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区議会活動
2015年第4回定例会 代表質問
11月26日の本会議で、田中のりひで議員が以下の項目について代表質問を行いました。
1.新宿区第三次実行計画(素案)、新宿区人口ビジョン・新宿区総合戦略(素案)について
2.マイナンバー制度について
3.新たな「介護予防・日常生活支援総合事業」等について
4.子育て支援について
5.学校選択制と教員の事務負担軽減について正式な会議録ではありませんが、概要をご紹介します。
(田中のりひで議員) 日本共産党区議団の田中のりひでです。第4回定例会にあたり、会派を代表して質問いたします。
13日の金曜日夜の人出でにぎわうフランスのパリ市内で無差別テロが発生、コンサートが開かれていた中心部の劇場とその周辺や、サッカーの試合が行われていた北部の競技場付近などで130人という多数の死者と多くの負傷者が出ました。罪のない市民を無差別で殺害した大量テロを厳しく糾弾し、犠牲者の家族や関係者に心からの哀悼を表します。
一般市民の生命を奪う無差別テロは、国際社会にとっての重大問題であり、いかなる口実や背景があろうとも許されません。テロを世界から根絶するためには、根源にある地域紛争、貧困や人権・民族・宗教差別の根絶、人権や法の支配の尊重など包括的協力が必要であり、国際社会の一致結束した取り組みが急務ではないでしょうか。そのことを述べ区長並びに教育委員会に対し質問を行います。最初に新宿区第三次実行計画(素案)、新宿区人口ビジョン・新宿区総合戦略(素案)について質問します。
11月15日までに各地域センターで説明会が行われ11月16日までパブリックコメントがおこなわれました。説明会には10カ所183人が参加し、パブリックコメントは第三次実行計画が24人、新宿区人口ビジョン・新宿区総合戦略が8人から寄せられたと聞いています。私も参加した戸塚地域センターの説明会には26人の方が参加していました。参加者からは「落四学童クラブについてはそもそも必要なスペースが確保されていない」「学童クラブは新設しないのか」「清風園については計画上どうなっているのか」「ぬくもりだよりの配布先を単身世帯以外に広げられないか」「平和啓発は益々大事だ」「校庭の芝生化はどのようにおこなわれるか」など10人以上の方から多方面にわたる活発な意見が出されました。
質問の第一は、説明会等で出された意見を今後の計画に取り入れることについてです。
パブリックコメントに寄せられた意見や、各説明会での意見・要望については各所管課でも十分に検討し、計画等に取り入れるべきと思いますが、どのようにお考えですか。
質問の第二は、第三次実行計画(素案)と新宿区総合戦略(素案)の関係についてです。
第三次実行計画は2年間、新宿区総合戦略は5年間の計画期間になっています。新宿区総合戦略をみると、その内容は第三次実行計画に沿ったものになっています。しかし計画期間が2019年度末までとなっていることから、事業は2017年度で完了又は達成されているもの、あるいは2017年度末までの目標と同じ目標のもの、また、2017年度末目標よりは高いものなど、2018年度以降の取組みが不明確なのではないでしょうか。第三次実行計画と新宿区総合戦略との整合性はどのように図られ、総合戦略と新総合計画の策定はどのようにリンクし取り組まれて行くのかお答えください。
質問の第三は、新総合計画策定及び総合戦略ローリング等への住民参加の問題についてです。
第三次実行計画は新宿区基本構想の実現をめざす総合計画の総仕上げとともに、2018年度からの新たな総合計画につながる計画となっています。現在の基本構想・総合計画の策定にあたっては、「区民との協働」を標榜し、公募の区民委員からなる区民会議を開催し策定されました。今回は自治基本条例も策定され、区民参加や子どもの意見表明権の保障や多文化共生まちづくり会議など新たな取り組みも行われきた下での新総合計画の策定であり、一層の住民参加が求められます。区長は新総合計画策定について、どのような手法で住民参加を行おうとしているのかお聞かせください。また、総合戦略については毎年ローリングを行うこととされていますが、検証やローリングについては今後どのように行うのか、またそこでの住民参加はどのように行われるのかお示しください。
質問の第四は、地方版総合戦略関係の予算についてです。
地方創生本部の「8月4日決定文書」では、「地方公共団体がそれぞれの『地方版総合戦略』に沿った施策を着実に実行できるよう、地方創生予算全体を安定的に確保することが必要である」と方針化しています。重要なことは新宿区として区民要求に根ざした施策や事業を位置づけることです。例えば2014年度の国の補正予算「地域住民生活等緊急支援のための交付金」を活用し、各地で住宅リフォーム等の助成事業などが行われました。新宿区でも地域消費喚起・生活支援型で初夏の大商業まつり、地域飲食応援事業で1億7千5万円、地方創生先行型で千九百万円、新宿区総合戦略の策定や海外プロモーションなどに補助金を活用しました。2015年度以降も5年間続くとされている国の地方創生予算を、区としてどのように活用し予算に取り込んでいくのかお答えください。
質問の第五は、区民から出された要望を計画に採り入れることについてです。
地域説明会の中では子どもの貧困化の問題や学童クラブの増設の要求が出されていました。保育園児の待機児童解消は2017年度末ゼロをめざし積極的に増設が行われているにもかかわらず、総合戦略でも学童クラブについては小学生全員が対象になりながら新たな増設がおこなわれず、「学童クラブ機能付き放課後子どもひろば」という児童福祉法にもとづかない施設で対応されていることに、区の姿勢を問う意見が出されていました。第三次実行計画やその次の計画に、学童クラブの新設やオーバー館の解消、4年生以上の待機児童の解消に取り組むことを具体化すべきと思いますがいかがでしょうか。また、学童クラブとは別物の「学童クラブ機能付き放課後子どもひろば」の名称自体が保護者に誤解を与えるという意見も出されていますので、名称を変更すべきと思いますがいかがですか。お答えください。(吉住健一区長) 田中議員のご質問にお答えいたします。
新宿区第三次実行計画(素案)、新宿区人口ビジョン・新宿区総合戦略(素案)についてのお尋ねです。
はじめに、地域説明会等でのご意見を計画に取り入れることについてです。
今回は10月15日から11月16日の約1箇月にわたるパブリック・コメントを行い、10カ所の地域センターにおいて地域説明会を開催しました。地域説明会等では、子育て支援、高齢者福祉、防災、まちづくりなど、様々な分野にわたり多くのご意見・ご要望が寄せられました。いただいたご意見・ご要望については、計画を策定する中で十分な検討を行い、計画への反映や事業を推進するうえでの参考とさせていただきます。
