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    2019年第2回定例会 高月まな議員が一般質問を行いました

    6月13日の本会議で高月まな議員が、性別等の差別の解消について一般質問しました。

     

    ◆7番(高月まな) 日本共産党新宿区議会議員団の高月まなです。よろしくお願いいたします。

     私は、性別等の差別の解消について質問いたします。

     近年、性別及び多様な性自認、性的指向を理由とする差別解消の取り組みが今日的な人権課題として重要視されています。

     2015年、渋谷区、世田谷区で全国初となる、いわゆるパートナーシップ制度が制定されました。以来、現在全国で21の自治体が同様の制度を取り入れています。

     また、2018年に制定された都の「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」の第1条では、条例の目的として、「いかなる種類の差別も許さない」と宣言しています。

     また、第4条では、「性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取り扱いの解消に努めなくてはならない」と規定されています。

     ことし5月17日には、台湾で婚姻の平等が認められるなど、欧米のみならず、アジア地域でも同性婚を人間の平等の見地から受け入れていく動きが進んでいます。

     2020年東京オリンピック・パラリンピックの開会式・閉会式開催地である新宿区においても、オリンピック憲章にうたわれる人権理念に適合する制度の整備が求められます。

     昨年6月21日、区議会は「新宿区における性的マイノリティへの配慮に関する陳情」を採択し、区はそれを受けてLGBT等性的マイノリティに関する対応状況の調査を行いました。

     図書館利用登録時の性別欄の廃止、スポーツ施設等の柔軟な対応を指導するなど、対応できた事例が示されました。

     また、教育現場における合理的配慮として、小中学校の男女混合名簿、中学校の制服(標準服)の選択の自由化、トイレや更衣室、体育の授業等における対応、教職員への研修など、一定の前進がありました。

     しかし、同性カップルや事実婚の異性カップルを家族同等の関係として保証するためのパートナーシップ制度の導入は依然検討していません。

     以上の点を踏まえて、2点質問をいたします。

     1点目は、教育現場における配慮についてです。

     ことしの第1回定例会で、区立中学校の制服について、「生徒の多様なあり方に配慮して、スカート、スラックスを選択できるようにすることを来年度から実施する」とお答えがありました。今後、女子生徒のスラックス着用可のみならず、生徒のさまざまな事情に配慮した柔軟な対応がさらに求められることが予想されます。

     先行する世田谷区では、制服の「女子用」「男子用」というカテゴリー自体を見直す動きも出てきています。新宿区でもスカートか、スラックスかという単純な選択から、さらに検討を深めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

     また、制服の配慮や男女混合名簿の実施など、制度が改善しても周囲の理解が不十分では、生徒が傷ついたときに寄り添うことができません。多様な性自認や性的指向に関する教職員への十分な研修や保護者への情報提供が必要かと思います。一部ではなく全ての教職員、保護者への研修や啓発をすることを求めますが、いかがでしょうか。

     2点目は、パートナーシップ制度の導入についてです。

     区内では、既に多くの区民から、当制度を求める声が上がっています。長年同性のパートナーと暮らしてきた方が区立住宅に申し込むことができず、高齢化のため将来に不安を感じているといいます。また、パートナーが入院中、家族として面会できず、容体の説明が受けられない、相続に関連する権利が保障されないなど、さまざまな不利益があります。

     2017年3月の「新宿区男女共同参画に関する区民及び中学生の意識・実態調査」においては、性的マイノリティが暮らしやすい社会に必要な取り組みとして49.6%の方が「社会制度の見直し」と答えています。区民の暮らしやすさを図るためにも、パートナーシップ制度を導入すべきではないでしょうか。

     昨年の第3回定例会で、区長はパートナーシップ制度に関して、「国において結論を出すことが必要と考えているため、当制度の導入についての検討はしていない」とお答えになっています。

     また、ことしの予算特別委員会で、私ども日本共産党区議団は、同性カップルや事実婚の異性カップルには、区立住宅の使用資格として、民法上の親族に相当する関係を証明するものがないということを受け、だからこそパートナーシップ制度が必要なのだと訴えましたが、区は国の動向を見て判断するという姿勢を変えていません。

     私は、こうした国の結論や動向に従うという区の姿勢に疑問を覚えます。そもそも国が婚姻の平等を認めていないからこそ、地方自治体がそれを保障するための代替策としてパートナーシップ制度を整備してきた経緯がありますから、もともと国の動向には左右されない制度と言えます。国の動向や結論に従う必要のないものと考えますが、いかがでしょうか。

     ことし4月、豊島区は現行条例を改正してパートナーシップ制度を導入しました。男女共同参画推進条例を改正し、条文中の「性別」を「性別等」、「男女」を「すべての人」とすることなどにより、従来の性差別に加えて性自認や性的指向を理由とする差別の禁止を規定し、パートナーシップ制度等も規定しました。

     同時に、区営住宅条例と区立福祉住宅条例を改正し、区立住宅の使用資格者の要件を拡大して、「事実上親族関係と同様の事情にある者」として、パートナーシップの届け出が受理された者を新たに加えました。

