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区議会活動
2019年第4回定例会 雨宮たけひこ議員が一般質問を行いました
11月29日の本会議で、雨宮たけひこ議員が以下の項目について一般質問を行いました。
1. 地震に強いまちづくりについて
*正式な会議録ではありませんが、概要をご紹介します。
◆(雨宮たけひこ議員) 日本共産党新宿区議会議員団の雨宮武彦です。地震に強いまちづくりについて一般質問いたします。
第1は、耐震改修の促進についてです。
新宿区は、2018年2月に「耐震改修促進計画」を改定し、新宿区の高度防災都市化と安全安心の強化に向け、地震に強い逃げないですむ安全なまちづくりの実現に取り組むとしました。住宅における耐震化の現状は、2016年3月現在、住宅総数約203,700戸のうち耐震性を有しているものが91.5%、耐震性を有していないものが8.5%で、2018年年度からの10年間で「耐震性の不十分な住宅をおおむね解消する」目標としています。区はこの間、耐震化を進めるため、詳細耐震診断の無料化、補強設計への助成、工事監理費助成、所得制限を解消、道路突出と無接道の住宅への支援、工事費の委任払い制度、2018年度には耐震改修工事費助成の重点地区と同様な支援を区内全域に拡大等、さまざまな取り組みと、個別訪問や地域説明会、耐震フォローアップ事業等、区民への普及啓発にも取り組んできました。このことに敬意を表し、以下、質問します。
1つ目は、「耐震改修促進計画」の目標を達成するため、木造建築物の耐震化工事建替工事助成の上限額を300万円に、除却工事助成を上限額50万円にすることです。2018年度までの13年間で木造建築物の耐震改修工事助成件数は381件、年間平均約29件、また、耐震化促進のための個別訪問は2010年度から2018年度で9,490件です。ほぼこの件数が今から耐震化しなければならない建物数ではないでしょうか。今までのテンポでは、計画でかかげる「耐震性の不十分な住宅をおおむね解消する」との目標はとても達成できないと思いますが、区長はどのように認識され、どのように目標を達成しようとしているのか伺います。
葛飾区では、2005年度から建替工事助成をはじめ、2012年度から区内全域で建替工事助成を160万円上限で、除却工事助成を50万円上限で取り組み、2018年度までで、建替工事814件、除却工事694件、改修工事282件、合計1,790件、年平均約138件の成果をあげています。新宿区の約4.7倍です。担当者にお聞きしたところ、耐震工事は部分的で家そのものを延命できないこと、耐震工事で300万円から600万円工事費をかけるなら、160万円の助成金をもらい新規建替したほうが住環境がよくなり、安全安心な生活を送ることができて、結果的に耐震化が進み災害に強いまちづくりとなるとのことでした。建替工事助成は23区で葛飾区など8区、除却工事助成は11区が実施しています。新宿区もいろいろと対策を講じてきましたが、さらなる取り組みとして、葛飾区の教訓に学び、新宿区も建替工事助成、最高限度額300万円、除却工事助成、上限50万円を全地域で実施すべきと考えますがいかがでしょうか。
2つ目に、耐震補強工事の際の一時転居先を確保することです。耐震工事を実際に進めると、基礎工事からの補強工事や、シロアリ被害で柱を取り替える工事など、工事日程が1ヶ月から3ヶ月かかることがあります。一時的転居が必要でも短期契約は敬遠されたり、高い家賃になるため、工事に至らないケースがあります。居ながらの工事では大きな家具を何度も移動しなければならず、工期も2倍以上となり工事費も高くなります。耐震化工事をより進めるためにも、1つ目は特定住宅の空き家を一時的に短期間貸し出しをできるようにすること、2つ目は事業用住宅を活用できるようにすること、3つ目は空き家の利用や借り上げ住宅の活用等すること、こうしたシステムを創れば、区民も安心して耐震工事に着手できると考えますが、いかがでしょうか。
