財政的に厳しい地方でも、低所得世帯に灯油代の一部を助成する「福祉灯 油」制度を実施している自治体が広がっています。新宿区でも、冬の暖房代と夏の冷房代の助成を検討すべきと考えますが、いかがですか。

     

    家計収入はどうでしょう。労働者の賃金は18ヶ月連続で減少しており、年金支給額が昨年10月か ら1%下がり、今年4月にはさらに0.7%引き下げると厚労省は言っています。生活保護に続き年金受給者約12万人が異議申立の審査請求に立ち上がったの は当然です。年金支給額は今後もあわせて2.5%削減が決まっていますが、これにより区民の年金収入は総額でいくら減り、区民税はどの程度減額になると試 算しているのかうかがいます。年金が頼りの高齢者を無慈悲にいたぶる年金削減は正しいことだと区長はお考えでしょうか。もしそうでないなら、政府に対して 抗議すべきと考えますが、いかがですか。

     

    これに追い打ちをかけるのが4月からの消費税増税です。区財政は地方消費税の増税分で今年度は9 億円の増収とのことですが、区民の家計には増収要素はありません。収入減と支出増で区民生活が悲鳴を上げているのに、来年度予算には区民生活を守るための 対策が見当たりません。まずは政府に対して、年金はじめ収入が減らされている下で消費税増税は止めるべきだときっぱり意見を述べるべきと考えますが、区長 の見解を伺います。

     

    区長は基本方針説明で「社会経済状況の変化に迅速かつ的確に対応し、区民生活を支えていくことが 重要」と述べておられますが、消費税増税にさらされる区民生活はどのような影響を受けるとお思いですか。そして、それに対して区長はどのような対策を講じ て区民生活を支えるのかお答え下さい。

     

    2008年の原油高の際、区は中小企業や学校給食、社会福祉施設に対して緊急経済対策を実施しましたが、今改めてこうした対策が必要ではないでしょうか。

     

    学校給食費は、2年前に緊急経済対策を取りやめて、学生1食10円、中学生と養護学校で15円値 上げして間がありませんが、その後の食料品高騰に加え消費税増税でどのような影響が出ると見込んでいますか。家計収入が減っている中でまた値上げともなれ ば保護者の負担は大変です。値上げせずに質量を確保するためには区の財政支援が必要だと考えますが、教育委員会の見解をうかがいます。

     

    原油高の際は社会福祉施設等への影響を調査したうえで具体的な支援策を講じました。今回の消費税 増税で区が直接支払う分は約9億円増えるとうかがいましたが、保育所や介護施設など福祉施設にどの程度影響が出るのかも調査し、支援策を打ち出すべきと考 えますが、いかがですか。

     

    今後の財政見通しについてもうかがいます。

     

    来年度予算は、中山区長就任以降最高の予算となっています。歳入では、納税者人口が増えて区民税 が増収となり、企業の収益回復で特別区交付金が増える見込みです。地方消費税の増収は今年度はタイムラグがあり9億円を見込んでいますが、ほぼ同額が増税 分の支出増に費やされるとのことです。来年10月にはさらに10%への増税が予定されていますが、来年度以降の地方消費税の増収見通しをお示し下さい。

     

    一方、この増収分は社会保障制度改革に活用するとされています。介護の分野では、要支援者向けの 訪問・通所介護を介護保険サービスから外し、区市町村の事業に移す方向で議論されていますが、具体的な内容はまだ示されていません。社会保障全般にわたっ て国の負担分だけ軽減され、区市町村の持ち出しが消費税の増収分を上回る可能性について、区としてはどのような認識をもっておられますか。昨年12月に特 別区長会として国に要望書を提出していることは承知していますが、具体的方針が示される前に、区独自により強く国に要望すべきです。

     

    区民税に次いで歳入の比率が高い特別区交付金も、削減の危機にさらされています。法人住民税の一 部を国税化する法案が今国会に提出されたことは、今後の区の歳入に大きな影響を及ぼします。これにより、都・区の収入は1000億円程度減り、新宿区の特 別区交付金は約16億円マイナスとうかがいました。来年度予算の特別区交付金は約268億円ですから16億円は6%にあたります。この削減が今後の区の財 政運営に大きな支障を来すことは必定です。区長はこのことについてどのような見解なのか明快にお答え下さい。

     

    特別区長会は昨年、自民、公明両党と全国の自治体の首長に要望文書を出していますが、その効果も なく法案が国会に出されました。ほとんどの区民は法人住民税の国税化や区財政への影響についても、区長会がどのような見解かも知りません。まずは区報等を 通じて早急に区民に知らせ、区民の総意として政府や自民・公明の与党に廃案を迫るべきではありませんか。また、税制の変更がある場合には、財調の都と区の 配分割合を見直すことになっていると思います。都知事も代わりましたし、23区として素早くアクションを起こし、区側の配分割合を増やすべきと考えます が、あわせてお答え下さい。

     

    【答弁】

    基本方針説明と財政運営についてのお尋ねです。

     

    まず、国の原発を維持・推進する方針をどのように受け止めるかとのことです。私は以前から原子力に依存する体制から脱却する必要があると考えています。エネルギー基本計画の原案においても「可能な限り原発依存度を低減させる」、そして「再生可能エネルギーの導入を最大限加速していく」といった方針を示しています。区では、できる限りの省エネルギーの推進と再生エネルギーの活用を図りながら、今後、閣議決定されるエネルギー基本計画及び国の動向を見守っていきます。

     

    次に、原発再稼働についての見解とのお尋ねですが、原子力規制委員会において、様々な観点から安全性を検討し、再稼働を行うと聞いています。最大限の安全を確保した上で、必要性について充分に議論するべきだと考えています。

     

