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区議会活動
2021年第1回定例会 近藤なつ子議員が代表質問を行いました
2月18日の本会議で近藤なつ子議員は下記の5項目について代表質問しました。
1. 「区政の基本方針説明」と2021年度予算案、第二次実行計画について
2 .新型コロナウイルス感染防止対策としての検査の充実とワクチン接種について
3 .介護従事者への支援と介護保険事業のあり方について
4 .区民のくらし・営業への支援について
5 .公民連携のあり方について※正式な会議録ではありませんが、概要をご紹介します。
日本共産党区議団の近藤なつ子です。2021年第1回定例会にあたり会派を代表して質問いたします。
新型コロナウイルス感染拡大の第3波は、菅内閣の無為無策と感染防止に逆行するGoToキャンペーンへの固執による人災であり、再度の緊急事態宣言発出とその延長が行われる事態となりました。医療機関や保健所職員などへの負担も第2波とは比べものにならない逼迫状態となりました。そのような中で奮闘してくださっているすべてのみなさんに心から感謝申し上げます。
菅内閣の支持率が下がり続け、不支持が支持を大きく上回っているのは当然です。その要因はコロナ対策だけではありません。国会で感染症法や特別措置法の罰則規定が議論されている最中に、自民党と公明党の国会議員が銀座のクラブをはしごしていただけでなく嘘とごまかしを重ねたことや、菅首相の長男が総務省の官僚を違法接待していた疑惑、さらにオリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗元会長による女性蔑視発言と、枚挙にいとまがないとはこの事です。国民の命とくらし・営業を守るため、野党連合政権をつくって国民に信頼される政治を取り戻すため、頑張る決意を申し上げて質問に入ります。最初に、「区政の基本方針説明」と2021年度予算案、第二次実行計画について質問します。
第二次実行計画と、その初年度である2021年度予算案は、「最優先事項」として感染防止対策を掲げていますが、具体的にPCR検査等の抜本的充実が示されることもなく、コロナ禍の下で区民のくらしと営業を守るための目立った新規事業もなく、大変残念です。「区政の基本方針説明」で区長が言われたように、「区民の皆様が住み慣れたまちで住み続けられるように、そして未来を担う子どもたちが健やかに成長できるように」するには、検査を徹底して新型コロナウイルスを制圧するという意気込みや、区民を誰一人取り残さないという責任感をもって取り組むべきです。以下質問します。
第1は、区民生活の実態についてです。
「区政の基本方針説明」で区長は、経済情勢について「新型コロナの影響により、景気は依然として厳しい状況にありますが、感染拡大の防止策を講じる中で、『持ち直しの動き』が続くことが期待されています。」と楽観的な見通しを示しましたが、区民の実感とあまりにもかけ離れています。2度目の緊急事態宣言発出とその延長で、飲食業界だけでなく「もう耐えきれない」「持続化給付金の再給付、事業規模に応じた協力金が必要」など悲痛な声が上っています。生活困窮者が増え、社会福祉協議会の窓口には2度目の緊急事態宣言以降、また貸付の相談が急増しています。区長は、「区民の皆様の暮らしと命を守るため、現場に赴き、現場に向き合いながら」とおっしゃいましたが、どなたからどのような実態を聞かれてきたか、「持ち直しの動き」が具体的にあるのか、現在の区民のくらしと営業の実態についてどう認識し、来年度予算案と第二次実行計画にどう反映したのか伺います。
第2は、今後の財政見通しと財源確保、区民生活の支援についてです。
今後の財政を見通す上で、今年度コロナ対策にどれだけの財政が支出され、来年度どれだけの支出が見込まれるのかが重要です。2020年度補正予算含めたトータルと、2021年度予算について、それぞれコロナ対策の支出がいくらで、国と都からの財源措置はいくらか、区の単独支出がどれだけあるのかもあわせて明示ください。
区長は、来年度予算の厳しさを、「2013年度から7年かけて積み上げた132億円の約6割をわずか1年で費やすという厳しい状況」と表現しました。予算ベースで歳入総額が前年度と比較して0.4%、6億円の減で82億円の財政調整基金の繰り入れが必要と言いますが、一方で、これまで7年連続黒字で基金残高は576億円まで増やしてきており、まだ余力があると言えます。区民が危機の時に思い切った財政出動をしなければ、個人事業主、中小零細業者、そこに働く労働者のくらしが立ち行かなくなります。そうなれば区内の景気回復も税収の復活も見込めないと考えますが、区長のご所見を伺います。
いま必要なのは、コロナ禍での区民負担の軽減です。介護保険料について世田谷区は、来年度予算案で第8期の保険料基準額を引き下げ、全段階で保険料引き下げを行いました。新宿区でも引き下げるべきではないでしょうか。後期高齢者医療制度の本人負担2割引き上げも打撃です。本人負担を増やさない新宿独自の負担軽減制度を実施すべきではないでしょうか。国民健康保険料も、この定例会中に値上げがされるとしたら、とんでもないことです。立川市では、コロナ禍の市民生活等への影響を鑑み、2019年度水準で2年連続据え置きにしました。国保料の引き下げを求めるものですが、区長のご所見を伺います。港区は、コロナ禍の下で区民負担を増やさないという観点で、コロナ対応の申請だけではなく区民や中小企業・個人事業主が申請する様々な証明書発行手数料等を無料、コンビニでの発行手数料は10円とし、区民生活の負担を軽減するとしています。区長もこういう姿勢で臨むべきではないではないでしょうか。
第3は、オリンピック・パラリンピック問題とオリンピック憲章の実現についてです。
この夏に延期されたオリンピック・パラリンピックは、国内外の感染状況から言っても開催は不可能と思います。開催のために1万人の医療従事者が必要と言われ、一方でワクチン接種にも多くの医療従事者が必要とされる時期です。そうしたことを踏まえて、区長は、この夏オリンピック・パラリンピックを開催すべきと思いますか。中止を求めるべきと思いますがいかがでしょうか。オリンピック・パラリンピックが中止また延期されたとしても、オリンピック憲章を実現していくことは、かけがえのないレガシーとなります。区として取り組むべき事について、以下、具体的にお聞きします。
1つ目は、パートナーシップ・ファミリーシップ制度の創設についてです。「ジェンダー平等の実現」を制度として示し、性的指向・性自認を理由とした差別の解消を大きく前進させるのがパートナーシップ・ファミリーシップ制度です。パートナーシップ制度は、2月1日時点で全国76自治体に広がり、全国総人口の3分の1以上をカバーするまでになりました。区長は一貫して「国において結論を出すことが必要」であるからパートナーシップ制度は導入しないと答えてきましたが、国が認めないからこそ自治体が婚姻と同等の関係を認めるこうした制度を検討するのに、なぜ国において結論を出すことが必要なのか、伺います。明石市、徳島市などは、パートナーシップ制度に加えて親子関係も含めたファミリーシップの届出制度を制定しました。区長はファミリーシップ制度の必要性についてどうお考えですか。区長自身は、同性婚や選択的夫婦別姓をお認めになりますか。新宿でもパートナーシップ・ファミリーシップ制度を創設するお考えはありませんか。区長のご所見を伺います。
