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    2018年第1回定例会 代表質問

    2月20日の本会議で、佐藤佳一議員が以下の項目について代表質問を行いました。

    1. 区長の政治姿勢について 【区長】
    2. 区政の基本方針と2018年度予算について 【区長】
    3. 第一次実行計画について 【区長】
    4. ヘイトスピーチ対策について 【区長】
    5. 待機児童解消と子育て支援策の充実について【区長】【教育委員会】
    6. 国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、および介護保険について 【区長】

     

     

    ◆7番(佐藤佳一) 日本共産党新宿区議団の佐藤佳一です。2018年第1回定例会に当たり、会派を代表して区長並びに教育委員会に質問します。
     2月9日、第23回冬季オリンピック大会が韓国の平昌で開幕しました。国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長は「五輪精神とは、互いにうやまう心、話し合うこと、そして理解し合うこと」と語り、北朝鮮の参加について「平和的な対話の扉を開いた」と述べました。北朝鮮の核ミサイル開発などをめぐり緊迫の度合いを増している東アジアの情勢に緩和と対話の道が開かれることを期待して質問に入ります。
     最初に、区長の政治姿勢について質問します。
     第1は、安倍政権下での憲法9条改定についてです。
     安倍首相は、ことしの年頭会見で「今こそ憲法のあるべき姿を提示する」と述べましたが、共同通信が1月13日、14日に行った世論調査では、9条に自衛隊を明記する安倍首相の提案に反対が52.7%、賛成が35.3%、安倍首相のもとでの改憲に反対が54.8%、賛成33%であり、多くの国民が憲法改定を望んでいないのは明らかです。
     そもそも、憲法に縛られる立場の首相みずからが憲法改定に向けてあるべき姿を示すなどと言うこと自体が、立憲主義を全くわきまえない発言ではないでしょうか。区長は、このような安倍首相の姿勢をどのように思われますか。
     第2は、核兵器禁止条約と日本政府の態度についてです。
     昨年7月に国連で核兵器を違法化する核兵器禁止条約が採択され、条約締結に貢献した核兵器廃絶国際キャンペーン、ICANがノーベル平和賞を受賞しました。昨年12月のノーベル平和賞の授賞式で、広島出身の被爆者、サーロー節子さんが「広島と長崎で死を遂げた全ての人々の存在を感じてほしい」「核兵器は必要悪でなく絶対悪」と訴え、全ての国の大統領と首相に、この条約に参加することを呼びかけました。ところが日本政府は、核抑止力の正当性が損なわれるとして、この条約への参加を拒否しています。
     核抑止力論とは、核兵器を使用することをためらわないという脅しによって安全保障を図ろうとする立場であり、広島・長崎のような非人道的惨禍を引き起こしても許されるという考え方です。唯一の戦争被爆国として核兵器の非人道性を訴えてきた日本政府が、一方でこのような核抑止力論を言い続けるのは大きな矛盾ではないでしょうか。区長は、どのようにお考えでしょうか。
     また、政府は、北朝鮮が核開発を進める情勢のもとで、この条約はそぐわないと主張しています。しかし、そうした危機があるからこそ核兵器禁止条約が重要になっていると思います。なぜなら、条約によって核兵器を違法化し、悪の烙印を押すことによって、北朝鮮に対して核兵器開発の放棄を迫る国際的な力になるからです。そして、その条約に核保有国や、日本のようなアメリカの核の傘のもとにある国が参加すれば、「私たちも核を捨てる。だからあなたも捨てなさい」と、さらに強く北朝鮮に迫ることができるはずです。改めて政府に対し、この条約に署名し批准するように強く要望すべきと考えますが、区長の御所見をお聞かせください。

     

     

    ◎区長(吉住健一) 佐藤議員の御質問にお答えします。
     区長の政治姿勢についてのお尋ねです。
     初めに、安倍政権下での憲法9条改正についてです。
     憲法9条の改正について、さまざまな意見や考えがあることは認識しています。安倍首相は、ことしの年頭記者会見で「新しい時代への希望を生み出すような憲法のあるべき姿を国民にしっかりと提示し、憲法改正に向けた国民的な議論を一層深めていく」と述べています。この発言のとおり、憲法の改正は国民全体で議論を十分に尽くした上で進められるべきであると考えています。
     次に、核兵器禁止条約と日本政府の態度についてです。
     まず、戦争被爆国として核兵器の非人道性を訴えてきた日本政府が核抑止論を唱えることをどう考えるかとのお尋ねです。
     国連における核兵器禁止条約の採択に当たり、日本が安全保障上の理由で不参加となったことについては残念に思っています。世界の国々が核軍縮のために団結し、核兵器の廃絶に向けて取り組みを進め、核兵器のない世界をつくっていくことは大変重要であると考えます。
     次に、政府に対し核兵器禁止条約への署名と批准を要望すべきとのお尋ねです。
     区が加盟する平和首長会議の一員として、条約への参加も含め、核兵器の廃絶を進める取り組みを政府に要請しています。新宿区平和都市宣言に基づき、今後とも全ての国の核兵器の廃絶を全世界に訴えてまいります。

     

     