    次に、「アベノミクス」とその区民生活に与える影響についてです。「アベノミクス」は「大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略」の三本の矢を基本方針として、取り組まれているところです。2月 の月例経済報告では、「景気は緩やかに回復している」として、景気の基調判断を据え置くとともに、輸出及び雇用情勢についての判断をそれぞれ上方修正して います。また、大震災からの復興を加速させるとともに、デフレからの早期脱却と経済再生を実現させるため、政府は、「好循環実現のための経済対策」を着実 に実行することとしています。こうした政府の経済政策が持続的な経済成長へと発展し、雇用情勢の改善や個人所得の上昇など、景気の回復が区民生活の現場ま で行き渡ることが重要であると認識しています。一方で、長期金利の上昇や株価の変動、円安による輸入価格の値上がりなどの懸念もあることから、アベノミク スの今後の進展を注視するとともに、区民生活や区財政に与える影響について慎重に見極めていく必要があると考えています。

     

    次に、低所得世帯への冬の暖房代と夏の冷房代の助成についてのお尋ねです。電気・ガス料金の値上 げは、区民生活全般にさまざまな形で影響を与えることから、その影響について十分注視していく必要があると考えています。寒冷地の自治体で灯油購入費用の 助成制度が実施されていることは承知していますが、区独自の低所得世帯への冬の暖房代と夏の冷房代の助成については、現時点で考えていません。

     

    次に、年金支給額が平成25年10月から段階的に2.5%引き下げ られることに伴う、区民の公的年金収入額及び特別区民税への影響についてのお尋ねです。障害年金や遺族年金等の非課税年金を除く区民の公的年金収入額は、 平成25年度実績において非課税者の年金収入を含め約730億円で、その2.5%は約18億円です。特別区民税の実際の税額の算定では、年金以外の収入を 合算し、社会保険料や扶養の状況に応じた控除を行うため、公的年金の引き下げのみによる影響額を推計することは困難です。

     

    年金削減に対する考えについてのお尋ねです。高齢化により社会保障費が急増し、少子化により人口構成が激変する状況においては、世代間・世代内の公平性を確保することも大切であると考えており、国から丁寧な説明がなされることが、受給者の方の理解につながるものと考えています。

     

    次に、消費税増税に反対を表明すべきとのお尋ねです。

     

    少子高齢化の急速な進展や国・地方ともに厳しい財政状況の下で、国民が安心し希望が持てる社会保 障の実現が求められています。そのためには、安定財源の確保は避けられない課題であり、消費税の税率を引き上げる政府の決定については、一定の評価をして います。しかし、消費税率の引上げにあたっては、厳しい地域経済状況に配慮することが必要であり、政府の経済政策の効果が国民の所得にまで及び、経済再生 に向けた道筋が確かなものとなるよう全国市長会を通じて要望をしているところです。また、消費税率の引上げに際しては、低所得者に与える負担の影響に鑑 み、適切な配慮が必要と考えます。消費税の逆進性を踏まえた低所得者対策としては、国民健康保険等の保険料軽減制度の拡充など、26年度予算でも対応しているところですが、引き続き、臨時福祉給付金等支給事業などの対策に迅速に対応してまいります。

     

    教育委員会へのご質問にお答えします。

     

    始めに、消費税の引き上げによる学校給食費への影響についてのお尋ねです。

     

    学校給食の提供に要する経費のうち、調理業務委託費、設備費や光熱水費などは公費で支出し、保護 者には食材料費だけを負担していただいています。食材の購入は消費税の課税対象となるため、これまでと同じ水準の栄養量を満たした、おいしい給食を提供し ていくためには、保護者に消費税引き上げ相当額の負担増をお願いする必要があると考えています。

     

    次に学校給食費に対する区の財政支援についてのお尋ねです。平成20年 度に実施した緊急経済対策は、原油価格の急激な上昇とそれに伴う燃料、原材料及び食料の価格高騰に対する一時的な措置であったのに対し、消費税は消費一般 に広く公平に負担を求める恒久的な制度であるため、学校給食費の負担増に対する新たな財政支援を実施する考えはありません。なお、経済的に学校給食費を支 払うことが困難な保護者には、これまでどおり就学援助で対応していきます。

     

    次に、消費税増税に伴う福祉施設への影響についてです。例としてあげられた保育所等については、 国や都の運営費補助において、消費税に係る部分については引き上げ、要綱の改正が行われることを確認しています。これに伴い、区においても単独で補助して いる賄費等は同等の対応を行う予定です。また、介護施設等については、昨年、国の社会保障審議会介護給付費分科会において、消費税増税分の影響調査が行わ れ、介護サービス施設及び事業所の実質的な負担が生じないよう、平成26年4月から平均0.63%増の介護報酬改定を行う予定となっています。このほか、 区内福祉施設への指定管理料や委託料等の消費税増税分については、平成26年度予算案に反映させています。以上のことから、今回の消費税増税に対するさら なる区独自の支援策等を行う考えはありません。

     

    次に、地方消費税交付金の増収見通しについてのお尋ねです。26年度より地方消費税率は1.0%から1.7%に引き上げられますが、地方消費税交付金が区に払い込まれるまでにタイムラグが生じることから、26年度の影響額は9億円と見込んでおり、平年度化した場合は32億円程度になるものと考えています。さらに、地方消費税交付金が2.2%に引き上げられた場合の平年度化による影響額は52億円程度になるものと試算しています。

     

    次に、社会保障全般にわたる国の負担分が軽減され、区市町村の持ち出しが、消費税の増収分を上回る可能性についてです。26年度の国の地方財政対策を見ますと、消費税率引上げに伴う税収増は、国・地方合わせて5兆円で、うち国費分が4.3兆円、地方分が0.7兆 円とされています。消費税率引上げに伴う増収分は、少子化対策・年金・医療・介護などの社会保障の充実や安定化などに活用する財源とされています。具体的 な充実内容などが示されていない現時点で、社会保障制度に対する地方財源の変動などの影響を捉えることは難しい状況ですが、今後の社会保障制度改革を巡る 動向を十分注視し、的確に捕捉してまいります。

     

    次に、介護保険の制度改正に関しての国への要望についてのお尋ねです。要支援者の訪問介護・通所 介護サービスが介護保険制度内の「新しい総合事業」に移行するにあたっては、昨年12月に特別区長会の緊急要望で、厚生労働大臣に対し、国の責任において 確実な財源措置を行うことを要望しました。また、全国市長会を通じても、適切な財政措置を要望しているところですので、現在区独自の要望については考えて いません。