2つ目は、平和への取り組みです。私が、「区政の基本方針説明」を聞いて感じた大きな違和感は、核兵器禁止条約が今年1月22日発効したのに、言及がなかったことです。なぜ触れなかったのですか。新宿区の加盟する平和首長会議は、2020年の総括で、署名・批准国の拡大と核保有国とその同盟国の条約締結に向けて、締約国会議への参加を求める働き掛けを始めています。いま大事なのは、最も身近な日本政府が条約を批准することです。区長の直接の働きかけと同時に、区が取り組んできた、「ヒバクシャ国際署名」「核兵器禁止条約の早期締結を求める署名」に代え「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」に区として取り組むべきと考えますが、ご所見を伺います。
(吉住健一区長)近藤議員のご質問にお答えします。
「区政の基本方針説明」と2021年度予算案、第二次実行計画についてのお尋ねです。
はじめに、区民の生活実態についてです。
私は、区民や団体と直接お話する機会や、区民意見システム、各部からの報告、繁華街連絡会などを通じて、区民や事業者の皆様の厳しい状況や、感染症対策の取組などについて、様々なお話を伺い、店舗等家賃減額助成や文化芸術復興支援事業の創設、おもてなし店舗支援の拡充などへとつなげました。
また、深夜酒類提供飲食店からいただいたご意見も踏まえ、営業時間短縮に関する協力金の充実について、都へ申し入れを行っています。
次に「『持ち直しの動き』が具体的にあるのか」についてですが、1月の政府月例経済報告では、企業の生産が持ち直しているとしており、現在、取りまとめを行っている第4四半期の中小企業の景況調査では、一部の業種で改善が見られています。しかしながら、依然として全ての業種がマイナスで推移し、特に飲食・宿泊業、地場産業である染色業において、大変厳しい状況となっており、さらには、緊急事態宣言が発出されたことから、回復には今しばらくの時間が必要であると考えています。
また、区民生活においては、緊急小口資金や総合支援資金、住居確保給付金について、現在も多くの申請をいただいている状況です。このような状況から、区民のくらしと営業は、依然として厳しい状況にあるものと認識しています。このため、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた「区民の命と暮らしを守る対応」「区内産業・地域経済の回復に向けた対応」について、来年度予算案では、区民生活や中小企業への支援、検査体制の強化などについて機動的に対応するとともに、第二次実行計画では医療物資の備蓄や、発生状況を想定した訓練の実施などについて計画的に取り組んでいきます。
次に、今後の財政見通しと財源確保、区民生活の支援についてのお尋ねです。
まず、新型コロナウイルス感染症対策についてですが、令和2年度予算では、補正予算の事業費417億円に対して国、都支出金は394億円で、区一般財源は23億円となります。また、その他既定経費で8億円措置しています。令和3年度当初予算では、事業費25億円に対して国、都支出金等は7億円で、区一般財源は18億円となります。
次に、今後の新型コロナウイルス感染症対策の予算措置については、引き続き、国や都の補助金、寄附金、財政調整基金を活用し、必要に応じて、機動的に対応してまいります。区はこれまでも、区民の声を受け止め、予備費充用や補正予算による機動的な対策を講じてきました。今後も、感染症対策とともに区民生活の支援と地域経済の回復に向けた対策に取り組んでいきます。
次に、介護保険料の引き下げについてです。
介護保険料は、3か年の介護保険事業計画期間中のサービス見込量に応じて算定されます。第8期の見込みでは後期高齢者数が増加し、それに伴い要介護認定者数も増加すると想定されます。また介護報酬も引き上げが予定されているため、給付費の増により保険料を下げることは困難な状況です。そのような条件の中で、第1号被保険者の負担軽減のため介護給付準備基金を最大限投入し、令和3年度からの介護保険料基準額は6,400円、現在より200円の増額に留めています。
次に、後期高齢者医療制度における保険料の新宿区独自の負担軽減制度と、国民健康保険料の引き下げについてです。
後期高齢者医療制度については、法令により、同一広域連合内は均一の保険料率とすることが定められており、新宿区独自の軽減策は、法制度の趣旨に反することになりますので、実施する考えはありません。
国民健康保険料について、特別区は、統一保険料方式を採用しており、令和3年度の保険料率についても、特別区基準保険料率を適用していきます。
次に、証明書発行手数料についてです。
区では、新型コロナの影響による貸付や融資あっせん等を受けるにあたり、区民等の負担軽減を図るため、必要となる各種証明書の発行手数料を無料としています。ご指摘の新型コロナの対応に関連しない発行手数料の無料化や引き下げは考えておりません。
次に、東京2020オリンピック・パラリンピックを開催すべきと思うか、中止を求めるべきではないか、とのお尋ねです。
東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に向けては、国、東京都、東京2020組織委員会などで構成する「東京オリンピック・パラリンピック競技大会における新型コロナウイルス感染症対策調整会議」が、昨年12月に中間整理をまとめたところです。この中間整理に示された具体的な対策や今後の工程表に基づき、医療提供体制の確保を含めた大会開催に向けた準備が、開催都市である東京都を中心に進められています。このため、区として大会開催の中止を求めることは考えていません。
次に、パートナーシップ・ファミリーシップ制度の創設についてのお尋ねです。
パートナーシップについては、婚姻と同等の保障を行うためには、婚姻制度のあり方について十分な議論を踏まえたうえで、国において結論を出すことが必要と考えており、これを前提とするファミリーシップを含め、区での創設は考えておりません。
次に、同性婚や選択的夫婦別姓についてです。
婚姻や夫婦の氏については、法に定められているため、区長が認否するものではないと考えています。
次に、平和への取り組みについてのお尋ねです。
世界の国々が核軍縮のために団結し、核兵器の廃絶に向けて取り組みを進め、核兵器のない世界を作っていくことは大変重要です。区が加盟する平和首長会議では、核兵器禁止条約への参加も含め、核兵器の廃絶を進める取組みを政府に要請しています。
このことは、本年1月22日に条約が発効する以前より、様々な機会をとらえて述べてきていることから、令和3年度区政の基本方針説明では、主な平和啓発事業についてご説明したところです。また、区は既に、平和首長会議の一員として「ヒバクシャ国際署名」及び「核兵器禁止条約の早期締結を求める署名」の推進に取り組んでおり、これらに代えて、「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」に取り組む考えはありません。(近藤なつ子議員) 次に、新型コロナウイルス感染防止対策としての検査の充実とワクチン接種について伺います。
