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区議会活動
2019年第4回定例会 川村のりあき議員が代表質問を行いました
11月28日の本会議で川村のりあき議員が
1.風水害対策について
2. 「新宿区心身障害者福祉手当」を精神障害者にも適用することについて
3. 新宿スポーツセンターにおける個人情報流出事件について
4. ヘイトスピーチ根絶のための対応について
5. 羽田新飛行ルートについて 区長の政治姿勢について以上5項目について、代表質問を行いました。
* 正式な会議録ではありませんが、概要をご紹介します。
◆(川村のりあき議員) 日本共産党新宿区議会議員団の川村のりあきです。区議会第4回定例会に当たり会派を代表して質問を行います。まず、東日本を中心に大規模な浸水被害や土砂崩れをひき起こした台風19号から、1ヶ月半余りがたちました。その爪痕はあまりに大きく、被害に遭われた皆様には心よりお見舞いを申し上げます。
はじめの質問は、風水害対策についてです。先日、日本共産党新宿区議団は千曲川の決壊で被災した長野市へボランティアに行きました。私自身1期目の2005年9月4日妙正寺川の氾濫を経験し、この間、台風や集中豪雨被害の問題については、機会をとらえ質問をしてきましたが、近年地球温暖化による集中豪雨と台風の猛威は凄まじく、これまでの延長線上ではない取り組みが必要と考え、以下、質問します。
まず、事前の対策です。
第一にハード面です。現在、「東京都総合治水対策協議会」(以下「協議会」)は、2014年策定の「神田川流域豪雨対策計画(改定)」において、降雨規模を75ミリに設定し、30年後に、河川整備や下水道整備と家づくり・まちづくり対策、流域対策合わせ75ミリ対応を達成するとしていますが、50ミリ対応において、神田川の護岸整備率は2016年度末9割、妙正寺川は4割にとどまっています。そこで区長に伺います。「協議会」はみどり土木部長、「協議会」幹事会は道路課長がメンバーとなっています。これらの会議体でどのような発言をされてきたか、都に対し区長のさらに強い働きかけを求めますがご所見を伺います。
一方、流域対策と家づくり・まちづくり対策は新宿区が果たすべき役割が大きい分野です。神田川流域における流域対策の実績では、新宿区は25%を占めますが、2024年度までの目標は、5.1万立米、2037年度までの目標は16.2万立米で、さらに取組が必要です。そこで区長に伺います。公共施設では、車道、歩道、公園について余地があると考えられますが、雨水流出抑制対策の目標達成をどのように進められるのか、お聞かせください。
目標達成のためにはとりわけ民間施設の対策が重要です。小規模の民間施設にとって費用負担は軽視できません。新宿区の助成制度は2万円が上限の雨水タンク設置への助成のみですが、神田川流域の多くの区では40万円を上限に、雨水タンクの助成の他に、浸透ます・トレンチ等への助成制度を設け実績を上げています。新宿区でも浸透ます・トレンチ等への助成を創設し雨水タンクへの助成を増額すべきと考えますがご所見を伺います。
第二に、ソフト面です。洪水ハザードマップについてHP上で公表されていますが、台風19号の後、各特別出張所にハザードマップを求める区民が増えています。浸水予想地域にハザードマップを全戸配布する事を改めて求めますが、区長のご所見を伺います。
落合第一地域センターの区長トークでは、「大雨に備えて~水害と土砂災害への対策~」と題した所長の説明が、参加者から「非常に分かりやすかった」と好評でした。榎町特別出張所管内では、危機管理課の呼びかけで町会長と防災部長さんらが避難所を同じくする文京区関口1丁目の方を交え出水時の対応について会議を行っています。震災に対しては、避難所開設訓練が住民主導で行われていますが、水害への対応は区が避難所を立ち上げる事となっています。新宿区の水防訓練は現状区内1か所年1回ですが、風水害時の避難について避難所ごとの訓練や説明会をすべきと考えますが、区長のご初見を伺います。
「東京マイ・タイムライン」は、都民一般だけではなく、小・中・高生を主体に据え、風水害に備え、何を備蓄し、取り決めておくか、発災時の対応等を、時系列に整理し準備するものです。学校での配布だけではなく作成までの支援が必要です。中央防災会議がまとめた「平成30年7月豪雨を踏まえた水害・土砂災害からの避難のあり方について(報告)」(以下「報告」)では、住民が「平時より災害リスクや避難行動について把握する」ことが求められ行政が責任を果たすこととあります。町会自治会と協力した「東京マイ・タイムライン」作成、学校教育への支援を行うべきと考えますが、区長のご所見を伺います。教育委員会にあっては災害教育の中に位置付けるべきと考えますがご所見を伺います。
次に、風水害が発生した際の対応です。
私自身も消防団員として出場しましたが、台風19号に際し泊りがけを含め355名の職員が対応され、ご尽力を評価します。同時に、区民の方から感謝の声とともに改善を図るべきことも寄せられましたので、以下、質問します。
第一に、自主避難所の開設に至った経過と関連する問題です。
他区では防災気象情報等に基づき、警戒レベル3、警戒レベル4の避難勧告を発し、避難所の開設を行った区もあります。一方で区民から「学校を避難所として開設してほしかった」との声や、町会の役員さんから「自主避難所になったという連絡を受けたのはいいのだが、町会員や地域の人に伝達する手段がない」等の声も伺っています。今回、第一次出動態勢のもとで、地域センターを避難所とする対応を行ったことについて、詳細な経緯をお聞かせください。自主避難所、避難所開設を行う際の基準を明確化し、その際の町会や自治会の対応についてマニュアル化すべきと考えますが、ご所見を伺います。
第二に、地域センターを自主避難所にした際の問題です。
自主避難所の開設で、「安心して夜が過ごせた」等の声と同時に「毛布や敷物が欲しかった」等との声も寄せられています。出張所ごとに帰宅困難者を想定し300名分のブランケットやビスケット等は用意されていますが、提供はまちまちの対応でした。要配慮者が多く利用することも踏まえ、避難所に準じた対応をすべきです。自主避難所開設についての検証結果と合わせてご所見をお聞かせください。