    ◆7番(佐藤佳一) 次に、区政の基本方針と2018年度予算について伺います。
     第1は、暮らしを守る地方自治体の長としての区長の役割についてです。
     安倍政権のもとで、国の予算案は9条改憲策動に合わせて、いよいよ本格的に歯どめなき大軍拡への一歩を踏み出す一方で、医療、介護などの社会保障予算は大幅削減となっています。とりわけ2013年度から3年連続で切り下げられた生活保護費のさらなる削減を打ち出したことは重大です。
     安倍政権は、税制のあり方をもゆがめ、富裕層には優遇税制を続け、庶民には負担増を強いるだけでなく、都心の自治体からの税財源吸い上げを強行しています。格差と貧困の拡大が深刻化しているもとで、国の言いなりではなく、むしろ安倍政権の悪政と立ち向かい、その防波堤となって区民生活を守ることこそ地方自治体の役割であり、区長に求められていることではないでしょうか。区長の見解をお聞かせください。
     基本方針説明の「はじめに」で、区長は、「区民税の増収を超える勢いで扶助費が増加傾向にある」としていますが、特別区税の伸び4.2%に対して扶助費の伸びは3.8%で、超える勢いとは言えません。内容的にも、扶助費の伸びの要因が保育所関連予算がふえていることにあるとのことで、他の自治体では子育て世代の流入をいかにふやすか、それによって住民税収入をどうふやすか、知恵を絞っている実態を見れば、これはむしろ歓迎すべき傾向だと思われますが、区長の評価をお聞かせください。
     そして、「おわりに」で、扶助費の増加と高齢化に、悲観的でない、協働で乗り越えられると言い、「おのおのが無理のない範囲でみずからの役割を果たす」支え合い、助け合いこそが「新宿力」の象徴と述べられています。支え合いは、政府が最近よく使うキーワードで、共助と互助に依存して公助を後景に押しやる意図が明らかですが、区長が言う支え合いも国の意図と同じなのでしょうか。まず、区が区民を支える姿勢を明確に示した上で、区民が望む支え合いのシステムやスキームを構築し、必要な財源を確保することが区長の仕事であり、ただ期待していても展望は開けないと思いますが、区長の見解を伺います。
     第2は、区民生活の実態についてです。
     区政の基本方針で区長は、「景気回復局面は、戦後2番目の長さとなっており、デフレ脱却の展望も見えてきたと言われています」と国の発表をなぞるだけで、区民生活の実態に一言も触れませんでした。区長は、区民の暮らしや営業などがどのような実態にあるとお考えか、お答えください。
     今、野菜は高騰しており、区民は、白菜は4分の1とか8分の1、キャベツもレタスも半分のものを買う人が多く、輸入に依存している食用油や小麦粉の値上げも家計を直撃しています。ことしの冬は例年になく寒い日が続き、暖房代も大変です。来年度予算案には、1日に必要な野菜の摂取量の認知度を上げ、健康な食生活をサポートする新規事業が計上されていますが、認知しても食べられなければストレスでしかありません。必要量を確保できるような区民生活の支援こそ必要だと思いますが、区長はいかがお考えでしょうか。
     第3は、生活保護費の削減計画と、その影響についてです。
     必要な野菜の量を摂取できていないのが生活保護世帯です。2013年から3年間で、生活扶助などが最大10%削減されました。これにより月3万円削減されたお子さん3人の御家庭では、「今でも緑黄色野菜は高くて買えず、もやしを買うことが多い。肉や魚は特売を狙って買うようにしている」そうです。「それがもっと減らされたら、どうやって子どもたちに食べさせたらいいのか」と言っていました。今でも健康で文化的な最低限度の生活にほど遠いのに、さらに引き下げることは許されないと考えますが、区長は、生活保護費の引き下げについてどのような見解をお持ちか、お答えください。
     第4は、財源の確保についてです。
     住民税の一部国税化の区の影響額は、来年度もマイナス19億円、ふるさと納税による減収は、来年度は15億5,000万円、それに地方消費税交付金が清算基準見直しにより来年度約16億円マイナスと、国の制度変更によって合計50億5,000万円も減収となるのに、基本方針説明ではこのことに何の言及もありません。昨年の基本方針説明では、法人住民税一部国税化の見直しを求め、地方分権の流れに逆行すると批判しましたが、ことしはそれもありません。区長は、もう諦めて、国のやり方に唯々諾々と従うということなのでしょうか。
     都政新報では、新宿区の予算案について「税収堅調バブル期並みに」と書きましたが、多少国に財源を持っていかれても、ほかで賄えるなどと考えているとしたら大きな後退だと思いますが、いかがでしょうか。もし国のやり方が間違っているとお考えなら、それに対抗するために区民にもわかるような行動を起こすべきと考えますが、区長の対応策をお聞かせください。
     次に、都区財政調整についてです。
     23区は、児童相談所の区移管を機に都と区の配分割合の見直しを求めていますが、都は、児童相談所の開設について算定の対象にすらしていません。2018年度都区財政調整協議は終了し、児童相談所について都に押し切られた格好になっています。それで諦めてしまうのでしょうか。実態が的確に反映されるように強く要望し、財源の確保をすべきです。
     以上、お答えください。

     

     