     

    次に、法人住民税の一部国税化に対する認識についてです。26年度税制改正では、法人住民税 の一部国税化に伴う地方法人税の創設とその全額を地方交付税の原資とする見直しが示されています。法人住民税は、法人の地域での活動やそこで働く人々を支 えるための様々な施策の財源として負担を求めているもので、これを地方自治体間の財源調整に用いることは、地方税の原則を歪めるとともに、地方分権に逆行 するものと言わざるを得ません。また、特別区の区域は、首都として人口や経済活動が集中する地域であり、老朽化しているインフラの整備、切迫している首都 直下地震対策や急速に進展する少子高齢化への対応など、膨大な行政需要を抱え、法人住民税は極めて重要な役割を担っています。こうした考えから、特別区長 会として、「税源偏在是正議論についての特別区の主張」を表明するとともに、国に要望書を提出し、法人住民税の一部国税化に対して反対の立場を明確にして います。区のホームページに「税源偏在是正議論についての特別区の主張」を掲載して区民の皆様への周知に努めていますが、都市基盤の整備や産業の活性化な ど様々な施策を展開している都市の自治体の努力が報われるよう他団体とも連携を図りながら、これからも国に対して強く要請してまいります。また、法人住民 税は、都区財政調整制度の原資であり、一部国税化の影響が直接及ぶことになることから、配分割合の変更等も含めて都区協議の中で検討してまいります。

     

     

    3、国民健康保険料と後期高齢者医療保険料について

    次に、国民健康保険料と後期高齢者医療保険料について質問します。

     

    はじめに、国民健康保険料についてです。

     

    今定例会には、来年度の国民健康保険料を、均等割が2100円上がり5万8500円、一人あたり 保険料は4908円上がり13万1507円となる条例案が提案されており、上げ幅は今年度の約2倍です。23区のモデルケース試算をみると、給与収入 200万円の 夫婦と子ども1人の世帯で、今年度13万6562円が2万3654円上がり16万216円になります。月約16万円の収入で毎月1万 3300円を保険料として支払うことは、国保料が生活を圧迫し、格差と貧困を拡大する以外の何物でもありません。

     

    高齢者はどうでしょう。年金受給者夫婦二人世帯の保険料を9年前と比較すると、年収200万円の世帯は3万2100円から7万4369円、年収300万円 の世帯は8万5348円が16万7709円と、いずれも約2倍になります。私たちのところにも「高い保険料を払いきれない」と相談が寄せられます。子ども 二人の母子世帯の方は賦課方式変更で保険料が一気に上がり、年収110万円で7万5100円の保険料です。都営住宅にお住まいなので家賃は低額ですが月収 約9万円で1回の支払いが7,510円というのがきつくて、分納を申し出ましたが「1回に5千円は払ってもらわないと困る」と言われ途方に暮れていると言 います。

     

    今年度と来年度23区が独自に賦課方式変更の激変緩和策として実施している減額措置の財源11億円は、一般会計から繰り入れず、高額療養費を保険算入して 対応しています。これに続き、高額療養費賦課額を一般会計からの繰り入れで補填して保険料上昇を抑制してきたこれまでの独自策を、来年度から4年かけて廃 止するロードマップを明らかにしました。来年度の一人あたり保険料は、そのことによる値上げ分約2,000円がプラスされ合計で平均4,908円の値上げ となります。

     

    厚生労働省は都道府県に対し、広域化に向けた「広域化等支援方針」の要領の中で、一般会計繰入による赤字補填分について、「保険料の引き上げ、収納率の向 上、医療費適正化策の推進等により、できる限り早期に解消するよう努めること」とし、東京都もこれを受け区市町村に厳しい指導を行っています。保険者であ る地方自治体は、被保険者の負担を考慮して一般会計から繰り入れして保険料値上げを抑え皆保険制度を維持してきました。本来国が為すべきことを自治体が肩 代わりして実施してきたのに、国は国庫負担を1980年代の50%から半分の25%にまで削減し、そのうえ広域化をテコに一般会計からの繰り入れをやめろ と迫るのは本末転倒も甚だしいと言わざるを得ません。

     

    区長はこの点どのようにお考えですか。保険料値上げを押さえるため国庫負担割合引き上げをこれまで以上に国に強く要求するとともに、国の言いなりに一般会 計からの繰り入れやめるのではなく、繰り入れして値上げ幅を抑えるべきと考えますが、いかがですか。また、保険料の大幅な値上げが区民の生活を直撃し、さ らに景気を冷え込ませると区長はお考えになりませんか。

     

    保険料値上げで窮地に追い込まれる区民生活を支えるために、保険料負担を軽減する対策として、国保加入の低所得者に対し、区として独自の手当を支給することを検討してはいかがでしょうか。

     

    さらには、東京都に対し区市町村への支出金の増額を求めるべきです。都は1980年度に320億円あった都独自の支出金を、今では40億円まで縮小してい ます。新宿区にも都費補助金は昨年度決算で5600万円歳入されていますが、1980年度並みになれば5億円ほどになり保険料値上げを一定押さえることが できます。国と保険者である区市町村が責任を持つのは当然ですが、都民の約3分の1は国保加入者であり、都民の暮らしを支える施策として国保料値上げ抑制 のために都支出金の増額を求めることは何ら筋違いなことではありません。区長の見解を伺います。

     

    次に、後期高齢者医療保険料についてです。

     

    1月31日の東京都後期高齢者医療広域連合議会において、2014.15年度の保険料が決定しました。均等割は2100円引き上げ4万2200円、所得割は8,19%から8,98%、賦課限度額も2万円引き上げ、一人あたりの平均保険料は4118円上がり9万7098円になります。

     