次に、新宿区第三次実行計画(素案)と新宿区総合戦略(素案)の関係についてです。
新宿区第三次実行計画は、平成28年度から29年度の2年間を計画期間としています。
一方、新宿区総合戦略は、平成27年度から平成31年度までの5年間を対象期間としています。新宿区総合戦略は、現行の総合計画及び実行計画との整合を図って策定することとしており、具体的な事業は第三次実行計画を中心に掲載しています。このため、事業の中には平成29年度までに完了または達成されるものもありますが、今後、新たな総合計画と実行計画を策定する際に、新宿区総合戦略の平成30年度以降の部分について見直しを行なうなど、整合を図ってまいります。
次に、新たな総合計画策定における住民参加についてです。
総合計画は、新宿区の今後のまちづくりの道筋を示すものであり、「『新宿力』で創造するやすらぎとにぎわいのまち」という区のめざすべきまちの姿を実現するための計画です。また、めざす都市の骨格や地域別のまちづくり方針などを示した都市マスタープランの性格を併せ持つ計画でもあります。このため、新たな総合計画の策定の際には、原案策定段階から町会・自治会、地区協議会などからご意見をいただく機会を設けるとともに、区民討議会を開催するなど、幅広くご意見を伺うことを考えています。
次に、新宿区総合戦略の検証とローリングについてです。
新宿区総合戦略は、総合計画と実行計画との整合を図ることから、具体的な事業は実行計画の事業を中心に策定することとしています。このため、計画事業の行政評価とローリングを行なうことで、連動して新宿区総合戦略の検証とローリングを行なうこととします。なお、その際の住民参加については、行政評価の外部評価委員に区民が参加することにより、担保されることとなります。
次に、国の地方創生予算をどのように活用し予算に取り組んでいくかについてです。
地方創生に係る交付金は、現時点では、臨時的な単年度の予算補助に留まっています。このため、地方創生の具体的な取り組みが本格化する中、交付金が各地方公共団体に使い勝手の良いものとなるよう、全国市長会等を通じ国に要請を行っているところです。こうしたことから、後年度負担を伴う経常的な事業に活用することは慎重な見極めが必要です。新宿区としては、引き続き、国の動向を注視し、地域の実情にあった交付金の効果的な活用策を検討してまいります。
次に、区民から出された学童クラブ等についての要望を計画に取り入れることについてです。
保育園を利用する児童が増加していることから、学童クラブをはじめとした小学生の放課後の居場所の重要性も高まっていると考えており、区では、子どもの成長段階や家庭状況に応じた多様な居場所を整備してきました。
今年度から開始した学童クラブ機能付き放課後子どもひろばについては、利用児童の保護者アンケートを実施したところ、多くの方にこの事業を高く評価していただいていることが明らかになりました。その結果を踏まえ、学童クラブ機能付き放課後子どもひろばをさらに拡大していくことを第三次実行計画(素案)に位置付けたところです。今後も、それぞれの事業の利用動向等を見ながら、学童クラブの新設やオーバー館、4年生以上の待機児童の解消も含め、地域で子どもが育つ場の整備・充実に努めてまいります。
次に、学童クラブ機能付き放課後子どもひろばの名称についてです。
事業の内容をわかりやすく簡潔に表すために「学童クラブ機能付き」としています。新規事業の名称変更によって、保護者が戸惑うことも懸念されますが、より適切な名称がないか、今後検討してまいります。(田中議員) 次にマイナンバー制度について質問します。
マイナンバー制度は、住民票を持つ赤ちゃんからお年寄りまで、すべての住民登録をしている人に12ケタの個人番号を付け、社会保障や税などの行政手続きで活用するものです。私たちは、この制度が国民一人ひとりの収入と財産を把握し、税・保険料の徴収強化と社会保障の給付削減に使われる危険があり、原則普遍の1つの番号で個人情報を照合できる仕組をつくることはプライバシーの侵害やなりすまし犯罪を常態化させ、さらに導入費用だけで3000億円もかかるのにメリットは少なく、費用対効果を具体的に政府が示していないことから反対してきました。さらに情報漏洩を100%防ぐ完全なシステムの構築は不可能であり、情報は集積されるほど利用価値が高まり攻撃されやすくなり、一度漏れた情報は流通・売買され取り返しがつきません。来年1月からの本格運用を前に中止を求めてきましたが、通知も始まった現時点に立って、以下質問します。
第一に、マイナンバーの通知について伺います。
全国で10月23日から簡易書留による配達が開始されました。新宿区内でも通知カードの簡易書留を別人に渡す誤配が発生するなど、配達の事故が相次ぐ一方、自治体が誤って住民票にマイナンバーを記載した事例など、全国各地で様々な混乱が起きています。新宿区では、全208,000世帯のうち、通知カードが届かず区に戻ってくるのが約41,000世帯、2割に上ると予想され、さらにそのうちの8,200世帯は居住実態がわからない宛所不明と予想されていますが、取りに来ない通知カードは、来年3月まで区が保管した後に廃棄することとなっています。
質問の第一は、住民登録をしているすべての人に届くはずの通知カードが、約41,000もの世帯に届かないと予想しているような事態について、区長はどのようにとらえておられるのかお答えください。番号を通知するだけでもこれだけの混乱を招いており、自分の番号を知らない人も多く残されることは制度の根本に関わる問題ではないでしょうか。このような状況でマイナンバー制度の運用を始めることはできないと思いますが、区の考えをお聞かせください。
質問の第二は、約8,200世帯の宛所不明と予想される人たちについては、どのような対策を考えているのかお答えください。
質問の第三は、区内に在住していて通知カードを取りに来ない約32,800世帯と予想される人たちには、ホームページ、区報等で勧奨するとのことですが、来年4月以降、通知カードが廃棄された後に本人が自分の番号を知ろうとすると、500円で通知カードを再交付するか、300円でマイナンバー入り住民票を発行してもらうか、無料で個人番号カードを作るか、この3つの選択肢となります。しかし、これは個人番号カードの作成に誘導するようなもので、それを望まない人もいます。少なくとも、取りに来なかった場合の取り扱いについては事前に周知すべきと考えますが、いかがでしょうか。