新型コロナウイルスが日本で初めて確認されてから1年1ヵ月が経過しましたが、区民のみなさんのくらしが元に戻る目途が立っていません。私たちは行政として徹底した対策を講じ、行政と区民が連帯して感染を収束させるため以下質問します。
第1に、コロナ感染第3波の原因についてです。
政府によるGoToキャンペーンが東京を対象に加えて以降、東京都の感染確認数が12月は8月の4倍となり、医師会などから中止を繰り返し求められていたにも拘わらず、GoToキャンペーンは12月27日まで続き、1月の感染確認数は8月の8倍まで激増しました。新宿区でも、2月9日の定例記者会見で区長は「10月に比べて1月の感染者数は6.5倍に急増し」「一日あたり100人を超える日もみられ入院調整に時間を要するケースが続くなど医療体制の逼迫が生じ」「引き続き警戒が必要な状態」と報告されています。区長は第3波がここまで拡大した原因として、新宿区でもGoToキャンペーンの影響があったと思われますか。新宿区における第3波がここまで拡大した原因をどのようにお考えなのか伺います。
第2に、新宿区の感染状況等についてです。
まず、区の関連施設を含む区内事業所で感染者が発生した事業所数、感染者数についてお示しください。また、クラスターの件数を、医療機関、高齢者施設、子どもの施設、百貨店等業種別にお答えください。こうした情報も区民に随時お知らせし、共有すべきと思いますがいかがでしょうか。
東京都の1月の死亡者数は過去最多の259人となり、過去最多を更新しています。治療できず急変し亡くなる方が全国的に増えています。新宿区は区内死亡者数を公表していませんが、福祉健康委員会で聞くと、1月13日に11人としていたのが2月3日は19人になったと聞き驚きました。約1ヶ月で8人も亡くなったのはなぜかお答えください。死亡者数を知ることで区民はこのウイルスの恐ろしさを認識し、楽観論を打ち消すことにつながります。新宿区も死亡者数を年代別に公表すべきと思いますがいかがですか。
北区では、週ごとに新規感染者数、入院患者数、宿泊者数、自宅療養者数等を公表しています。昨年の5月頃から感染拡大し保健所で集計等の対応ができなくなったため、帝京大学に依頼し、支援チームを作って集計と一定の分析を行い、議会に定期的に報告しています。日々変化するデータを迅速に集計し分析することで施策に反映することは今の時代必須です。新宿でも大学等に協力を仰ぎ、情報処理と感染状況の分析をしっかり行うべきではないでしょうか。さらにその情報や分析は区民と共有すべきと思いますがいかがでしょうか。
第3に、無症状感染者の把握についてです。
新型コロナ感染の難しい点は感染者の約4割が無症状と言われ、区長も以前答弁されたようにその無症状感染者に一定期間感染力があることです。この無症状感染者という「感染源」が市中に放置されたままでは、一旦感染者が減ったように見えても人の動きが活発になればリバウンドしてしまいます。だからこそ無症状感染者の把握が極めて重要です。区長は無症状感染者の把握が重要とお考えでしょうか、伺います。
第4に、医療や介護・障害福祉、保育・教育等のエッセンシャルワーカーに対する定期的なPCR検査の実施についてです。
政府は、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」を2月2日に変更し、「特定都道府県に対し、感染多数地域における高齢者施設の従事者等の検査の集中的計画を策定し、令和3年3月を目途に実施するとともに、その後も地域の感染状況に応じ定期的に実施するよう求める。」とし、東京都は2月12日までに計画書を提出することになっています。
この計画は保健所を設置する特別区が策定することとされていますが、都道府県がその区域内全域を対象に策定してもよいとされているため、都が策定をしています。一方、すでに都の事業で行われている介護・障害福祉従事者へのPCR検査が敬遠される場合の理由として、複数の感染者が判明した時に施設が運営できなくなることを心配する声があります。都は、そのような場合を想定し、東京都社会福祉協議会などと協定を締結し、相互支援体制を構築しようとしています。新宿区として、東京都まかせにするのではなく、定期的な検査を推進すべきではないでしょうか。都が策定した計画で、新宿区ではどのように具体化されるのかお示しください。また、区内の相互支援について区がコーディネートすべきと考えますがいかがでしょうか。
文京区では高齢者、障害者、子ども施設等で定期、発生時、随時と状況に応じたPCR検査の実施に約4.9億円の予算を計上しています。新宿区では連日小中学校、保育園など子どもの施設でも発生しています。区として、子どもの施設も含めてエッセンシャルワーカーに対し、民間の力も借りて月1回以上PCR検査が出来るようにすべきです。いかがですか。
第5に、感染者が発生した事業所等への支援についてです。
区は、感染者が出た職場で濃厚接触者に該当しなかった周辺の職員に対し、保健師や産業医とも相談し幅広くスクリーニング検査を実施しています。区の職員を守り、区民を守るために大事なことです。しかしこのようなスクリーニング検査は、保健所が判断すれば行政検査として濃厚接触者に該当しない周辺の方を検査できるはずですが、なぜ行政検査ではなく職員の福利厚生費で行うのかお答えください。事業所等では保健所が濃厚接触者と認定しない周辺の人を自費で検査しているケースもあり、区の職員をスクリーニング検査するのと同じ考え方で感染者が確認された事業所には、濃厚接触者以外の周辺の人で行政検査の対象外とされた人には検査費用を補助してはいかがでしょうか。
第6に、区内で50万人規模の検査をすることについてです。
新宿区は、2月10日時点で10万人当たりの累計感染者数1835人という状況をみても、日本のなかの「感染集積地」です。政府のコロナ対策分科会のメンバーからも「感染集積地」を見定め集中検査を実施する方向を提起されています。
在勤・在学を含む区民全体を対象に無症状者50万人規模の希望者にPCR検査が必要と思いますが、区長のご所見を伺います。実施に当たっては民間や大学などあらゆる資源を活用し、迅速に進めることが必要です。当面、自費で民間検査している区民に対し、検査結果を報告することを条件に補助してはいかがでしょうか。これらを推進するための庁内組織として(仮称)PCR検査推進室と、感染症や情報処理などの専門家を入れたコロナ対策専門家会議を設置すべきと考えますがいかがでしょうか。
第7に、ワクチン接種について伺います。
区は、新型コロナウイルスワクチン接種対策室を設け準備を進めていますが、何より安心安全な接種が混乱なく実施されることが大事です。世論調査ではワクチン接種を「強く同意する」と答えた人は19%と世界と比べても低い状況です。国はコールセンターを設置する予定ですが、区としても区民の疑問に丁寧に答えながら同意を基に進めることが必要です。ホームページやSNS、区報なども活用すべきと考えますがいかがでしょうか。また、高齢者、基礎疾患のある方、一般区民それぞれのスケジュール管理やシステム化、医師会等との連携や準備の進捗状況についてもお聞かせください。