第三に、災害時要援護者と災害時要配慮者への対応についてです。
「報告」に示された、高齢者など要配慮者への対応という点では、ケアマネージャーが訪問した例もありましたが、今回「災害時要援護者名簿」に基づいた対応はありませんでした。風水害は事前の対応が可能であっただけに残念です。「災害時要援護者」と「災害時要配慮者」への情報提供と避難体制づくりにつき、ご所見を伺います。
第四に、情報提供のあり方です。
隣接区では屋外拡声子局やエリアメールで避難などの案内をしており、「新宿区はなぜそういった対応を行わなかったのか」という区民の声がありました。また、「広報車やケーブルテレビでお知らせしたほしかった」とのお声もありました。こうした判断に至らなかった理由をお聞かせください。2009年より「新宿区防災気象情報メール」で登録者に配信がされています。配信内容は「地震、気象注意報警報、降雨量と河川水位、緊急なお知らせ、天気予報、神田川洪水予報、豪雨お知らせメール」となっていますが、今回で言えば、「台風により中止となった行事のお知らせ」や「ブルーシートの利用についての情報」が欲しかったとの声も寄せられています。SNSの活用では、若年者や子育て世代に圧倒的に利用されているLINEの活用もすべきです。そこで区長に伺います。「報告」では行政の情報発信について非常に重視されており、媒体を広げるとともに発信体制の強化が求められています。「報告」の観点から区長のご所見を伺います。
最後に、土嚢と止水板についてです。
今回、土嚢の製作は2048袋にとどまり、新宿区で手に入らず「中野区から借りました」等の声もありました。世田谷区などでは土嚢ステーションで区民が必要に応じて取りに行ける態勢を整えています。地域防災計画では東西の土木事務所に区民が取りにいくことになっています。過去の台風では受け取りやすい場所に配置したこともありましたが、区民が受け取りやすい場所に配置し、それを周知すべきと考えますが、区長のご所見を伺います。また止水板については、杉並区・北区では50万円を上限に助成を実施しています。地下室・半地下室などの建物に浸水を防ぐ止水板の助成制度を創設すべきと考えますが、区長のご所見をお聞かせください。
◎(吉住健一区長) 川村議員のご質問にお答えします。
風水害対策についてのお尋ねです。
はじめに、ハード面の対策についてです。
区内の河川護岸については、神田川、妙正寺川で未整備区間がありますが、その代替として神田川の高田馬場分水路、妙正寺川の調節池群が整備されているとともに、下水道についても、第二戸山幹線が完成したことから、時間50ミリ降雨への対応がほぼ完了しております。これらのことから、区内の降雨に対する安全性は、相当程度向上していると考えますが、大量の雨が降る頻度が増加している最近の傾向を見ると、水害の危険性について楽観視することはできません。このため区といたしましては、今後も河川整備などの一層の促進を、都に対して働きかけてまいります。
次に、公共施設における雨水流出抑制対策の目標達成に向けての進め方についてです。
区では、これまで、雨水流出抑制対策の一環として、道路の透水性舗装や、公園の雨水浸透施設の整備に取り組んできました。今後も、実行計画に基づく毎年2,500平方メートルの透水性舗装を実施するだけでなく、可能な箇所については、道路、公園に雨水流出抑制施設を追加整備するなど、目標達成に向けて取り組んでまいります。
次に、新宿区でも浸透ます・トレンチ等への助成を創設し、雨水タンクへの助成を増額すべきとのお尋ねです。
区では、大規模民間施設の新築・改築の際、浸透ます、浸透トレンチ等、雨水流出抑制施設の設置をお願いしています。現時点で、浸透ます、浸透トレンチ等に助成を行う考えはありませんが、雨水流出抑制対策の必要性と効果について説明し、対策の実施を促していきます。また、雨水タンクについては、水資源の有効利用を目的に設置助成をしており、他区での実施状況や、設備本体の価格が下がっていること等から、現時点で助成金の増額を行う考えはありません。
次に、浸水予想地域への洪水ハザードマップの配布についてのお尋ねです。
防災対策で一番大切なことは、発災時に命を守ることです。そのため区は、ハザードマップや防災啓発冊子の作成、地域と連携した防災訓練や勉強会、防災区民組織への支援などを行い、区民の防災に対する意識と知識の向上に取り組んでいます。発生が指摘されている大地震については、建物の規模や構造にかかわらず、大きな揺れにおそわれ、建物倒壊や家具類の転倒等により、命に危険が及ぶ場合があるため、地域別防災マップを全戸に配布しました。
一方、水害については、浸水想定地域であっても、マンション等の中高層階については、浸水の危険性が低いことから、必ずしも避難する必要はありません。このため、洪水ハザードマップは、現在、地区町会連合会会議や地域防災協議会などの勉強会の場を中心に、活用方法などを分かりやすく説明しながら配付しています。町会、自治会、民生委員の方々の意見も伺いながら、洪水ハザードマップの効果的な周知方法を検討していきます。
次に、風水害時の避難のための避難所ごとの訓練等の実施についてのお尋ねです。
平成30年7月豪雨を踏まえた国の防災会議の報告では、「自らの命は自らが守る」意識の徹底と住民が主体となった避難訓練などが必要であるとされています。現在区では、避難所運営管理協議会が中心となり、地震を想定した訓練を各避難所で毎年実施し、避難所運営体制の充実と区民の防災意識の高揚を図っています。今回の台風の経験と国の報告等を踏まえ、防災区民組織や避難所運営管理協議会と協議しながら、風水害が発生するおそれがある場合の隣近所への声かけや避難などの訓練の実施について検討してまいります。
次に、町会自治会と協力した「東京マイ・タイムライン」の作成及び学校教育への支援についてのお尋ねです。