質問の第四は、視覚障害者への対応についてです。通知カードには、視覚障害者用のバーコードが印字されマイナンバー制度のしくみなどの音声サービスを受けるようになっています。視覚障害者が、戸籍住民課、障害者福祉課の窓口に来た時は、本人の了解を得て別室で番号を読み上げます。また、本人が社会福祉協議会に行き、代読サービスを受けることになりますが、声が漏れた場合第3者に知れてしまいます。区でも障害者福祉課と連携し特に1人暮らしで視覚障害の1級の方や本人が点字を希望する場合は、点字で番号を通知するなどのきめ細かい対応をすべきです。いかがでしょうか。
第二に、経費負担について伺います。
区の今年度のマイナンバー関連予算は、約1億9000万円、現在の執行予定額は8300万円となっていますが、国庫補助は9660万円と見込まれています。仮に予算通り執行されると区の持ち出しが1億円近くにもなり大変な負担です。そもそもマイナンバーに関する経費は全額国が負担するとしていたはずが、実際には地方自治体に負担を押しつけてきました。すでに23区区長会が「国の責任において補助金等、実情に応じた方法で国が全額負担する措置を講じ、地方に新たに負担を生じさせないこと」を国に要望しています。また、全国市長会も同じ主旨の要望が出されています。新宿区もすでに1億円もの持ち出しが懸念される現時点に立って、少なくとも執行された予算の持ち出し分を全額補填するよう、強く要望すべきと考えますが、いかがでしょうか。
第三に、個人事業者への説明について伺います。
10月に2回、マイナンバー制度事業者向けセミナーが開催され、のべ215名が参加しました。参加者からは「従業員からマイナンバーの提出を拒否されたらどうするのか」「法律で課せられる義務を守らないと罰せられるのか」など様々な疑問が出されるなど不安が広がっています。全国中小企業団体連絡会が、10月におこなった各省庁との交渉で「従業員から番号提出を拒否されたときは、その経過を記録する。しかし、記録がないことで罰則はない」「確定申告書など番号不記載でも受理し、罰則・不利益はない」と回答しています。こうした番号記載が強制ではなく、不利益や罰則がないことも含めて周知することで、不安を解消すべきではないでしょうか。商工会議所、区商連とも連携して説明会を引き続き開催するなど、区としては今後どのような対策をお考えでしょうか。
最後に、以上3点に渡って質問しましたが、10月のJNNの世論調査では国が個人情報を管理する事に信頼しないと回答した人が79%にも上っており、国民の多くも情報漏洩に不安を持っています。大量の個人情報の漏洩や不正使用の危険が極めて高いマイナンバー制度は実施を中止するしかありません。少なくとも来年1月からの運用はすべきでないと考えますが、区長の見解をお示しください。(吉住健一区長)マイナンバー制度についてのお尋ねです。
はじめに、返戻される通知カードへの対応と、その取り扱いについてです。
通知カードは簡易書留で世帯ごとに郵送しており、不在による保管期間経過やあて所不明等で一定程度が区に戻ってくることを想定しているところです。来年1月からは、マイナンバー制度の運用が始まることから、制度の円滑な運用のためには、区民が、個人番号を含む自己情報を適切に管理し、制度の目的等について理解を深めていただくことが重要と考えます。このため、区としては、できるだけ多くの方が通知カードを受取れるよう、本年10月から、本庁舎地下1階に「マイナンバーカード相談窓口」を開設し、来年3月まで、きめ細やかな対応を行ってまいります。
また、保管期間経過やあて所不明等の方については、それぞれ適切な時期にお知らせを通知するとともに、広報紙やホームページも活用して、保管期限の来年3月までに、区役所にお越しのうえお受け取りいただくよう、周知をいたします。さらに、国に対しては、国民への正確な情報提供など、積極的かつ適切な措置を講じるよう引き続き求め、制度の円滑な運用に努めてまいります。
次に、点字で個人番号を通知するなどのきめ細かな対応をすべきとのお尋ねです。
区では、これまで視覚障害者を含む障害者団体や、障害者入所施設事業者等に対して、マイナンバー制度の説明会を実施してきました。視覚障害者の方への対応といたしましては、簡易書留の封筒に、大事な郵便物であることが分かるように「マイナンバー通知」という点字を施すとともに、マイナンバーに関する簡単な案内を音声で聞くことができる音声コードを印刷しています。
また、通知カードや個人番号カード交付申請書と同じ台紙に、ご自身の個人番号を音声で聞くことができる音声コードを印刷しています。さらに、個人番号の点字でのお知らせを希望される方につきましては、点字シールを配布する形での対応を検討して参ります。
次に、制度関連経費の負担についてのお尋ねです。
マイナンバー制度の関連経費にかかる国の補助金は、団体規模やシステム類型別に補助上限額や補助率が設定されるなど、補助金と実際の執行額との間に乖離が生じています。
ご指摘のとおり、区は、全国市長会等を通じて、制度の導入及び運用にかかる経費については原則として国が負担し、地方に新たな経費負担が生じないよう、国に要望していますが、マイナンバー制度が国家的社会基盤であることを踏まえ、経費の不足分について必要な財源措置を講じるよう、引き続き要望してまいります。
次に、事業者に対する制度周知のお尋ねです。
マイナンバー制度は、行政機関や地方公共団体だけではなく民間事業者も従業員の個人番号を扱うことから、事業者側における制度理解や体制整備が必要となります。区では、個人事業者を含む中小企業・小規模事業者からの問合せに対し、国の最新情報や事業者向けガイドラインを活用しながら、丁寧な対応に努めているところです。説明会の開催など事業者への対策については、事業者の準備状況も勘案し、東京商工会議所新宿支部や新宿区商店会連合会等とも連携しながら、今後も引き続き効果的な制度周知を行っていきたいと考えています。
次に、少なくとも来年1月からの運用はすべきでないとのお尋ねです。
少子高齢社会において、国民生活を支える社会保障制度を安定維持していくため、公平・公正な負担と給付を実現するためのマイナンバー制度は、重要な社会基盤であると認識しています。
28年1月からマイナンバー制度の運用を始めてまいりますが、国に対し、情報漏えいや不正利用など制度の安全性や信頼性に係る国民の不安を払拭するための安全対策を講じるとともに、国民への正確な情報提供など積極的かつ適切な措置を講じるよう、引き続き求めてまいります。(田中議員) 次に、新たな「介護予防・日常生活支援総合事業」等について質問します。
新宿区でも来年4月から新たな「介護予防・日常生活支援総合事業」が始まります。その具体的実施内容が11月の福祉健康委員会に報告されました。多岐にわたる制度変更なので、問題点はいくつもありますが、今回は何点かに絞って質問します。
