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区議会活動
2015年第4回定例会 一般質問
11月27日の本会議で、近藤なつ子議員が夏目坂通りの拡幅事業について一般質問を行いました。
正式な会議録ではありませんが、概要をご紹介します。
日本共産党区議団の近藤なつ子です。夏目坂通りの拡幅事業について、一般質問します。
東京都第三建設事務所は、11月4日、早稲田小学校において早稲田駅前交差点から若松交差点までの区間約700mの夏目坂通りを環状4号線として、現行の11mから20mに拡幅する事業を進めることを前提に説明会を行いました。200人程の関係住民が参加し、多くの意見が出されましたが、都は今年度中に現況測量を完了し、その後、用地測量・事業認可・用地買収・工事を進めていくと説明しました。
第1に、説明会の主催についてです。
夏目坂通りは都道でなく区道です。区道である以上、本来なら区が主催者となって説明会をするのが筋ではないでしょうか。私も参加しましたが、住民から出された意見にまともに答えない場面が何度もあり不十分な説明会でした。また「まちづくりはどうなるのか?」と住民にとって大きな関心事に区の担当者がいないため答弁されませんでした。環状4号線の整備は都が施工主ではありますが、管理者としての区の責任はないのでしょうか。どうして東京都におまかせの説明会になったのか、区が管理者として主体的に対応すべきだったと考えますが、区の見解を求めます。改めて、区と都の共催で説明会を行うべきと考えますがいかがでしょうか。
第2に、なぜ夏目坂通りを環状4号線として整備しなければならないのかについてです。
説明会で、第三建設事務所からは主に3つの理由で事業の必要性を説明され、その中で一番強調されたのは、環状4号線として富久から若松河田駅の交番の所まで整備を進めてきたので、引き続きネットワーク化したい、ということでした。
そもそも夏目坂通りは単なる拡幅路線として、昭和21年戦災復興計画として都市計画されたものです。ところが昭和39年に突如、大きく迂回した環状4号線の一部として指定されました。私も改めて昭和21年当時の環状4号線を復刻版で見ましたが、若松河田からまっすぐに医療センターの脇を抜け、区立障害者センターの裏辺りを通り、早稲田大学文学部を突き抜け穴八幡宮の辺りに出る一繋ぎの道が引かれており、直線状になっていました。それが、なぜ迂回する変更が行われたのでしょうか。説明会では「ここは決定時、環状4号線ではなかった。その経緯は?」「変更する際も説明を聞いていない。住民には周知したのか。」という質問がありましたが、全く答えていませんでした。区は夏目坂通りが環状4号線となった経過について把握しているのか、また、住民に理解できるよう区は説明責任を果たすべきと思いますが、いかがでしょうか。お答えください。
昭和39年の環状4号線の変更は路線を複雑にしました。若松河田から信号を右折し職安通りに入り、若松町交差点から斜めに夏目坂通りに入り、下りきった所で信号を左折し早稲田通りに入り、また西早稲田交差点で信号を右折し新目白通りまでと、無理やり環状線にしようとした経過が見て取れます。区内には、既に環状2号線としての外堀通り、環状3号線としての外苑東通り、環状5号線としての明治通り、そして、環状6号線としての山手通りがほぼ整備されています。私は、今更こんなに複雑な環状4号線を無理に整備する必要がどこにあるのかと思っていますが、住民が判断するにはあまりにも情報が不足しています。この路線は区道です。夏目坂通りやその周辺のまちづくりなどを住民が共有し話し合いができる協議会のような場を区がつくり、住民自身が判断できるようにすべきではないでしょうか。区長の見解をお聞かせください。
また、「東京における都市計画道路の整備方針(第三次事業化計画)」が平成16年度から27年度までの12年間で進められてきており、その中に夏目坂通りが優先整備路線として挙げられてきました。住民にそのことをまとも知らせることもせず、この第三次の期間中全く動きがなかったのに、突如11月4日に説明会を開催し、今年度中に強引に現況測量を完了しようというのは、次期計画につなげるための駆け込みと思わざるを得ません。こんな乱暴なやり方で強行し、道理のない道路計画はやめるべきです。いま、東京都は来年度からの第四次事業化計画を策定中ですが、住民が全く納得していない状況で、夏目坂通りを「優先整備路線」に挙げるのは乱暴です。区として夏目坂通りを「優先整備路線」としないよう東京都に意見を言うべきと思いますが、見解をお示しください。
2つ目の理由として第三建設事務所は、この路線では駐停車している車を除けるのは危険だからと写真まで見せて、安全性向上のために必要だと説明しました。確かに幅員が広がれば今より安全になるでしょう。しかし、ここ数年急速に交通量が減り寂しいと感じるほどで、適切な運転さえすれば十分に安全を確保できます。説明会でも「安全性を高めるというが、交通量は減っている。必要性がない。」「地元の住民から通りづらいと声があったのか。」「車が減っていて、これから人口減少で更に減るだろう。どこに必要性があるのか。」との意見が続出しました。今回の計画は、車線は現在の片側1車線と変わりません。実際10年前と比べ自動車の保有総数が23区全体で89%、新宿区では82%と減少傾向で、明らかに必要性は薄れていると思いますが、区の見解をお聞かせください。
3つ目の理由とされている防災力の向上については、その基本は区も進めている建物の耐震化・不燃化の促進こそ必要なのであって、互いに助け合うことができる親密なコミュニティを常に作り上げていくことが大事です。説明会で「通過交通は良くなるかもしれないが、まちづくりはどうなるのか。」「結局まちが壊れ、コミュニティが壊れるだけではないか。」との意見がありました。この地で慣れ親しんできた住民や商店を追い出し、バラバラにし、結果的には大切なコミュニティや町会・商店会の運営に悪影響を与えることになり、かえって防災力は後退することになるのではないでしょうか。この点での区の見解をお聞かせください。