    財政安定化基金については、2012,13年度に206億円を活用し保険料値上げを抑制するとしていましたが、実際は41億円しか活用せず大きく余らせま した。給付の見積もりを誤らなければ保険料はもっと安くなった筈です。後期高齢者が対象であり、正確な給付見通しに基づいて保険料を算定することは国保以 上に要求されると考えますが、区長はこの点、どのように考えますか。現在の基金残高211億円のうち145億円を活用し、来年からの保険料値上げ幅を一定 抑制したことは当然です。しかし今回は毎年出すべき国と東京都の基金への拠出を行いませんでした。3者が従来通り基金に拠出すればさらに保険料値上げを抑 制できたのではないでしょうか。区長の認識をお答えください。

     

    世代間格差を広げる後期高齢者医療制度は廃止し、高齢者が安心して医療を受けられる制度を再構築することを国に求めるべきと思いますがいかがでしょうか。

     

    【答弁】

    国民健康保険料と後期高齢者医療保険料についてのお尋ねです。

     

    はじめに、国が国庫負担金を削減し、一般会計からの繰入れの解消を求めることについてです。国民健康保険特別会計においては、ここ数年、毎年度30億円あまりの法定外繰入金を繰り入れています。 区では、法定外繰入金の削減に向け、医療費の適正化、収納率の向上等に積極的に取り組み、国民健康保険特別会計の健全化を目指しています。

     

    次に、国庫負担割合に関する国への働きかけについてです。区は、これまでも全国市長会を通じて国に国庫負担の引き上げなど国保財政基盤の拡充・強化を求めています。昨年11月には、全国市長会において、平成26年度国の施策及び予算に関し、国民健康保険制度等に関する重点提言をとりまとめ、国に対し要請いたしました。

     

    次に、一般会計からの繰入れにより、保険料の値上げを抑えるべきとのお尋ねです。23区では、これまでも国民健康保険料の上昇を抑制するため、毎年度相当額を一般会計から繰り入れてまいりました。従って、区財政の状況が厳しい中で、さらに繰入額を増やすことは考えていません。

     

    次に、区民生活への影響と都支出金の増額についてです。国民健康保険は保険制度により運営されて いるため、加入者の方々には一定の保険料をご負担していただく必要があります。保険料改定にあたり、加入者の皆様、特に低所得者への影響ということも当然 想定されますが、低所得者の方々への配慮の仕組みも保険制度の中で用意されています。平成26年度は、保険料均等割軽減対象の拡大を実施します。その結果、例えば35歳の2人世帯で年収200万円の給与所得者の方については、新たに均等割軽減対象となることから、年額保険料が平成25年度と比べ約1万2千円の減になると試算をしています。このように、国民健康保険に加入している低所得者の方々に対しては、保険制度の中で一定の対応が図られていることから区独自の手当を設ける考えはありません。

     

    次に、都支出金の増額を求めることについてです。東京都は法令等に基づき、都内区市町村が行う国 民健康保険の財政を調整するため「東京都国民健康保険調整交付金条例」を設け、調整交付金を区市町村に交付するなど、都道府県としての役割をすでに果たし ているため、都支出金の増額を求める考えはありません。

     

    次に、後期高齢者医療保険料についてのお尋ねです。

     

    まず、保険料の抑制のための正確な給付費の見込と財政安定化基金の拠出についてです。正確な給付 見通しに基づき保険料を算定することは、国民健康保険同様に重要であると考えています。広域連合における医療給付費は、単年度でも1兆円を超える予算規模 ではありますが、直近の決算実績による執行率は98%程度となっており、概ね適切に算定されたものと考えています。財政安定化基金については、医療給付費の増大等による財源不足が生じた際の対応のために設置されており、26、27年度はこの費用66億円を留保しています。昨年11月時点の広域連合の試算により、保険料の大幅な増加が避けられないことが明らかになったため、広域連合が国及び都との協議を行い、留保分を除く基金残高145億円を保険料抑制に活用することとなったものです。区が基金に更なる積み増しを行うには、一般会計から繰り入れた上で拠出する必要があります。すでに区は葬祭費や審査支払手数料の負担などの特別対策も実施しており、一定の保険料抑制措置は講じられているものと考えます。

     

    次に、後期高齢者医療制度の廃止の是非についてのお尋ねです。この制度は、世代間の負担の在り方 を調整することも、創設の大きな目的であると認識しています。また「社会保障制度改革国民会議」において、「後期高齢者医療制度については、現在では十分 定着しており、現行制度を基本としながら、実施状況等を踏まえ、必要な改善を行うことが適当」とされました。区の窓口においても、現在では高額療養費につ いての問い合わせなど一般的な保険制度についての相談が多く、制度が定着していると感じていることもあり、後期高齢者医療制度の廃止について、国に要望す る考えはございません。

     

     

    4、保育園と学童クラブの待機児童解消について

    次に保育園と学童クラブの待機児童解消についてです。

     

    はじめに、保育園の待機児童解消についてです。区長は所信表明で、「待機児童の解消を目指し、保 育園や子ども園等の整備に、積極的に取り組みます」と述べられました。今回の都知事選挙でも待機児童解消は大きな争点となり、舛添知事は4年以内の待機児 童ゼロを公約し、国も待機児童解消を2017年には実現するとしています。私どもが提案してきた認可保育園や保育るーむを増設する緊急対策も打ってきた結 果、今年4月は527名の定員拡大を実現しました。その努力は評価をするものですが待機児童解消にはまだ遠く、更なる対策を求め以下質問します。

     

    第1に、今年4月1日の待機児童数についてです。この2月1日現在、新定義で351名、旧定義で 466名に上る待機児童数となっています。今年4月入園の申し込みは、第二次締め切りで1678名で、昨年同時期の1512名と比べても増えています。2 月19日には不承諾通知が発送されましたが、4月1日時点での待機児童数をどの程度見込まれているか、新定義・旧定義別でお答えください。

     