予防給付相当サービスについては、訪問型、通所型とも既存の介護事業者が行い、単位も介護保険サービスを基準に設定されていますが、基準緩和型サービスの訪問型はシルバー人材センターが担い、同じく通所型は特養ホームを運営している社会福祉法人等が担うとしています。新総合事業を先行実施している5区のうち、基準緩和型サービスの訪問型を実施しているのは練馬、品川、千代田の3区で、いずれも介護保険事業者に委託されますので、プロのヘルパーが従事する点で新宿区とは大きく違います。そして、1号被保険者すべてが対象となる「一般介護予防事業」は、「介護予防手帳の作成」、「住民等提案型事業」、「地域リハビリテーション活動支援事業」が新たに実施されることになりました。いずれにしても、区民や関係者が不安に思っているのは、必要な人が必要なサービスを受けられるのかということです。そこで以下、具体的に質問します。
第1に、「介護予防・生活支援サービス事業」について伺います。
新たな総合事業の「介護予防・生活支援サービス事業」は、要支援1・2認定者と基本チェックリスト該当者を対象としますが、一方で訪問看護や福祉用具等のサービスは要支援の認定を受けていなければ利用できません。新たな制度では、要支援の認定を受けられるにもかかわらず、基本チェックリストのみで済まされてしまい、申請をしない人が生まれる可能性があります。基本チェックリストも、わずか25項目のA4ペラ1枚のもので、普通の生活を維持するために必要なことがどのくらいできるかという項目はほとんど見あたりません。丁寧な聞き取りで本人の状況を把握すると言いますが、担当者によって差が生じる可能性も否めません。
質問の第一は、介護保険認定申請の権利とサービスを受ける権利を保障することです。区は、「サービスの提供はこれまで通り」「サービスを取り上げることはない」と言いますが、新規利用者についても同様にサービスが提供されるのでしょうか。サービスの支給限度額も要支援2程度なら104,730円まで利用可能と言いますが、その判断を高齢者総合相談センター(以下、高相センターと言います)は、どのような基準で行うのでしょうか。介護保険の認定を受ける権利と、必要なサービスを受ける権利を具体的にどのように保障していくのかお答えください。
質問第二は、基本チェックリストの問題です。相談の窓口はこれまで同様高相センターで、基本チェックリストを用いて聞き取りを行うのもその職員です。しかし、これまでも高相センターの委託事業者によって対応に差が生じるという事態が散見されました。そのようなことを防ぐには、基本チェックリストだけでなく、聞き取るべき項目をマニュアル化し、必要なサービスにつなげる仕組みが必要と考えますがいかがでしょうか。
質問の第三は、高相センターと職員のスキルアップです。「地域ケア会議」なども含め高相センターの役割は一層重要になります。他区と比べて新宿区は手厚い人員配置をしてきたことは評価しますが、今後さらに業務量が増すことは確実で、一層の体制強化と研修など、区の指導を強化することが必要です。その点で具体策をお示しください。
質問の第四は、基準緩和型サービスの訪問型サービスについてです。基本的に介護サービスはプロが行うべきと考えますが、先行実施区のように介護保険事業者へ委託ではなくシルバー人材センターにした理由をお聞かせください。新たな制度ではこれまで自立とされていた方でもサービスを利用することが可能となり、その意味では基準緩和型サービスの訪問型も一定程度有効と考えますが、それには質と量の確保が必要です。区として研修など質の確保に責任を持たなければならないし、従事者の確保についてもスタートまでに何人確保できて今後何人まで増やす計画なのか、具体的にお答えください。また、人材確保のためにも一定の報酬が必要と考えますが、1回あたり131単位とされているサービス費のうち実際に本人に支払われる報酬はいくらになるのかお答えください。また、シルバー人材センターの事務量も相当増えると思いますが、区として人的配置に対する支援をどのようにお考えなのか、お答えください。
第2に、「一般介護予防事業」について伺います。
1人ひとりの高齢者が健康を維持できるような事業の展開と、今も行われている住民主体の介護予防事業を後押しし、さらに拡げていくことが必要で、そのためには区がいかに手厚い支援をするかが鍵となります。
質問の第一は、「住民等提案型事業」です。今も、医療機関や民生委員の方などが運営しているサロン等があり、一定の助成を行う制度もあります。しかし、財政的基盤がないため運営に苦慮しているのが実態です。区の支援として、例えば基準緩和型サービス費を基準に助成してはいかがでしょうか。
第二は、「認知症カフェ」の設置についてです。全国の自治体に広がり始めている「認知症カフェ」について、先日、福祉健康委員会が視察に行った坂出市の取り組みは、市内の各圏域ごとに精神科のある病院などが運営する「認知症カフェ」が設置されており、市は運営助成を行っていました。このような「認知症カフェ」を、今後社会福祉協議会に委託して実施される「生活支援コーディネーター」や「協議体」で具体化、設置してはいかがでしょうか。
第3に、落合第二高齢者総合相談センターの施設改善について伺います。
今後、ますます役割が大きくなる高相センターは、高齢者はもちろん、地域の方々が気軽に立ち寄れる開かれた場所でなくてはなりません。しかし、落合第二高相センターは旧落合第六幼稚園の跡施設を活用しているため、インターホンで門を開けてもらわなければ入れません。これは直ちに改善する必要があると考えますがいかがでしょうか。
第4に、特別養護老人ホームの問題について伺いです。
新宿区の特養待機者は、8月末で869人です。国は、「介護離職ゼロ」を打ち出し首都圏にある国有地を民間相場の4分の1程度の賃貸料で貸し出し、特養の新設を促すとしています。こうした事も活用し、第3次実行計画期間中に新たな特養増設計画を具体化すべきと考えますがいかがでしょうか。一方で、「介護離職ゼロ」は施設増設だけでは「絵に描いた餅」と報道されたように、深刻な人材不足は区内でもある特養ホームのショートスティの半分が閉鎖されたのに続いて、今年オープンした特養も人材不足によりベッドが空いていると聞きました。区としてこの事態をどのように受け止めているのでしょうか。先の定例会でも提案したように、人件費補助を含めた抜本策に打って出るべきと考えますが、いかがでしょうか。以上、答弁願います。(吉住健一区長) 新たな「介護予防・日常生活支援総合事業」等についてのお尋ねです。
はじめに、介護保険認定申請の権利とサービスを受ける権利を保障することについてです。
