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    2019年第4回定例会 近藤なつ子議員が一般質問を行いました

    11月29日の本会議で、近藤なつ子議員が以下の項目について一般質問を行いました。

    1. 難病患者の支援と障害福祉サービスのいわゆる「65歳問題」について

     *正式な会議録ではありませんが、概要をご紹介します。

     

     

    ◆(近藤なつ子議員) 日本共産党区議団の近藤なつ子です。難病患者の支援と障害福祉サービスのいわゆる「65歳問題」について一般質問します。

     最初に、難病患者の支援についてです。難病は2015年1月施行のいわゆる「難病法」で「発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるもの」と定義されています。また2013年4月施行の障害者総合支援法では障害福祉サービスの対象に難病が加わり、身体障害者手帳の有無にかかわらず、障害福祉サービスを利用できるようになりました。今年4月現在医療費助成制度の対象疾患は国と都合わせて345あり、新宿区の難病患者は現在約3千人です。東京都が発行している「難病患者さんへの支援のご案内」のパンフレットの最初のページには「保健所が行うサービスとして在宅療養中の患者が安心して療養生活が送れるように、保健師等が家庭訪問や電話、所内での面談などによりご相談に応じています」と紹介されています。保健センターは、難病患者本人はもとより家族にとっても頼れる相談窓口です。実際4つの保健センターでは、最初の相談となる難病医療費等助成の申請を受け付けています。

     私は2017年の決算特別委員会で、新規で難病医療費助成の申請をしたお二人の方の相談事例を示し質疑をしました。そのお1人、Aさんは60歳を超えても仕事をし、障害者の妻を介護していた方です。呼吸が徐々に辛くなっていき自転車に乗れなくなり歩行も辛くなり、ようやく病院へ行き「特発性間質性肺炎」と分かりました。常時酸素吸入をしても体に酸素が上手く吸収されず体力を消耗し体重も一気に減るほど重症化していましたが、本人が直接難病医療費助成の申請に行きました。新規の申請から認定までは約3ヶ月かかりますが、3ヶ月後却下の通知がきました。その後訪ねた地域の方から私に相談があり再度申請をして、認定されるまでに8ヶ月も経過していました。原因も治療方法も確立していない難病と闘い、仕事を辞め収入がない状態で月8万円もの医療費がかかっていました。肉体的にも精神的にも金銭的にも大変で不安だったと思います。そこで質問します。

     第1に、新規の難病患者の支援をシステム化することについてです。

    昨年度の新規申請者は552人です。4つの保健センターでバラツキはあるかもしれませんが、申請から認定に至るまでの間、また在宅療養が軌道に乗るまでの間、不安を抱えている患者本人や家族に対し、1ヶ月又は2ヶ月ごとに様子を伺い、必要に応じ支援をするなどのシステム化が出来ないでしょうか。私が紹介したAさんのケースのように問題があった時にも放置されず迅速に対応できるようになると思いますが、いかがでしょうか。

     第2に、障害福祉サービスの申請を保健センターで受付できるようにすることです。

     障害福祉サービスは難病の診断書または医療受給者証があれば申請できます。従来の難病ホームヘルパーは保健センターで対応していましたが、2013年度からヘルパーなどサービスの申請窓口は障害者福祉課のみとなりました。保健センターでは、申請時に障害者福祉手当の案内はしていますが、障害福祉サービスについては説明さえ行っていません。都の案内パンフレットによると港区、墨田区、品川区、中野区、北区、荒川区、葛飾区、江戸川区では医療費助成も障害福祉サービスも同じ保健センターで受付ており、当事者にとっては有難い対応だと思います。新宿区でもそうなれば、Aさんのようなケースは、同時に障害福祉サービスの申請を促すことも出来たと思います。保健センターでも障害福祉サービスの申請を受け付け、障害者福祉課と連携し対応すべきではないでしょうか。保健師が多忙なためできないというのであれば、増員をすべきです。あわせて伺います。

     第3に、難病患者の障害福祉サービスについてです。障害福祉サービスを難病患者が利用出来るようになりましたが、2018年度の医療費助成を受けている難病患者2315人のうち、昨年度は10人、一昨年は2人と少ないのはなぜなのか伺います。また、外出支援の障害福祉サービスを難病の方は使えません。パーキンソン病でも比較的軽い症状の方にとっては外出支援こそ必要です。ぜひ難病でも使えるようにすべきですし、その他の障害福祉サービスについても利用促進すべきと思いますが、いかがでしょうか。

     次に、障害福祉サービスのいわゆる「65歳問題」についてです。

     最近、若い時から障害福祉サービスを利用してきた身体・知的の方が、65歳を機に介護保険優先でサービスを組み立てたら、これまで利用してきたサービスと同等の支援が受けられないとの訴えが寄せられています。難病も含めた4つの障害で65歳以上の総数約9千人のうち、障害福祉サービスを上乗せして利用している方は9月末現在でわずか247人、介護度別では要支援1で20人、要支援2は30人、要介護の1は10人、2が31人、3は21人、4は42人、5は72人、その他みなしの方など21人と大変少ない状況です。