    第2に、待機児童ゼロを目指した認可保育園増設についてです。新宿自治創造研究所の人口推計によると、今後10年間は0~4歳 の人口増が見込まれています。さらに全国的には人口減でも、都市部への集中傾向が強まっていることや、女性の社会進出が進んでいることをあわせ考えれば、 保育園ニーズが一層高まる事は論を待ちません。計画が示されている2016年7月開設予定の1園に加え、昨年の第4回定例会で私どもが求めた待機児童が多 く見られる落合・北新宿・戸塚地域での認可保育園増設については、認可保育園2カ所の追加整備の予算が計上されました。しかし、現状では待機児童ゼロにな らないどころか今後も需要が増えることを考えれば認可保育園の次なる増設計画を急ぐべきです。認可保育園を増やすことは、将来子どもの数が減少した際には 高齢者施設への転換など他の行政需要に対応することも可能であり、合理性があります。舛添知事は都有地活用に加え、国有地の活用についても国に照会するな ど積極的な公有地活用を表明しています。この機会を捉え、 都立障害者センターなどの都有地や、日銀宿舎跡地などの国有地の活用について、市場価格より有利な売却や無償貸し付けなどを働きかけるべきと考えますがい かがでしょうか。また、この間の待機児童解消緊急対策はすべて0歳児枠のない施設でしたが、私どもの指摘通り申込者の3分の1は0歳児です。今後の施設整備については当然0歳児から受け入れる施設にすべきと考えますが、区長のご所見を伺います。

     

    次に、学童クラブの待機児童についてです。

     

    学童クラブの定員オーバー館問題、学童クラブを全児童対策に解消しないこと等については昨年の第 三回定例会の一般質問で取り上げましたが、特に今回は、せいが学童クラブの待機児童問題について質問します。せいが学童クラブは主に落合第四小学校の児童 が申し込んでいますが、待機児童が発生したことから、同地域に学童クラブの増設を求める陳情が議会に提出され、継続審査となっています。来年度の利用申し 込みは、申請者が昨年より9名増えて60名になり、36名の定員に対し24名も多くなりました。1月23日の入所決定で定員を超える47名の受け入れを行 うとの報告がありましたが、保護者の皆さんが懸念していたように待機児童が大幅に増えることとなりました。文教子ども家庭委員会で区側は、「学童クラブに 入りたいお子さんは学童クラブへ、学童クラブ機能付き放課後子ども広場に入りたいお子さんは機能付き広場へ」と真っ当な答弁しており、区はこの約束を履行 する義務があります。

     

    子どもの安全で健全な放課後を保障する観点で、以下質問します。

     

    第1に、学童クラブの増設についてです。今回、申込者数が増えたことは単年度に限ってのことでは なく、この地域を含む落合地域の保育園待機児童が増えていることをみれば、今後も申込が増えることは明らかです。既に子ども家庭部は、学童機能付き放課後 子ども広場の場所として専用室を教室3分の1の広さから、1教室分を使えるように2015年度に向け、学校・教育委員会へ働きかけを行っています。もとも と、学校内学童クラブを作ることは困難だと説明してきた区側の最大の理由は、「専用室が確保できない」というものでした。1教室を確保できるとなれば、学 校内学童クラブを開設できる物理的条件が整います。そこで、区長に伺います。1教室を学童クラブ室に転用し、遅くとも夏休みからは学校内学童クラブを開設 すべきと考えますが、いかがでしょうか。

     

    第2に、待機児童となった方への対応についてです。13名のせいが学童クラブに入れなかった児童 のほとんどが落四小の放課後子ども広場、学童クラブ機能付き放課後子ども広場、他の区立学童クラブを利用をすることになるでしょう。やむなく学童クラブ機 能付き広場を利用する児童については、広場が閉鎖する土曜日の対応などに万全を期すべきと考えますが、区長の御所見を伺います。

     

    第3に、「学童クラブ機能付き広場」の改善についてです。新宿区未来創造財団=レガスが運営する落合第四小学校の広場について、保護者の方から「見 守りというが監視しているだけで子どもとの関わりが不十分」との指摘があり、区はレガスに対し「指導した」とのことです。しかし、保護者からは、「改善さ れていない」「これで4月から学童の代わりになるのか、チラシに書いてある一人一人に対応しますということなどが絵に描いた餅になるのではないか」と不安 の声が寄せられています。レガスは学童クラブを運営した事はなく、保護者が心配するのは当然です。レガスが2人追加配置すると報告を受けましたが、研修に ついては学童クラブの体験研修と座学、学童クラブとして配慮することを区が伝えることを含め1週間程度と聞いております。4月まで実質あと1ヶ月しかあり ません。区の言う1人1人への対応は、連絡帳だけの問題ではなく文字通り心に寄り添う事が必要です。研修計画を練り直し十分なものにする事と同時に、区の 巡回指導はもちろん、区の指導員を数ヶ月は補助で付けるなど十分な対応を行うべきと考えますが、区長のご所見をうかがいます。

     

    【答弁】

    保育園と学童クラブの待機児童解消についてのお尋ねです。

     

    はじめに、保育園の待機児童解消についてです。まず、今年4月1日の待機児童数の見込みについてお答えします。

     

    ご指摘のとおり、今年4月の入園申込み数は昨年に比べて166名の増となっていますが、待機児童数が急増した昨年4月入園の申込み者数が219名の増だったことに比べ、申込み数がやや鈍化していることと、区がこの1年で527名分の定員拡大を行っていることを考え合わせれば、本年4月の待機児童数は一定の改善が見込めるものと予測しています。正確な待機児童数につきましては、例年同様、4月下旬を目途に調査し、確定する予定です。

     

    次に、都有地や国有地の活用についてのお尋ねです。保育・教育施設の整備については、今後も地域 の保育ニーズを的確に把握し、機敏に対応していくことが肝要と考えます。必要な場所に必要なサービスを的確かつ効果的に提供していくなかで、適地として都 有地または国有地があれば検討してまいります。

     

    次に、0歳児受入れ施設の整備についてです。新宿区の0歳児保育の実施率は23区の中でもトップクラスとなっており、0歳から入園できるお子さんの定員枠は、1歳から入園できるお子さんの約2倍となっています。その結果、勤務先から保障されている育児休業期間を切り上げて0歳児枠の4月入園を申し込まれる保護者も少なくないのが実情です。 こうしたことを踏まえ、今後はニーズ調査の結果などに基づいて適正な0歳、1歳の入園可能枠を確保してまいります。

     