また、新宿区の特徴から、外国人の方や住民票のない在住者への接種が課題となります。外国人についてはそれぞれの言語で対応が必要ですが準備状況はいかがでしょうか。また住民票のない在住者が住民票のある自治体まで赴き接種するのは負担とリスクを伴うため、在住者にも接種する方向で対応するのが合理的です。ワクチン費用以外のすべての費用も国が持つよう求め、在住地で接種できるようにすべきです。区長の見解を求めます。
(吉住区長) 新型コロナウイルス感染防止対策としての検査の充実とワクチン接種についてのお尋ねです。
はじめに、新宿区における新型コロナウイルス感染症第3波の原因についてです。
感染者の増加にGoToキャンペーンが影響しているかについては、エビデンスがないため判断できかねます。区において、感染者数が急増したことについては、特にクリスマスや年末年始に、日頃会っていない人との会食の機会が多かったことが要因の一つと考えています。
次に、新型コロナウイルス感染症における無症状感染者の把握についてのお尋ねです。
感染の拡大を防止するうえで、患者発生時における周囲の無症状感染者を把握することは重要であると考えています。そのため、医療機関、高齢者・障害者施設などの重症化リスクが高い施設等において患者が発生した場合や、これらの施設以外でもクラスター発生のおそれがある場合には、無症状者を含め、広くPCR検査を行っています。
次に、新宿区の新型コロナウイルス感染症の感染状況等についてのお尋ねです。
1月現在の感染状況についてですが、把握している限りでは、区の関連施設を含む区内事業所で感染者が発生した事業所数は約140件、感染者数は約320名です。また、クラスタ―の件数は医療機関2件、高齢者施設1件、子どもの施設2件、飲食店1件、その他4件の計10件になります。1月に死亡者数が多かったことについては、感染者数が急増する中で、重症化のリスクの高い高齢者が多く含まれていたことが主な原因と考えています。
区では、区の基準に基づき感染事例を区ホームページ等で公表するとともに、感染状況について広報新宿等を通じて周知してまいりました。なお、年代別の死亡者数等の詳細な発生状況については、広域的な情報として、国、都で周知しているため、区で周知することは考えていません。区ではこれまでも、区のアドバイザーである国立感染症研究所の砂川先生に繁華街での感染状況を分析していただいてきました。その分析結果等について、区内飲食店等の方々には講習会で、区医師会、区内医療機関には「新型インフルエンザ等対策連絡会」等の機会を通じて、情報共有を行うとともに、広報新宿においても広く区民に周知しています。今後も、感染拡大防止のために必要な情報を適切に提供してまいります。
次に、新型コロナウイルス感染症における無症状感染者の把握についてのお尋ねです。
感染の拡大を防止するうえで、患者発生時における周囲の無症状感染者を把握することは重要であると考えています。そのため、医療機関、高齢者・障害者施設などの重症化リスクが高い施設等において患者が発生した場合や、これらの施設以外でもクラスター発生のおそれがある場合には、無症状者を含め、広くPCR検査を行っています。
次に、医療や介護・障害福祉、保育・教育等のエッセンシャルワーカーに対する定期的なPCR検査の実施についてのお尋ねです。
高齢者施設の従事職員等へのPCR検査は東京都も区もすでに取組んでいるところです。国の方針を受けて、東京都は高齢者施設に対して、令和3年3月末までに、検査の実施を徹底する計画を策定しています。東京都は計画に基づき、新宿区内の特別養護老人ホームや介護老人保健施設などに対して、都の助成金活用の再勧奨や唾液検体用PCR検査キットを送付することにより、集中的に検査を実施します。区としては、区のPCR検査事業の実施結果や新型コロナウイルス感染症の感染状況に応じて、令和3年4月以降の効果的な支援方法を検討してまいります。また、区内の事業者相互支援へのコーディネートについては、事業者と情報交換を行うなど、仕組みづくりの検討を進めています。
次に、エッセンシャルワーカーに対し、民間の力も借りて月1回以上PCR検査が出来るようにすべきについてです。
区では、エッセンシャルワーカーが従事する福祉施設や保育園等において感染者が一人でも出た場合は、感染予防対策や接触状況、環境等を調査の上、速やかに初期スクリーニング検査を実施するとともに、必要に応じて複数回検査を行うなどにより、感染拡大防止策を適切に行っています。エッセンシャルワーカーの働く場での感染予防には、日ごろからの感染予防策の徹底と適切な健康管理、及び発熱などの症状が出た際の早期の対応が重要であると考えているため、エッセンシャルワーカーに対して一律に定期的なPCR検査を実施する予定はありません。
次に、感染者が発生した事業所等への支援についてのお尋ねです。
行政検査の対象者は、医師が総合的に判断した結果、新型コロナウイルス感染症が疑われる方、保健所の調査の結果、濃厚接触者と判断された方になります。また、医療機関、高齢者・障害者施設など重症化リスクが高い施設等で患者が発生した際や、それ以外の施設においてもクラスター発生のおそれがある場合には、広く行政検査を行っています。
このため、行政検査の対象とならなかった区の職員への検査については、職員の健康管理や職場の安全衛生の観点から、福利厚生費で実施しています。また、同様の考え方に基づき、事業所等での行政検査の対象者でない方への検査費用の補助については考えていません。
次に、区内で50万人規模の検査をすることについてのお尋ねです。
区では、新型コロナウイルス感染症対策として、必要な方に対し行政検査を効果的に実施し、感染拡大防止につなげることが重要と考えています。このため、患者数の急増への対応や繁華街対策を行う中で、区医師会と区内医療機関及び国、都の協力を得て検査体制の充実を図っています。したがって、行政検査の対象でない方への補助や50万人規模の検査をすることについては考えていないため、PCR検査推進室の設置は予定していません。
現在、専門家を委員とした「新型インフルエンザ等対策連絡会」を設置するとともに、国立感染症研究所の砂川先生にアドバイザーとしてのご助言をいただいており、コロナ対策専門家会議を設置することは考えていません。
次に、ワクチン接種についてのお尋ねです。
はじめに、区ホームページやSNS、広報新宿などの活用についてです。高齢者をはじめとする区民への接種時期の情報、安全性や効果に関し国から示される情報などを速やかに提供し、安心して接種できるよう、区ホームページやSNS、広報新宿等の様々な媒体を活用し、丁寧にお知らせしてまいります。
次に、高齢者、基礎疾患のある方、一般区民のスケジュール管理とシステム化、区医師会との連携や準備状況についてです。区では、国が示す新型コロナウイルスワクチンの接種スケジュールに基づき、実施場所や実施方法等について、区医師会や区内病院と連絡会を開催するとともに、個別に医療機関との調整を行っているところです。また、接種の予約等のシステム化についても、国のシステム等の内容を踏まえ、対応してまいります。