区は、都が今年度作成した「東京マイ・タイムライン」を、希望される町会等に対して必要部数をお配りするなどし、作成の促進を図っています。また、教育委員会や学校と連携し、各家庭での作成を依頼しています。さらに、特別出張所等の窓口に配架し、広く区民へお渡ししています。今回の台風を受け、区民の水害に対する意識も高まっていることから、改めて、地区町会連合会の会合や地域防災協議会の場において、各町会自治会へマイ・タイムライン作成の重要性を説明し、作成等の支援を行ってまいります。「東京マイ・タイムライン」にかかる学校教育への支援については、今年度、小学校の社会科学習で、職員が水害対策の講話も行っていますので、今後も、教育委員会や学校と緊密に連携し、児童・生徒へのマイ・タイムラインなどを活用した水害対策の学習支援に取り組んでいきます。
次に、地域センターを自主避難所とした経緯についてのお尋ねです。
今回の台風19号は、昭和33年の狩野川台風と同様に非常に強い台風であるとテレビ等で報道されていました。そのため区は、10月9日水曜日から、気象庁や国土交通省とのホットライン、都との情報連携、日本気象協会の新宿区ピンポイント予測などを分析し、翌10日の水害等連絡会において、区内では河川溢水の危険性は低いと判断し、地域センターを自主避難所として開設することとしました。ご指摘の自主避難所や避難所開設の基準については、地域防災計画で定めていますが、新宿区のような都市型水害の発生が懸念される地域では、避難所へ移動する途中で被災することも想定されます。そのため、避難所を開設し区民に避難を促す基準については、台風の進路や前線の位置、風速や降水量、河川の水位や調節池等の状況などを総合的に勘案して判断していきます。また、町会・自治会の対応マニュアルについては、現在、防災区民組織に配付している、「防災区民組織活動の手引き」をもとに、今後、防災区民組織と水害対策に関する意見交換を行い、マニュアルの修正等を検討していきます。
次に、自主避難所開設の検証結果及び所見についてのお尋ねです。
今回10か所の自主避難所には、300名の方が避難され、その中には、要援護者や外国人のほか、区外在住者や住所のない方もいらっしゃいました。区は、自主避難所の開設に当たり、事前に各自主避難所へ毛布を30枚配備するとともに、必要に応じて、帰宅困難者一時滞在施設として備蓄している飲料水等を提供しました。自主避難所での対応については、配慮を要する人と一般の人の部屋を分けることや、日赤から提供されているマットの貸し出しなど、避難者のニーズに対して臨機応変に対応し、大きな混乱もなく、避難された方は無事に帰宅されました。
一方、自主避難所に多くの方を受け入れたのは初めてであったこともあり、間仕切りや外国人に対応するための翻訳ツールなどの物品の配備、要援護者への適切な支援、円滑な運営を行うためのマニュアル整備などが課題となりました。今後も、水害から命を守る観点から、これらの課題をしっかりと検証し、自主避難所における避難者の安全・安心の確保に取り組んでまいります。
次に、風水害が発生した際の災害時要援護者と災害時要配慮者への情報提供と避難体制づくりについてです。
区は、発災時に、要援護者や要配慮者の安否確認等を実施するため、「災害時要援護者名簿」と「避難行動要支援者名簿」を作成しています。今回の台風19号では、気象庁等の関係機関から詳細な気象情報を早い段階から収集し、河川の溢水や住宅浸水の危険性は低いと判断したことから、名簿登録者への情報提供や安否確認などは行いませんでした。避難体制づくりについては、近隣住民、防災区民組織や支援団体等と連携し、地域における共助の体制を充実させるとともに、今年度作成した「要配慮者災害用セルフプラン」の様式を配布するなど、自助による防災対策の向上も図ってまいります。
次に、情報提供のあり方についてのお尋ねです。
はじめに、屋外拡声子局やエリアメールを使用しなかった理由についてです。
震災時や水害が発生するおそれがある時は、防災行政無線、公式ホームページやSNS、エリアメール、防災気象情報メール、広報車などを活用して、区民へ情報を伝達することとしています。今回の台風19号は、早い段階から関係機関と連携し、詳細な気象情報を収集したうえで、公式ホームページへの掲載、町会・自治会長への通知により、注意喚起と自主避難所の開設を区民へ周知いたしました。エリアメールは、災害・避難情報などを特定のエリアへ一斉配信できるため、有効な情報伝達ツールであると認識しています。今回、警戒中いつでもエリアメールを発信する準備は行っていましたが、区内においては、河川溢水の危険性は低いと判断したため、エリアメールと広報車による広報は実施いたしませんでした。
次に、情報発信媒体を広げることと、発信体制の強化についてです。
平成30年7月豪雨を踏まえた国の中央防災会議の報告では、「多様な伝達手段を組み合わせた情報発信」が不可欠であるとされています。今後は、既存の情報媒体の確実な運用を実施するとともに、災害時の新たな伝達手段の導入・活用についても、防災アプリやラインなどを導入している他自治体の事例を研究し、命を守るために、迅速かつ的確な情報伝達を行ってまいります。
次に、土のうと止水板についてです。
区では、2箇所の工事事務所以外に、公園等21箇所に土のうを配置しています。台風19号の接近に伴い、区民から土のうが欲しいとの問い合わせが大変多くあったことから、改めて土のうの重要性が認識されました。そのため今後、身近で土のうを受け取れる場所や、周知方法などについて検討してまいります。
次に、止水板の助成制度の創設についてです。
止水板などで、既存建物の地下室の出入口に水の侵入を防ぐ措置をとることは、当面の対策として効果があると考えます。区として止水板の設置に対して助成を行うことは考えていませんが、止水板等の設置の効果や方法、留意点などについて、情報の提供を行ってまいります。
◎(酒井敏夫教育長) 教育委員会へのご質問にお答えします。
「東京マイ・タイムライン」を災害教育に位置付けることについてです。
