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    2015年第3回定例議会 一般質問

    9月16日の本会議で、あざみ民栄議員が保育園の待機児童解消とより良い保育環境の整備について一般質問を行いました。

    正式な会議録ではありませんが、概要をご紹介します。

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     日本共産党区議団のあざみ民栄です。私は、子どもの貧困対策について一般質問します。
     2012年、子どもの貧困率は16.3%、6人に1人となり過去最悪の数字になりました。昨年1月、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が施行され、8月には対策の方向を示す「大綱」が閣議決定されました。この「大綱」によって、地方自治体は施策づくりが責務となり、実効性ある対策をどう進めていくか区の姿勢が問われています。
     大綱で示された子どもの貧困を表す指標は25項目あります。例えば、生活保護世帯の子どもの高校等進学率が全国平均で90.8%に対し新宿区は85.7%、高校等中退率は全国5.3%に対し15.4%となっており全国平均より貧困度が深刻です。また、大綱の指標ではありませんが、就学援助認定率を23区の2013年度の数字で比べてみると、新宿区は高い方から小学校で12番目、中学校では7番目です。
     区は今年度、庁内でPTを立ち上げ、実際の事例の分析、現行施策に加え補足すべき施策や区として持つべき指標の検討を行うと6月の定例会で答弁されていましたが、未だにPTは立ち上がっていないと聞いています。早急にPTを立ち上げ、具体的な検討を進めるべきです。今後のスケジュールをお聞かせ下さい。また、今示したような現時点でわかっている指標や現場で把握していることなどから、新宿区の子どもの貧困の実情や背景をどう捉えているのか、伺います。
     「大綱」が示す重点施策は、教育の支援、生活の支援、就労支援、経済的支援、実態把握のための調査研究が挙げられています。法施行から1年以上たち全国の自治体で具体的な取り組みが始まっています。足立区は今年度、「子どもの貧困対策元年」と位置づけ、様々な取り組みを具体化しています。まず事業が複数の所管にまたがるので横串をさして進めていくために「子どもの貧困対策部」を設置し、「早期」と「きめ細やか」をキーワードに、大綱に沿った総合的な施策を展開しています。
     新宿区は、学習支援やスクールソーシャルワーカー導入など積極的に行ってきたことは承知していますが、新宿区の子どもの貧困防止にむけてさらに取り組みを推進していく必要があります。以下具体的に質問いたします。 
     第1に教育の支援です。
     家計の状況にかかわらず子どもが教育を受ける権利を保障することは最重要課題の1つです。しかし政府は、子どもの貧困対策の具体的施策として強く要望されている給付型の奨学金制度をいまだ創設していません。区として要望すべきと考えますがいかがですか。また、区としても、世帯の収入を基準とした給付型の奨学金制度を創設すること、当面は島田育英基金の対象人数を増やすことを求めますがいかがでしょうか。
     現在、東京都が実施している受験生チャレンジ支援貸付事業ですが、高校、大学受験のための上限20万円の塾代と受験料に貸し付けを行う制度で喜ばれている一方で、大手塾紹介サイトによると受験生の塾代平均は40~50万円であり、「貸付額を上げてほしい」との声も聞いています。区として貸付額の増額を東京都に要望して頂きたいと思いますがいかがですか。また、生活保護世帯の子ども向けの塾代補助は上限15万円であり、せめてチャレンジ支援と同額に引き上げるべきと考えますがいかがでしょうか。
     政府は、2019年度までにスクールソーシャルワーカーを全ての中学校区に配置する方向を打ち出しています。区教育委員会としてスクールソーシャルワーカーの配置計画を持ち、増員すべきと考えますがいかがでしょうか。
     第2に生活の支援です。
     8月10日付けの東京新聞に以下のような記事が載っていました。『非営利団体「フードバンクかわさき」に「子どもが夏休みでご飯がなく、お米などを援助してもらえないか」というメールがあった。この家庭は2人の小学生がいるが父母とも心の病、父親は非正規で働いているが夏は勤務が少なく収入は激減。夏休みはこうしたSOSが増えるという。川崎市では養護教諭対象のアンケートで「夏休みにやせる子どもが増加している」という報告があった・・』という内容の記事を読み、私は少なからずショックを受けました。新宿区も例外ではありません。先日、区内のある小学校の先生から、「夏休み明けの身体測定で、体重が減っている子どもが複数いる」というお話を伺いました。
     教育以前に子どもの健康、命が脅かされています。こうした子どもの欠食問題について区はどのように認識し、新宿区の子どもたちの状況をどう把握しているのか、伺います。
     現在、新宿区が後援しているステップアップ塾はひとり親世帯への学習支援と給食の提供を行っていますが、給食だけの提供はありません。今、全国的に子どもだけで入れる、廉価または無料の「子ども食堂」が注目されています。都内では、大田区、豊島区、練馬区、荒川区、調布市、八王子市等に広がっています。多くは地域の住民が中心になり、運営費は個人、地元中小企業、教会、お寺等の支援、寄付でまかなっています。どこも食事の提供だけではなく子どもの居場所にもなっています。NPO法人豊島ワクワクネットワークはプレイパークや無料学習支援の他に、1食300円の「あさやけ子ども食堂」を開いています。店主の山田さんは、「全国から農作物の寄付があるからやっていける。行政の支援があったらもっと広がる」とおっしゃっていました。
     調布市は市内で居場所と食事の提供を行っているNPO法人青少年の居場所キートスに対し一昨年度から3年の時限ですが年間180万円を助成しています。来年度以降は同様の事業を市主体で行っていくことを検討中とのことです。新宿区もこうした取り組みを行っているNPO法人等に委託し、子どもへの食事の提供と居場所づくりを行ってはいかがでしょうか。また現在、生活困窮世帯の中学生対象に行っている学習支援に食事の提供を合わせて行っていただきたいと思いますがいかがですか。
     区立の子どもの居場所として大変重要な児童館、学童クラブについてです。学童クラブは対象学年が6年生までになったにも関わらず、定員不足による4年生以上の待機児童が生まれています。また、中高生対象の児童館も求められています。学童クラブと児童館の増設については繰り返し求めているところですが、今後どのように対応していくのかお聞かせ下さい。
     第3に保護者への就労支援です。
     足立区は保護者への就労支援として、ひとり親世帯を対象とする高等職業訓練促進給付金の支給期間を2年から4年に延長しました。新宿区としても支給期間を延長してはいかがですか。また、区役所に就労相談窓口を設置し、福祉、学校、就労など必要な手続きは全て区役所でできる環境を作る必要があると考えます。 政府も施策の方向性として相談窓口のワンストップ化を提唱しています。いかがでしょうか。
     第4に経済的支援です。
     新宿区の就学援助の認定基準は現在1.2倍ですが、江戸川区は1.5倍、台東・板橋は1.26倍、品川は1.25倍です。当面1.3倍に引き上げるべきです。そして、対象費目についてはメガネ・コンタクトレンズ購入費を加え、アルバム代については学校によって差があることから実態に見合った金額に引き上げるべきですがいかがですか。
     最後に、子どもの貧困対策の総合担当部署を足立区も参考に設置すべきと考えますが区の見解をお聞かせ下さい。 
     以上、答弁を求めます。