    ◎区長(吉住健一) 区政の基本方針と2018年度予算についてのお尋ねです。
     初めに、区民生活を守るための地方自治体の役割についてです。
     区は、区民に最も身近な基礎自治体として地域の実情に即した施策を展開していく必要があり、区民生活の現場で起きている現実を受けとめ、地域課題に的確に対応し、区民が心豊かに暮らすことができる地域社会の実現に向けて、柔軟かつ総合的な区政運営を推進しなければなりません。このため、国や都との連携を図るとともに、国や都の施策に対して意見を申し述べていきます。
     次に、扶助費についてのお尋ねです。
     平成30年度予算における扶助費は前年度と比べて18億円、3.8%の増、また歳出に占める割合は33.9%となり、人口増加による区民税の増収を超える勢いで増加傾向にあります。
     扶助費は、性質別経費のうち義務的経費に当たり、その割合が高いと財政構造の弾力性が乏しくなるため、財政の健全化が脅かされることになります。したがって、扶助費の増加は歓迎すべき現象とは捉えておりません。
     次に、支え合いについてのお尋ねです。
     私は、区政の課題が山積しても、若者から高齢者までの幅広い世代の皆様との協働によって乗り越えられるものと考えており、おのおのが無理のない範囲でみずからの役割を果たす支え合いの社会の実現を目指しています。
     私は、地域の皆様が自分たちのまちに誇りと愛着を持ち、自分たちのまちをよくしようと活動する意志を持っていただくことが大切であると考えています。
     今後も、区民一人ひとりの活力を活かし、互いに支え合い助け合うことのできるまちづくりを進めてまいります。
     次に、区民の生活実態についてです。
     1月の政府月例経済報告では、「景気は、緩やかに回復している」とする一方で、「海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある」としています。また、東京都区部の消費者物価指数1月分(中旬速報値)では、特に生鮮野菜の上昇が大きく、前月比で10.9%、前年同月比では24.5%の上昇となっています。中小企業の景況調査においては、一部で上向いているものの、全般的な業況はマイナスで推移しています。
     このように、区民の暮らしと景気は楽観視することはできず、慎重に見きわめていく必要があるものと認識しています。区としては、総合計画で掲げる「暮らしやすさ1番の新宿」の実現に向けて、区民の生活を支える施策に取り組んでまいります。
     次に、生活保護費の引き下げについてのお尋ねです。
     今回の生活扶助基準の見直しは、社会保障審議会生活保護基準部会の検証結果を踏まえ行われるものです。個々の世帯への影響については、生活扶助費が増額となる世帯と減額となる世帯が生じる見込みです。また、検証結果を機械的に当てはめることなく、見直しに伴う減額幅を最大5%以内に抑制するとともに、平成30年10月から3回に分けて段階的に施行するなどの激変緩和措置を行うとされています。したがって、今回の生活扶助基準等の見直しについては、考慮すべき点を十分踏まえた上で判断がなされたものと考えています。
     次に、財源の確保についてです。
     国は、地方創生という大義名分のもと、法人住民税の一部国税化や地方消費税の清算基準の見直し、ふるさと納税におけるワンストップ特例導入等の制度拡充など、不合理な税源偏在是正を行っており、区財政に多大な影響を与えています。
     特別区長会は、こうした税制改正等に対し、2月16日に「税源偏在是正措置に対する特別区緊急共同声明」を発表しました。この中で、地域間の税収格差の是正は地方交付税で調整されるべきであり、地方自治体間に不要な対立を生むような制度は認められないこと、また、不合理な税源偏在是正措置に対しては断固反対することを強く主張しています。新宿区もこのことについて、ホームページを初め広報しんじゅく、「予算の概要」や「財政白書」などの冊子に掲載し、周知に努めてきたところです。
     今後とも、さまざまな機会を捉え、より多くの区民に理解していただけるよう取り組んでまいります。
     次に、都区財政調整制度における児童相談所設置に伴う財源についてです。
     特別区は、平成30年度都区財政調整協議で、児童相談所に係る事務が政令の指定により特別区の事務となることから、当然に基準財政需要額に算定した上で配分割合の変更をすべきこと、また、準備経費については、児童相談所の設置時期によって各区の算定額に不公平が生じないようにするため、当分の間、特別交付金で全額算定すべきことを繰り返し主張しました。しかしながら、都は、この議論に応じることなく、協議は時間切れとなったところです。
     特別区は引き続き一体となって、都区財政調整制度における基準財政需要額への算定及び都区間の配分割合の変更、準備経費の取り扱いについて都との協議に臨んでまいります。

     

     