ご承知のように、「東京マイ・タイムライン」は、家庭で話し合ってシートを作成することにより、風水害からの避難に必要な知識を習得しながら、適切な避難行動を事前に確認できるようにするものです。各区立学校では「東京マイ・タイムライン」を配布する際に、児童・生徒に対して意義を説明するとともに、家族と十分に話し合いながらシートを作成するよう促しています。そのため、学校の災害教育に位置付けて、授業等の中でシートを作成することは考えていません。各区立学校では、これまでも、社会科や保健の学習を中心に、子どもたちが水害など様々な自然災害の危険を知り、事前の備えや避難の方法を理解できるようにしています。さらに今年度は、四谷小学校において、危機管理課の職員を招き、自然災害について地震や津波など過去に起きたものを取り上げ、地域で起こる災害を想定し、自分達ができることは何か考え、議論させる授業も行いました。今後も、各学校で行われている学習の成果が、各家庭での「東京マイ・タイムライン」の取組の充実につながるよう、危機管理課や消防署など関係諸機関との連携を進めてまいります。
◆(川村のりあき議員) 次に、「新宿区心身障害者福祉手当」を精神障害者にも適用することについて質問します。精神障害者の方々に障害者福祉手当を支給し所得保障を充実していくことは待ったなしの課題です。私たち区議団は10年以上に渡り条例提案など繰り返し行ってきましたが、当初23区のうち実施しているのは2区だったのが今年度新たに4区が実施し、12区に広がっています。そんな中、10月18日に行われた東京都知事と各市区町村長との意見交換で吉住区長が新宿区での実施を示唆した事を受け、私たち日本共産党新宿区議会議員団と立憲民主党・無所属クラブ、社民党新宿区議会議員団、スタートアップ新宿、ちいさき声をすくいあげる会の5会派は、早期実現と、その対象を精神障害者保健福祉手帳1級のみならず2級以下も含めることを求め、区長に申し入れを行いました。今後、「新宿区心身障害者福祉手当」の改正条例を議会に提出することになると思いますが、区長は手帳の何級を対象に手当額はいくらで、いつから実施するおつもりかお答えください。
◎(吉住健一区長) 「新宿区心身障害者福祉手当」を精神障害者にも適用することについてのお尋ねです。
精神障害者への心身障害者福祉手当の支給については、区においても情報収集と研究を重ねてきたところです。障害者への手当などの経済的支援は、本来は国の制度で行われるものと考えています。また、住む地域によって手当の支給対象者や支給額に格差が生じることが無いよう、都道府県レベルで手当の支給制度を定める必要があると考えています。小池東京都知事との意見交換においては、この考え方に基づき、東京都がそのリーダーシップを発揮していただきたいことを要望し、心身障害者福祉手当について、身体・知的と同様に精神障害者も含めて都の制度と負担により支給すべきと提案いたしました。
新宿区としては、都が制度化するまでの間、精神障害者への心身障害者福祉手当について独自に支給する場合の、対象者、支給額及び実施時期を検討していくとともに、引き続き国及び東京都に対し、手当の支給について要望してまいります。
◆(川村のりあき議員) 次に、新宿スポーツセンターにおける個人情報流出事件について質問します。
新宿区は9月26日、新宿区立新宿スポーツセンターにおいて「トレーニングルーム登録申込書」が「盗難」に遭い、1,348枚がなくなっていた事、その一部が区民のポストに投函されていた事を公表しました。区の施設から利用者・区民の個人情報が流出したという極めて重大な事件です。申込書は、私も含め複数の会派の複数の区議会議員のポストに投函されました。なくなった申込書のうち522枚は区に戻り、826件はいまだ不明です。新宿スポーツセンターは指定管理者である民間企業三社の共同事業体が運営していますが、投函された物は指定管理者の封筒にそれぞれ番号が振られ、「個人情報が漏洩・売買されています!」と書かれた紙と共に申込書が入っており、一枚目の申込書には「何枚×単価何円=いくら」と書かれた小さな紙がホチキス止めされ、内部告発と受け取れるような内容でした。いずれにせよ個人情報を流出させてしまったという事実がある以上、指定管理者と区の責任は免れません。以上、事実経過を述べたうえで具体的に質問します。
第1は、今回の事件に対する区の認識についてです。状況から見て内部告発の可能性も排除せず調査をすべきですが、区は当初から「盗難」ということをことさら強調するあまり、あたかも区や指定管理者が被害者であるかのような印象ですが、被害者は利用者・区民であり、現時点で個人情報が売買された可能性や、犯行が個人によるものか組織的なものかも含めて区が判断することはできません。可能性をあらかじめ排除することは、真相究明のための調査や真の再発防止策につながらないと思いますがいかがでしょうか。また、今回の事件は重大な不祥事であるという認識がおありか、区長のご所見を伺います。
第2に、指定管理業務開始時の問題です。業務開始にあたっては区と事業者の間で協定を締結し、個人情報の取り扱いについて「特記事項」の遵守が課せられます。今回、指定管理者は業務開始にあたり区に提出すべき「個人情報取扱責任者」及び「取扱者」の名簿を提出せず、区も提出を求めず事件発覚まで放置していました。区は、なぜ名簿の提出を求めなかったのですか。スポーツセンターの指定管理者は2度指定換えがありましたが、3回の締結時とも名簿の提出をさせていなかったのでしょうか。協定は初めから遵守するつもりがなかったと言われても仕方ない事態ではないでしょうか。お答えください。
第3に、個人情報の管理についてです。問題の申込書は、業務開始時の2016年4月から2017年度末までのもので、2018年4月からは申込書を廃止しています。個人情報保護条例の趣旨では、使用しなくなった個人情報は当然区に返還されるべきでした。指定管理者サイドの規定では指定期間満了まで保管するとなっていたため、区には報告も返還もされませんでした。それは誤りであるという認識に区は立っているでしょうか。そうであれば、条例の趣旨が明確になるよう「特記事項」その他の見直しを行うべきと考えますがいかがでしょうか。
第4に、区が一度も立入調査を行っていなかった問題です。協定では個人情報は「施錠できる保管庫に保管する」とされているにもかかわらず、事件発覚後の調査では段ボール箱に入れられた状態で事務室内に置かれ、約1年半も放置されていたことがわかりました。区は「特記事項」で個人情報の取り扱いについて年一回以上立入調査を行うべきところ、指定当初から一度も立入調査を行なっていなかったため、協定違反の状況を全く把握していませんでした。ここだけでなく、指定管理者が運営している区の施設の3割で立入調査が行われていなかったことが確認されています。なぜ行わなかったのか、区自身のコンプライアンス違反がなぜ放置されてきたのか、今後どう改善していくのかお答えください。