    次に、学童クラブの待機児童についてのお尋ねです。はじめに、夏休みからの学校内学童クラブの開設についてです。平成26年4月から、落合第四小学校内の放課後子どもひろばに学童クラブ機能を付加し、連絡帳や個人面談などを通じて、保護者と連携して子どもの成長を見守っていけるよう新たな取り組みをはじめます。今年4月の学童クラブ機能付きひろばの利用者は、十数名と見込んでいます。ひろばを年度途中に学童クラブに切り替えることは、利用料をはじめとした制度の違いもあり、難しいと考えています。

     

    次に、土曜日の対応についてです。放課後子どもひろばは、土曜日は開設していないため受け入れができません。対応が必要な児童については、土曜日の居場所として、せいが学童クラブのほか、他の近隣の児童館・学童クラブへご案内するなど丁寧に対応してまいります。

     

    次に、職員の研修計画及び巡回指導についてです。放課後子どもひろば事業に従事する職員について も、学童クラブの運営等を学ぶことは大切であると考えています。このひろばへの配属職員については、区立学童クラブで体験研修を実施し、学童クラブの運営 の留意点や、連絡帳の書き方、保護者や子どもへの対応など、区の職員が直接指導してまいります。また、3月の春休みには、落合第四小学校の放課後子どもひろばに、児童指導業務経験のある区の職員が入り、実際の現場での子どもへの対応等について、しっかり指導してまいります。4月以降も適宜巡回に入るなど、学童クラブに代わって、学童クラブ機能付きひろばを利用するすべてのお子さんに対して、現場の職員が保護者と連携して、一人ひとりに寄り添った対応がしっかりできるよう、区も十分にサポートしてまいります。

     

     

    5、震災対策について

    次に、震災対策について質問します。

     

    はじめに、耐震改修促進計画についてです。1月に「新宿区耐震改修促進計画」の素案がだされ、パブリックコメントが行われました。今回の改定は、社会情勢 の変化、「建築物の耐震改修の促進に関する法律」改正、「東京都耐震改修促進計画」改定、「新宿区地域防災計画」の修正等を踏まえて、2008年3月策定 の現行計画を見直すものです。改定の主な内容は、計画期間を2015年から2020年に5年延長し、住宅の耐震化率の目標を90%から95%に引き上げ、 取り組むべき施策として、液状化対策、天井落下防止、長周期地震動対策等が追加されています。区民の生命・財産に係る大事な計画であるにもかかわらず、1 月15日から2月14日までに寄せられたパブリックコメントが4件27項目と少なかったことは残念です。我が党も10件の意見を提出しましたが、以下3点 についてご所見を伺います。

     

    第一は、被害想定についてです。

     

    今回の被害想定は、都の見直しに応じて新宿区も見直しをし、建物の倒壊棟数、死者数が増えていますが、中央防災会議はそれを上回る想定を出しています。中 央防災会議が「危機管理上はより厳しい想定のもと有効な対策を講じることが望ましい」と指摘しているように、建物倒壊、火災、死者、負傷者数などを中央防 災会議の指摘する最悪の想定を前提に耐震化計画を進めるべきと考えますが、いかがですか。

     

    第二は、耐震改修を促進するためのリフォーム助成の実施についてです。取り組むべき施策の(3)で「リフォームにあわせた耐震改修の誘導を進める」として います。これは現行計画でも示されていますが、実績が上がっていません。やはりリフォーム工事部分に助成がないことが要因ではないでしょうか。リフォーム にあわせて耐震改修を誘導するのであれば、リフォーム工事部分にも区が助成すべきではないでしょうか。

     

    第三に、外付け室外機の落下防止についてです。区内には区道等に面した古いビルがあり、鉄枠で固 定されている外付け室外機が多くみられますが、老朽化が進むと大きな揺れで落下する危険があります。実態調査を行い、改善指導し、安全対策をとることを加 えるべきと思いますが、いかがでしょうか。

     

    次に、耐震補強工事をさらに促進するため、建物の建替にも助成を拡げることです。新宿区は2004年度から建築物等耐震化支援事業に取り組み、木造住宅の 耐震改修工事費助成は2014年1月現在までに181件となりました。2010年から2011年度に赤城下町等で耐震化支援事業調査を実施し、無接道と道 路突出建物にも支援を拡大し、さらに昨年11月からは工事費の委任払い制度を取り入れたことも私どもは評価しております。そのうえさらに建替にも助成すれ ば耐震化が大きく前進することは他区の事例からも明らかです。

     

    北区は、50万円を限度に耐震建替工事に助成しており、2011年度は50件の実績、2012年度に助成限度額を100万円に引き上げて61件の実績があ りました。2007年度からの建替耐震工事費助成の実績は合計約170件以上とのことですから、新宿区の耐震化支援に匹敵する成果を上げています。その結 果、2項道路のセットバックと不燃化も進み、防災もまちづくりも前進しました。新宿区に建替助成制度があれば、国の耐震助成制度の30万円の助成が活用で きますから、これに区が上乗せをすればよいのです。新宿区も耐震建替工事助成を実施し、耐震化率を95%に近づけるべきと考えますが、区長のご所見をお聞 かせください。

     

    最後に、地域団体・関係団体との連携をより強化し、地震に即応できるようにすることです。建設職人の組合である東京土建本部は、「まちの救助隊(チーム NAMAZU)」を創設し、地震発生後、大工さんなどの組合員がボランティアとして救助にとりくめるように募集しているとのことです。東京都と協定を結び 500棟の木造仮設住宅を建設することを含め、まちの救助隊として直ちに対策がとれるようにしています。現在、2030人が登録しており5000人が当面 の目標です。東京土建新宿支部でも2010年に救助隊を創設し29名が登録しており、東日本大震災のときは、リフォーム協議会の呼びかけに応じて被災した 屋根をブルーシートで覆う区の緊急対策に従事しました。土建に限らず、地域に住み、まちの状況に詳しい建設業の団体との連携をより強化し、必要に応じ「ま ちの救助隊」のような組織を各地域防災協議会単位に組織していくべきと思いますが、お答え下さい。

     

