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区議会活動
2016年第4回定例会 一般質問
11月30日の本会議で、あざみ民栄議員が以下の項目について一般質問を行いました。
1.学童クラブと放課後子どもひろばについて
正式な会議録ではありません。概要です。
(あざみ民栄議員) 日本共産党区議団のあざみ民栄です。
学童クラブと放課後子どもひろばについて、 一般質問します。
初めに、学童クラブの定員拡大についてです。今年度、学童機能付き放課後子どもひろばを昨年度の2校から16校に増やしたにもかかわらず、学童クラブの登録者数は昨年度よりも増え、また、定員オーバーのクラブは8月1日現在で30カ所中18カ所、昨年同月は16カ所、一昨年度は14カ所とこれも増加しています。就学前人口、保育需要もまだまだ増えることを考えれば、学童クラブの定員を増やすことは喫緊の課題です。 区は学童クラブの需要の高まりに対し、これまで放課後子どもひろばの機能拡充、学童機能付きと時間延長で対応してきました。しかし現在、学童機能付きは16校もあり、来年度はさらに時間延長4校も学童機能付きにし、20校となります。小学校29校中20校が学童機能付き放課後子どもひろばになるということはそれだけ学童クラブが必要だということではないでしょうか。区は、ひろばの機能拡充を表明した2014年当時、「15年度からひろばを機能拡充すれば定員オーバーは一定解消する」、と言い、当時の質疑の中で、「各クラブの登録状況の様子を2,3年程度見る」、「ひろばの機能拡充をやってもなお1.5倍近くオーバーするような状況があれば早急な対応を検討せざるを得ない」と、答弁しています。また、区長は今年の第2回定例会で 、「・・必要な地域では学童クラブの確保方策の拡大も検討してまいります」と、答弁しています。4月1日現在の在籍数で1.5倍以上は中町、高田馬場第二、上落合であり、この3カ所については、「早急な対応を検討せざるを得ない」学童クラブではないでしょうか。ひろばの機能拡充という小手先の対策ではなく、学童クラブそのものを増やし定員拡大を行うべきと考えますがいかがでしょうか。来年度に向けて、現在、どのような検討をされているのでしょうか。区長の現状認識と併せてお答え下さい。
目黒区は2018年4月開設に向けて児童館と学童保育クラブを増設する予定です。目黒区の学童クラブは定員までしか受け入れないので、地域によっては1年生から待機児童が発生しています。そのため、待機児童に対し、「ランドセル来館」という学校から直接児童館に来ることを認める代替措置を行っています。こうした状況から、待機児童が多い地域にある旧リサイクルセンター跡地を、学童クラブを含む児童館に機能移転することにしたそうです。目黒区は「公共施設等総合管理計画」策定に先がけて、「目黒区区有施設見直し方針」を策定し、今後40年で区有施設総量を15%削減することを打ち出していますが、今回の児童館と学童クラブは必要な施設であり増設に踏み切ったとのことです。
新宿区としても定員オーバーが常態化し、かつ近隣の施設状況から、すぐにでも対応できるところは直ちに増設または拡充すべきです。特に、いまだ保育ニーズが高く、今後認可保育園の新設が予定される牛込箪笥地域は待ったなしです。中町学童クラブについてはほぼ毎年、オーバー率が区内で最も高く1.5~2倍近い状況です。来年2月には愛日小学校の新校舎が完成し、仮校舎であった市ヶ谷商業高校跡地や、中町児童館に隣接する愛日小学校の旧体育館など、活用できるところはいくつかあると考えます。また、高田馬場第二学童クラブも毎年1.5倍前後のオーバー状態です。現在休園中の戸塚第一幼稚園舎を活用し小学校内学童クラブを設置してはいかがでしょうか。お答え下さい。
第2に、学童クラブの質の維持・向上についてです。学童クラブの民間委託化は2004年度から順次行われ、現在、27の学童クラブ全て民間委託となっています。最近、保護者の方から「職員の入れ替わりが早い」という話を伺っています。学童クラブは単なる放課後の居場所ではなく、第2の家庭であり、慣れ親しんだ指導員がいなければ子どもたちは「ただいま!」と帰って行けません。民間委託導入当初、年度途中の異動や退職が問題になり、保護者・関係者から職員定着のための処遇改善を求める声が上がりました。私たちも議会で何度となく取り上げましたが、区は経験年数の高い職員を配置し年度途中や短期の異動をさけるよう指導を行い、委託料も一定引き上げてきたことは承知しています。しかし、民間委託化から13年目となり、現状はどうでしょうか。学童クラブ別の職員の平均勤続年数の資料をいただきました。今年度、委託が3年未満の4カ所を除き、23の学童クラブの常勤職員の平均勤続年数は全体で2.92年、長いところは5,6年というクラブもありますが、3年に満たないところが15カ所もあります。5年前の2011年度は、委託3年以上の9カ所で3.16年ですから、職員の定直状況は悪くなっていると言えます。区の認識をお答え下さい。
ここ数年、受託事業者が新宿区内に限らず、複数の学童クラブや保育園を抱え、新規に立ち上げのところにベテランが回される等、法人都合の異動が多く、玉突き的に異動があり、経験の浅い職員が主任になったりする、等々聞いていますが、こうしたことが職員の定着率低下の原因の1つと言えるのではないでしょうか。区はこうした実態を把握されていますか。また、定着率低下の理由をどのように分析されていますか。