今回、新たに実施する介護予防・生活支援サービス事業は、これまでと同様に新規利用者を含め、必要なサービスを提供するものです。また、サービスの支給限度額の判断については、高齢者総合相談センターによる介護予防ケアマネジメントの中で、本人の身体機能や生活環境等も含め、従来の要支援認定に準じて、総合的に行って参ります。
なお、本人が介護保険サービスを希望する場合は、介護保険認定の申請を受け付けることから、認定を受ける権利と必要なサービスを受ける権利は保障されるものと考えます。
次に、基本チェックリストについてのお尋ねです。
介護予防・日常生活支援総合事業のマネジメントを行う上で、基本チェックリストの項目だけでなく、日常生活の状況や健康管理の状況等を聞き取ることは、大変重要です。区では、介護予防・日常生活支援総合事業の相談や基本チェックリスト実施の窓口となる各高齢者総合相談センターに対し、その運用方法をまとめたマニュアルを作成し、研修を実施しているところです。
マニュアルの中では、聞き取るべき項目を精査し、相談からサービス利用開始までの仕組みを示して、各高齢者総合相談センターの対応に差が出ないよう努めています。
次に、高齢者総合相談センター職員のスキルアップについてのお尋ねです。
区では、これまでも委託法人と一体となった人材育成や運営支援に取組んでまいりました。具体的には地域ケア会議を円滑に実施するためのファシリテーター研修や危機管理のためのリスクマネジメント研修を開催して、職員の対応力向上に努めています。今後も職員のスキルアップに資する研修を計画的に実施し、区が主体となって必要な支援を行なってまいります。なお、地域型高齢者総合相談センターの体制の強化については、今後の認知症施策への対応や介護と医療の連携強化、相談件数の増加などを踏まえ、現在検討をすすめているところです。
次に、訪問型の基準緩和型サービスについてのお尋ねです。
はじめに、基準緩和型サービスをシルバー人材センターにした理由です。
基準緩和型サービスの受託事業者については、これまで家事援助サービスを実施しており、その中で培い、蓄積してきたスキルやノウハウを活用してサービスを円滑に開始することができるシルバー人材センターが適切と考えました。
次に、サービスの質と人材の確保についてです。
まず、サービスの質については、シルバー人材センターの会員に対して、区がヘルパー養成研修の内容を参考に必要な研修を行うことで確保して参ります。また、人材については、現在、家事援助サービスに就業している158名の会員に加え、就業を希望している100名の会員の意向を確認し、配置する予定です。その後は、サービスの利用者数に応じて必要な人員を確保して参ります。本人への報酬額については、サービス費から10%程度の事務経費を控除した額となります。シルバー人材センターにおける人的配置については、今年9月から、東京しごと財団の「福祉・家事援助コーディネーター設置助成金」を活用して、新たに1名配置し、基準緩和型サービスの実施に向けて対応しているところです。
次に、一般介護予防事業についてのお尋ねです。
はじめに、「住民等提案型事業」における助成についてです。
住民等提案型事業は、介護予防の取り組みを行う住民主体の団体に対し助成を行うことで、介護予防の取組みを広げることを目的としています。団体に対する助成については、運営形態や実施内容等により異なりますが、現在、助成している類似の事業の基準等も参考に検討してまいります。
次に、「認知症カフェ」の設置についてです。
平成28年度から新宿区社会福祉協議会に委託して実施する「生活支援コーディネーター」や「協議体」の取組みは、地域の社会資源や課題を把握して、不足するサービスの開発や支え合いの地域づくりを促進することを目的としています。「認知症カフェ」については、地域の資源や住民主体の運営をコーディネートすることにより、協議体の検討を踏まえ、設置することも可能と考えています。
次に、落合第二高齢者総合相談センターの施設改善についてのお尋ねです。
落合第二高齢者総合相談センターは落合第六小学校内の旧幼稚園舎を活用しているため、セキュリティ上、外部からの入館に制限を設けています。したがって現状の対応については、継続してまいりたいと考えます。なお、高齢者総合相談センターでは、来所相談だけでなく、積極的なアウトリーチによる訪問相談も行なっております。
次に、特別養護老人ホームについてのお尋ねです。
はじめに、第三次実行計画中の新たな特養増設計画についてです。
特別養護老人ホームについては、公有地の活用を中心に、これまで区内に8所、615床整備しました。今後は、在宅生活が困難になった高齢者の生活を支援するため、引き続き公有地の活用を中心にさらに整備してまいります。
次に、介護人材不足の事態を区がどのように受け止めているか、についてです。
介護人材の不足については、区内の特別養護老人ホーム施設長との会合等を通じ現場の声を伺っており、各施設の努力により改善はされているものの、まだ厳しい状況にあると認識しています。
ご質問にある各施設の状況については、建物の構造上の問題や、開設後間もない等の個別の事情もあるため、今後も各施設との協議を進めてまいります。
次に、人件費補助を含めた抜本策についてです。
介護人材確保に向けて、区が直接人件費補助を行う考えはありませんが、新宿区介護サービス事業者協議会やハローワーク新宿と連携し、就職希望者が実際に職場を見学した後に面接に臨む「保育・介護等事業所のツアー面接会」を継続して実施する等、引き続き事業者支援に努めてまいります。(田中議員) 次に、子育て支援について質問いたします。
はじめに待機児童解消策について伺います。
質問の第一は、来年4月1日に向けた待機児童解消策についてです。昨年度途中から今年4月にかけて、認可保育園2カ所の新規開設や既存の保育園3カ所での定員拡大で、計350名の定員を増やしましたが、それでも4月の待機児童数は新定義の待機児童が増え深刻な結果となりました。一方、今年度の取り組みはどうでしょうか。新宿区はさらに待機児童解消策を進め、来年4月1日までに624名拡大するとしています。
現在11月1日付の待機児童は新定義・旧定義で260名と364名となっています。さらに11月5日から来年度4月入園の申し込みは始まっており、申し込み数で昨年並みとのことです。第一次締め切りは12月11日とまだ先ですが、4月入園の申し込み数の動向と待機児童の見通し、この間待機児童が多く発生している箪笥・榎・四谷・落合地域の動向分析とあわせお聞かせください。
箪笥・榎・四谷地域は、これまで以上に重点的に取り組まなくてはなりません。即応性という点で賃貸物件を活用した整備は重要ですが、先の補正予算で賃料補助制度を新設してもなお、現時点では正式な事業者決定はありません。来年4月の4所開設は実現されるのでしょうか。このままで4月1日までに当初の定員拡大目標を達成できるのかどうか、現在の事業者の応募状況と今後の整備計画の見通しをお聞かせください。