    (子ども家庭部長) あざみ議員のご質問にお答えします。
     子どもの貧困対策についてのお尋ねです。
     まず、庁内の検討PTの立ち上げと今後のスケジュールについてです。
     本年3月に策定した、第三期新宿区次世代育成支援計画では、国の定めた「子どもの貧困対策に関する大綱」を踏まえ、「子どもの貧困防止に向けて」という課題設定をし、世帯状況に応じたきめ細かな支援の検討を掲げています。関係部署によるPTは、各種手当や学習支援、生活支援、就労支援等を所管する部局が、それぞれの事例と課題を持ち寄りながら具体的な検討が行えるような会議体を目指して、現在調整を進めており、準備が整い次第、検討会を開催する予定です。
     次に、新宿区の子どもの貧困の実情や背景をどのように捉えているのかについてです。
     現時点でわかっている指標や、現場で把握していることなどから、貧困に陥りやすいひとり親家庭へのさらなる支援や、小学校低学年からの学習支援のほか、経済的状況を背景に養育困難や虐待に至る家庭等の問題について、早急な対応が必要であると考えています。
     次に、子どもの欠食問題についてです。
     きちんと食事を摂ることは、子どもが心身ともに豊かに成長するために欠かせないものです。区では、「新宿区子ども家庭・若者サポートネットワーク」を中心に、欠食問題を含め、養育環境に課題のある児童の早期発見に努めています。欠食の状況があれば、要支援家庭として捉え、家庭内の課題を精査し、福祉事務所や必要なサービスにつなぐ等、子どもの養育環境を整えるよう努めています。さらに、子どもの生命に関わると危惧した場合は、児童相談所と連携し子どもの安全確保を図っていきます。
     次に、NPO法人等への委託による、子どもへの食事の提供と居場所づくりについてです。
     ご質問のように、様々な地域において食事の提供や学習支援、子どもの居場所づくりなどが、NPO法人を中心に、有志の方々の寄付や協力のもと行われています。このような家庭の子どもたちのために活動している団体との、協働や連携を進めていく必要があると考えています。
     次に、児童館及び学童クラブの増設についてのお尋ねです。
     区内には、すべての区立中学校の学区域に計20か所の児童館、児童コーナーがあります。各児童館等では、優先利用時間を設けたり中高生対象行事を行うなど、居場所を必要とする中高生が利用しやすいよう様々な工夫をしています。加えて、子ども総合センターをはじめ4所の児童コーナーでは、中高生専用室も設けており、児童館を増設することは考えておりません。
     学童クラブについては、成長段階や家庭の状況に応じて必要な保護機能は異なると認識しています。特に高学年の放課後には様々な過ごし方があるため、4年生以上については、定員を上回る場合は、機能拡充した放課後子どもひろばや学童クラブの学校休業期間利用を含めた様々な居場所事業等をご利用いただいているところです。今後も、学童クラブの定員増や機能拡充する放課後子どもひろばの拡大など、それぞれの事業の利用動向を見ながら、必要に応じて確保方策も見直し、地域において子どもが育つ場の整備・充実に努めてまいります。
     まず、ひとり親世帯を対象とする「母子家庭等自立支援高等職業訓練促進給付金」の支給期間についてのお尋ねです。
     この制度は、ひとり親家庭の親が、就職に有利な資格を取得するために修業期間2年以上の養成機関等に通う場合、その間の経済的支援として課税世帯には月額7万500円を、非課税世帯には月額10万円を2年間給付する国の制度です。資格の種別や養成機関により、資格取得に必要な修業期間が異なり、3年以上の修業が必要な場合もありますが、修業期間の3年目以降は東京都母子及び父子福祉資金の無利子貸付をご案内しています。現在、区としては国制度へ上乗せ給付を行う予定はありませんが、子どもの貧困対策を総合的に検討していく中で、保護者への就労支援の在り方も含め、考えてまいります。
     次に、子どもの貧困対策の総合担当部署を設置することについてです。
    子どもの将来が、その生まれ育った環境によって左右されることがないように、また、貧困が世代を超えて連鎖することがないよう、経済的な支援をはじめ就労支援や学習支援など、これまでも各部署が様々な施策で対応を行っているところです。そのため、子どもの貧困対策を総合的に担当する部署を設置する考えはありませんが、必要とする方に必要なサービスが確実に届けられるよう、関係部署の連携をいっそう強化してまいります。