    ◆7番(佐藤佳一) 次に、第一次実行計画について質問します。
     今後10年間の総合計画を具体化するため、来年度から3カ年の第一次実行計画が策定されました。昨年、総合計画等と同時に素案に対するパブリック・コメントと地域説明会が行われました。素案からの変更点として、払方町の国有地を活用した認知症高齢者グループホーム、障害者グループホーム等複合施設や、市谷薬王寺町国有地を活用した特養老人ホーム等の設置、耐震化支援事業の充実など、区民の皆さんからの要望が強く、私たちも繰り返し求めてきた内容が盛り込まれたことは歓迎するものです。
     しかし、素案に対するパブリック・コメントは52名、240件、地域説明会では115件、合計355件と、多くの区民の皆さんから御意見をいただいたにもかかわらず、計画に反映した意見は12件であり、そのうち10件は冊子内の記載の整合性に関することで、意見そのものを反映させたのは、「特養ホームの増設」と「耐震化支援事業の充実」の2件のみです。最も多かったのは、「放課後の居場所の充実」に関する40件で、その多くが学童クラブの増設や充実を求める意見でした。しかし、第一次実行計画に増設計画はなく、「児童館スペース活用等による学童クラブ専用室の拡大」というもので、これでは児童館の一般利用の子どもにしわ寄せが行くことになり、「放課後の居場所の充実」とは逆行しています。また、待機児童がいる学童クラブについては、「近隣小学校でひろばプラスを実施する」としており、法律に基づかないひろばプラスでまたお茶を濁そうとしています。パブリック・コメントと地域説明会での意見を区長はどのように受けとめられたのでしょうか。
     また、ことし4月の学童クラブの待機児童は何名で、定員オーバーの学童クラブは幾つ発生すると見込んでいるのか、お答えください。墨田区では、待機児童対策として、来年度までに2つの小学校の学区域で学童クラブを新設することを明らかにしています。新宿区も区民の願いに応え、学童クラブを増設すべきではないでしょうか。お答えください。
     パブリック・コメントでは障害者の施設に関連した意見も多くあり、特にグループホームの設置について、民間任せではなく区主導での促進を望む意見がありました。計画には、払方町の国有地にグループホームを設置する事業者選定・建設の計画が盛り込まれましたが、募集はこれからで、まだ障害の種別も決まっていないということです。現在、区内に身体障害者の方が入所しているグループホームは、あじさいホーム、ひまわりホームの2カ所だけであり、多くの関係者が望んでおられますし、知的や精神もまだまだニーズがあります。第一次実行計画期間内に、これで終わりにせず、さらに計画し、これまでのように民間事業者が手を挙げるのを待つのではなく、区が率先して公有地等を確保して募集する、または区立での設置も検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
     パブリック・コメントでは、生活実習所の改善、もしくは新たに同様施設をつくることを要望する御意見もありました。1月31日、生活実習所保護者会から区長に対し、新施設への移転、あるいは現施設の大幅な改修を求める要望書が提出されたことも伺っています。昨年の第3回定例会では、私たちも含め、複数の会派がこの問題を取り上げました。しかし、計画事業には反映されませんでした。事は利用者と職員の安全にかかわることなのです。もともと特殊な形状の建物であり、職員の努力によって、これまで大きな事故もなく過ごせていましたが、ことし4月には定員50名に対し53名を迎えることになり、安全の確保が大変厳しくなることは目に見えています。常々区長がおっしゃっている、区民が安全で安心に暮らすための環境づくりが区の仕事ならば、現在のままの生活実習所でよいはずがありません。関係者の皆さんが求めている増設や新施設建設による移転、もしくは大規模改修を早急に検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
     このように、学童クラブや生活実習所の課題に背を向けているのは、やはり公共施設等総合管理計画があるからではないかと考えざるを得ないのですが、区長の御所見をお聞かせください。
     ここで、計画事業、「公共施設等総合管理計画に基づく区有施設のマネジメント」について伺います。
     素案では目標と年度別計画が空白でしたが、決定稿では、2020年度末の目標は2017年度末の現況と同じ、「新宿区公共施設等総合管理計画に基づく区有施設のあり方の検討」であり、ただし書きで、「検討結果については、今後実行計画に位置づけていきます」となっています。これで計画事業と言えるのでしょうか。第一次実行計画に明確に示さず、区民に広く意見を募ることなく、ローリングで小出しにすることは、区民への説明責任を欠いていると考えますが、区長の見解をお聞かせください。
     パブリック・コメント等では、「人口増と高齢化に対して複合施設化を提案する」「公共施設を数字だけで減らすのは地域包括ケアの考え方と逆行する」「計画展開と着手を行うべき」「町会等で便利に使っている施設を修繕しながら残してほしい。計画では具体的に書いていないのが不安である」など、さまざまな意見があり、関心の高さが伺えます。区有施設のあり方の検討は、どこでどのように検討され、どのようなスケジュールで区民に提示されるのか、お答えください。
     私は、現時点で具体化できないということは、実際には人口増加と行政需要の高まりに対応するためには、施設をなくすどころかふやさなければならない事態であり、公共施設等総合管理計画に現実味がないことのあらわれではないかと考えますが、いかがでしょうか。この際、公共施設等総合管理計画は廃止にすべきと考えますが、区長の見解を伺います。
     この項の最後に、LGBT等性的指向・性自認により困難を抱える区民への支援について伺います。
     パブリック・コメントに、戸籍と異なる性で生活している方から、「性別欄があるために強制的にカミングアウトしなければならず、苦痛である。不必要な性別欄はなくしてほしい」という趣旨の意見がありました。LGBT等への支援は、素案から変わらず計画事業にはなく、区長のこの間の取り組みへの姿勢が問われます。
     先日、私たちは、この分野で先進的な取り組みをされている渋谷区を視察しました。男女平等・ダイバーシティ推進担当課長に、そもそものところから最新の取り組みまで、じっくりとお話を伺いました。印象的だったのは、「この取り組みのエンジンはダイバーシティとインクルージョン」「多様性を尊重するだけでなく、多様な人や考えがまざり合って渋谷のエネルギーにしていくこと」という理念が基本構想に盛り込まれていることです。この理念を具体化する施策として、1つは同性パートナーシップ制度ですが、現在、25組に証明書を発行しています。昨年は実態調査を当事者と区内企業に行いました。制度に対しておおむね高評価であること、証明書は、生命保険の受取人指定や病院での提示等、具体的に活用されていること、課題は公正証書づくりへの支援等でした。全国で2区4市に広がっている同性パートナーシップ制度を新宿区としても検討すべきと考えますが、いかがですか。
     渋谷区の特徴的な取り組みとして、LGBTアライの見える化です。LGBTも見えにくいのですが、それを支援する支援者、イコール「アライ」の存在も見えにくく、LGBTの人たちへ安心感を与えられるよう、渋谷区として6色のレインボーのシンボルマークをつくり、ステッカーやバッジなどのグッズを作成しています。また、今年度は区内の企業や店舗の窓口に置いていただけるような「しぶやレインボー宣言」POPを作成し、普及に取り組んでいます。こうした視点は大切であり、新宿区としても取り組んではいかがでしょうか。
     第一次実行計画は、東京2020オリンピック・パラリンピックに合わせて2020年までの3カ年計画にしています。そうであるならば、多様な区民が住み、働き、学び、行き交う新宿区に、東京2020オリンピック・パラリンピックでさらに多様な人たちが安心して集えるように、第一次実行計画のローリングの際にはLGBT等への支援を計画事業として盛り込み、多様性を認め、まざり合える新宿区をもっと世界にアピールしていただきたいと思いますが、区長のお考えをお聞かせください。
     以上、お答えください。

     

     