質問の第二は、第三次実行計画において更に保育園増設をすすめることについてです。国が掲げる2017年度末待機児童ゼロは第三次実行計画期間中に実現しなくてはなりませんし、新宿区の計画もそれに呼応するものとなっていますが、第三次実行計画通り待機児童ゼロを実現するにはさらに大胆な定員拡大を行う計画とすべきと考えます。2017年度末待機児童ゼロを実現するには、あと何名の定員拡大が必要で、現在の計画では不足することはないのか、不足するとすれば実行計画を修正しピッチを早め整備をすべきと考えますがいかがですか。
今定例会では、2018年度開設予定で旧薬王寺保育園を再開する予算が計上されました。区長の英断を評価します。しかし今回の提案は民間事業者に運営を行わせるとしており、この間、民間事業者での保育士不足などによる問題が様々指摘される中、一刻も早く開設し保護者の要望に応えるためには区立保育園として再開すべきと考えますが、区長のご所見を伺います。
私立認可保育園の賃貸物件による開設が進まない中、公有地活用については急務です。現在活用予定がない新栄保育園の向かいにある国有地やこれまでも提案している旧市ヶ谷商業高等学校跡地等都有地の適否を含めた検討状況や東京都・国への照会状況についてお聞かせください。国は特別養護老人ホームなどの介護施設を増やすため、国有地を現在の半額の賃料で貸し出す意向です。私どもは11月13日国会議員とともに国に要望してまいりましたが、介護施設と同様に保育園用地についても国有地の賃料を下げることを区として求めるべきと考えますが区長のご所見を伺います。
次に、保護者の経済的支援について伺います。
質問の第一は、認可外保育施設の利用者に対する助成についてです。区は認可外保育施設の利用実態を把握するため、区民の利用者数や利用時間などについての聞き取りや、東京都による立入調査の実施状況、改善状況などから実態把握を行いましたが、この実態調査の結果をまずお示しください。その調査結果もふまえ、一定の保育水準を保持している認可外保育施設については保育料助成に踏み出すべきと考えますがいかがでしょうか。23区で最も合計特殊出生率が低い新宿区の現状からして、他自治体で活用される地方創生関連予算などの活用も検討すべきと考えますがいかがでしょうか。
質問の第二は、新制度に移行する私立幼稚園・認定こども園入園料補助金についてです。子ども・子育て新制度がはじまり、新制度に移行する幼稚園、子ども園については私学助成から公定価格へ制度移行します。これまで保護者に求めていた入園料は公定価格に含まれるという国の原則的な考え方があるため、新宿区は入園料補助金制度を廃止しました。
西落合3丁目に隣接する中野区に「やはたみずのとう幼稚園」があります。210名の園児のうち41名は新宿区民で、来年度も19名が入園を予定しています。この園は新制度に移行しましたが、来年度も入園料を設定しています。新宿区から補助金廃止の通知を受け取ったのは10月14日とのことで、園長は「寝耳に水」で大変驚いたそうです。保護者にとっては11月1日の願書受付まで2週間と切迫しており、「園の教育方針には共感しているが入園を本当に迷った」等の声も多数伺いました。園選びは一年以上かけて行い、自らの教育観と園の方針を重ね合わせ選んでいくものです。入園補助金廃止の通知がぎりぎりになったことで園にも保護者にも混乱をもたらしています。
そこで伺いますが、今回の通知はあまりにも急であり再考すること、少なくとも来年度については同園に多く通う中野区民と同様、4万円の補助とすること、その後については園の経営状態をよく聞き取り、教育環境の整備と保護者負担の軽減についてよく相談することを提案しますが、以上三点についてお答えください。
次に、区立幼稚園での預かり保育実施について伺います。
今年度、市谷及び西戸山幼稚園で預かり保育が試行されています。先日、文教子ども家庭委員会で西戸山幼稚園を視察しました。定期利用児は3才児1名、4歳児1名で最大18名の方が利用し、だんだんと利用者が増えているとのことです。しかし、第三次実行計画(素案)では、28、29年度は試行2園に加え鶴巻と花園幼稚園しか予定していません。今年度の幼稚園応募状況を見ても幼稚園需要はやはり増えており、預かり保育についても当然需要があります。そこで、来年度については、入園予定者を含め、全保護者にアンケートをとり、一定の需要がある園では年度途中からでも預かり保育を実施してはいかがでしょうか。また再来年度からは全園での実施を第三次実行計画に盛り込むべきと考えますがいかがでしょうか。
以上、答弁願います。(吉住健一区長) 子育て支援についてのお尋ねです。
初めに、待機児童解消対策についてです。
まず、来年度4月入園の申込数の動向と待機児童の見通し、箪笥・榎・四谷・落合地域の動向分析についてです。
現在の窓口での申込みや電話での問い合わせの状況は昨年とほぼ同じ程度であり、最終的な申込数も昨年並みと予測しています。待機児童の見通しについては、四谷、箪笥、榎町の東南地域は、大木戸子ども園、ポピンズナーサリースクール市ヶ谷、ほっぺるランド神楽坂の定員拡大や(仮称)早稲田南町保育園分園の新設により一定の効果を見込んでいます。また、落合を含む西北地域は、本年4月開設のグローバルキッズ西落合保育園や7月開設のもみの樹園事業所内保育所による定員増で、一定の効果が見られたことから、その傾向が続くものと予測しています。こうしたことから、平成28年4月の待機児童数については、平成27年4月と比較して改善が期待できると考えています。
次に、賃貸物件を活用した認可保育所の来年4月の開設見込みと現在の事業者の応募状況についてです。
来年4月の定員拡大の内、賃貸物件を活用した整備は、ポピンズナーサリースクール市ヶ谷とほっぺるランド神楽坂の定員拡大、ニチイキッズ曙橋保育園と保育所まぁむ高田馬場駅前園の認可保育所への移行の4事業となります。定員拡大の目標数としては、当初の計画が471名だったところ、これを大幅に超える624名の定員拡大を行うものです。
次に、保育所整備の応募状況と今後の整備計画の見通しについてです。
現在、事業計画上の整備区域内の2ヶ所で認可保育所整備の提案があり、開設に向けた協議を行っているところです。いずれも今後の見通しとしては、平成28年度早期の開設を目指しています。
次に、第三次実行計画においてさらに保育所増設を進めることについてのお尋ねです。
区では、今年4月の待機児童の状況をふまえ、子ども・子育て支援事業計画の目標量を大幅に超える保育所整備を進めています。今後も、新年度入園の申込状況や地域の乳幼児人口の推移、マンション等の開発状況を分析しながら、必要に応じて子ども・子育て支援事業計画の見直しを行い、機動的な待機児童解消に確実に取り組んでまいります。
