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    2014年第2回定例会 一般質問

    JR新大久保駅の段差解消についてについて

    【質問】

    日本共産党区議団の阿部早苗です。私は、JR新大久保駅の段差解消について一般質問します。

     

    2000年に「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」(交通バリアフリー法)が施行されてから14年経ちました。2010年度末までに1日 5000人以上の利用者がある駅で段差解消をすることを目標に進められ、エレベター設置などで段差が解消された対象駅は9割程度まで前進しました。 2011年3月には国土交通省が「移動等円滑化の促進に関する基本方針」を発表し、その後の10年間で1日あたり利用者3000人以上の鉄道駅で段差解消 と視覚障害者の転落防止設備の整備をすすめることを目標にバリアフリー化が進められています。

     

    東京都内のJR駅では、山手線・新大久保駅がエレベーター・エスカ レーターのいずれもなく、代々木駅はエレベーターはありませんが、車いす対応のエスカレーターがあり、この2駅を除く山手線の駅にはエレベーターもエスカ レーターも設置済みです。その他の路線では、中央線・御茶ノ水駅、総武線・浅草橋駅、埼京線・板橋駅がエレベーター・エスカレーターともなく、中野・高 尾・新小岩がエスカレーターのみという状況です。つまり、都内では新大久保を含む4駅だけが、エレベーターもエスカレーターもないバリアフリー化がきわめ て遅れた駅となっています。

     

    そのうち、御茶ノ水駅は2010年度から大工事が開始されており、 2018年度までにバリアフリー化工事が完了予定です。御茶ノ水駅の聖橋口は新大久保駅同様、改札を出るとすぐに歩道で危険なため、駅前広場を整備する事 業とバリアフリー化の事業が併せて進行中です。バリアフリー化にかかる事業費は全額JRが負担し、広場整備の事業費60億円はJR・国・千代田区が3分の 1ずつ負担し、60億を超過した場合はJRが負担する協定になっていると千代田区の担当者からうかがいました。埼京線の板橋駅も、駅施設の改良とバリアフ リー化をあわせて実施するため、JRと関係する板橋区・北区・豊島区が協議を進め、一昨年計画概要が決まりました。その後東電の地下埋設物が判明したため 計画修正がなされ今年度は支障移設工事をし、来年度から一期工事に着手し、2017年度にバリアフリー化を完了予定とのことです。こちらは交通バリアフ リー法に基づきJRが単独で行う事業で、区の財政負担はないそうです。また、浅草橋についても、JRと台東区の間で昨年エレベーター設置の協議が整い、整 備計画がすすむ予定です。

     

    つまり、何の見通しもないのは新大久保駅だけとなりました。

     

    JR東日本のホームページによれば、2012年度の駅利用者数ランク で新大久保駅はJR東日本全駅中101番目に利用者が多く、都内では60番目です。定期利用者16,960人、定期外24,585人、合計41,545人 となっています。また、国交省が段差未解消駅の状況調査をした際の回答では1日平均72,266人の利用者で、いずれも5000人をはるかに超過していま す。同駅は来街者が多いのが特徴的で、ひと頃に比べて落ち着いてきたとはいえ、多くの観光客がコリアンタウンを訪れる際に利用しており、海外からの観光客 も大きなトランクを持って乗り降りしています。また、旧社会保険中央総合病院=現東京山手メディカルセンターはじめ大久保病院、国立国際医療研究センター 病院や区の障害者福祉センター・全国障害者総合福祉センター(戸山サンライズ)に行くにも便利な駅です。都営戸山ハイツアパートや百人町の都営戸山団地に も近く、近隣には高齢者が多く居住しています。交通弱者がJRを利用する際は、新宿駅に出たり、大久保駅で乗って新宿で乗り換えるしかありませんが、新大 久保駅がバリアフリー化されれば、利便性は格段に向上することでしょう。

     

    つい最近も、高齢者の方とお子さんのいる若い女性から、早くエレベー ター・エスカレーターをつけて欲しいと要望されました。知り合いの車いす利用者は新宿駅を利用していますが、新大久保駅から乗れればターミナルの混雑を避 けて安全に乗り降りできます。また、インターネットで検索すると、車いす利用者などから新大久保駅がバリアフリー化されていないことに驚きの声が上がって います。「新宿区子どもの生き方パートナー」だった乙武洋匡さんの「エスカルは手動の車いす対応で電動は使えない」というツイッターもありました。地元に 住む方も、他所から訪れる方も、1日も早くバリアフリー化を望んでいます。