     岡山市に住む重度障害者の浅田達雄さんが65歳になりこれまで利用してきた障害福祉サービスの重度訪問介護利用を市が却下した処分の変更と慰謝料を求め争っていた裁判で、地裁に続き2018年12月13日高裁でも浅田さんの主張が認められ、市の処分は違法だとする判決がその後確定しました。判決は、障害者自立支援法7条の解釈について「自立支援法と介護保険の二重給付を避けるための規定であって、岡山市の主張するような自由裁量がない縛られた規定ではない」としており、その根拠として、介護保険と自立支援法は異なり、必要なサービスや費用負担の程度などの個別の状況によって自立支援給付を選択する場合もあり、一律に介護保険を優先して利用するものではないこと、障害者自立支援法違憲訴訟の基本合意(2010年1月)で国は介護保険優先原則廃止の検討を約束したこと、調査によると自立支援給付を却下する自治体は6・4%(6自治体)に過ぎないこと、があげられました。

     新宿区では2010年10月、65歳以上は一律介護保険優先という内規を策定したことにより、新宿区にお住いで当時65歳を過ぎALSを患った学習院大学名誉教授の篠沢秀夫さんが障害福祉サービスを求めたのに区が拒否したことが大問題になり、姿勢を改めたはずです。そして、厚労省も2007年と2015年に、「サービスの内容や機能から」「一律に当該介護サービスを優先的に利用することはしないものとする」、「障害者の利用意向を聴き取りにより把握した上で、必要な支援が介護サービスで受けられるか否かを適切に判断する」よう各自治体に通知しています。

     しかし、障害者福祉課では「65歳の誕生日を迎える方」に一律「介護保険の申請等の手続きをお願い」をし、職員が活用する「障害福祉サービス等の支給ガイドライン(2018年9月改定)」でも「介護保険優先原則」と打ち出し、居宅介護の介護保険利用者の上乗せについては「支給限度基準額まで受けていて、なお障害固有のニーズに基づくサービスが特に必要と認められる場合」に限定するなど、9年前の教訓を活かすどころかコンプライアンス違反であり、先の浅田判決で否定されたことではありませんか。直ちに改めるべきです。なぜ同じようなことが繰り返されてしまったのか、併せて区長の見解をお聞きします。

     本来、障害福祉サービスと介護保険サービスをどのように使うのかは本人が選択すべきです。すべての障害者、とりわけ65歳以上の方に「一律に介護優先ではない」ことを伝え、障害福祉サービスの適切な利用を推進すべきです。区長の答弁を求めます。

     

    ◎(健康部長) 近藤議員のご質問にお答えします。

    難病患者の支援と障害福祉サービスのいわゆる「65歳問題」についてのお尋ねです。

     はじめに、新規の難病医療費等助成申請をした方への支援のシステム化についてです。

     保健センターでは、新規の申請者に対する全数面接を行い、療養状況を伺っています。個々の状況に応じて、患者会などの関係機関の紹介や必要な相談支援サービスの紹介、介護保険や障害福祉サービス等に繋げています。更に、在宅療養環境を整える必要がある方には、地区担当保健師が継続的に訪問し支援する体制をとっています。また、年4回実施している健康部と福祉部の難病担当者会で情報共有し、配布物の統一化等を行い、標準化された支援ができるよう取り組んでいます。

     次に、保健センターで障害福祉サービスの申請を受け付け、障害者福祉課と連携し対応すべきではないかというお尋ねです。

     難病の方は、疾病の種類が多く、身体障害者手帳を持っている方や介護保険の対象となる方、働いている方等、疾患による療養状態も様々です。現在、保健センターでは、難病で障害福祉サービスや介護保険サービスが必要な方には、障害者福祉課や介護保険課と密に連携し、必要な場合は窓口に同行するなど、個々の状況に応じた丁寧な支援を行っています。

    難病の方の障害福祉サービスの受付事務を、保健センターで的確に行うためには、障害者総合支援法に加え、介護保険法、児童福祉法に基づくサービスも熟知し、体制を整えた上での対応が必要になります。このような課題もあるため、福祉部も含めた他部署との連携について、今後研究してまいります。

    ◎(福祉部長) 次に、難病患者への障害福祉サービスについてのお尋ねです。

     難病患者の内、身体障害者手帳を取得している方は、身体の障害を理由としてサービスを利用しているため、難病のみを理由として障害福祉サービスを利用している方の件数は低い状況です。外出の支援については、両上下肢機能障害1級と同程度の場合は「移動支援」の対象となり、視力に障害がある場合は「同行援護」の対象となります。難病患者に対する障害福祉サービスの支給にあたっては、引き続き障害者福祉課と保健センターの連携により、適切にサービスを利用いただけるよう努めてまいります。

     次に、一律に介護保険を優先させることについてのお尋ねです。

     障害福祉サービスを利用している障害者が65歳になった場合、障害者総合支援法に基づき、障害福祉サービスに相当する介護保険サービスがある場合には基本的に介護保険が優先されます。ただし、一律に優先するのではなく、介護保険に基づくケアプランをケアマネジャーが本人から利用意向を聞き取り作成します。障害者福祉課の担当ケースワーカーはケアプランを確認し、介護保険だけでは支給量が不足すると判断される場合、サービスの低下が生じないよう、障害福祉サービスの上乗せについて、ケアマネジャーと協議し、本人の同意を得て支給しています。また、同行援護等、障害福祉固有のサービスは継続して利用できます。今後も65歳を迎え、介護保険サービスを利用される障害者には障害福祉サービスと介護保険サービスの適用関係を丁寧に説明し、必要なサービスを適切に提供してまいります。

     以上で答弁を終わります。

    区議会活動 | 近藤なつ子

    2020.01.05 更新

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