     これまで新宿区は、多様な性自認や性的指向の人に対する差別解消については、現行条例で対応できるとしてきました。昨年の第2回定例会で区長は、「男女共同参画推進条例の第18条『何人も、あらゆる場合において、性別による差別的取扱いをしてはならない』における差別禁止の範囲には、当然に性的マイノリティの人も対象に含まれる」と答弁されました。

     しかし、一般的に見て、条文中の「性別」に性的マイノリティも含まれることを区民が読み取ることができるでしょうか。

     区は、現行条例で差別解消への対応ができるというのであれば、その姿勢をはっきりさせるためにも、豊島区のように条例にはっきりと明文化し、パートナーシップの規定や区立住宅の使用資格要件の拡大を盛り込むべきではないでしょうか。

     現在、パートナーシップ制度はさらに発展しています。同性カップルとともに異性間の事実婚のカップルなども対象に含めた他の先行自治体も参考にして、異性間、同性間を問わず、全ての人を対象とするパートナーシップ制度の導入を求めますが、いかがでしょうか。

     以上、御答弁願います。

     

    ◎教育委員会事務局次長(村上道明) 高月議員の御質問にお答えいたします。

     性別等の差別の解消についてのお尋ねです。

     初めに、教育現場における生徒のさまざまな事情に配慮した柔軟な対応についてです。

     標準服の着用については、学校はこれまでも、生徒や保護者から相談を受けて柔軟に対応してまいりました。今後、生徒本人の意思が尊重され、標準服が選択できるよう、新入生保護者説明会等を通じて発信していく予定です。

     また、標準服選択時の表示のあり方につきましても、現在校長会とともに検討しているところです。

     次に、全ての教職員への研修や啓発をすることについてです。

     児童・生徒のさまざまな事情に配慮し、適切に対応していくためには、多様な性自認や性的指向等に関して教職員の正しい理解を深めるとともに、人権意識の向上を図ることが重要です。

     教育委員会では、これまでも夏季集中研修会等のさまざまな機会を活用して研修を進めるとともに、昨年度は人権尊重教育推進委員会でLGBT等をテーマとして取り上げ、配慮の視点や取り組み事例などをリーフレットにまとめ、全ての教職員に配布したところです。

     また、毎年一定数の教職員が入れかわることを見越し、これまでの研修に加え、年度当初の転入教員研修会において、リーフレットの内容について説明するなど、より多くの教職員の理解・啓発を図るよう計画しているところです。

     今後も、さまざまな悩みを抱える児童・生徒に寄り添い、各校において人権尊重の視点から適切な配慮が行われるよう取り組みを進めてまいります。

     次に、多様な性自認や性的指向に関する保護者への研修や啓発についてです。

     保護者への研修や啓発については、昨年度から教育委員会主催で家庭教育支援セミナーを開始し、保護者の関心が高いテーマとして、12月に性教育についてのセミナーを2回開催しました。

     その際に、体の性と性的指向、性自認は必ずしも一致しないこと、LGBTを含めて誰もが多様な性のグラデーションの中にいることなどを内容として、多様性の理解促進を図ったところです。

     今後も家庭教育支援セミナーなどの性教育に関する研修会を通じて、保護者に対する多様な性自認や性的指向に関する理解啓発に努めてまいります。

     

    ◎子ども家庭部長(橋本隆) 次に、パートナーシップ制度の導入と男女共同参画推進条例の改正についてです。

     区では、これまで性別等の差別の解消に向け、性的マイノリティの方が抱える悩みを受けとめ、各種申請書類からの性別欄の削除を初め、「悩みごと相談室」への専門家の配置、公共の建物における「だれでもトイレ」の整備、職員や区民に向けた啓発講座などに取り組んできました。

     同性パートナーシップに対しては、婚姻と同等の保障を行うためには、婚姻制度のあり方についての十分な議論を踏まえて国において結論を出すことが必要と考えています。

     第三次男女共同参画推進計画では、「多様な生き方をみとめあう社会づくり」を目標の一つと定め、多様な生き方への理解促進と支援に取り組み、性には多様性があることを認め合い、性的マイノリティの方も生きやすい社会を目指しています。

     これらは男女共同参画推進条例の基本理念に基づいた目標であり、この条例で禁止している「性別による差別的取扱い」には性的指向や性自認に起因することも当然に含んで取り組んでいるため、改めて条例を改正することは考えていません。

     また、区立住宅の入居時の使用資格については、同居者に民法上の親族がいることとし、異性カップルで、事実上の婚姻関係などを証明できる方も含めています。このため、同性カップルには使用資格がありません。

     課題として認識はしていますが、現段階での使用資格要件の拡大は考えていません。

     異性間のパートナーについては、婚姻に準じた関係が認められる場合には、既にさまざまな制度において婚姻と同様の扱いがなされているため、パートナーシップ制度の導入は考えていません。

     以上で答弁を終わります。

     

    ◆7番(高月まな) 丁寧な御答弁、ありがとうございます。

     パートナーシップ制度に関しては、依然として国の動向いかんをめぐって認識の食い違いがありますけれども、現に多くの区民が困っていて、この制度を求めているという声が高まっておりますので、私どもも引き続き今後とも要望を出していきますので、研究や議論を重ねてまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

     以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

    高月まな | 区議会活動

    2019.09.03 更新

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