3つ目に、リフォーム事業助成制度をつくり耐震補強工事とセットで進めることです。計画には、耐震改修の促進を図るための施策として「リフォームにあわせた耐震改修を誘導する」とし、今後リフォーム工事が増加することが想定され、耐震改修とあわせて行えば、費用面だけでなく施工面からも効率的であると述べています。また耐震化工事をやると壁紙などはすべて張り替えが必要となりますし、流しを新しく取り替えたり、お風呂場を浅くしたりするリフォーム工事をすることにより、より良い住環境を耐震化とあわせて創り出すことができます。リフォーム助成事業は23区で目黒区など6区が実施し効果をあげています。新宿区でも実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。
第2は、ブロック塀の安全対策についてです。
2018年6月の大阪府北部地震で、ブロック塀の倒壊により通学中の児童と80歳の男性が犠牲となる事故が起きました。これを受け、新宿区は2018年6月から8月に、区有施設、区立小・中学校の通学路沿いのブロック塀等緊急点検、区内全域の一般道路沿いのブロック塀等の基礎調査等10,209件実施しました。その結果、劣化や損傷が著しく早急に対策が必要な「D判定」のブロック塀等が、通学路20件、一般道路76件ありましたが、その改修工事がなかなか進んでいません。
1つ目は、改修が進まない理由についてです。リフォーム協議会への区民からの相談には、会員が訪問し対応していますが、「D判定」のブロック塀の場合、工事に至らないケースが多い理由に、2項道路や細街路に面したブロック塀は撤去した後、後退した位置に再建しなければならないことがあるそうです。改修が進まない理由を区はどう分析しているのか、対象物件ごとにとらえていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。また、これまでの改修工事の実施状況もあわせてお答えください。
2つ目は、改修工事促進のための対策についてです。D判定のブロック塀の改修は待ったなしの課題です。命を守ることを優先して、危険なブロック塀をまずは除去することを区が所有者に強く働きかける必要があると思いますが、いかがでしょうか。その上で、再建することについての課題を解決するため、何らかの検討ができないでしょうか。一つひとつの物件ごとに対策を講じるべきと考えますが、いかがでしょうか。また、C判定のうち、耐震性が特に充分でない約1,300件について、今年度戸別訪問して安全化指導を本格的に進めるとのことですが、進捗状況はいかがでしょうか。今年度で終わらない場合は、来年度も引き続き取り組むようにすべきと思いますが、いかがでしょうか。
以上、答弁願います。
◎(部長) 雨宮議員のご質問にお答えします。
地震に強いまちづくりについてのお尋ねです。
はじめに、耐震改修の促進についてです。
ご指摘の耐震改修促進計画の住宅の耐震化目標は、平成27年度末時点における、木造住宅やマンション等で耐震性が不十分な住戸約17,300戸を、令和9年度末までの12年間で「おおむね解消する」こととしています。耐震性が不十分な住戸は、住宅・土地統計調査の結果などから、平成25年度から平成27年度までの3年間で、耐震改修により約900戸、建替えや除却により約3,600戸、計約4,500戸が減少していると推計しており、令和9年度までの12年間で、この目標を達成できるものと考えています。区は、これまで耐震改修促進計画に沿って、耐震化への理解を深める普及啓発や、耐震化への支援に取り組んできました。引き続き、木造住宅については、区の耐震診断・補強設計助成などを利用し、耐震改修に至っていない建築物についてフォローアップとして個別訪問を実施していきます。また、分譲マンションについては、マンション管理セミナーなどの機会をとらえて管理組合に耐震化を働きかけるとともに、賃貸マンションについては、所有者に対して個別訪問を実施していきます。こうした取り組みを進めていくことで、耐震改修促進計画の目標を達成していきたいと考えています。
次に、木造建築物の建替え工事助成及び除却工事助成についてのお尋ねです。
建築物の耐震化は、建替えや除却を含め、それぞれの建築物の所有者が、自らの責務として取り組むことが基本であると考えています。また、除却は、多くの場合、建替えと同様に、除却後の建築物などによる土地利用が想定され、こうした建替えなどでは、多額な費用が生じます。したがって、建替えや除却に伴う工事に対して、新たに助成を実施することは、現在のところ考えておりません。