    【答弁】

    震災対策についてのお尋ねです。

     

    まず、耐震改修促進計画の被害想定についてです。中央防災会議の被害想定は、東京都全域で想定し たものであり、建築物の全壊棟数は、東京都防災会議では約11万6千棟、中央防災会議では約11万2千棟と想定しています。想定する震源位置によっても、 被害想定に差が生じる可能性はありますが、2つの被害想定は概ね同程度と捉えています。

     

    「新宿区耐震改修促進計画」は、建築物の耐震化を 促進することにより、減災社会の実現を目指しています。このことは、中央防災会議の取り組むべき対策の方向性にも示されており、一日も早く、全ての建築物 の耐震化を図ることが、減災社会の実現に、何よりも大切なことであると考えています。このため、本年3月に改定を予定している「新宿区耐震改修促進計画」 では、東京都が「東京都耐震改修促進計画」で採用している、東京都防災会議の被害想定を前提とします。

     

    次に、リフォームにあわせた耐震改修と、その助成についてのお尋ねです。リフォームにあわせた耐 震改修は、リフォームと耐震改修を同時に行うことが、工事期間やその費用の面から、合理的であることから、リフォームにあわせた耐震改修工事の実施を誘導 しています。木造住宅の耐震改修工事費助成では、耐震性の向上に資する屋根の軽量化や、リフォーム工事の一部に相当するような補強壁設置に伴う仕上げ工事 についても、助成対象としています。また、区は、耐震化の推進や居住環境の向上などの観点から、新宿区リフォーム協議会と連携した施工業者の紹介や、東京都建築士事務所協会新宿区支部と連携した「安全安心・建築なんでも相談会」により、住宅などのリフォームを支援しています。

     

    したがいまして、新たなリフォーム工事部分への助成の実施は、現在のところ考えていません。

     

    次に、「外付け室外機の落下防止」についてのお尋ねです。ご指摘のとおり、外付け室外機などの落 下物防止対策は震災時の安全対策として、重要であると考えています。区では、これまでも、一定規模以上の建築物について、特殊建築物定期調査報告制度を活 用し、建築物の落下物防止対策を指導してきました。平成26年度に、区内全域の建築物を対象に、所在地や所有者、規模などを記載した「既存建築物台帳」の 作成を予定していることから、その台帳を活用し、外付け室外機などの落下物も含めた建築物全体の適正な維持管理を所有者に要請していきます。また、「新宿 区耐震改修促進計画」の改定にあたっては、落下物防止対策として、外付け室外機についても、改善指導の実施や安全確保を推進する旨を加えます。

     

    次に、建築物の建替えに対する助成についてのお尋ねです。新宿区の耐震化支援制度は、所得制限を 設けているものの、他区の制度に比べて手厚い制度となっており、住宅の耐震化率は、平成19年3月の83.6%から、平成25年3月には88.2%に増加 するなど、耐震化は着実に進んでおります。建築物の耐震化は、それぞれの建築物の所有者が、自らの責務として取り組むことが、基本であると考えており、高 額な費用を準備できる方が行う建替え工事に対して、新たに助成を実施することは、現在のところ考えておりません。

     

    次に、地域団体・関係団体との連携をより強化し、地震に即応できるようにすることについてのお尋 ねです。区では、震災時の応急活動などに迅速に対応するために、ご指摘の建設業団体を含め、様々な地域団体や関係団体と災害協定を締結しています。また、 区立施設の電気設備の復旧業務を行う新宿災害対策電設協力会と水道設備の応急修繕を行う新宿管交会には、日頃から、避難所運営管理協議会や避難所開設訓練 等にも参加してもらい、発災時の対応の強化を進めています。こうした専門性の高い地域の企業が災害時の復旧・復興に協力していただくことは大変心強く思っ ています。今後とも、避難所単位、地域防災協議会単位、あるいは、区全体のエリアで、各種団体と連携を進め、災害対応力を強化してまいります。

     

     

    6、スポーツ環境の整備について

    次に、スポーツ環境の整備について質問します。

     

    一昨年制定されたスポーツ基本法は、スポーツは「国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む上で不可欠のものとなっている。スポーツを通じて 幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利」と謳っており、新宿区でも昨年2月にスポーツ環境整備方針(以下、スポーツ方針)が策定されました。

     

    2010年に区が行ったスポーツ環境調査では、スポーツ・運動への取り組みについての設問では、「スポーツ・運動を行いたいと思うができない」が 45.7%と最も多く、次いで「スポーツ・運動を行っているが、もっと行いたい」23.3%と、スポーツに対する要求の高さが示される一方、スポーツ方針 でも指摘されているように週1回以上のスポーツ実施率は新宿区は38.4%で、全国の45.3%、東京都の43.4% と比較して低く、だれもが気軽にスポーツに取り組める環境を整備することが課題です。2020年に東京オリンピック・パラリンピックが行われますが、ス ポーツの裾野を広げることは健康で文化的な生活につながり、トップアスリートもそうした中から育って来るのではないでしょうか。スポーツ方針では、「地域 資源の活用」「障害者がスポーツを楽しめる場や機会の創出」「気軽に楽しめる都市環境の整備」が謳われていますが、その実現のために、以下質問します。

     

    第1に、スポーツ施設の整備についてです。現在、大智学園に10年契約で貸与されている淀橋中学校跡地は、約3年後に契約が切れます。北新宿地域は、公園 や緑の少ない地域です。地元の皆さんから、スポーツができる多目的運動場が欲しいなどの切実な要求が出ています。契約終了後に、現在のグランドを多目的運 動場として整備し、震災時の避難場所としても活用できるようにすべきと考えますがいかがでしょうか。

     

    また、愛日小学校の体育館は、校舎の建て替えに伴って新しい体育館ができるため、その後の活用の検討を急ぐ必要があります。箪笥地域はスポーツ施設が少ない地域です。地元の要望も聞いて、スポーツ施設として活用すべきではないでしょうか。お答えください。

     

    第2に、スポーツ施設の利用料についてです。

     