定着率の低さは安い賃金等、厳しい待遇からくる問題でもあり、学童に限らず保育や介護といった福祉分野共通の課題です。職員の処遇改善が学童クラブにも必要であり、新宿区の子どもたちの豊かな育ちを保障するためには事業者任せにはできません。先に述べたように区は10年ほど前に委託料の基準の引き上げを行っていますが、それ以来据え置きです。指導員が安心して働き続けられるよう、委託料の人件費基準を引き上げるべきと考えますがいかがでしょうか。また、指定管理者と同様に、人件費が実際に誰にいくら支払われているか、委託費に占める人件費比率なども区として把握し、必要な指導を行えるようにしてはいかがでしょうか。
第3に、放課後子どもひろばの改善についてです。「学童機能付き」はおやつが提供されますが、そのおやつを食べる場所はどのような環境でしょうか。学校によってはひろばの部屋とは別に確保されているところもあるようですが、多くはひろば専用の部屋の一角で食べているというのが現状ではないでしょうか。学童クラブは条例に基づく設置と運営の基準があります。専用室があり、職員配置も決まっています。学校施設の条件次第で環境が違うというのではあまりにもお粗末です。「学童機能付き」というなら、本来そうした基準を満たすための環境整備が必要と考えますが、区長はどのように認識されていますか。すぐに環境整備ができないのであれば「学童機能付き」という名称は見直すべきと考えますがいかがでしょうか。
第4に、今後の学童クラブと放課後子どもひろばについてです。都内では学童保育と放課後子ども教室を一体化する自治体が増えています。子どもの貧困対策や居場所づくりの拡充が求められているときに、子どもの居場所の効率化・縮小化を進めるようなことは行うべきではありません。新宿区はこれまで通り、学童クラブと放課後子どもひろばの役割を明確に分け、それぞれの充実に取り組んで行くことを改めて求めます。区長の見解をお示し下さい。
(吉村晴美子ども家庭部長) あざみ議員のご質問にお答えします。
学童クラブと放課後子どもひろばについてのお尋ねです。
はじめに学童クラブの定員拡大についてです。
今年度4月1日現在の区立学童クラブの登録児童数は、1,509人ですが、出席予定児童数は、1,345人で、総定員と同数でした。新宿区の学童クラブは、児童館や放課後子どもひろばに併設されており、児童館の施設や校庭などを利用して、のびのびと過ごせる環境を整えています。平成27年度の区立学童クラブの利用者アンケートでも、9割を超える保護者から満足・概ね満足との評価をいただいています。子どもの自立度や保護者の就労状況に応じた、多様な選択肢を提供することは大切であると考えており、学童クラブ機能付き放課後子どもひろばを、来年度はさらに4所増やし、20所とします。そのため、現段階での学童クラブの定員拡大は予定しておりませんが、定員を大きく上回る状況が続いている中町学童クラブについては、愛日小学校の旧体育館利用と合わせて、児童が集まるピークの時間帯に児童館内に優先的に利用できるスペースを確保することも検討していきます。
高田馬場第二学童クラブについては、ここ数年の登録児童数は、ほぼ定員数で推移していましたが、今年度大幅に上回ることが予測されたため、近隣の戸塚第一小学校の放課後子どもひろばを学童クラブ機能付きといたしました。機能付き導入後まだ日が浅いことや、定員に余裕のある民間学童クラブが近隣にあることなどから、今後の動向を注視し、対応してまいります。
次に、学童クラブの質の維持、向上についてのお尋ねです。
平成28年度の、委託開始3年目以上の学童クラブの常勤職員の平均在籍年数は2.92年ですが、区直営児童館・児童コーナー職員の平均在籍年数は2.70年となっており、委託と直営に大きな差はありません。異動は、昇格に伴うものや、人材育成の観点から行っていることが多いと認識しています。異動の際には、実績や経験も確認していますが、子どもの状況を把握し、保護者から信頼されている職員を残しながら、全体のバランスを考えて行われています。学童クラブの人件費については、一定の水準を確保しており、適正であるとの認識を持っています。人件費がだれにいくら払われているかの報告は求めていませんが、学童クラブの事業者選定についてはプロポーザル方式を取り入れており、契約の中で人件費の水準が保たれるようにしています。今後も子どもたちと向き合う現場職員が、適切な労働環境に守られながら定着できるよう、努めてまいります。
次に、放課後子どもひろばのお尋ねです。
学童クラブ機能付き放課後子どもひろばは、学校施設を活用し、放課後の学びと遊びの支援を行うひろばの特徴を活かしながら、おやつや出欠管理、連絡帳等、学童クラブで行っている保護機能を付加した事業です。学童クラブとは異なり専用室はありませんが、専任の職員を配置するとともに、おやつを食べる場所も確保しています。現在は、16所中12所は別の部屋で、残り4所では、ひろば活動室を区切って落ち着ける環境づくりを行っています。学童クラブ機能付き放課後子どもひろばの名称については、子どもたちに親しみやすいものとなるよう、利用者アンケート等を参考に、平成29年度から「ひろばプラス」という愛称を使うことにしました。
次に、今後の学童クラブと放課後子どもひろばについてのお尋ねです。
学童クラブと放課後子どもひろばは、ともに小学生の放課後の居場所ですが、学童クラブは、保護者に代わって子どもを保護・育成する機能を持っています。今後も両事業の連携や情報共有を深めながら、事業の充実に努めていきたいと考えています。2016.12.15 更新