次に、耐震補強工事の際の一時転居先の確保についてのお尋ねです。
ご指摘の居ながら工事は、工期の延伸が想定されるものの、一時転居や戻り転居がなく、居住者の生活環境の変化を最小限に留めることができると認識しています。こうしたことから、居ながら工事の実施に伴う大型家具類の移設等については、耐震改修工事に必要な範囲で助成の対象に含めています。したがって、居ながら工事以外の工事について、新たに、区が空き家の利用や借り上げ住宅の活用により、一時転居先を確保することは考えていません。また、特定住宅については、中堅所得者層の子育てファミリー世帯を支援することを目的として、現在、様々な入居促進策を進めているところです。事業住宅は、市街地再開発事業などのまちづくり推進事業により、住宅を失う区民に入居していただくことを目的とし、国の補助を受けて設置した住宅であるため、目的以外の使用には制限があります。そのため、既存の特定住宅や事業住宅を、耐震補強工事の際の一時転居先として活用することについては考えていません。
次に、リフォーム事業助成制度についてのお尋ねです。
ご指摘のとおり、リフォーム工事にあわせ、耐震改修工事を行うことは、費用面や施工面から効率的であると認識しています。木造住宅の耐震改修工事費助成では、耐震化に資する屋根の軽量化、及び耐震改修工事に必要な範囲の内外装の仕上げ工事や浴槽等の設備工事などの、リフォーム工事に相当する工事についても、助成対象としています。また、耐震化の推進と居住環境の向上などの観点から、東京都建築士事務所協会新宿区支部と連携した「安全安心・建築なんでも相談会」や、新宿区リフォーム協議会と連携した施工業者の紹介により、リフォームを支援しています。したがって、新たなリフォーム工事への助成の実施は考えていません。
次にブロック塀の安全対策についてのお尋ねです。
はじめに、劣化や損傷が著しいD判定のブロック塀の改修が進まない理由と改修工事の実施状況についてです。ご指摘のとおり、平成30年6月の大阪府北部地震の被害等を踏まえ、区内全域の道路沿いにあるブロック塀等10,209件の点検調査を行いました。このうち、劣化や損傷が著しいD判定のブロック塀等は、通学路沿いで20件、一般道路沿いで76件の計96件がありました。職員が個別訪問による安全化指導を行い、現在、通学路沿いで5件、一般道路沿いで19件の計24件の改修が実施されています。改修が進まない理由については、それぞれのブロック塀等に対する個別訪問による安全化指導を進めるなかで、細街路沿いでの再建や、費用負担への不安、危険性への認識不足、自宅の建替えに合わせた実施などの理由を把握しています。
次に、改修工事促進のための対策についてです。
ご指摘のとおり危険なブロック塀等の除去を進めるためには、所有者への強い働きかけが大切だと考えています。劣化・損傷が著しいD判定のブロック塀等については、それぞれの点検調査結果や個別訪問による安全化指導で把握した理由などをもとに、所有者に対して、委託した専門家の面談により、除去を働きかけていきます。ブロック塀等の除去後の再建については、除去の助成制度と合わせて、フェンスの新設や接道緑化の助成制度の利用を促すとともに、細街路沿いでの再建では、区が進めている細街路拡幅整備事業と連携して協力を求めてまいります。
また、建築基準法の設置基準に不適合なC判定のうち、耐震性が特に十分でないブロック塀等が、約1300件あります。今年度は、このうち通学路沿いなどの約600件について、個別訪問による安全化指導を実施しています。個別訪問による安全化指導の進捗状況については、10月末現在、現地訪問したものが129件で、このうち、面談による安全化指導したものが71件です。引き続き、個別訪問による安全化指導を実施していきます。来年度は、C判定のうち耐震性が特に十分でないブロック塀等で、今年度、個別訪問を実施していない一般道路沿いの約700件について、個別訪問による安全化指導の実施を予定しています。
2020.01.05 更新