    1つ目は、屋外施設の使用料と照明利用料です。野球場の利用料は、平日夜間2時間の場合、西戸山、落合中央公園とも利用料5,100円プラス照明利用料 12,600円、計17,700円です。牛込第三中学校、西早稲田中学校も夜間の校庭開放を行っており、利用料は無料ですが、照明利用料は2時間で 10,000円にもなります。これに対して、中央区の月島運動場は、利用料2,000円プラス照明利用料6,000円で、計8,000円です。港区の麻 布、青山運動場は、利用料3,600円プラス照明利用料5,200円で、計8,800円。千代田区の外濠公園は利用料4,400円プラス照明利用料 3,000円、計7,400円と、近隣3区と比べても西戸山、落合中央公園は倍以上高く、中学校校庭の照明利用料も他区より高くなっています。照明利用料 は実費相当額で設定しているとのことですが、施設利用料、照明利用料とも近隣3区と同等程度に引き下げるべきではないでしょうか。中学生のサッカーチーム が校庭の夜間利用をできるよう規定を見直すことが検討されていると思いますが、その改善とあわせて、せめて中高生や子どもの団体には利用料の減免制度を作 るべきと考えますが、いかがでしょうか。

     

    2つ目は、体育室の利用料についてです。 スポーツセンターの大体育室の全面バレーコート3面分を全日利用すると156,200円です。一方、近隣区のス ポーツセンターは、港区72,900円、千代田区93,600円、渋谷区80,000円、中央区73,800円、文京区80,700円です。文京区以外は バレーコート2面分の広さで、利用可能時間帯も条件が若干違いますが、そのことを考慮しても明らかに他区より高く、文京区の倍近い料金です。せめて近隣区 と同額程度に利用料を引き下げるべきです。

     

    3つ目は、プールの利用料です。プール利用料は大人が400円です。23区の利用料は200円~600円となっていますが、高齢者を無料にしているのは 23区中8区、軽減しているのが10区、あわせて18区が減免しています。新宿区でも高齢者はせめて半額とし、高齢者が利用しやすくすべきです。お答えく ださい。

     

    第3に、障害者スポーツについてです。2020年には東京でパラリンピックが行われます。障害者も参加しやすいようルールの修正などを行ったアダプテッド・スポーツを楽しめる場や機会を増やすことで、障害者スポーツの裾野を広げることが重要です。

     

    1つ目は、施設利用料についてです。2011年にアダプテッド・スポーツの一つである関東ローリングバレーボール大会が新宿区のスポーツセンターで行われ ました。主催者は区に利用料の軽減を申し入れましたが、「新宿区が共催すれば軽減できるが、参加者の多くは区外の方なのでむずかしい」と言って減免に応じ ず、大体育室と会議室の利用料に12万5800円もかかりました。ところが翌年、同じ大会を葛飾区で行いましたが、葛飾区の総合スポーツセンター体育館は 無料でした。葛飾区は、障害者は、個人・団体とも区内・区外を問わず、スポーツ施設を無料で利用できるからです。新宿区も、障害者の利用料は区内・区外を 問わず免除し、障害者がスポーツに親しむ機会を増やすべきです。

     

    2つ目は、プールの利用料です。障害者の利用料を免除しているのが、23区中14区、軽減しているのが5区、併せて19区が減免しています。新宿区の障害 者利用料は介助者は無料ですが、本人は大人料金と同じです。新宿区も障害者の利用料を無料にし、より利用しやすくすべきです。お答えください。

     

    第4に、気軽にできるスポーツについてです。区有施設等の階段に消費カロリーを表示するように検討しているとのことですが、このように身近なところで体を 動かす環境作りが大切です。神田川の遊歩道のようにキロ数が表示されるのも意欲につながります。その他にも、例えば中央公園や箱根山の周回をウォーキング コースとして整備し、距離がわかるようコース表示してはいかがでしょうか。以上お答えください。

     

    【答弁】

    スポーツ環境の整備についてのお尋ねです。

     

    はじめに、旧淀橋中学校の活用についてです。ご指摘のとおり、旧淀橋中学校については、約3年後の平成29年3月 に現在の契約が終了となります。区では、区有施設の跡活用において、区全体の行政需要や地域の要望、区財政の動向等を総合的に勘案した上で、活用方針を策 定しています。旧淀橋中学校の跡活用についても、同様に検討を行い、第三次実行計画を策定する中で有効活用を図っていきます。

     

    次に、愛日小学校体育館の活用についてのお尋ねです。愛日小学校の建て替えに伴う現体育館の活用については、あいじつ子ども園と合築になっている施設の状況等を踏まえ、適切な活用を検討していきます。

     

    次に、スポーツ施設の利用料金の設定と減免についてのお尋ねです。新宿区は他区に比べて料金が高 く、近隣区と同程度に引き下げるべきとのことですが、施設利用料等については、土地の価格・面積や施設維持管理費等を踏まえ、受益者負担の考え方に基づく 一定の算定式によって計算し、条例で規定しているものです。 お尋ねのスポーツ施設については、施設の性格上、「市場的・選択的サービス」として位置づ け、利用区分による料金をご負担いただいています。 現時点では、条例上の施設利用料等の見直しは考えていませんが、今後は消費税率引き上げに伴う経済状 況を注視しつつ、減価償却費など受益者負担とすべき経費の調査なども行い、ご指摘の利用料の減免等も含め、受益者負担の適正化に向けた検討を進めてまいり ます。

     

    次に、気軽にできるスポーツについてです。まず、身近なところで体を動かす環境づくりがとても大 切であるとのことですが、区といたしましても競技スポーツだけではなくスポーツの場や活動の裾野を広げていくことが重要であると認識しています。ご指摘の 区有施設における消費カロリー表示については、各施設の階段等、施設の状況も異なることから、効果的な表示の在り方について、引き続き検討を行っていきま す。 また、新宿中央公園のウォーキングコースについては、距離表示等の整備を今後進めてまいります。なお、箱根山がある都立戸山公園の距離表示等につい ては、所管である東京都に対し、要請してまいります。

     


    区議会活動 | あべ早苗

    2014.03.03 更新

日本共産党新宿区議団
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