    (総務部長) 次に、島田育英基金の対象人数を増やすことについてのお尋ねです。
    島田育英基金は、故島田米蔵様、他ご遺族の方からのご寄附により設置した基金であり、社会に有為な人材の育成を目的として、学業成績優秀な生徒に対し、昭和61年度から育英資金を支給しています。運用利率の低下により、平成15年度から奨学生数は10人としていましたが、より多くの育英資金の交付が望まれて、21年度から15人に増やしたところです。育英資金は、寄附者のご意向を尊重して、島田育英基金条例に基づき、世帯の状況に関わらず、各学校から推薦された学業成績優秀な生徒を対象に、選考により支給しているものであり、子どもの貧困対策の観点から対象人数を増やすことは考えていません。

    (福祉部長) 次に、受験生チャレンジ支援貸付事業の貸付額の増額を区として都に要望することについてです。
     受験生チャレンジ支援貸付事業は、学習塾などの費用や、高校や大学などの受験費用について貸付けを行う事業です。これまでの利用者アンケートでは、多くの保護者の方から「安心して受験することができました。塾や受験費用がとても助かりました。」というご意見をいただき、ご利用の際にも塾や受験にかかる費用を補う貸付事業とご理解いただいているところです。したがって、現時点では、区として東京都に貸付額の増額を要望することは考えておりません。
     次に、生活保護世帯の子ども向けの塾代補助の引き上げについてのお尋ねです。
     生活保護世帯の子ども向けの塾代補助は、東京都の被保護者自立促進事業の選択事業として、補助を受け実施しています。生活保護世帯の子ども向けの塾代補助の上限額については、受験生チャレンジ支援貸付事業との均衡を図るように、東京都へ引き上げを要望していきます。
     次に、生活困窮世帯の中学生を対象に行っている学習支援において、食事の提供を行うことについてです。
     生活困窮世帯の中学生を対象に行っている学習支援は、生活困窮者自立支援法に基づき、高校進学を目的に、一人ひとりの状況に応じた支援を行うものです。そのため、食事の提供を行うことは考えておりません。