次に、外国人についてそれぞれの言語での対応についてです。3月に設置する「新宿区新型コロナウイルスワクチン接種コールセンター」では、英語、中国語、韓国語の3か国語のほか、複数の言語による対応ができるよう準備をしています。
次に、住民票のない居住者への接種についてです。新型コロナウイルスワクチンの接種は、住民票のある区市町村で行うことを原則としており、やむを得ない事情がある場合の例外的な接種については、国等に支援を求めてまいります。
(近藤議員) 次に、介護従事者への支援と介護保険事業のあり方について伺います。
「区政の基本方針説明」で区長は、「地域包括ケアシステムの推進」について地域支えあい活動や「通いの場」の導入など支えあいの仕組みづくりを示しましたが、コロナ禍で苦境に立たされている介護従事者の声に心を寄せ、ケアサービスを守っていくという姿勢は残念ながら感じられません。国は第3次補正予算において「新型コロナ緊急包括支援交付金」の増額を計上しましたが、十分に支援が行き渡っているとは言えません。感染拡大の中、極度のストレスをかかえ高齢者等に接する介護従事者には、衛生用品の供給や定期的なPCR検査体制、危険手当・慰労金など手厚い支援が急務ではないでしょうか。区として独自施策を示し介護従事者・事業者を守ることが必要という立場から、以下質問します。
第1に、コロナ禍における介護従事者への支援についてです。
コロナ禍の中で介護従事者は、感染リスクを顧みず頑張っています。新宿介護ユニオンのアンケートによると「自分がいつ感染するか」「利用者に感染させてしまわないか」と怯え、「離職したい」という声が目立っています。コロナの影響で通所事業所は利用者が減少する一方、訪問事業所は仕事が増えていますが、人が足りないので受け入れを断っている事例もあります。低賃金による人材不足に加え、募集しても感染状況の深刻な新宿には人が集まりません。ある訪問ヘルパーは「毎日ハイリスクの高齢者のお宅を何軒も回っている。危険手当がほしい」と言っています。このまま手を打たなければ、介護従事者がいなくなってしまいます。区は、介護サービスがなければ生きていけない区民を、どう守るのですか。ただちに、介護従事者を支援する事業を区として行うべきです。全事業者に一律に給付金を支給する文京区、台東区や、減収のあった業者にサービス継続支援金を補填する杉並区など、各地で支援がおこなわれています。荒川区は来年度予算案で、感染者に対応する介護従事者に事業者が特別手当を支給する場合の経費を補助するとしています。感染者が多い新宿区こそ、介護従事者を守るため区独自の慰労金を給付することを提案しますがいかがでしょうか。
第2に、介護保険事業のあり方についてです。
介護保険制度が施行され21年になります。改定の度にサービス削減や区民などへの負担増が繰り返され、当初の理念であった「介護の社会化」とは程遠い「保険あって介護なし」の事態が一層深刻になっています。経営難、重労働、低賃金、人手不足で介護従事者が疲弊しきっているところへ新型コロナウイルス感染症が直撃しています。コロナ禍で、給付削減や負担増を進めてきた介護保険制度のあり方がいっそう問われています。要支援者を保険から外し独自サービスへ移行した総合事業については、コロナ禍でこそ感染防止のため専門職の介護従事者が手厚い支援をする必要があり、ボランティアや地域見守り事業に頼るあり方は問題です。単価が低く事業者にとっては採算が合わないことも指摘されています。区として国に対し、総合事業の廃止、保険料・利用料の負担軽減、国庫負担の引き上げ、介護報酬引き上げなどを強く求めるべきと考えますがいかがでしょうか。区独自の介護者リフレッシュ支援事業といった保険外サービスの対象や時間の拡充を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。以上、答弁願います。
(吉住区長)
介護従事者への支援と介護保険事業のあり方についてのお尋ねです。
はじめに、コロナ禍における介護従事者への支援についてです。
区は、これまでも感染防止のための衛生用品の調達や配布、チェックリストを用いた感染防止対策の助言などを行ってきました。国において、事業者に対し、新型コロナウイルス感染症の影響による減収を補う、臨時的取り扱い等経済的支援策や介護従事者への慰労金の支給が行われています。来年度以降の介護報酬改定においても減収を補う仕組みや介護報酬の引き上げがなされております。こうしたことから、区独自の支援事業や慰労金の支給は考えておりません。
次に、介護保険事業のあり方についてのお尋ねです。
介護予防・日常生活支援総合事業は、要支援者等の多様な生活支援のニーズに対応するため、住民主体の支援も含め、多様なサービスを展開しています。区においては、事業開始からまもなく5年が経過しますが、要支援者等を支える事業者や団体の皆様のご意見を踏まえて見直しを行い、現在は制度が定着していると考えています。したがって、区として国に対し、総合事業の廃止を求めることは現時点では考えていません。
介護保険料や介護保険サービスの利用料は、負担能力に応じた仕組みとしております。低所得者層の保険料については、公費を投入した、負担軽減を実施しています。また、介護保険施設を利用する際には居住費及び食費を軽減する制度があります。こうしたことから、国に対して、低所得者層のさらなる軽減を求めることは考えていませんが、国庫負担の引き上げについては、従来から国に要望しているところです。また、令和3年度以降の介護報酬は新型コロナウイルス感染症による影響も踏まえ、引き上げとなりました。
次に、介護者リフレッシュ支援事業などの保険外サービスの対象や時間の拡充についてです。
介護者リフレッシュ支援事業の対象者は、すでに要介護1以上や認知症の症状のある高齢者となっており、時間についても年間24時間までの利用時間に対し、令和元年度の平均利用実績は、1人あたり年間8.2時間であることから、拡充を行うことは考えていません。その他の保険外サービスについても、それぞれの事業ごとに、対象や時間は充足されているため、拡充は考えていません。(近藤議員) 次に区民のくらし・営業への支援についてです。
第1に、区民の生活支援についてです。
国の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」では、対策が長期化する中で生ずる様々な社会課題の一つに「営業自粛による倒産、失業、自殺」への対応をあげ、同時に「特に、女性の生活や雇用への影響が深刻なものとなっていることに留意」するとしています。今後も増えることが予想される生活困窮者、とりわけ女性への支援が重要となっています。以下、具体的に質問します。
1つ目は、住居確保給付金についてです。練馬区は家賃が住居確保給付金の上限額を上回った方に、上限額と実額家賃との差額の3か月分を上限10万円まで支給しています。また、板橋区は住居確保給付金受給中に家賃の更新を迎えた場合、更新料を補助しています。家賃の高い新宿区でも、他区の実例を参考に、区独自に実額家賃との差額や更新料などを上乗せするなど支援を充実すべきと考えますが、いかがでしょうか。
2つ目は、女性への相談支援についてです。