第5に、必要のない個人情報が収集されていた問題です。利用者に聞いても、個人のカルテがあるわけでもなく何のために必要だったのかわからないまま、申込書は2018年4月以降廃止されました。それがなくても支障がないということは、そもそも必要のない個人情報を収集していたことになり条例違反です。私どもが決算特別委員会で指摘した、障害者のプール施設無料利用の際、申込書に「障害の種別」という極めてセンシティブな個人情報を必要ないのに書かせていたのも、この11月から廃止となりました。区は、トレーニングルームの申込書は当初必要だったとの見解ですが、現時点で必要のない個人情報が収集されていたという認識に立っているのか否かお答えください。立っていないとしたら、それは単に事業者の言い分を鵜呑みにしているに過ぎず、これがまかり通るなら今後も事業者が必要と言えば何でもありになってしまうのではないでしょうか。
第6に、指定管理者への措置についてです。いくつものコンプライアンス違反が明らかになり、個人情報保護審議会でも区民委員から、このような不祥事が発生した場合「民間なら直ちに業務委託の取り消しになる」という厳しい指摘がされたのも当然です。不祥事による指定の取り消し等を想定した条例も制定されています。区は、条例に基づく指定の取り消しを行うべきではないでしょうか。少なくとも今後この事業者をプロポーザルや入札に参加させることは適切でないと考えますがいかがでしょうか。この事業者は、「プライバシーマーク」を取得していることを売りにしてきましたが、このような不祥事を起こしたにもかかわらずいまだにホームページのトップページに堂々と表示してあり、激しく違和感を覚えます。区長は、事業者が自ら「プライバシーマーク」を返上すべきと思いませんか。本当に反省しているのなら少なくとも「プライバシーマーク」の使用は自粛してしかるべきと思いますが、区長の見解を伺います。
第7に、再発防止策についてです。先の総務区民委員会に今後の対応についての報告があり、さらに詳細が検討されているところだと思います。今、私が指摘した事も含めて、今回の事件を教訓に協定「特記事項」の改定や、それが確実に実行されるための手続き、区のチェック体制も含めて遺漏なきよう点検、見直しを行うべきではないでしょうか。個人情報保護条例では、指定管理者だけでなく業務委託の場合も規定は同様であり審議会にも諮られます。業務委託先で扱われる個人情報についても総点検を行い、再発防止策についても適用していくべきと考えますがいかがでしょうか。以上、答弁願います。
◎(吉住健一区長) 新宿スポーツセンターにおける個人情報流出事件についてのお尋ねです。
はじめに、事件に対する区の認識についてです。
今回の新宿スポーツセンターにおける個人情報流出事件については、同センター事務室内において、トレーニングルーム登録申込書を収納していた段ボール箱が管理責任者の許可なく何者かにより開封され、一部が持ち出され、事務室内はもとより、館内全体を捜索しても発見できなかったことから、警察署に盗難による被害届を提出したものです。この事態について、新宿スポーツセンターの管理運営にあたって指定管理者に課している個人情報保護対策が遵守されず、また、区としての監督責任を果たし得なかった中で発生し、多くの区民の方々の個人情報を流出させてしまった重大な事故であると認識しています。 また、本件は現在、警察による捜査を進めていただいてり、区としても十分に連携を行う中で、事実関係の究明と再発防止につなげてまいります。
次に、個人情報取扱責任者等の名簿の提出についてです。
新宿スポーツセンターの指定管理業務開始時に、新宿区個人情報保護条例に準じた指定管理者としての個人情報保護管理規程や個人情報取扱事務フロー図等、個人情報の取扱いに関する書類を提出させていますが、ご指摘の個人情報取扱責任者等の名簿はこれまで提出させていませんでした。個人情報の取扱いに関する認識が不十分であったと考えています。
次に、使用しなくなった個人情報資料の返還についてです。
新宿スポーツセンターの指定管理者の個人情報保護管理規程では、使用しなくなった個人情報資料については「業務期間終了後、区に返却する」としていました。しかし、個人情報保護条例においては、不要となった個人情報は、速やかに消去することが義務づけられており、指定管理者においても、業務上不要となった個人情報は、速やかに区へ返還又は消去する必要があります。このため、当該資料を、速やかに区に返還させました。現行の「特記事項」には、指定管理終了後における個人情報の返還等について、明確に記載があるものの、指定管理期間中に個人情報が不要となった場合における返還等についての明確な記載がないため、個人情報保護条例の規定が明確となるように「特記事項」へ追記してまいります。
次に、区による立入り調査の実施についてです。
新宿スポーツセンターへの立入り調査については、施設・設備の管理運営状況、利用者サービス、収支状況、職員の労働環境等の現地確認を実施していましたが、個人情報の取扱い・保管状況についてはヒアリングのみで、目視による確認は行っていませんでした。 また、ご指摘のように、スポーツセンター以外の施設についても、立入り調査時の個人情報に係る区の安全対策の確認が不十分であった施設がありました。現在、施設の所管課は個人情報保護条例に基づき、年1回以上個人情報保護対策に係る立入り調査を行うことになっています。今回のコンプライアンス違反については、指定管理者及び所管課の個人情報保護対策に関する認識の欠如が大きな要因と考えています。一方、立入り調査の確認方法などが統一されていなかったことも課題として受け止めています。
次に、再発防止策についてのお尋ねです。
