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    2017年第2回定例会 一般質問

    6月13日の本会議で、佐藤佳一議員が以下の項目について一般質問を行いました。

    1. 民泊について 【区長】

     

     

    ◆7番(佐藤佳一) 日本共産党区議団の佐藤佳一です。
     民泊について一般質問いたします。既にお2人の方から同じテーマで質問がありました。重なる内容もありますが、誠意ある御答弁をお願いいたします。
     この間、旅館業法の許可を得ない違法民泊は広がりを続け、その数は全国で5万件と言われています。民泊の大手仲介サイト「エアビーアンドビー」による掲載件数は、新宿区は23区で最も多く、2017年4月1日現在3,533件となっています。厚生労働省の昨年の調査では、物件の特定ができない割合が52.9%で、特定すら困難なのが実態です。許可を取得しているのは16.5%と低く、政令指定都市と東京23区では1.8%と野放し状態になっています。
     これまで宿泊施設は、保健所を初め消防、警察、建築指導課などが定期的に立ち入り、安全、衛生、治安の維持のため指導が行われていましたが、今国会で成立した「住宅宿泊事業法」、以下、「民泊新法」は、先ほどの規制を受けずに届け出だけで住居で民泊営業ができ、これまでホテルや旅館の営業が認められていない住居専用地域でも営業できるように緩和するなどの重大な問題があります。
     新宿区では、宿泊目的でマンションなどの部屋を利用させる違法民泊の苦情や相談が多数区民から寄せられ、利用者による騒音やごみ出しのルールが守れないなど、住民の生活や環境に悪影響を及ぼしています。区は、昨年10月26日、区民の安全・安心の確保を目的とした適正なルールづくりを検討するために、吉住区長を会長とする新宿区民泊問題対応検討会議を立ち上げ、これまで4回会合が持たれ、新宿区として必要なルールの検討などが行われてきました。
     以下、質問します。
     第1は、民泊の実態についてです。
     厚生労働省が昨年末行った調査では、民泊仲介サイトに登録されている1万5,127件の物件を抽出し、それぞれ各自治体に照会し、届け出がされているかを調査しました。新宿区には107件の照会があり、いずれも無許可の物件でした。これまで議会の質問に対し、区は、実態の把握は難しいとの答弁でしたが、実態を正確につかむことこそ違法民泊対策の出発点です。
     京都市では、2015年12月から2016年3月まで、調査を業者に委託し、大手仲介の8つのサイトから京都市内の物件を洗い出し、民泊が2,702件ありました。うち所在地を特定できたのが46.3%、旅館業法上の認可施設はわずか7%で、残りは無許可営業でした。この調査をもとに課題も明らかとなり、さまざまな対策を講じてきました。京都市の例に学び、実態調査をすべきです。いかがでしょうか。お答えください。
     第2は、民泊新法施行までの対策についてです。
     区内の民泊の苦情は、2014年度6件、2015年度95件、2016年度246件、今年度は4月だけで既に40件とふえ続けています。2016年度の246件のうち、所在を特定できたのはおよそ8割ですが、全てが無許可でした。指導して是正したのが3割弱で、残りは現在も指導を続けているとのことです。京都市では、条例のほかに指導要綱をつくり、民泊の事業者に対して住民からの要望があれば説明会や標識の設置を求めることができるなど、事業者に対して指導しています。京都市の取り組みも参考に、以下、4点提案します。
     1つは相談窓口の設置です。
     これまで「見知らぬ外国人が入れかわり出入りし、深夜、早朝、キャリーバッグの音がうるさい」、「電線に洗濯物を干している」、「2階の廊下から火のついたたばこを自宅敷地に捨てられ消防署に通報した」などのさまざまな苦情を聞きましたが、民泊は新宿の住環境を悪化させています。現在、民泊の苦情は健康部衛生課が窓口となっていますが、ホームページのみの掲載で、くらしの相談窓口一覧やくらしのガイドには掲載されておらず、周知が十分されていません。京都市では、「民泊通報・相談窓口」を開設し、電話では年末年始を除き年中無休で午前10時から午後5時まで受け付けています。新宿区でも、新しく専用の「民泊通報・相談窓口」を開設し、区報などの宣伝物に掲載するなど、区民に周知し不安に応えるべきです。いかがでしょうか。
     2つは違法営業への対応です。
     京都市では、無許可営業に対する措置を指導要綱に盛り込み、指導に従わないときは京都府警察への告発も辞さないなど、違法民泊に対して強い姿勢で臨み、2016年度は無許可営業者574件を指導し、旅館業の取得52件、営業中止300件、指導中が222件となっています。新宿区では、簡易宿所(民泊)は、玄関帳場(フロント)がなければ営業できません。新宿区でも指導要綱をつくり指導を強め、営業を続ける場合は営業中止などの強い姿勢で対処すべきです。いかがでしょうか。
     3つは、民泊を紹介するサイトの運営業者についてです。
     現在、世界的事業を展開する民泊仲介業者には、日本の国内法は適用できません。京都市では、仲介サイトを運営する業者に無許可物件を削除するように要請しました。区でも、無許可物件はサイトから削除するように運営業者に要請すべきです。いかがでしょうか。
     4つは、マンションの民泊対策です。
     近隣住民とトラブルが多いのがマンションの一室を利用した民泊です。住宅課が行っているマンションセミナーでも、民泊への対策についての質問がふえています。最近、管理組合の規約を改正し、民泊を禁止するマンションがふえています。こうした事例を紹介するなどして対策を講じるべきです。いかがでしょうか。
     第3は、民泊新法のもとで条例を制定することについてです。
     この新法が取り締まるべき違法民泊を放置したまま、違法なものを合法化し、住居専用地域で民泊を認めるものです。また、宿泊の年間日数制限は180日となっていますが、1泊2日で利用日数が重ならない場合は最大360日の営業が可能です。
     世界の主要都市は、民泊から生じるトラブルを回避するため規制を強めています。民泊発祥の地、サンフランシスコは、年間日数制限を当初の90日から60日に短縮、ニューヨークは年間30日未満の短期貸し、ベルリンでは市の許可なく住居以外の目的で民泊などに利用することを禁じています。
     新宿区民泊問題対応検討会議で新宿区としてのルールづくりを進め、条例の制定も視野に検討してきました。法第18条では、自治体が民泊を行う区域を定め、期間を制限する条例を定めることができます。これまでの検討を踏まえ、従前の住環境を守り、安全・安心な地域をつくるために条例を制定すべきですが、いかがでしょうか。
     条例に盛り込むべき内容については、住居専用地域での民泊は旅館業法の宿泊施設と同様に設置できないように禁止すべきです。民泊新法では、区、区民、事業者の責務の規定がなく、条例にはきちんと明記すべきです。また、事業開始前に近隣住民への事前説明や所管の警察署、消防署、関係機関との事前協議、報告の規定がありません。これも明記すべきです。さらに、賃貸等で他人に貸す場合は、相手方に民泊を行わせないことや、管理規約に転貸での民泊の禁止を盛り込むようにすべきです。また、判明した場合は指導して是正できるようにすべきです。いかがでしょうか。
     以上、お答えください。

