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区議会活動
2020年第2回定例会 雨宮武彦議員が一般質問を行いました
6月11日の本会議で、雨宮武彦議員が以下の項目について一般質問を行いました。
1.羽田新飛行ルートの中止・撤回について
*正式な会議録ではありませんが、概要をご紹介します。◆(雨宮武彦議員) 日本共産党区議団の雨宮武彦です。羽田新飛行ルートの中止・撤回について、一般質問いたします。
国土交通省は羽田空港の国際線増便のためとして、住民の不安や反対の声に背を向けたまま、都心の新宿、港、渋谷、品川各区や、川崎市コンビナートの上空を低空飛行する新ルートの運用を3月29日、開始しました。
3月29日当日には、品川区の大井町駅前で「羽田の増便による低空飛行ルートに反対する品川区民の会」が抗議の声をあげるなど、首都圏各地で抗議行動が行われました。新宿区内でも、2月13日に「新宿の空を守る会」が結成され、3月15日には新宿中央公園で「羽田新飛行ルートは反対、中止・撤回を」とデモが行われました。私も参加しましたが、住民の反対の声は広がっています。
質問の第1は、区民の苦情や相談についてです。
3月29日羽田新ルートが運用開始されて以降実際に飛んだのは、南風が吹いた4月3日からですが、区民からも北新宿にお住まいの方は、「ゴーっと音がして上を見たら、大きな飛行機がのしかかるように見えた」信濃町の方も「うおーんと大きな音がして空を見ると大きな飛行機が神宮の上空を飛んで行った」など、落合や北新宿だけでなく新宿区全域から、苦情や心配の声が寄せられています。新宿区には3月29日から今までに、苦情や問い合わせは、どんな内容が何件ぐらい来ていますか。またこのような区民からの苦情や相談を受ける羽田新ルート相談窓口を設置することを求めますが、併せて伺います。
質問の第2は、実機飛行確認と本格運用による騒音についてです。
2月2日からの実機飛行確認による状況を受け、予算特別委員会でも質問しましたが、区長も環境対策課長も「聞こえ方はいろいろではあるが、思ったより大きく聞こえた」「機体も大きく見えた」等との答弁がありました。区民からも騒音の苦情・問い合わせが当初36件寄せられました。住民からも「旅客機が頻繁に飛びうるさくて困る、飛ばないでほしい」など直接の苦情を私も聞いています。実機飛行確認での国交省の測定結果概要での分析結果では、「落合第二小学校」で、大型・中型・小型機とも実測値の平均が推計値平均をすべて上回っており、大型機では推計値で68~69デシベルとしていたところ最大で78デシベルを計測しています。このように実測値は国交省の説明した推計値をはるかに超える騒音となったことについて、区長の認識と実機飛行確認後、国に騒音問題に関する区民の声をどのように伝え、何を求めたのか伺います。また、3月29日以後5月31日まで「落合第二小学校」の騒音値が推計値を超えた回数が何回あり、どのように対応してきたのか、あわせて伺います。私達が国交省航空局ホームページで見たところ、ボーイング中型機で5月2日には74デシベルと77デシベルの2回、6月2日に74デシベル1回となっており、区民の「騒音がひどい」の声を裏付けています。国交省の推計値を超えていますが、区長はこの数値をどう思われますか、このまま放置されるのか、国に何を求めるのか併せて質問します。
質問の第3は、落下物の危険性についてです。
国交省による落下物の調査では、部品欠落の報告件数は2018年、417件479個から2019年605件783個と増えています。これまで国交省は、落下物対策に全力をあげゼロをめざすとしてきましたが、逆に増えているのです。また、最近では国土交通省成田空港事務所によると、全日空機、上海行き919便が3月28日に成田空港を離陸した際、隣接する千葉県警の宿舎近くにエンジンのパネルを落下させました。パネルは底辺約30センチ、高さ約16センチのカーボン製で、重さ約100グラムとのことです。幸いけが人はいなかったようですが、都心だったら重大事故になっていたのではないでしょうか。こうした現実からして、都心上空を飛ぶ、羽田新飛行ルートはますます落下物の危険が懸念されます。予算特別委員会で落下物の危険性についての共産党の質問に対して、国の報告を引用して「落下物が少ない」かのような答弁でしたが、28日の落下物に見られるように、いつ落ちてくるかわかりません。新宿区は28日の落下物の件について国交省に問い合わせなり、原因と対策について申し入れをしたのでしょうか、お聞きします。
質問の第4は、教室型で区民との意見交換会を開催することです。
3月29日からの新飛行ルートにより住民は、騒音や圧迫感、落下物や墜落事故への不安を強く感じています。またコロナ禍で国際線は減便しているのに、なぜ飛行を続けるのか、新たな時点での国交省による区民に対する説明が必要です。教室型の意見交換会を開くよう国交省に求めます。予特でも我が党の質問に対し、「4月以降も町会等から要望があれば国に開催を要望する」との答弁でしたが、直ちに開催を要望すべきと考えますがいかがでしょうか。
質問の第5は、羽田新飛行ルートを中止・撤回することです。