     

    そこで、区長に質問します。

     

    第1に、新大久保駅が東京都内で一番バリアフリー化から取り残された駅になっている現状を、区長がどのように受け止めておられるのかお聞かせ下さい。

     

    第2に、区はJRとの協議や働きかけをどのように進めてきたかです。 御茶ノ水駅でも板橋駅でも浅草橋駅でも、関係区はJRとの協議や要請を重ねてバリアフリー計画を策定しています。新宿区はJRと何の協議もして来なかった のでしょうか。2009年度に国土交通省が行った「鉄軌道駅の段差解消に向けた対応状況」調査に、区は段差解消の意思が有り、実現の措置としてエレベーター設置費用の 3分の1を補助することを計画事業に位置づけていると回答し、2010年度予算に70,30万6000円の予算を計上しました。しかし何の前進もないまま 不用額となり、これ以降一切区としての動きが見えません。この4年間、区は何のアクションもしなかったのですか。してきたのであれば、経過と進捗状況を区 民に報告すべきと思いますが、いかがですか。

     

    第3に、段差解消のために、区が積極的にイニシアチブを発揮することについてです。

     

    同駅は用地が狭隘なため大規模改修しなければバリアフリー化は困難だといわれてきました。本当に敷地が狭く、改札を出てすぐ前が大久保通りで、狭い空間に待ち合わせの観光客が溜まり、歩道も混雑して非常に危険です。

     

    国交省鉄道局が3000人以上の鉄道駅の段差解消・転落防止柵整備の ためにまとめた2011年3月の基本方針では、バリアフリー化が困難な場合、「地域の要請及び支援の下」解消を進めるとして、国が鉄道事業者に3分の1補 助する、補助の要件は地域の関係者で構成される「協議会」の議論を経た計画に基づく事業であることとなっています。こうしたスキームもあるのですから、新 大久保駅の段差解消のために区長がJRに赴いて要望する等、積極的にイニシアチブを発揮すべきと考えますが、区長のご所見をお聞かせ下さい。

     

    【答弁】

    阿部議員のご質問にお答えします。

     

    JR新大久保駅の段差解消についてのお尋ねです。

     

    はじめに、新大久保駅がバリアフリー化から取り残されたことに対する認識とJR東日本との協議や働きかけについてです。

     

    区では、高齢者や障がい者の方々を含め、あらゆる人が活力ある日常生活を送り、社会活動に参加できるようにするためには、鉄道駅のバリアフリー化が不可欠であると考えています。

     

    このため、これまでも各鉄道事業者に対し、駅のバリアフリー化を強力に要請してきました。その結果、バリアフリー化に着手している駅も含めると、区内49駅の内、47駅でバリアフリー化が進められています。残る2駅のうち、新大久保駅については、区は駅施設の改修によるエレベーター設置を、JR東日本に対し再三働きかけ、平成22年度には、エレベーターの設置に対する区の補助金を予算計上しました。

     

    しかし、新大久保駅は駅施設が大変狭く、工事ヤードの確保が難しいことが判明したため、引き続きエレベーターの設置方法を検討することとなり、当面の代替措置として、平成23年3月に階段昇降機が設置されました。その後も区は、新大久保駅のバリアフリー化は、一日も早く実現する必要があるとの認識に立ち、引き続きJR東日本にエレベーター設置によるバリアフリー化を強く働きかけてきました。

     

    次に、新大久保駅の段差解消に向けてのJR東日本に対する要望についてです。

     

    新大久保駅のエレベーター設置によるバリアフリー化については、土地の利用関係の課題の解決に見通しがついたことから、現在、エレベーター設置のための具体的な工法選定や、事業費等の比較検討の段階に入っていると、JR東日本から聞いています。

     

    区としては、新大久保駅に一日も早くエレベーターが設置され、バリアフリー化が実現するよう、JR東日本と具体的な協議を行ってまいります。

     


    区議会活動 | あべ早苗

    2014.06.26 更新

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