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区議会活動
2016年第2回定例会 一般質問
6月10日の本会議で、川村のりあき議員が以下の項目について一般質問を行いました。
1.民泊について
2.ライドシェア・自家用有償運送について正式な会議録ではありませんが、概要をご紹介します。
(川村のりあき議員) 日本共産党区議会議員団の川村のりあきです。今回の一般質問では、民泊およびライドシェア・自家用有償運送について伺います。まず、いわゆる「民泊」について伺います。
先日、ある区民の方からご相談を受けました。所有する物件が、借主に宿泊施設いわゆる「民泊」にされ、近隣住民の方から騒音とごみの問題で苦情を受けた。契約にも違反しているので、借主にやめるようお願いしたところ、エアビーアンドビーという民泊サイトに登録し、入れ代わり立ち代わり宿泊する外国人の方を「親戚です」言い張った挙句に転居した。部屋の内部を確認したところ、わずか4か月しか使用していないにもかかわらず壁は汚れエアコンの破損等ひどい状況であったが、借主に敷金返還を迫る裁判に訴えてきたとのことです。私の紹介した弁護士さんにアドバイスを受け、この方は裁判には勝ちましたが、新宿区の住宅街においてもこうした「民泊」の問題が年々増えており、許可を受けずに営業している疑いがあるなどの苦情は、2013年度は3件、2014年度は6件でしたが、2015年度は95件に上っています。深刻化する「民泊」問題の解決の糸口を探るため、条例改正を行った台東区に状況を伺い、5月25日には日本共産党区議団は、伊藤ようへい議員と大田区に視察に行ってまいりました。不安やトラブル解決のため必要な規制をし、区民生活を守る立場から以下3点質問します。
第一に、新宿における「民泊」の実態の把握についてです。新宿区HPのトップページでは「無許可の宿泊営業は旅館業法違反」と記載され、「最近インターネットを通じて、旅行者に自宅を提供するいわゆる『民泊サービス』が、全国的に広がりを見せています」と注意を喚起しています。その中の旅館業法Q&Aでは「社会性を持って反復継続して宿泊料を徴収して宿泊させる場合、旅館業法の許可を得る必要がある」と示されています。そこで伺います。新宿区では「民泊」は何室あるか把握できていますでしょうか。また、違法状況を放置しないため区民から情報提供を求めるべきと考えますが、ご所見を伺います。
第二に、「民泊」の苦情とその対応についてです。新宿区に寄せられる苦情は、「見知らぬ外国人が数日前後で入れかわり出入りし、常に不安である」、「深夜のドア開閉や共用部分での雑談など、昼夜を問わず騒音が絶えない」、「本人居住や住居目的に限定した管理組合の規定に違反している」、「ごみの分別や喫煙場所等の生活ルールを守らない」等とのことです。無許可で民泊営業が行われている場合、新宿区は旅館業法に基づき、営業をやめさせるなどの措置を行う等の対応をされています。そこで伺います。先に述べた以外に深刻な事例もあり、持ち主や管理会社に連絡がつかず苦慮されているケースもあります。区が把握している実態をお聞かせください。また相談や苦情が激増している現状に鑑み、担当職員の増員をすべきと考えますが、いかがでしょうか。また管理規約改正によってトラブルを未然に防ぐことができます。区内マンションの管理組合に情報提供を行うべきと考えますが、ご所見をお聞かせください。
第三に、今後予想される規制緩和への対応です。さる5月19日、規制改革会議は「民泊」について規制を緩和し、住居専用地域でも民泊を可能とする答申をまとめ首相に提出しました。その内容は①住居専用地域においても届け出制により民泊ができるようにする②要件として営業日数180日の日数制限③民泊施設管理者制度(代行業者)の登録制度④仲介事業者の登録制度⑤民泊新法の国会提出となる模様です。今までも、住居専用地域で民泊を行うことが苦情とトラブルを起こしてきました。一方、新宿区は厚労省の「民泊サービス」のあり方に関する検討会に対し、本年1月25日には「民泊サービスに対する適切なルール作りについて」との要望を出されています。内容は、民泊サービスについて旅館業法に位置付け、管理者の常駐と宿泊しようとする者の面談など、現在行っている指導が行うべきというものです。4月1日政令による規制緩和に対応し、旅館業法施行条例の一部改正を行った台東区では、「営業施設には、適正な運営を行うため、営業時間中に営業従事者を常駐させること」をいれました。台東区としては、常駐するのが当たり前という前提で指導してきたものの、今後、違法な民泊が増えては困るという区民の声を受け議員提案で成立したもので新宿区の要望と同趣旨のものと言えます。そこで区長に伺います。
新宿区の要望について国はどう受け止める見通しか、苦情とトラブルをさらに起こしかねない今回の規制緩和について、中止を求めるべきと考えますがご所見をお聞かせください。それでもなお、新法が制定された場合、現行の指導が継続できるように新条例や施行規則を定めるべきと考えますが、ご所見を伺います。
次に、「ライドシェア」と「自家用有償運送」について伺います。
一般ドライバーがスマートフォンアプリを介して利用者と契約し、自家用車で運ぶ相乗り、いわゆる「ライドシェア」の導入と「自家用有償運送」規制緩和に向け経済界や政府の動きが加速しています。私は、利用客の安全を守るため規制緩和をすべきでないという立場から、以下質問します。