    ◎区長(吉住健一) 第一次実行計画についてのお尋ねです。
     初めに、放課後の居場所の充実についてです。
     保護者の御意見については、学童クラブが保護者にかわって子どもを保護・育成する機能を持っていることを評価していただいたものと受けとめています。
     区の平成30年度学童クラブ待機通知は、4年生以上の50名程度を見込んでいます。多くの自治体で障害児等を除いて4年生以上を対象としていなかったり、3年生以下の待機児童がいる中では、区では3年生以下は全て受け入れています。待機となった4年生以上の児童の保護者には、安心して新年度を迎えられるよう、個々の状況に応じたサービスを紹介してまいります。
     定員を上回る学童クラブもありますが、定員を大きく上回る学童クラブについては、児童館スペースの活用による専用スペースを拡大するとともに、小学校を活用している学童クラブについても教育委員会との協議により新たなスペースを確保するなど、着実に対応してまいります。
     また、学校施設を活用し、遊びと学びの支援を行う放課後子どもひろばの特徴を活かしながら、おやつや出欠管理、連絡帳など学童クラブで行っている保護機能を付加した事業である「ひろばプラス」とともに、多様化する家庭環境や子どもの成長段階に合わせて選択できるよう、放課後の居場所づくりを総合的に推進してまいります。
     次に、グループホームの整備についてのお尋ねです。
     在宅での生活が困難になった方や、入所施設等から地域移行を望む方の受け皿としてグループホームを整備するため、これまで都の整備費用補助に加え、区が独自に上乗せするなどの支援を講じてまいりました。
     障害の重度化、障害者の高齢化の進行などによりグループホームの重要性は一層高まっていることから、区有地や国・都所有地を活用できるときはグループホーム設置を具体的に検討しながら、事業者には必要な情報を提供し、開設に向けた助言を行うことで設置を促進していきます。こうした取り組みを関係機関と連携し進めてまいりますので、区立設置は考えておりません。
     次に、新宿生活実習所についてのお尋ねです。
     新宿生活実習所には、来年度4名の方が特別支援学校を卒業し入所する予定です。そこで、陶芸室の陶芸窯を移設することにより活動室として使えるスペースを拡充するなど、施設面での整備を進めています。また、利用者の数に応じた職員を配置し、安全な施設運営ができるよう進めてまいります。
     今後も利用者の動向を踏まえ、適切な対応をしてまいります。
     次に、学童クラブや新宿生活実習所の課題と公共施設等総合管理計画との関係についてです。
     学童クラブ事業については、「施設」ではないため、公共施設等総合管理計画とは切り離して進めていきます。
     生活実習所を含む障害者福祉施設については、公共施設等総合管理計画において「障害の重度化や家族の高齢化に伴うニーズに適切に対応していくため、行政需要を踏まえ、施設を適切に維持管理していく」とし、また「対象者の重度化への対応や事業運営の効率化等の検討を行っていく」としており、今後も、この考え方に基づき運営してまいります。
     次に、公共施設等総合管理計画に基づく区有施設のマネジメントについてのお尋ねです。
     個別施設の検討は、公共施設等総合管理計画に基づき、施設からサービスへ発想を切りかえる、効果的・効率的な施設・インフラ等の管理を実現する、必要な施設・インフラ等を適切に維持するなどの基本方針に基づき、それぞれの施設の行政需要、地域需要、財政状況等を総合的に判断して進めていきます。
     現在、総合政策部が中心となり、施設類型別基本方針に基づき、施設を所管する関係各部と検討を行っており、複合化、多機能化などの方向性が定まった施設については順次実行計画に位置づけるとともに、地域の方々や利用者の意見を踏まえ検討を行ってまいります。
     少子高齢化の進展に伴い、社会保障関係費の増大が懸念されるとともに、行政サービスに対する区民ニーズも多様化している中、公共施設に係るコストや将来必要とされるサービスに対応する施設量などを踏まえ、適切な区有施設マネジメントを行っていくためには、公共施設等総合管理計画が必要です。
     次に、LGBT等性的指向・性自認により困難を抱える区民への支援についてのお尋ねです。
     まず、同性パートナーシップ制度の検討についてです。
     同性パートナーシップ制度については、その関係にある性的マイノリティの方が社会生活を送る上で抱えるさまざまな問題に対する取り組みと捉えていますが、結婚相当の関係と認める要件や、実際にどのような場面で使われて問題の解決につながるのかなど、総合的な検討が必要であると考えています。
     いずれにしても、同性パートナーシップに対し、結婚と同等の保障を行うためには、結婚制度のあり方についての十分な議論を踏まえて、国において結論を出すことが必要と考えており、制度の導入については検討していません。
     次に、LGBT等への支援にかかわる区の取り組みについてです。
     区では、性的マイノリティの方が抱える悩みを受けとめ、各種申請書類からの性別欄の削除を初め、悩みごと相談室への専門家の配置、公共の建物におけるだれでもトイレの整備、職員や区民に向けた啓発講座の実施などに取り組んできました。
     来年度からの第三次男女共同参画推進計画では、「多様な生き方をみとめあう社会づくり」を目標の一つとし、「多様な生き方への理解促進と支援」を取り組みの方向に加えました。これは、性には多様性があることを認め合い、性的マイノリティの方も生きやすい社会を目指していくことを示したものです。
     具体的には、情報誌や講座を通じた意識啓発、当事者や家族の相談窓口の周知、NPO等との連携による支援などを実施することとし、意識啓発については第一次実行計画に位置づけて推進していくものです。
     全ての人が自分らしく生きられる社会の実現には、誰もが年齢、性別、立場などにかかわらず、性の多様性を認識し、理解し、受容することが必要であることから、今後も着実に取り組みを進めていきます。

     

     