区では、今回の指定管理者による新宿スポーツセンターでの個人情報の事故を受け、第一に、個人情報保護対策に係る規定等の明確化、第二に、指定管理期間中における事業者から区への報告、第三者による事業評価及び区の立入り調査などの各プロセスにおける対策の強化、第三に、個人情報保護対策に係る区の監視体制強化の3つの視点から検討を進めてまいりました。具体的には、「特記事項」の改正、指定管理者からの月次報告及び区の立入り調査時における個人情報保護対策の確認の明確化、第三者が行う事業評価において個人情報保護対策に関する項目を設けるなどに取り組みます。さらに、所管課が責任をもって個人情報保護対策を行うよう、総合政策部に立入り調査報告書を提出させ、実施状況を把握するなど、区の個人情報保護対策におけるガバナンスを強化します。また、業務委託ついても、指定管理業務と同様に個人情報保護対策を検討してまいります。
次に、トレーニングルーム登録申込書の必要性に対する認識についてです。
同申込書は、「トレーニングルーム利用にあたっての注意事項の確認と署名」「救急搬送等、緊急時の連絡先の確認」「登録カード紛失に伴う再発行の際の本人確認」を目的として運用していたものであり、当時、トレーニングルームの運営に必要であったと区としても認識していました。2年間、こうした運用を行いましたが、救急搬送や再発行の取扱い件数も少なく、また注意事項も直接説明することでご理解いただけると指定管理者が判断し、平成30年度から運用を見直したものです。このような運用実績に基づく事務処理方法の改善は、「事業の実施にあたって個人情報の収集は最小限にとどめる」という基本原則に沿うものであると考えていますが、本件の見直しについては、指定管理者の判断のみで行われたものであり、今後、情報公開・個人情報保護審議会で了承を得た範囲で区の承認の下で実施していくことを徹底してまいります。
次に、指定管理者に対する措置についてです。
本件事故については、現在、警察で捜査をしていただいており、未だ、全ての申込書が回収できている状況にはありません。今後の対応については、捜査の進展や被害の状況を見極めつつ、厳正に対処してまいります。
次に、プライバシーマークについてです。
新宿スポーツセンターの指定管理者である共同事業体を構成する主たる事業者2社においては、それぞれ自社のホームページで本件事故について謝罪と経緯の説明を公表するとともに、プライバシーマークの審査機関に報告を行い、是正のための指導を受けているところです。区として、プライバシーマーク使用の自粛や返上を求めるものではありませんが、今回の事故を踏まえ、二度とこのような事態を起こさぬよう、厳しく事業者を指導してまいります。
◆(川村のりあき議員) 次に、ヘイトスピーチ根絶のための対応について質問します。
10月16日、東京都は「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」第12条第1項の規定により表現活動の概要等の公表を行いました。本年4月1日の条例全面施行後初の公表で、1件は5月20日、練馬区内の拡声器による街頭宣伝における言動。もう1件は6月16日、台東区内のデモ行進における言動です。条例第12条第2項に基づく「申出」を受け、審査会はこれらの表現は本邦外出身者に対する不当な差別的言動に該当する表現活動と認定し、都がその判断を発表したものです。練馬区の担当課によれば、5月20日に練馬区内で行われたヘイトスピーチについて区は事前に情報を得ておらず、通行中の区民の方が都に申出をされたことで今回の公表に至り、今後ヘイト行為を区が確認した場合は区から東京都に申出を行うとのことでした。台東区は6月16日のヘイトデモについて事前に情報を掴み、当日は担当課職員が現場を確認し都に申出を行い、10月27日の千代田区から台東区まで行われたヘイトデモについても都に申出を行ったそうです。以下、質問します。
練馬区や台東区では独自の条例や基準はないものの、区内でヘイトスピーチが行われた際、区の施設内でなくても監視・通報・申出を行う体制をとっています。新宿区も当然ヘイトスピーチの情報収集は行っていると思いますが、4月の都条例全面施行後の区内の状況はどうだったのかお答えください。私たちの確認では区が情報収集したヘイトスピーチの可能性のある集会・デモは10月と11月に4件、そのうち区内の情報は1件ですが、ネット上の確認だけでも4月7日、5月26日、6月30日にアルタ前での情報があり、6月30日の主催者は2月3日に新宿中央公園で集会・デモを行った者と同じです。こうした情報も区はノーマークでした。情報収集の体制強化が必要ではないでしょうか。
区の今後の対応を考える上で過去のヘイトスピーチ事案をどう検証したかが重要です。決算特別委員会では、2月3日の新宿中央公園を出発したデモについて区としての検証ができておらず、公園内や路上での言動がヘイトスピーチであるか否かも見解が統一されていない状況が確認されました。その後の検証で当時ヘイトスピーチが行われたという認識に立ったのかどうか、今後同様の事案が起こった場合の対応も合わせてお聞きします。
10月から「新宿区の公の施設におけるヘイトスピーチ防止のための利用制限に関する基準」が実施となりましたが、あくまで区の施設が対象で、それ以外については区の権限が及ばない事を理由に公共の場所であっても対応は困難というのがこれまでの見解でした。しかし、都内で行われたヘイトスピーチについて各自治体が都へ申出を行い、都が審査会でヘイトの認定を積み重ねていけば、新宿区が基準をもとに施設の使用制限をする時にも都で認定されたヘイト行為は区の審査会にかけるまでもなくヘイトとして扱うことができ、認定されたヘイト行為を行った団体や代表者が区の公共施設を使用してヘイトを行えば、それを複数回ヘイト行為を行ったものとみなして対応することが可能ではないでしょうか。2月3日の集会・デモについても、私たちは公園内でも路上でもヘイトスピーチを確認しておりますが、今後は公園内で行われなかった場合でも区が東京都に申出を行うべきと考えますがいかがでしょうか。