     

     

    ◎健康部長(髙橋郁美) 佐藤議員の御質問にお答えします。
     民泊についてのお尋ねです。
     初めに、民泊の実態調査についてです。
     御指摘の京都市では、平成27年度にサイト上の情報から民泊の実態調査を行いました。しかし、現在は行政の指導が強化されたことなどもあり、該当物件の所在地が明記されていないサイトがふえており、場所の特定がほとんどできない状況となっております。京都市から、現段階では一斉調査を行うことは極めて困難と伺っています。
     区では一斉調査を行う予定はありませんが、個別具体的な苦情や情報に基づいた案件については、所在の特定が8割以上でき、実態調査の上指導を行っており、一定の成果を上げています。
     次に、民泊新法施行までの対策についてのお尋ねです。
     初めに、相談窓口の開設についてです。
     民泊に関する相談は、旅館業法を所管する衛生課が窓口となり、関係部署と情報共有し対応しています。国が相談窓口の設置を予定していることから、国との役割分担を確認した上で、区民にわかりやすい相談体制を検討し、区報やホームページ、パンフレット等で周知していきます。
     次に、指導要綱での指導強化についてですが、区は、違法民泊に対し、現行の旅館業法及び同法施行条例の規定に基づき強く指導しており、適切に対応しております。また、違法営業を続ける場合の対処ですが、調査により事実確認し、違法であることを事業者に認識させ、厳しく指導しており、指導に従わない悪質なケースについては警察と連携して対処しています。
     次に、サイト掲載の削除要請についてです。
     京都市によると、サイトからの削除を運営業者に要請したものの、現時点では是正には至っていないと聞いています。法施行後は、法第58条に違法行為のあっせん等の禁止が明記されていることから、住宅宿泊仲介業者の監督権限を持つ国が行政処分等を行うことになります。区としては、法令に違反したサイトを発見した場合は指導等を行い、国へ情報提供していきます。
     次に、マンションの管理規約に関することについてです。
     区は、管理規約や賃貸借契約書に「民泊の実施の可否」について明記することが必要であると考えており、関係団体へ周知するとともに、個別の相談に応じ助言しています。
     次に、民泊新法のもとでの条例制定のお尋ねです。
     区としては、都市部における住宅宿泊事業に関する適正なルールについて条例制定を考えています。条例に盛り込むべき内容のうち、住居専用地域での禁止については、法第18条で条例事項とされた「区域を定めた期間制限」の規定に基づき検討しますが、国の説明では、宿泊させる日数については、住居専用地域でも「ゼロ日」は認められないとしており、今後出される政令等の内容を確認することが必要です。
     また、御指摘の「区、区民、事業者の責務規定」、「近隣住民への事前説明」、「警察、消防、その他関係機関との連携」については法には規定がありませんが、ルールづくりは必要と考えています。いずれも新宿区民泊問題対応検討会議の中で既に検討しており、これを踏まえ、今後条例案を作成していきます。
     次に、管理規約や賃貸借契約書において民泊を禁止すべきとの御指摘についてですが、区としては、民泊新法施行までの対策で述べたことと同様に、管理規約等に「住宅宿泊事業の実施の可否」について明記することを周知・助言していきます。
     最後に、管理規約等で禁止しているにもかかわらず住宅宿泊事業を行っていることが判明した場合についてです。
     法には、届け出時に管理規約等の確認や添付を直接義務づける規定は明記されていませんが、今後出される政令等で管理規約等の確認要件が付された場合、虚偽の届け出として罰則の対象となりますので、警察と連携して厳正に対処していきます。
     以上で答弁を終わります。

     

     

    ◆7番(佐藤佳一) 答弁ありがとうございました。
     今回の住宅宿泊事業法施行に当たっては、政省令にかなり委ねているところが多々あります。それを見てからということになると思うんですけれども、現に違法民泊がふえ続けているのが現実でありまして、パリのテロ事件では、犯人が違法民泊に宿泊していたという報道もありました。ぜひ治安や住環境を守る観点から、しっかりとした対策をとっていただきたいというふうに思います。
     以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

    区議会活動 | 佐藤佳一

    2017.09.01 更新

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