    ◆7番(佐藤佳一) 次に、ヘイトスピーチ対策について質問します。
     2月7日、新宿朝日友好親善新春のつどいが開催され、私も含め、新宿区議会日朝友好議員連盟の議員が出席し、総務部長は区長代理として出席されました。つどいで、文化センター・アリラン副理事長、宋富子さんから、「ヘイトスピーチ解消法はヘイトスピーチをなくす第一歩であり、不十分な点はあるが、この法律を活かしていきたい。川崎市のガイドラインが施行されることによりヘイトスピーチをなくしたい」とお話がありました。また、在日本大韓民国民団新宿支部のニュースでは、ほぼ毎回ヘイトスピーチ問題について取り上げており、昨年12月15日号には「新宿区でも公園の使用を禁止して、ヘイトデモをなくしてほしいと思う」と書かれていました。
     外国人排斥デモ、いわゆるヘイトスピーチデモは、2013年ごろから新大久保駅周辺、川崎市、大阪市等で始まり、大きな問題となりました。一時期回数が減り、規模も縮小傾向になりましたが、今またふえ始め、新宿区内のヘイトデモは2015年度6件、2016年度1件が、今年度は2月18日に行われたデモを含めて既に13件にもなります。
     ヘイトスピーチは、不当な差別的言動により、その人格を否定し、人間としての尊厳、基本的人権を著しく侵害するものであり、国際的にも絶対に許されない行為です。国際サッカー連盟は憲章で、「人種、肌の色、民族、国籍等、いかなる種類の差別も厳しく禁じられ、資格停止または追放により罰せられる」としています。これにより、2014年にはJリーグの試合でサポーターが人種差別の垂れ幕を掲げたことに対し、その直後の当該チームの試合を無観客試合とする厳しい処分が下されたことになりました。もとより、オリンピック憲章もあらゆる差別に反対しており、都知事は、この理念を条例化すると言っています。
     2018年2月1日現在、新宿区の外国籍区民は4万2,589人で、人口の12.4%を占めています。韓国・朝鮮・中国籍の方を初め131カ国の方々が暮らしており、区は、多文化共生推進課を設置して多文化共生に力を注いできました。2年6カ月後には東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されます。開会式等のメーン会場となる国立競技場のある新宿区内で国際的に絶対に許されないヘイトスピーチデモが繰り返されれば、多くの外国の方たちに、新宿区はヘイトスピーチを許しているまちという印象を残してしまいかねません。直ちに対策を打たなければならない課題です。
     区長のヘイトスピーチに対する基本的な認識と、デモがふえている現状についての認識、そして在日韓国・朝鮮の方たちの不安や要望をどのように受けとめておられるのか、お聞かせください。東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた対策等もあわせてお答えください。
     2016年6月、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律、いわゆる「ヘイトスピーチ解消法」が施行されました。内容は、不当な差別的言動は許されないことを宣言した理念法で、罰則はありません。一方で、地方公共団体に対しては、ヘイトスピーチ解消に向けた取り組みに関し、当該地域の実情に応じた施策を講ずるよう努めるものとするとしています。
     区長は、地方公共団体の長として、この点をどのように受けとめられていますか。新宿区の実情に応じた具体的な取り組みが今こそ必要と思いますが、いかがですか。
     私たちはこれまで、具体的な取り組みとして、川崎市と大阪市の事例を取り上げてきました。川崎市は昨年、公園など公共施設でのヘイトスピーチを事前に規制するガイドライン案を発表しました。パブリック・コメントでは922名から2,053件の意見が寄せられ、ガイドラインや趣旨に関することの意見1,153件中、同意する意見は833件で、約7割に上りました。意見の54件を案に加筆修正し、2017年11月10日に全国初のヘイトスピーチ解消法に基づく「公の施設」利用許可に関するガイドラインが策定されました。
     昨年9月の決算特別委員会で川崎市のガイドラインについてお聞きしたところ、「我々も注目すべきところと考えている。パブリック・コメントの結果や施行後の状況も見て検討していきたい。人権擁護委員の意見を伺いながら進めたい」とのことでしたが、川崎市のガイドラインとパブリック・コメントの結果についての受けとめと、その後、区としてどのように検討され、人権擁護委員の皆さんにどのような意見をいただいたのか、お聞かせください。新宿区としても、川崎市のようなガイドラインを早急に策定すべきと思いますが、いかがでしょうか。
     2016年7月、大阪市は全国初の「ヘイトスピーチへの対処に関する条例」を制定しました。前年の10月には、私も所属していた総務区民委員会が条例案について視察を行っています。先日、大阪市にお聞きしましたところ、制定後、市民からの申し出等34件あり、審議会で審議終了したのは9件、そのうち、ネット上にデモの動画を投稿する行為4件を条例に基づき公表したそうです。条例制定以後、デモが減っており、条例はそれなりの効果を上げているとのことでした。
     昨年の決算特別委員会で大阪市の条例についても質問しましたが、「大阪市、川崎市、先進自治体周辺区も含め、情報を集めて検討する」と答弁しています。こちらの検討状況はどのようになっているのでしょうか。大阪市の条例も参考にして、新宿区の実情に合った条例を制定すべきと思いますが、いかがでしょうか。
     以上、答弁を求めます。

     

     