この間の区の情報収集のあり方や区の施設外でのヘイトスピーチに対する姿勢には、残念ながら本気でヘイトスピーチを根絶しようという意気込みが感じられず、むしろ区の施設以外を対象としない「基準」を作ったことが、ますます区の施設外で行われるヘイトスピーチに対する関心を薄めたのではないかとさえ感じます。私たちはこれまでも繰り返しヘイトスピーチ対策の条例化を求めてきましたが、区の姿勢を明確にし体制を強化するためにも「基準」からさらに発展した、区内全域を対象とする条例を制定すべきと考えますが、いかがでしょうか。以上、答弁願います。
◎(吉住健一区長) ヘイトスピーチ根絶のための対応についてのお尋ねです。
初めに、4月の都条例全面施行後における区内のヘイトスピーチの状況についてです。
新宿区の公の施設におけるヘイトスピーチ防止のための利用制限に関する基準を策定して以降、都内でヘイトスピーチが行われる恐れのあった事例は、10月と11月の4件でした。その他にも、ご指摘のアルタ前で行われた3件の事例や、途中で中止になった事例についても情報収集を行い、関係部署との情報共有も行っているところです。今後も引き続き、インターネット等を活用するとともに、警察とも連携し、情報収集に努めてまいります。
次に、2月3日に新宿中央公園を出発したデモについて及び今後同様の事案が起こった場合の対応についてのお尋ねです。
2月3日のデモについては、参加者による「本邦外出身者を叩き出せ」という発言や、プラカードの「かえれ本邦外出身者」という記載があったことについては、ヘイトスピーチであると考えています。今後、このようなヘイトスピーチに該当する言動を行う恐れがある団体により、公園の占用許可を求められた場合には、引き続き、ヘイトスピーチ解消法の規定による不当な差別的言動を行わないよう誓約を取ったうえで、公園の占用許可申請を行わせます。また、区の基準に基づき、学識経験者意見聴取会の意見等を踏まえた上で、憲法上保障された表現の自由及び集会の自由に十分留意しながら、事案ごとに諸事情を総合的に勘案し、関連規定等に当てはめて、使用の可否を適切に判断していきます。
次に、都の審査会でヘイト行為の認定が積み重なれば、区の意見聴取会の意見を聞かなくとも、施設の使用不許可等ができるのではないかとのお尋ねです。
「新宿区の公の施設におけるヘイトスピーチ防止のための利用制限に関する基準」に基づく利用制限の適用には、公平性・中立性を確保するとともに、憲法上保障された表現の自由及び集会の自由に十分留意しながら、事案ごとに諸事情を総合的に勘案し、関連規定等に当てはめて適切に判断することが必要です。判断に当たっては、都の審査会の情報も参考にできるものと考えます。
次に、区立公園以外での区内のヘイトスピーチについても、区から都に申出を行うべきではないかとのお尋ねです。区はこれまでも、都との連携及び情報共有を行ってきたところです。都への申出については、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例第12条第2項の規定に基づき、適切に対応してまいります。
次に、区内全域を対象とする条例を制定すべきとのお尋ねです。
区では、人としての尊厳を傷つけ、差別意識を生じさせるヘイトスピーチを決して許さない姿勢を明確に示すことで、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の防止につなげるため、「新宿区の公の施設におけるヘイトスピーチ防止のための利用制限に関する基準」を策定いたしました。また、自治基本条例を定め、前文に「互いの持つ多様性を認め合う多文化共生の社会の実現をめざす」ことを掲げるとともに、基本理念の一つとして「人権を尊重し、一人ひとりを大切にする」ことを規定しているところです。これらのことから、現時点では条例を制定する考えはありません。
◆(川村のりあき議員) 次に、羽田新飛行ルートについて質問します。
8月30日から小型機による飛行検査が始まり、住民から不安の声が広がっています。10月17日~11月18日まで行われた区長トークでは柏木、大久保、箪笥の各会場で計6人の参加者から「飛行検査が始まり騒音が気になる。旅客機なら相当な騒音となり不安」などの意見が出ました。また私どもが行っている区政アンケートでは「新飛行ルートについてどう思うか」との問いに「テスト飛行の騒音がすさまじく迷惑している」「事故があったらどうするのか」等の意見が多数寄せられています。区長は箪笥町地域センターの区長トークで「できれば飛んでほしくない」と参加者からの質問に答え、柏木地域センターでは「このルートが永久に続かないように要望している」と言われました。区長ご自身が危険と感じているからでしょうか。ならば、しっかり反対の態度を示し国土交通省に対して中止を求めるべきではないでしょうか。お答えください。
10月29日には公聴会が行われ、私も傍聴しました。公述人55名のうち賛成29名、反対26名でしたが、反対する公述人の多くは飛行ルート下の住民であり、安全や命を守る必要性を強調し新ルート撤回を訴えました。一方賛成する公述人の多くは航空会社や観光業者などで、自社の経済的利益を優先し増便の必要性を訴えました。地方自治体が企業などの経済的利益を優先するのか、住民の安全を守る立場に立つのかが問われています。区長は公聴会の内容を担当課からお聞きになったでしょうか。経済優先と住民の安全優先のどちらの立場に立つのか、公述内容の受け止めと合わせてお答えください。
11月3日、私ども区議団の主催による羽田新ルートを考えるつどいには、110人の方が参加しました。講師は航空評論家でJALの機長を勤めた杉江弘さんです。ボーイング747の飛行時間の世界記録を持ち、政府専用機の機長もされ、着陸時の安全基準の考案などもしてこられた第一人者です。杉江さんは国交省の担当責任者に2回ヒアリングし、新飛行ルートは騒音や落下物に加え2つの大きな問題があると指摘しました。
第一に、羽田に国際線を増便する必要性についてです。北京、パリ、ミラノ等は都心から離れた空港を運用しており、この30年間新規で都心に飛行ルートを運用した国はありません。また成田空港の開港時は、成田は国際線、羽田は国内線と棲み分けがされていましたが、2008年に棲み分けを破り羽田で近距離国際線の運用を始めました。国交省が外国航空会社に羽田に来るように働きかけ、羽田に移行する航空会社が続出しています。成田は年間発着26万回で処理能力30万回を下回っており、さらに滑走路を1本増やし34万回にする計画で、余裕があります。今回の新ルートは国が自ら決めた棲み分けを破り、政策のない場当たり的計画と杉江さんは指摘していますが、区長のご所見をお聞かせください。