今後の取り組みのひとつとして、平成30年4月に薬王寺児童館等合築施設1階に開設予定の保育施設は、私立認可保育園とする予定です。区の建物であっても、民間事業者に貸付けて整備することで、開設までの整備費と毎年の運営費に対する区の財政負担を大幅に軽減します。また、区は私立保育園の保育の質を確実に担保するため、公募プロポーザル方式による事業選定を実施し、区が求める水準を満たしているかどうか厳正に審査を実施することにより、保護者が安心して選択できる保育環境を整備します。
次に公有地の活用についての検討及び照会状況についてです。
新栄保育園向いの国有地については、中央地域に位置し、保育所整備計画地域でないため、新たに保育所を整備する予定はありません。また、旧市ヶ谷商業高校跡の都有地については、以前から都にも打診していますが、平成29年3月まで区が借用しており、その後の活用については平成29年4月以降に検討するので現段階では要望を受けられないとの回答は変わっておりません。保育所用地としての国有地の賃料値下げについては、全国市長会を通じて、貸付けや売却価格などの積極的な減免措置の実施を国へ要望しており、今後も更なる軽減を図るよう、引き続き要望していきます。
次に、保護者の経済的支援についてのお尋ねです。
まず、認可外保育施設の利用者に対する助成についてです。
区では、6月に、認可外保育施設の利用者の状況や東京都の立ち入り調査の状況等を調査しました。対象とした21所のうち回答のあった15の施設において、区民の利用者数は320名程度で、ひと月当たりの利用時間は120時間未満から160時間以上と様々でした。また、東京都の立ち入り調査は、対象施設が多いことから、毎年定期的には行われておらず、新規開設した場合でも、必ずしも一定の期間内に調査が行われるということではありませんでした。
子ども・子育て支援新制度において創設された小規模保育事業への移行の可能性についても、定員設定が適合しそうな施設を対象に調査しました。これらの施設には、厚生労働省が定めた指導監督基準を満たす施設も含まれていましたが、こうした国の基準を満たす施設であっても、設備面などに課題があり、現状では区が定めた基準での認可は難しい状況です。
このような調査結果を踏まえ、区としては、今後も認可施設への移行を促していく中で、保育の質を確保しながら、利用者の負担軽減も図っていく考えです。したがって、認可外保育施設の利用者負担軽減に対して地方創生関連予算を活用することは考えておりません。(教育長)教育委員会へのご質問にお答えします。
はじめに、新制度に移行する私立幼稚園・認定こども園の入園料補助金廃止についてのお尋ねです。
現在、区では私立幼稚園・認定こども園の入園料に対し保護者世帯の所得の多寡にかかわらず、8万円を限度に補助金を交付しています。新制度に移行した私立幼稚園・認定こども園は、基本的に教育・保育に通常要する費用の額を勘案して国が定める基準により算定した公定価格で運営されます。今回の決定は、こうした子ども・子育て支援新制度の趣旨を踏まえ、基準外の徴収金を補助金の交付対象外としたものであり、来年の入園申込みの手続きの前にお知らせすべく、10月中旬の通知発送となったものです。なお、新制度に移行した私立幼稚園・認定こども園における、教育・保育に関する費用等の運営状況につきましては、利用する園児の住所要件のある自治体にも調査権限等がありますので、他区にある園に対しましても、必要に応じてその都度、対応してまいります。
次に、区立幼稚園での預かり保育の実施についてのお尋ねです。
幼稚園における在園児を対象とした預かり保育のニーズ量と確保策については、平成31年度分まで「新宿区次世代育成支援計画(第三期)」に示されています。このため、来年度に預かり保育のニーズ量に関する大規模なアンケート調査を実施する予定はありません。平成28、29年度の預かり保育の実施園は、地域バランス等を踏まえて市谷、鶴巻、花園及び西戸山幼稚園の4園を予定しています。今後は、4園での預かり保育の利用状況等を検証した上で、平成30年度以降の区立幼稚園における預かり保育の実施体制について検討を進めていきます。(田中議員) 次に、学校選択制と教員の事務負担軽減について質問します。
はじめに、学校選択制について伺います。
2004年度から導入された学校選択制は、児童・生徒数の学校間格差が広がるなど様々な問題点が浮かび上がっています。教育委員会は2013年度から小学校について、「抽選時の兄弟姉妹優先取り扱い」を廃止し、「選択できない学校の指定」を実施しています。当初、選択できない学校は2校でしたが、14年度3校、15年度5校、来年度も5校の予定です。また、来年度の抽選対象校は今年度より2校増え11校になり、選択して確実に入学できる小学校は29校中13校しかありません。また中学校は毎年10校中、3校~5校が抽選になっています。保護者からは「抽選結果が出るまでどの小学校に入学できるのか決まらず親子共々不安になる」、「入りたい学校が選択できない学校では選択制の意味がない」など、不満の声が出ています。地域の方からは、「選択制で地域の子が別の学校に通っているのはおかしい」、「お祭りなどの行事に地域の子どもが来ない」など、以前から多くのご意見を伺っています。地域協働学校の全校実施を進め、地域と学校の結びつきを強めようとするときに学校選択制を続けるのは大きな矛盾です。
私たちはこれまでも繰り返し学校選択制の廃止を求めてきましたが、区教育委員会は、第3回定例会で、「学校選択制度を巡る様々な成果や課題を分析し、総合的な検証を今後行う」と表明されました。
質問の第1は、検証を行う会議体についてです。早急に立ち上げ、2017年度の入学選択時期である来年の夏までに結論を出すべきと思いますが、今後のスケジュールも合わせてお聞かせ下さい。また、会議体のメンバーについてもお聞かせ下さい。私は、保護者の代表として小中学校のPTAだけではなく、就学前のお子さんを持つ区民の方にも入って頂く必要があると考えますがいかがでしょうか。そして、検証は学校選択制の廃止も含めて議論すべきですがいかがでしょうか。
質問の第2は、検証を行う際、区民の意見を反映させることについてです。小中学校の保護者、就学前児童の保護者、教員、学校関係者団体、地域の方々等へアンケートやヒアリングを行ってはいかがでしょうか。
質問の第3は、通学区域についてです。現在、小学校では通学区域内の児童数に偏りが出ています。例えば、来年度でみると、受入可能数70人に対して、早稲田小は100人、一方で鶴巻23人、四谷地域では四谷小116人、四谷第六小81人、花園小22人となっています。学校選択制を廃止したとしても児童数の格差は残ります。この際、学校選択制の検証を通学区域見直しの検討と合わせて行ってはいかがでしょうか。