    ◎区長(吉住健一) ヘイトスピーチについてのお尋ねです。
     初めに、ヘイトスピーチに対する基本的認識と、デモがふえている現状への認識及び在日韓国・朝鮮の方々の不安や要望をどう受けとめているかについてです。
     在日韓国・朝鮮の方々のみならず、特定の国籍や民族であることや、身体的・精神的な差異から相手を憎悪する表現を行うことは許されるべきではないと認識しています。
     デモがふえている現状を分析すると、国家間の約束事が一方的に破棄されるのではないかという不信感に端を発していると感じていますが、そのことがヘイトスピーチをしてもよいという理由にはなりません。ヘイトスピーチが区内で行われることは残念なことであると同時に、同じ日本人として恥ずかしいと考えています。ヘイトスピーチのデモ行動に区民が参加しているかはわかりかねますが、ヘイトスピーチの被害に遭われている方々の不安や要望を受けとめ、人権意識の啓発活動を強化するなどの対策を引き続き実施してまいります。
     東京2020オリンピック・パラリンピックに向けては、これまで行ってきた国や東京都との連携を引き続き強化しながら、新宿への来街者に対しても人権意識のさらなる普及啓発を行ってまいります。
     次に、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」において「当該地域の実情に応じた施策を講ずるよう努める」とされた点の受けとめ方と、区の実情に応じた具体的取り組みが必要ではないかとのお尋ねです。
     ヘイトスピーチを初めとしたデモ活動というものは、自治体の境界を超えて人が集まり、区域をまたいで実行されるものも多く、警察機関を持たない基礎的自治体としてヘイトスピーチ対策には工夫が必要と受けとめています。住居専用地域から商業、準工業地域まで地区ごとに多様な特徴を持ち、来街者も多い区の実情を鑑みて、区民や来街者への啓発活動や施設等の利用によって周囲に危険が及ぶことがないように注意喚起をしていかなくてはならないと考えています。
     次に、川崎市のガイドライン及びパブリック・コメント結果の受けとめと、その後の区としての検討及び人権擁護委員の皆さんからの御意見、また、区としても川崎市のようなガイドラインを策定すべきとのお尋ねです。
     議員御指摘のとおり、川崎市が実施したガイドライン(案)へのパブリック・コメントには、2,000件を超える多数の御意見が寄せられました。うち、ガイドラインの趣旨に対する御意見については7割弱が賛同の方向、3割強が不賛同の方向であったと理解しています。そのほか、定義や対象、利用制限、審査や判断に関することに対し賛否さまざまな御意見の内容が公表されているところです。
     一方、ヘイトスピーチ対策に関する人権擁護委員の方々の御意見としては、区が行った公園使用許可証への文言追記及びヘイトスピーチ防止チラシの添付について御賛同いただくとともに、人権意識の普及啓発の推進や公共施設利用の考え方、多様な人々の交流促進についての御意見などがありました。
     区としては、現在、ガイドライン策定についての具体的な検討はしておりませんが、川崎市では本年3月末をめどにガイドラインが施行される予定ですので、施行後の状況も把握し、人権擁護委員の方々の御意見とあわせて、今後の取り組みの参考にしていきたいと考えています。
     次に、条例制定に関する検討状況と、大阪市の条例を参考に区の実情に合った条例を制定すべきとのお尋ねです。
     区としては条例の制定は考えておりませんが、大阪市の条例施行後の状況と川崎市のガイドライン施行後の状況、他自治体の取り組みについて引き続き情報収集を行い、参考としてまいります。

     

     