生活福祉課に配置されている女性相談員は、現在5人ですが、今年度4月以降も昨年度と比べて相談件数は増えていないとのことです。それは、女性の雇用や生活をめぐる状況が厳しくなっているにもかかわらず制度に結びついていない現状があり、野村総研の調査は「支援からの孤立」と分析しています。支援につなぎやすくするために、現在、男女共同参画推進課と生活福祉課にまたがっている区の女性相談窓口を改善し、ワンストップの女性相談窓口を設置すべきではないでしょうか。また、パートやアルバイトで休業手当を支給されていない方に休業支援金の紹介や申請のサポートを相談窓口で行えるよう人員を配置し、きめ細かく対応すべきと考えますがいかがでしょうか。
第2に、事業者への支援についてです。
感染拡大による2度目の緊急事態宣言が3月7日まで延長されましたが、持続化給付金は2月15日、家賃支援給付金も同時に終了しました。飲食業関連や緊急事態宣言で影響を受けた事業者への「一時金」の支給は増額されましたが、中小業者の経営を守るためには極めて不十分です。また「協力金」の支給額は一律のため事業実態に合わず、無用な分断と対立を生んでいます。民間信用調査会社が1月6日に発表した倒産情報によると、昨年1年間で飲食業者の倒産は780件で過去最多となり、区内でも新宿区商店街連合会の加盟店4700軒のうち4月~7月に廃業したお店が83軒。そのほとんどが飲食店です。さらに8月以降も廃業する軒数が増加し、依然として厳しい状況です。事業者へのよりいっそうの支援を求め、以下質問します。
1つ目は、経営難にあえぐ事業者の声や要求を直接聞くことです。繁華街連絡会ではこれまで3回会合や研修会がもたれましたが、会合で意見を言ってもそれらが反映されていません。1月30日に放映されたNHKスペシャル「夜の街で生きる?歌舞伎町試練の冬」で、区長は深夜営業のお店の方やビルのオーナーと会って話を聞いたとのことです。区長はこれまで現場に赴いてどんな意見を聞き、どんな施策にその意見を活かしたのか、伺います。また、区長とともに担当部も自ら現場に赴き事業者の要望等を聞くべきです。いかがでしょうか。
2つ目は、各種支援事業の周知についてです。特例の商工業緊急資金は1月末時点で3,381件の申請ですが、すでに6か月の据置期間を過ぎた方もいます。本来なら据置期間を延長し、廃業・倒産の状況によっては返済免除する等の柔軟な対応をすべきですが、少なくとも、東京都や政策金融公庫の借り換え融資などを周知すべきと思いますが、いかがでしょうか。
行政書士による各種支援制度等についての無料相談会が1月から実施されましたが、利用者は1月1件、2月も予約3件とのことです。また、専門家を派遣するビジネスアシスト新宿の利用は、昨年4月1日から1月末で20社36回と少ないのが現状です。この2つの支援制度について、区報以外でも周知を徹底すべきです。昨年11月に新宿文化センターで行われた繁華街対策連絡会の研修会の周知をするため、区は約12,000軒の飲食業店舗に研修案内とともに区の支援事業の案内を郵送したところ、おもてなし支援事業や専門家活用事業の申込みが増えたとのことです。このことは制度を周知すれば申込みが増えることを示しています。もっと利用してもらうために、改めて郵送等でダイレクトに周知すべきと考えますが、いかがでしょうか。
3つ目は、専門家活用支援事業についてです。この事業は来年度も継続され、今年度に使った人もまた使えるとのことですが、一括精算では使いづらいため、数回に分けて精算できるようにし、上限も20万円にして使いやすくしてはいかがでしょうか。
4つ目は、家賃の直接支援と事業継続のための支援助成金についてです。区の店舗等家賃減額助成は、1月31日時点で実績は849件、1,641テナントです。一件につき平均2テナント弱と少ないのは、1件で5テナントまでと小規模のオーナーしか使えず、テナントを多く持つオーナーには負担となり使いづらいためです。来年度予算案では、減額した家賃の4分の3、上限75,000円を助成し1件5テナントまでという上限を撤廃しました。ところが予算額は1億3500万円で、わずか100件300テナントの想定ですが、どのような見込みで算出したのでしょうか。ここまで拡充してもこの程度の見込みしか立たないなら、この制度のほかにテナントに直接支援する制度を創設すべきと考えますがいかがでしょうか。
また、事業継続の支援として、文京区では昨年9月1日から今年2月1日まで、人件費、土地、建物、動産の賃借料等を対象に30万円支給する事業を行いました。補助対象が広いことが特徴で大変喜ばれているとのことです。私どもは今定例会に事業継続のための助成金を支給する文京区と同様の条例を提案しています。補助対象を広くとり、中小業者に30万円支給するものです。新宿区にこそこうした助成金が必要ではありませんか、区長の所見を伺います。
(吉住区長) 区民のくらし・営業への支援についてのお尋ねです。
はじめに、住居確保給付金についてです。
住居確保給付金の支給上限額等の支給要件や支給対象については、生活保護の基準等に準じて国が定めています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大等の状況を踏まえ、令和2年4月に支給要件が緩和され、離職又は廃業した方に加えて、個人の責に帰すべき理由・都合によらない就業機会等の減少により経済的に困窮する方へも給付が可能となる等、対象が拡大されました。また、支給期間は最長で9か月間までだったところ、令和3年1月より、令和2年度中に新規の申請をされた方については、最長で12か月間まで可能となりました。さらに、令和3年2月より、住居確保給付金の支給が終了した方に対し、一定の要件を満たした場合、申請により、最長3か月間、支給することが可能となりました。このように、国が制度を改定してきていることから、区独自に実家賃との差額や更新料などを上乗せすることは考えていません。
次に、女性への相談支援についてのお尋ねです。 男女共同参画課では、性別を問わず、自分自身のこと、夫婦のこと、家庭のことなど、さまざまな悩みごとの相談に応じています。生活福祉課では、失業や病気、路上生活、意に反する妊娠や出産、家庭内暴力等の女性が抱える相談に対する支援を行っています。また、コロナ禍における様々な相談に対しては、他の支援機関とも連携しながら、それぞれの強みを活かした一体的な支援を行っています。そのため、現時点で、ワンストップの女性相談窓口を設置することは考えておりません。休業支援金については、コールセンターのご案内を行う等、支援が必要な方に対して適切な情報提供を行っていきます。
次に、事業者の声や要求を直接伺うことについてのお尋ねです。
私は、新宿区繁華街新型コロナ対策連絡会の開催や、アドバイザーである砂川先生との店舗訪問などを通じて、事業者の皆様からのご意見やご要望、感染症対策の取組について直接お話を伺い、施策につなげてきました。具体的な例としては、事業者から、感染症対策に取り組む店舗を区も応援してほしいとの要望を受け、新宿文化センター等で開催した感染症対策講習会の参加店舗に対して受講証を発行し、区ホームページでの公表を行うことで、感染症対策に取り組む店舗を広く発信しています。新宿社交料理飲食業連合会からは、店舗がより早く感染症対策を行うための、補助金の迅速な交付について要望を受け、おもてなし店舗支援補助金に概算払い制度を追加しました。