    (地域文化部長) 次に、就労相談窓口を設置し、福祉、学校、就労などの手続きを全て区役所でできる環境の整備についてです。
     区は、生活保護受給者、児童扶養手当受給者等を対象として、平成23年7月にハローワークの出先機関である「新宿就職サポートナビ」を区役所第二分庁舎分館内に開設し、ハローワークと区による「雇用と福祉の一体的就労支援事業」を実施しています。「新宿就職サポートナビ」では、就職や転職に向け、専任の就労支援ナビゲーターのきめ細かな支援を受けることができます。平成27年4月には生活困窮者自立支援法が施行され、同法に基づく支援対象者も「新宿就職サポートナビ」による就労支援が可能になっています。今後も、相談に訪れた方が少しでも早く、生活困窮から脱却できるよう支援してまいります。

    (教育委員会事務局次長) 国に対する給付型奨学金制度創設の要望についてのお尋ねです。
     教育委員会では、国の平成28年度予算編成に当たり、全国都市教育長協議会を通じて、教育費負担の軽減策として、無利子奨学金の事業費の増額や給付型奨学金制度の拡充等、奨学金事業のさらなる充実を要望しています。
     次に、区の給付型奨学金制度創設についてのお尋ねですが、現在、国に要望していることから、現時点で創設を考えていませんが、教育委員会では、高等学校等に在学又は入学する者のうち、経済的な理由により修学が困難な生徒を対象に、無利子で資金を貸付ける新宿区奨学資金貸付制度をこれからも継続して実施することにより、修学の支援を図ってまいります。
     次に、スクールソーシャルワーカーの配置計画と増員についてのお尋ねです。
     現在、新宿区では、社会福祉士等の資格を有するスクールソーシャルワーカー2名を配置し、学校を定期訪問して、支援・相談・情報提供や、不登校の対応相談、学校と関係機関との連絡調整にあたっています。ご指摘のように、「子供の貧困対策に関する大綱」が平成26年8月に閣議決定され、その中で、スクールソーシャルワーカーの配置の拡充が示されています。この大綱を踏まえ、全国で約1,500人いるスクールソーシャルワーカーを、5年後までに1万人へ拡充する概算要求が文部科学省から示されています。このことは、新聞等でも報道されておりますが、現段階では、区市町村に具体的には示されておりません。新宿区では、今後の国や都の動向、学校の状況を踏まえ、スクールソーシャルワーカーの適正な配置と活用について検討してまいります。
     次に、就学援助についてのお尋ねです。
     就学援助の対象は、生活保護法を基準に決められ、新宿区は生活保護基準の1.2倍の所得まで、援助対象にしています。この基準は、26年度現在で、23区中、新宿区を含め15区が同様に適用をしていることから、妥当なものと考えており、倍率の引き上げについては考えておりません。なお、生活保護基準については、平成25年に見直されておりますが、その影響が及ばないよう、現在、基準が引き下げられる前の所得基準で認定を行うとともに、昨年4月の消費税率改定なども踏まえ、支給単価を上乗せし、配慮をしているところです。
     次に、眼鏡購入費を就学援助の対象費目に加えるべきとのご提案についてです。
     就学援助の対象費目には、医療費がありますが、これは感染性や学習に支障を生ずるおそれのある疾病について、その治療のための費用の援助を行うこととされている学校保健安全法に準じたものです。この学校保健安全法において視力低下は、治療費の対象となる疾病には含まれておりません。このため、眼鏡の購入費を就学援助の対象とはしておりません。
     次に、卒業アルバム代の援助について、実態に見合った金額にすべきではないかとのお尋ねです。
     卒業アルバム代については、アルバム製作に対する考え方や係る経費に、各校でかなりの幅があることから、実態にあった形での援助は難しいと考えます。

    区議会活動 | あざみ民栄

    2015.10.16 更新

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