第二に、事故の危険性です。騒音対策として世界標準の降下角3.0度を3.5度へ引き上げると、ジェットコースターかのような急角度での操縦となり、接地のための機首上げ操作は高度な技術が求められます。3.0度でも機体の最後尾は地面まで約1メートルしかなく、角度を上げるとしりもち事故の危険が高まります。そもそも世界のパイロットは3.5度の降下角を経験したことがありません。国交省は稚内空港と米国サンディエゴ空港に3.5度の例があると言いますが、稚内空港は東に山があるための設定で航路に住宅地は少なく、サンディエゴ空港には大型機はほとんど来ず航路に人口密集地はありません。しかも実際は有視界飛行で降下角を下げて進入しています。ローカル空港や大型機の来ない空港を例に「羽田でも大丈夫」と主張する国交省は本当に危険性を認識しているとは思えません。また横田空域を避けるため平行する2つの経路を旋回する世界初の進入方法はニアミスの可能性もあり、管制官も心配しています。区長は、パイロットや管制官から見ても危険な3.5度の降下角や平行する進入方法を容認しているのでしょうか。ご所見を伺います。
次は、視覚障害者の日常生活への騒音の影響です。公聴会では品川区の全盲の方が「私にとって音は安全を判断する大切な資源。雨の音さえも安全に歩くのに支障をきたすのに」と飛行機の騒音によって安全な生活が奪われることを訴えました。また北新宿在住の視覚障害の方も「かなりの騒音で怖い」と言っています。現に2020パラリンピックのブラインドサッカーの会場は、品川区の飛行ルート近くの大井埠頭中央海浜公園から江東区青海に変更されました。視覚障害者の生活への影響についてどのようにお考えでしょうか。こうした声を無視しても新飛行ルートを認めるのでしょうか。お答えください。
最後に、国交省は11月18日~来年1月28日まで説明会を首都圏で計60回開き、騒音対策や落下物防止策等について説明する予定です。区内では12月1日~3日までオープンハウス形式の説明会を新宿駅西口イベント広場で行う予定です。以前オープンハウス形式の説明会で質問したある方は、国交省のアルバイトに「自分はよくわからない」と誠実な回答がなかったそうです。品川区は教室型説明会を開催するように区として要求しています。新宿区でも教室型説明会を前回同様ルート下にある地域センター4ヵ所で行うべきです。いかがでしょうか。以上お答え下さい。
◎(吉住健一区長) 羽田新飛行ルートについてのお尋ねです。
はじめに、国に対し、中止を求めることについてです。
国は、首都圏の国際競争力の強化、訪日外国人旅行者の受入れ、東京2020オリンピック・パラリンピックの円滑な開催等に向け、令和2年3月29日から区上空を含む新たな飛行ルートの運用を開始するとしています。区では、羽田空港の機能強化の必要性については理解していますが、騒音対策及び安全対策の徹底と、区民に対する丁寧な説明を行った上で、国の事業として国の責任において進めていくべきものと考えております。そのため、中止を求める考えはありませんが、区民の安全・安心を守るために、引き続き、落下物対策などの安全対策・騒音対策の徹底、丁寧な説明や正確な情報提供について国に強く要望してまいります。
次に、国の主催した公聴会についてのお尋ねです。
この「羽田空港の制限表面の変更に関する公聴会」は、建築物等の高さ制限となる制限表面の変更に関して、利害関係を有する方から意見を頂く機会として国が開催したものです。当日の主な公述意見については、担当課から報告を受けています。公述意見の内容については、区は評価する立場にはないと考えていますが、区民の安全・安心を守る立場から、同時に実施されたパブリックコメントにおいて意見を提出いたしました。区では、新たに制限表面が設定されることから、国の責任において区民及び事業者への丁寧な説明と十分な情報提供を行うこと、落下物対策などの安全対策・騒音対策の徹底等について強く要望をしたところです。
次に、羽田に国際線を増便する必要性についてのお尋ねです。
国からは、国際線のニーズが高い時間帯について、成田空港は既にフル稼働の状態であることや、首都圏の他空港については、都心へのアクセスなどの課題があることから、羽田空港の国際線の増便は欠かせないと聞いています。こうしたことを丁寧に説明していくよう国に要望してまいります。
次に、事故の危険性についてのお尋ねです。
新飛行ルートにおける着陸時の降下角や、進入方法については、国際民間航空機関が定める国際的な安全基準に則したものであり、安全性に問題はないと国から説明を受けています。区では、引き続き、国の実施する安全対策が着実に履行されるよう注視してまいります。
次に、視覚障害者の日常生活への騒音の影響についてのお尋ねです。
国は、障害の有無に関わらず、全ての方を対象として、騒音対策など環境配慮について十分に行っていると説明をしています。飛行高度の引き上げや、騒音の要素を組み合わせた着陸料の料金体系の再見直し、区内への騒音測定局の設置など、国により一定の騒音対策がなされています。今後も、視覚障害者の方の日常生活に影響を及ぼすことのないよう、騒音対策の更なる推進について国に対し、要望してまいります。
次に、教室型説明会を再度行うべきとのお尋ねです。
教室型説明会の開催については、これまで国に強く要望を続けてまいりました。その結果、本年1月に柏木・角筈地域、5月に落合第一・落合第二地域の4つの地域において、国の主催により開催することができました。また、国は、本年9月の新宿区町会連合会定例理事会において羽田新飛行ルートについて説明を行いました。理事会では、新飛行ルートの運用に先立ち、航空機で新飛行ルートの飛行確認を行う時期に改めて説明をして欲しいとの要望があり、理事会での再度の説明について国と日程調整を行っているところです。区では、今後、町会など地域からの要望を踏まえ、教室型説明会の開催など、丁寧な説明について、国に要望を行ってまいります。
2020.01.05 更新