また、東京商工会議所新宿支部とは、懇談会において新型コロナウイルスの感染予防に関する情報や地域経済の状況を共有するとともに、区の支援策に関する要望等もいただきました。要望では、資金繰りの支援の継続等が挙げられ、商工業緊急資金(特例)等の事業として来年度予算案にとりまとめ、本定例会に上程しているところです。このように、事業者の声を各所管の職員とともに直接伺うことで、施策へとつなげています。
次に、特例の商工業緊急資金の据置期間を過ぎた方に対しての、東京都や政策金融公庫が実施する借り換え融資の周知についてのお尋ねです。
区ではこれまで、商工業緊急資金を含め既存の融資の借換が中小事業者の資金繰りに有効なものと考え周知に努めてきました。現在は、中小事業者向けのパンフレット「新型コロナウイルス対応支援一覧 融資制度編」を作成し、区政情報センターでの配布をはじめ、区ホームページに掲載するとともに、新宿商人(しんじゅくあきんど)やメールマガジン等での周知を行っています。また、国は各金融機関に対して、既に受けた融資の条件変更等について、事業者の実情に応じて柔軟に対応するよう要請しています。区としましては、据置期間を経過した方へ個別に周知を行うことは考えていませんが、制度融資取扱金融機関を通じて借り換えの周知を強化してまいります。
次に、行政書士による無料相談窓口とビジネスアシスト新宿を広報新宿以外でも周知徹底することと、区の支援事業の案内を郵送等でダイレクトに周知することについてです。
事業者向けの行政書士無料相談会は、広報新宿や区ホームページ等で周知するほか、東京商工会議所新宿支部や東京中小企業家同友会新宿支部を通じて、区内企業への周知を行っています。1月から開始した事業であり認知度を高める必要があるため、今後は新宿商人(しんじゅくあきんど)への掲載やビズタウンニュース、メールマガジン等を活用して周知を強化していきます。
また、ビジネスアシスト新宿については、新宿商人(しんじゅくあきんど)12月号で活用事例を紹介するなど、広報新宿以外での周知を行っているところです。今のところ、再度区の支援事業の案内を郵送等でダイレクトに周知することは考えていませんが、今後も、事業者に対して必要な情報が行き届くよう、関係機関との連携を深めながら周知を進めてまいります。
次に、専門家活用支援事業を数回に分けて精算できるようにし、上限を20万円とすることについてのお尋ねです。
専門家活用支援事業では、事業者の方の負担を軽減するため、事後的に一度にまとめて申請していただいていますが、上限額に満たない金額で本制度の申請を終えている方もいらっしゃるため、再度の申請ができるようにすることが必要になってきていると考えています。このため、既に申請した方を含め、その都度申請ができるか申請方法について検討を進めてまいります。なお、上限額を20万円にすることは考えておりませんが、本制度が区内事業者にとって、より活用しやすいものとなるよう、引き続き取り組んでまいります。
次に、家賃の直接支援と事業継続のための支援助成金についてのお尋ねです。
店舗等家賃減額助成事業については、令和3年度も店舗等の家賃減額を通じた区内事業者の事業継続を支援し、また、オーナーが家賃減額に応じやすく、より多くのテナント支援につなげることができるよう、店舗等のオーナーの要件を中小企業者まで拡充し、補助率を4分の3に、1物件あたりの助成上限額を7万5千円にそれぞれ引き上げるとともに、テナント数の上限を撤廃する予定です。予算額については、令和2年度の申請数や1申請当たりのテナント数などの実績を踏まえ、また、実施期間も勘案して算出したものです。本事業は、コロナ禍において、新たなテナント出店が見込まれにくい状況の中、現在の契約を継続していただくことで、オーナーとテナントの双方の事業継続につながるよう働きかけるものです。今後も、店舗等の家賃減額を通じて、区内テナントの事業継続につなげていくことができるよう、引き続き店舗等の家賃を減額したオーナーを支援してまいります。このため、テナントへの直接補助については考えていません。
また、補助対象を広くとり、中小企業者に30万円を支給することについてです。区としましては、限られた財源の中でどのような方にどのように重点的かつ効果的に配分するべきかを総合的に勘案し、事業継続の支援として、令和3年度は店舗等家賃減額助成事業やおもてなし店舗支援の対象や金額を拡充して実施する予定です。このため、中小企業者に30万円の助成金を支給することは考えておりません。(近藤議員) 次に、公民連携のあり方について質問します。
新宿区では、「効果的・効率的」な行財政運営や業務の推進のためとして、「公民連携」の名の下に民間委託・民営化、指定管理者制度の導入などが進められてきました。国の進める公共サービスの産業化とも相まって、さらにその対象を広げようとしていますが、この間だけでも新宿スポーツセンターの個人情報流出や指定管理者選定における法令違反の見逃し、新宿中央公園のパークPFI導入時の法令違反、区営駐輪場民営化の不透明な進行、新宿文化センター改修におけるPFIの行き詰まりなど、公民連携については問題が続出しています。このように問題が続出していることについて、どのようにお考えかお答えください。また、鳴り物入りで開設された「公民連携相談窓口」では、民間提案制度の実施に向けた相談や意見の応募をはじめたものの、提案は区の思惑ほど寄せられていないと聞いています。窓口に寄せられた相談や提案の件数とその内容など運営状況をまずお聞きし、以下、具体的に質問します。
第1は、新宿文化センターの改修とPFIについてです。
新宿文化センターの特定天井や空調・給排水・舞台音響等の設備の改修について、改修方法の検討を委託された三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社は、その方法についていわゆる民間資金を導入するPFI方式を優位としましたが、検討にあたり事業者の意見を聴くサウンディングでは、コロナ禍による事業環境の激変により改修事業の収益見通しの暗さを理由に、公共資金調達型と言われるDB方式、DBO方式を主張してPFI方式での参加を表明する事業者が事実上見つかりませんでした。そのため緊急性の高い特定天井の改修を先行して行い、どの手法を取るか検討はするものの事実上従来方式で行わざるを得ないことが明らかになりました。この状況が示しているのは、儲からなければ民間事業者は参入しないということであり、契約が長期になれば、その間に経済状況の変化が起こった場合、収益が悪化すれば中途での撤退も起こりうるということです。現に、全国の自治体でそのような事例が生じています。もし今回の改修事業がコロナ発生前にPFI方式で始まっていたとしたら、事業が破綻し多額の区の財政負担が生じたのではないでしょうか。PFI方式の危険性についてどのようにお考えなのかお聞かせください。PFI方式は公共サービスを担うにはなじまないことは明らかです。文化センター改修はもちろん、今後公共サービスにPFI方式の導入はやめるべきと考えますがいかがでしょうか。
第2に、事業者選定におけるコンプライアンスのあり方についてです。
新宿スポーツセンターの第4期指定管理者選定が行われた際、応募事業者の条例違反を事前に確認できず、議会に提案された議案が撤回され、出し直すという前代未聞の事態が起きました。