次に、教員の事務負担軽減について伺います。
現在、全国的に教員の多忙問題が深刻となっていますが、その中でも教員本来の業務とは言い難い事務の多さがその要因の1つといわれています。教員の事務負担を軽減し、児童生徒に向き合う時間や授業の質を高めるための研修・準備等の時間をつくる取り組みが求められています。文部科学省は「学校運営に資する取り組み(教員の勤務負担軽減等)事業」の実践例をHPに掲載し、奨励しています。どの実践例も教育委員会自ら取り組みの方向を示し、必要であれば予算を付けて推進しています。新宿区教育委員会としても、教員の事務負担軽減の具体的な取り組みを総合的に検討し、実施すべきと考えますがいかがでしょうか。
世田谷区は、昨年策定した第2次教育ビジョンで「教員が子どもと関わる時間の拡充」を掲げ、以前より学校長等から強い要望のあった学校給食費を公会計化する方針を決めました。新宿区を始め多くの自治体では、各学校で給食事務担当の教員や栄養士が給食費の徴収や清算事務、未納が発生した場合の督促など行っており大きな負担になっています。
世田谷区は、昨年各学校に対し給食事務の調査を行ったところ、1人あたりの業務時間は徴収管理に月平均4~6時間程度、滞納整理は月平均1~3時間程度の学校が多く、中にはそれぞれ20時間以上費やす学校もあったそうです。特に滞納の督促は帰宅時間が遅い保護者への電話など精神的な負担感も大きいそうです。公会計化によって給食費の収納管理や未納者対応などは教育委員会事務局が一括して行います。収納管理システムの開発を行った後、中学校は2017年度、小学校は2018年度から実施の予定です。
公会計の導入は都内の自治体ではまだありませんが、全国的には横浜市、大阪市等多くの自治体で進んでいます。導入して3年目の長野県塩尻市にお話を伺うと、教員の負担軽減に大いに役立ったのはもちろんですが、督促業務等から知り得た困難な家庭の実態を当該学校に情報提供するとともに、家庭支援課にも協力を求めるなど迅速で総合的な対応ができるという効果もある、とのことでした。
新宿区としても教員の負担を軽減し、児童生徒と向き合う時間を確保するために、給食費の公会計化を行うべきと考えますがいかがですか。各学校の給食事務の現状をどう把握されているのかも合わせてお答え下さい。
また、事務負担の1つとして、教材費等の集金・支払いという業務があります。区内のほとんどの小学校では、学級担任が直接児童から細かい金額を集金し、計算し、保管し、業者への支払いも行っています。一方、中学校は全校が口座引き落としにして効率化を図っているそうです。小学校についても同様のシステムにすべきと考えますが、教育委員会のご見解をお聞かせ下さい。
以上、答弁願います。(教育長) 学校選択制と教員の事務負担軽減についてのお尋ねです。
はじめに、学校選択制度の検証を行う会議体についてです。
検証を行う会議体につきましては、今年度中に委員の方の選定を行い、来年度に学識経験者や、町会の代表の方、また未就学児保護者の方も含め小中幼各校園長の代表者などを委員とした会議体を立ち上げ答申をいただくことを考えています。現在の予定としては、会議日程の調整を図った上で、来年度に複数回の会議を行い、答申を固めていくというスケジュールを考えています。
その後、教育委員会で答申内容を検討した上で方針案を作成し、パブリックコメントの実施などにより、広く区民の皆さまのご意見をいただきます。こうして、平成28年度中に方針を決定したうえで、平成29年度に周知を図ってまいります。
したがって、検証結果に基づく新たな就学制度の実施については、平成30年度からとなります。
次に、通学区域の見直しの検討についてのお尋ねです。
通学区域は長い歴史を踏まえ、町会・自治会の区割りなどを考慮して指定された経緯があり、地域社会と密接な関わりを持ちながら、現在に至っているものです。
したがって、区域の見直しについてはその影響を考慮し、慎重な検討と多くの方々との議論が必要となるため、今回立ち上げる会議体での検討はいたしません。
次に、教員の事務負担軽減についてのお尋ねです。
教育委員会では、平成22年3月に「学校事務効率化検討チーム」での総合的な検討結果を踏まえて、具体的な改善策を取りまとめ、これまで教員の事務負担の軽減に取り組んできました。
改善策としては、大規模小学校などに副校長の補助職員として、事務処理に精通している区の再雇用職員を配置することにより、副校長の事務負担の軽減を図りました。
また、教員の事務処理として負担となっていた指導要録や通知表などの手書きで処理していた書類について、校務支援システムを導入することにより、電子化が図られ、事務処理の効率化を推進しました。現在もヘルプデスクの常時設置やICT支援員による各学校への巡回など、教員をサポートしています。
加えて、学校宛ての様々なパンフレット・リーフレット等の配布物の精査や出張を伴う会議の開催の縮減などにより、学校現場の事務的な負担の軽減も図っております。こうした取組みを引き続き実施するとともに、今後も、教員の事務負担の軽減に努めてまいります。
次に給食費の公会計化についてです。
既に公会計化を実施した自治体の例に見られるように、給食会計の公会計化に当たっては、収納管理システムの構築と維持管理に要する経費負担、給食費納付率の低下や人的配置など多くの課題があります。このため、当面、学校給食会計を公会計化する予定はありません。
次に各学校の給食事務の現状についてです。
各学校の給食会計事務処理は、主に区費の事務職員、学校栄養士に加え、学校の実情に応じて教員も行っています。現在、一部の小学校には、給食会計専門の臨時職員を配置していますが、今後も、各学校における給食会計事務について負担を軽減できる方法を検討していきます。
次に、小学校における教材費等の集金や支払いについてのお尋ねです。
教材費等の私費会計における集金や支払いの事務については、学校現場の負担軽減の取りまとめの際に、「学校事務効率化検討チーム」により、既に検討を行ったところです。
検討した結果、小学校と中学校の状況の違いを踏まえて小学校では、徴収金額が少額であり件数も少ないことから、口座引落しにしてもメリットがそれほど多くないと評価しました。一方で、口座引落しにした場合には、口座登録・管理の手間や振込未納者への対応などの点で、かえって学校の負担が大きくなると想定されたことから、現金を徴収する現行の処理方法が小学校の現場事情には適していると判断したところです。
以上で答弁を終わります。2015.12.15 更新