日本共産党の山添拓参院議員の調査によると、新宿区などを降下する新ルートは、3月29日の運用開始から5月1日まで、34日間のうち18日間使用され、計852便が着陸したとのこと。実際の飛行時間は1時間当たり17.6便で、「1時間当たり44便」としていた当初計画の40%に留まっています。同省はまた、5月3日~9日の発着便数について、国際線が新型コロナウイルスの感染拡大前の、今年1月後半の7日間に比べ95%減、国内線は当初計画と比べ80%減になったと説明しています。新型コロナウイルスの感染拡大で飛行回数が大幅減便したことを示すもので、新ルート運用を強行する必要はなかったと言えます。ワクチン開発などの対策が世界的に進まなければ、国際線が以前のように戻るのに3年以上かかるともいわれています。また2019年第4回定例会でも事故の危険性について質問しましたが、羽田新飛行ルートは3.0度から3.45度の降下角の危険性だけでなく、夏は猛暑となり気温の関係で航空機がより高い高度を飛ぶため、実際の降下角度は3.8度に達する危険性を、元日本航空機長で航空評論家の杉江弘さんが指摘し警告しています。都心でもしも墜落事故がおきたら想像を絶する大事故になるでしょう。飛行便数も減っているのですから少なくとも夏の期間は中止するよう求めるべきではないでしょうか。また羽田新ルートの飛行は必要性がないと思いますが区長の見解を伺います。
墜落事故についてもふれておきます。2020年5月22日パキスタン航空の国内線旅客機が着陸を何度か試みた後、パキスタンのカラチの住宅街に墜落し92名が死亡したとのことです。新ルートは、騒音問題、落下物の危険、墜落事故等、危険性の高い都心上空を飛行する必要はありません。「将来に向けての慣らし運転」とする羽田新ルートは撤回し、海から海への安全なルートに戻すよう国に求めるべきです。いかがでしょうか、以上質問いたします。◎(環境清掃部長)雨宮議員のご質問にお答えします。
羽田新飛行ルートの中止・撤回についてのお尋ねです。
はじめに、区民の苦情や相談についてです。
区には、新飛行経路の運用が開始されてから、5月末までに27件の苦情や相談が寄せられています。内容としては騒音に関するものが17件と最も多く、その他、運用の見直しに関するもの、周知に関する意見、落下物等安全対策に関するものなどとなっています。
ご指摘の羽田新ルート相談窓口の設置については、事業主体である国が、土曜日や日曜日、祝日も対応可能な専用の相談窓口を設けています。そのため、別途、相談窓口を設置することは考えておりませんが、引き続き所管課において適切に対応してまいります。
次に、実機飛行確認と本格運用による騒音についてです。
ご指摘のとおり、2月の実機飛行確認時に、国が実施した区立落合第二小学校における騒音測定では、大型機・中型機・小型機とも実測値の平均が推計平均値を上回る結果となりました。区では、この結果を重く受け止めており、国は、一層の騒音対策を進めるべきであると考えています。また、新飛行経路の運用開始後も、騒音に対する要望や苦情の声が多く寄せられています。そのため、6月3日に国土交通大臣あて区長名で要望書を提出し、騒音測定結果について、実測値の平均が推計平均値を上回っている要因分析を行い、その解決を図るよう、要望したところです。なお、運用開始後の落合第二小学校の騒音値が推計値を超えた回数についてですが、ご指摘の国のホームページは1秒ごとの騒音実測値を公表しているものです。国に確認したところ、この実績値には、航空機騒音以外の音も含まれているため、推計値と比較する正確な航空機騒音データについては、現在精査中との回答を受けています。区では、正確な騒音データが公表され次第、内容を確認し、区民への騒音影響を軽減するため、必要な対策を国に要望してまいります。
次に、落下物の危険性についてです。
ご指摘の3月28日の落下物については、国から「成田空港の隣接地において、航空機からの落下物があり、調査の結果、離陸直後の全日空機の部品であることが確認された」との連絡がありました。国からは、「このような事案が発生したことは、大変残念であり、詳細について調査を継続し、その結果を踏まえ、着実かつ強力に落下物対策に取り組んでいく」との説明を受けています。区では、これまでも落下物対策について国に強く要望してまいりましたが、このような事例も踏まえ、「落下物対策総合パッケージ」の徹底を図るよう、改めて要望をしたところです。
次に、教室型で区民との意見交換会を開催することについてです。
国は、本年3月の新宿区町会連合会定例理事会において実機飛行確認時の騒音測定結果等、新飛行ルートの運用について丁寧な説明や情報提供、質疑応答を行う予定としていました。しかし、新型コロナウイルス感染症対策により定例理事会が書面開催となったため、資料送付を行ったところです。今後、定例理事会において、現在の航空機需要等を踏まえた説明や情報提供、質疑応答を行うなど、意見交換の場を設けるよう国と調整していきます。また、町会など地域との意見交換についても、地域の意向を踏まえ、国に実施を要望してまいります。
次に、羽田新飛行ルートの中止・撤回することについてです。
ご指摘のとおり、国際線旅客便は、新型コロナウイルス感染症拡大前と比較し、95%以上の減便となっていること等については承知しています。今後も、国際線を含む航空機需要について、注視していく必要があると認識していますが、新飛行経路の運用については、国の事業として国の判断と責任において進めていくべきと考えております。そのため、中止や撤回を求める考えはありませんが、6月3日に提出した要望書において、航空機需要を適切に把握し、必要最小限の飛行便数となるよう配慮することや、新飛行経路が固定化されることの無いよう、継続的に検討を行うことなどについても要望をしたところです。2020.07.21 更新