第一に、「ライドシェア」の安全性についてです。現在、乗客の安全を確保するために、一般ドライバーが自家用車で客を有料で送迎することは、道路運送法で原則禁止されています。無許可車は白地ナンバープレートのままなので、「白タク行為」とされ、取り締まりの対象です。現在進められようとしている「ライドシェア」は タクシードライバーに必要な二種免許は必要ありません。「免許取得後1年以上経過」「認定講習の受講」などの条件をあげるだけで、運転前のアルコールチェックの義務付けもありません。さらに大きい問題は、万一事故が起こった場合、タクシーであれば会社が責任を持つのに対し、「ライドシェア」を運営している会社は責任を負わないなど、乗客の安全を保障するしくみはぜい弱です。すでにライドシェアを解禁している各国では業務停止命令や訴訟が続き、国際労働機関(=ILO)も問題視しています。また、「ライドシェア」は副業を想定した仕組みであり、価格破壊が容易に起こり、今でさえ早急に改善が必要なタクシー労働者の低賃金と劣悪な労働条件をさらに悪化させます。そこで伺います。「ライドシェア」に対する認識をお聞かせください。「ライドシェア」解禁を行わないよう国に意見を提出すべきと考えますがご所見を伺います。
第二に、オリンピック・パラリンピックを名目にした安全軽視の規制緩和をさせないことです。
政府は、特定の地域で「規制緩和」をすすめる国家戦略特区のしくみを利用し、現在は福祉事業など例外的にしか認めていない「自家用有償旅客運送」の枠を拡大する考えです。この分野での規制緩和を見込み、外国企業は日本進出の準備を着々と進めています。昨年3月米国・ウーバー社が福岡市で実証実験をしました。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを視野に収め、民泊やライドシェア等の「シェアリングエコノミー」を推進するのは新経済連盟の代表理事、三木谷浩史楽天社長らですが、同氏はすでに昨年、日本に進出を狙うライドシェア企業の、米国のリフト社に出資し、取締役に就任しています。そこで伺います。オリンピック・パラリンピックを名目にしたものであっても「ライドシェア」「自家用有償運送」については、先に述べた危険性がある以上、乗客の安全を守る立場から特区申請をするべきではないと考えますが、ご所見を伺います。
(健康部長) 川村議員のご質問にお答えします。
いわゆる「民泊」についてのお尋ねです。
はじめに、区内の民泊の室数把握についてです。
これまで区として、いわゆる「民泊」を許可した例はありませんが、苦情への対応状況から無許可で営業する潜在的な物件が相当数あると推測され、全体数の把握は困難な状況です。
次に、区民からの情報提供についてですが、区はホームページに「無許可の宿泊行為は違法であること」について詳細に掲載しており、これらをもとに多くの情報が区民から寄せられています。
次に、苦情の実態についてですが、28年度は4月から5月の2か月間で44件と増え続けており、対応に苦慮しているケースとして、呼出しや面会に応じようとせず、改善指導に従わない事例もあり、警察と連携して対応しています。職員の体制については、このような状況が今後も継続すると考えられることから、的確に対応してまいります。また、区内マンションの管理組合に対しては、民泊に関するトラブルを防止するため、必要な情報の提供などを検討していきます。
次に、今後予想される規制緩和への対応についてです。
区の要望に対する国の受け止めについてですが、国は、4月に政令改正を行い、民泊を旅館業法の対象とし、さらに6月2日の閣議決定では、民泊を既存の旅館業法とは別の法制度と位置づけて届出制とし、管理者や仲介事業者を登録制とすることなどが示されました。行政への手続きや管理体制の面では、一定程度、区の要望に沿った形となっています。「民泊」は、地域社会の安全・安心な生活環境に深刻な影響を与えるため、近隣住民の理解が得られる適切な措置を取ることや、違法な営業に対する罰則の規定などを、区として引き続き国に要望していきます。
また、既に違法営業の疑いのある「民泊」が横行しているため、法制度として位置づけられる「民泊」の制度開始に間に合うように、新宿区として適切なルールづくりが出来るよう、国の動向を踏まえつつ検討してまいります。(みどり土木部長) 次に、ライドシェアおよび自家用有償運送についてのお尋ねです。
ライドシェアや自家用有償運送事業は、利用者の安全の確保などを目的に、道路運送法等の法規制により福祉有償運送事業等を除き制限されているところですが、現在、我が国の経済活力の向上や持続的な発展を図るために定めた国家戦略特別区域において、重点的に取組むべき事業の一つとして、政府の国家戦略特別区域諮問会議などで検討されているものと理解しています。この規制緩和は、バスやタクシー等が運行されていない過疎地域などで活用が期待できることから、現時点で、ライドシェア解禁を行わないよう国に意見を提出する考えはありません。利用者の安全・安心の確保という課題に応えながら、地域の実情に即した規制緩和が実現されるよう、国の動向を注視してまいります。2016.08.08 更新