第3に、未着手の都市計画道路の思い切った見直しをすべきということです。
「戦後のどさくさに決定した都市計画決定を70年も経って問答無用に押し付けるのはどう見てもおかしい」との意見は他の路線でもあり、他区では事業認可の取り消しを求める裁判なども行われています。説明会でも「なぜ今なのか!納得できない。」「70年も放っておいて感情的にも納得できない。」とまさかそのまま計画を進めるのかという驚きの声がありました。平成12年12月に当時の建設省が「都市計画運用指針」の通知で見直しの考え方を示し、全国的には2296路線を対象に見直し、1798路線、実に78.2%が廃止となっています。名古屋市では、都市計画決定後50年以上経過し、未着手の路線では何らかの問題があると考え、文化財に支障をきたす路線か、商店街の存続に影響を与える路線か、一定の道路規模がある路線かなど8つの課題に分類し、抱える課題ごとの解決策を検討し見直しを行っています。区も東京都の言うままに都市計画道路の整備をするだけではなく、区としての基準を持ち、住民の意見を聞きながら未着手の計画の見直しをすべきではないでしょうか。見解を求めます。
最後に、当面現況測量などの作業を中止するよう都に求めるべきということです。
住民から事業の進め方にも「この1回の説明会だけで進めようというのは乱暴だ」「では次の説明会は?」の問いに「予定はない」と回答したことで、都への不信を募らせています。これから4カ月余で一気に現況測量を行おうなどと言う態度では住民はとても受け入れられません。一旦、作業は中止するよう都に求めるべきではないでしょうか。お答えください。
(都市計画部長) 近藤議員のご質問にお答えします。
夏目坂通りの拡幅事業についてのお尋ねです。
初めに、説明会の主催についてです。
夏目坂通りは、幹線街路環状4号線として広域的な都市の骨格を形成する路線であり、都区の役割分担の中で、東京都が都市計画道路の整備事業を実施することになっています。したがって、事業主体である都が住民や地権者の方などに対して、責任をもって説明し、事業を行っています。このことから、都と共催で説明会を開催することは考えていませんが、区としては、区道を管理する立場などから、説明会の状況などを適切に把握するとともに、庁内関係部署と連携して丁寧に対応してまいります。次に、夏目坂通りの環状4号線としての整備についてのお尋ねです。
まず、夏目坂通りにかかる環状4号線の都市計画変更の経緯についてです。
環状4号線は、昭和21年に戦災復興都市計画として決定されたものを基本とし、昭和39年に首都の機能の維持及び増進に資するように、道路網の全体的な再検討を行う中で、夏目坂通りに迂回する都市計画変更が決定されたと、現在の都市計画決定権者である東京都から聞いています。こうした、環状4号線の変更経緯など、住民からの質問や意見に対しては、丁寧に対応するよう、東京都へ働きかけてまいります。また、環状4号線を含めた都市計画の内容については、これまでも区は、都市計画道路の整備方針の策定や地域地区見直しの際の都市計画図の配布など、さまざまな機会を捉え、その周知に努めてまいりました。次に、夏目坂通りの整備の必要性と協議会設置についてのお尋ねです。
夏目坂通りにおける環状4号線の整備は、現在の道路幅員を拡幅することで、災害時の延焼遮断帯が形成されるだけでなく、交通ネットワークの形成や通過交通の安全性が高まるとともに、歩行者環境が改善されることなどから、早急に整備すべき路線であると認識しています。また、夏目坂通りの整備については、平成16年に策定した第三次事業化計画の優先整備路線に位置付けられているとともに、すでに若松町交差点付近では、先行する環状4号線整備事業で夏目坂通りへの接続部分の用地買収が実施されていることから、現時点で整備について協議する場を設置することや、第四次事業化計画の優先整備路線から外すよう東京都に申し入れることは考えておりません。
次に、夏目坂通りの整備に伴う地域の防災力への影響についてです。
夏目坂通りの整備により、延焼遮断帯や災害時の避難路が整備されるとともに、歩行者や自動車などの安全で安心な通行が確保され、地域の防災性が向上するものと考えています。一方、夏目坂通りから一歩入ると、木造建物が密集しているエリアが広がっています。区としては、夏目坂通りの整備を契機に、地域住民とともに、新たな防火規制による建物の不燃化や地区計画の導入によるオープンスペースの確保など、防災まちづくりに取り組んでまいります。こうした取り組みを通じて、地域の防災力の更なる向上を図ってまいります。次に、未着手の都市計画道路の見直しについてのお尋ねです。
未着手の都市計画道路の見直しについては、今年度中の策定に取り組んでいる第四次事業化計画を含む都市計画道路の整備方針の見直しの中で、東京都及び特別区で都・区策定検討会議を設置し、検討しているところです。本年5月には、都区共通の見直し指標案を、「中間のまとめ」として作成し、パブリックコメントを実施しました。現在、「中間のまとめ」で示した指標案に基づき、個別の路線ごとに検証を行っており、今後、都市計画道路の整備方針の策定に向けて、パブリックコメントを実施し、広く区民の意見を聞いてまいります。
次に、当面、現況測量などの作業を中止することについてです。
夏目坂通りについては、延焼遮断帯や交通ネットワークが形成されるなど早急に整備すべき路線であるとともに、すでに先行する環状4号線整備事業で、夏目坂通りへの接続部分の用地買収が実施されていることなどから、現時点で区として、現況測量などの作業を中止するよう東京都に要請することは考えておりませんが、住民や地権者の声には丁寧に対応するよう、引き続き東京都に申し入れてまいります。2015.12.15 更新