区には、指定管理者制度の基本的な考え方を定めた「公の施設に関わる指定管理者制度の活用方針」や「公の施設に係る指定 管理者制度の活用方針マニュアル」はありますが、具体的な法令に適合するかの確認の手順は細かく定めておらず、総務区民委員会での質疑では2021年度に向け確認手順の整備・改善を行う旨の答弁がありました。
しかし、現時点でマニュアルの改定は「申請受付時には、事業者が公の施設の管理を行うものとしてふさわしくないものに抵触していないことを、書面及び聞き取りにより確認する」とのわずか2行が加えられただけです。しかし、書面及び聞き取りならこれまでも行っており、それをチェックすべき担当課のコンプライアンス認識が足りなかったことが問題なのです。適法性の確認については、何をどう確認するか全庁的なマニュアルを作成し、担当課だけに任せるのではなく、弁護士や社会保険労務士など専門家が第三者の目で候補事業者を厳しくチェックする体制の構築をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
第3は、透明性の確保についてです。
先日、区営駐輪場民営化について事業者選定の公開プレゼンテーションが行われました。会場が大変狭く、傍聴者は2名に制限され、密な中でのプレゼンでした。しかも、公開であるにもかかわらず、プレゼンの質疑応答になると傍聴者は退室を求められ、公開とは到底言えない状況でした。傍聴の人数制限については会場確保の都合だと言いますが、広めの会場にすれば良いことで、あらかじめ傍聴者を想定していなかったとすれば問題です。今回、質疑応答を非公開としたのは事業者の営業ノウハウを保護するためとされていますが、本来、公開プレゼンは質疑応答も含めてのプレゼンであり、これまでも指定管理者や委託事業者を選定する公開プレゼンではすべて公開され、利用者が限定的な事業では傍聴者のアンケートも行うという工夫がされる場合もありました。今回のような民設民営化は、指定管理者などとは違い区の関与が及びにくい制度なだけに、より一層透明性が担保されるべきではないでしょうか。お答えください。
プレゼンでは質疑応答も含めて内容が記録されていませんでしたが、選定手続きの経過が記録されていなければ、適切な選定だったか否かを後から検証できず、区政のチェックという議会の役割を果たすことも難しいと考えますが、いかがでしょうか。スポーツセンターにおける個人情報流出事件を機に、立ち入り調査の手順とその記録の公文書化が区全体のルールとして明確化されましたが、事業者の選定においても全庁的なマニュアルを整備し、選定過程を記録し公文書化することが必要と考えますが、いかがでしょうか。
かつて、中山前区長は行政の透明性を一貫して強調していました。この間の事業者選定などを見ても行政の透明性という視点が欠けているように思いますが、吉住区長は行政の透明性についてどのような認識をお持ちなのかお答えください。
(吉住区長) 公民連携のあり方についてのお尋ねです。
はじめに、公民連携の問題への認識についてです。
公民連携は、「官が公共性を設定」し、「民がそのガバナンスのもとに効率性を追求する」事業であることから、法令遵守や個人情報保護対策を徹底するなど、ガバナンスを強化しながら進めてまいります。
次に、公民連携相談窓口についてです。
現在、令和4年4月からの民間提案制度の実施に向けて、公民連携の相談窓口では、先進自治体における取組みや民間企業の意見等を踏まえながら、準備を進めるとともに、全庁的な推進に向けての体制を構築しているところです。窓口には、これまで民間提案制度の制度設計に関するご意見やICTを活用した事業提案など、10件程度の相談がありました。
次に、新宿文化センターの改修とPFIについてのお尋ねです。
新宿文化センターの改修については、特定天井や空調・給排水・舞台音響等の設備全般の改修にあたり、民間資金等の導入も視野に入れた改修方法等を検討するための調査を実施しました。調査の結果、事業手法の総合評価において改修と運営の一部を一体的に行うPFI方式が優位であり、民間事業者も事業への関心を持っていました。
しかし、調査開始時と異なり、新型コロナウイルス感染症により区財政が厳しくなる中、設備全般の改修を実施することは、多額の財政負担が必要となり、現時点では困難であることから、特定天井及び安全性に関わる改修項目に限定し、工事を実施することにしました。ご指摘の事業が破綻する恐れから、判断したものではありません。また、PFIで事業を実施する場合のリスクについては、設計・施工・維持管理・運営等の各段階で、修繕部分等の瑕疵や運営の中断、技術革新や不可抗力への対応などの様々なものが想定できるため、想定されるリスクをできる限り明確化した上で、具体的かつ明確に協定等で取り決めることで、一定程度回避することが可能であると考えています。今後のPFIの導入については、施設の規模や特性等を踏まえ、必要に応じてPFIの導入を検討し、サービス水準の向上とコスト削減を推進してまいります。
次に、事業者選定におけるコンプライアンスのあり方についてのお尋ねです。
令和2年第4回定例会における第96号議案の撤回については、応募事業者の資格の確認不足が原因であったことから、区では、申請受付時に書面及び聴き取りにより応募資格を確認するよう、「公の施設に係る指定管理者制度の活用方針マニュアル」を改正し、指定管理者制度検討連絡会議において、その内容を周知しました。応募資格の確認にあたり、業務に関連する法規に違反していないかなどの疑義が生じた場合は、弁護士等の専門家の意見も参考にしながら対応してまいります。
次に、透明性の確保についてのお尋ねです。
民間事業者を活用した駐輪場の事業者選定審査会については、厳正かつ公平に行う観点から、学識経験者、公認会計士及び町会連合会から推薦された区民に審査委員をお願いしています。こうした外部からの審査委員による、率直な意見交換及び意思決定の中立性が確保されるよう、質疑応答は非公開としましたが、事業者によるプレゼンテーションは公開としました。事業者選定における透明性の確保は重要ですが、公正な審査を確保するために、一定の非公開は必要であると考えます。また、事業者選定審査会における議事録は作成していませんが、選定過程及び審査方法等については、区のホームページで公開しています。
次に、事業者選定における全庁的なマニュアルを整備し、選定過程を記録し公文書化することの必要性についてです。
区では、高度な創造性や専門的な技術を必要とする業務について、事業者から企画提案を求め、最も優れた事業者と随意契約するプロポーザル方式について、平成30年9月に新宿区プロポーザル方式による契約に関するガイドラインを策定しました。このガイドラインは、区が実施するプロポーザル方式における基本的な考え方や留意事項を定めており、ガイドラインを活用することにより透明性、公平性、競争性を確保しつつ、良好なサービスの調達に努めています。
次に、行政の透明性の認識についてです。
行政の透明性は、公正で効率的な区政運営を実現するとともに区民の区政への理解と信頼を確保するために、必要不可欠であると認識しています。2021.04.10 更新