    ◆7番(佐藤佳一) 次に、待機児童解消と子育て支援策の充実について質問します。
     最初に、認可保育園の待機児童解消についてです。
     ことし4月入園の申し込みに対する結果が2月19日に通知されました。希望する認可保育園のどこにも入れず、「保育園落ちた」人たちに対して送られた不承諾通知は、ことし何通だったのか、まずお答えください。
     今後、繰り上がりがあるとはいえ、当初区が目指していた待機児童ゼロの目標は残念ながら達成できそうにありません。ところが、区長の基本方針説明では、ことし4月1日の待機児童ゼロという目標が達成できそうにないことには一言も触れられず、そもそも今年度当初、区の計画では、認可保育園9所、643名分を整備することになっていたにもかかわらず、6所、474名分にとどまったことに対する総括もありませんでした。
     区長は、今年度の整備目標が達成できなかったこと、待機児童ゼロが達成できなかったことについて、その原因も含めどう総括しているのか。ことし4月1日の待機児童数を、国の基準による待機児童数と、認可保育園を希望しているのに入れない本来の待機児童数、それぞれ何名になると見込んでいるのかもあわせてお答えください。
     保育園入園希望者によく見られている「東京保活」というサイトに、23区の認可保育園入園決定率ランキング2017年度版が掲載されていますが、1位は豊島区で90.8%、新宿区は8位、69%でした。東京新聞の報道によると、「豊島区は、昨年達成した待機児童ゼロ維持のため、私立認可保育所10園、定員600人をふやすなどの待機児童対策18事業に計23億272万円を投じる」そうです。新宿区もそれなりに頑張っているとは思います。しかし、消滅可能性都市と指摘された豊島区の必死さに比べたら、区長の所信でも危機感は乏しく、本気度が問われているのではないでしょうか。
     来年の4月に向けては、ことし5月、上落合に開設予定の1所のほかに、7所、455名分を整備する予算が計上されていますが、そのうち6所が賃貸物件を活用した私立認可保育所とされています。しかし、今年度末に閉園し、同時に新規の認可保育園として整備する予定だった保育ルーム早稲田は、賃貸物件が見つからず、休園中の戸塚第一幼稚園舎の一部を改修して保育ルームのまま移転せざるを得ませんでした。このような経過から見ても、賃貸物件では保育園の整備は進まないということがはっきりしたのではないでしょうか。
     他区の事例として、北区が学校跡地を活用した区立認可保育園を整備したことは以前も紹介しましたが、目黒区では昨年4月の待機児童数が前年より倍増したため、2021年までに3,581名の定員増を目標に待機児童対策を打ち出し、実現が見込める国公有地、区有施設については具体的な検討を始めるとしています。新宿区内にも、旧児童相談センター及び一時保護所の跡施設など、都有地や戸山一丁目国家公務員宿舎跡地などの国有地があります。改めて公有地、施設を洗い出し、あらゆる可能性について検討を行い、少なくとも来年4月1日で区のいう待機児童数をゼロにし、第一次実行計画期間内に、いわゆる隠れ待機児童を含む認可保育園の待機児童ゼロを実現すべきではないでしょうか。
     また、保育ルーム早稲田は、区立公園等に仮設の保育園をつくって移転し、戸塚第一幼稚園舎を建てかえることが現実的だと思います。戸塚第一幼稚園舎を活用するには、建築基準法などの課題があることは承知していますが、あらゆる方策を具体的に検討すべきではないでしょうか。区長は、今後の保育園整備計画をどのようにして進めていかれるのか、お答えください。
     次に、子育て支援策の充実についてです。
     昨年、文教子ども家庭委員会が視察した兵庫県明石市では、弁護士でもある市長が直接説明をされたそうですが、市長のイニシアチブで子育て支援の充実が図られてきた結果、人口と税収のV字回復につながったとのことでした。視察の目的は、ひとり親家庭に対する支援など子どもの貧困対策についてでしたが、しかし、市長の話で強調されたのは、どの子も大事にするという考えから、あらゆる施策は基本的に所得制限を設けず、市民の中で対立を生まないようにしてきたことが子育て世代に評価され、人口もふえたのだと聞きました。
     現在、国でも教育の無償化が議論されていますが、とりわけ小・中学校の教育における保護者負担の軽減は、区が責任を持って進めなければならないと思います。就学援助の前倒し支給については、23区の中でも新宿区は早い時期に決断をしていただき、その点では区教育委員会に敬意を表するものですが、個別の施策では先進的な事例を参考に、さらに前へ進める必要があると思います。
     1月26日付都政新報で「給食無償化へ動きじわり/全国で導入例相次ぐ/『給食』を優先課題に」という見出しで、「都議会の多くの会派が来年度の予算要求や昨年の都議選の公約に給食無償化を盛り込んでおり、きっかけ次第では状況が一変する可能性も秘めている」と報道しました。学校給食無償化については私たちも要求してきましたが、昨年度学校給食費を無償化したのは63市町村、さらに今年度、20市町村で無償化が始まり、合わせて83市町村に広がっています。昨年、文部科学省は初めて学校給食無償化調査を実施しました。国も自治体が行う学校給食無償化等に対し一定の補助を検討するのではないかと期待されていますが、無償化を実施する自治体がふえればふえるほど国の背中を押すことになり、そうした点からも新宿区が一歩踏み出すことが重要です。
     葛飾区では現在、学校給食等への経済的支援として、就学援助は新宿区と同様、生活保護基準の1.2倍を認定基準額としていますが、これに上乗せする形で生活保護基準の1.3倍を、費目認定といって、学校給食費や修学旅行費など費目を限定して補助を行っています。5年前に始まった生活保護基準の引き下げ分をカバーすることができるとして、1.3倍の費目認定の制度ができたとのことです。さらに、就学援助の対象とならない御家庭には多子世帯の学校給食補助制度があり、中学生以下のお子さんが3人以上いる世帯を対象に、3人目以降のお子さんの給食費を全額補助しています。また、食材費高騰の影響で給食費が値上げとならないよう、全ての食材等を対象に給食費の補助を2009年度から実施しており、それ以降、給食費は据え置かれています。こうした二重三重に網をかける制度で、葛飾区では学校給食費について約3分の1が公費負担、つまり無償化となっており、保護者から大変喜ばれているそうです。
     また、品川区も、所得制限はあるものの、1980年から多子家庭給食費補助を実施しており、葛飾区同様、中学生以下のお子さんが3人以上いる世帯を対象に、3人目以降のお子さんの給食費を全額補助しています。
     新宿区でも食材費高騰に対応して牛乳を現物支給する形で補助を行った時期がありましたが、2010年度に補助を取りやめ、給食費が値上げされました。しかし、今また食材費の高騰や生活保護基準のさらなる引き下げも予定されており、給食費に対する補助がますます必要とされています。また、国は、5年前から3年連続で実施した生活保護基準の切り下げをまた行おうとしていますが、就学援助の基準を、切り下げ前の生活保護基準を堅持するとともに、基準を1.2倍から1.3倍に拡大し、多子世帯への給食費の補助を行ってはいかがでしょうか。お答えください。

     

     

    ◎区長(吉住健一) 待機児童解消と子育て支援策の充実についてのお尋ねです。
     初めに、認可保育園の待機児童解消についてです。
     平成30年4月入園の第1次申し込みに対して、2月19日に発送した不承諾通知数は426通でした。これは、昨年度と比較し17通の増となっています。
     次に、今年度の整備数が6所にとどまったことに対する総括と、その原因についてです。
     区では、賃貸物件を活用した保育所の整備や認証保育所の認可化などにより、平成30年4月の待機児童ゼロを目指し、保育定員を昨年度4月1日から557名拡大しました。しかし、賃貸物件を活用した保育所の整備では、3所で物件が見つからず、予定数には満たない結果となりました。
     整備が進まなかった原因の一つは、保育所として要件に適合する適切な空き物件が見つからなかったことです。もう一つは、提案された物件のオーナーが保育所以外の用途へ意向を変えられたため、整備につながらなかったことが原因です。
     次に、4月1日の待機児童数の見込みについてです。
     平成30年4月入園の1次申込者数は2,103名で、昨年の1次、2次を含めた申込者数2,065名を既に上回っています。一方、毎年一定数の辞退者がいることや、企業主導型事業所内保育所が区内に開設されることの影響などから、現状で待機児童数を推計することは困難だと考えています。
     区では、国の定義に沿って待機児童数を把握しています。このため、認証保育所や企業主導型事業所内保育所に入所している児童の数の把握や、育児休業中の方に復職の意思があるかなどを確認する必要があることから、待機児童数が判明するのは4月下旬ごろになる見込みです。
     次に、保育所整備の方策についてです。
     区有施設の活用では、平成30年4月に薬王寺児童館等合築施設内に待機児童対策として(仮称)アスク薬王寺保育園を整備します。また、保育ルーム早稲田は、園児の通園なども考慮した適地に物件が見つからず、緊急措置として戸塚第一幼稚園舎に移転しますが、引き続き賃貸物件を活用した保育所の整備を進めていきます。
     現在、東京都戸山庁舎として活用されている旧児童相談センターの建物や、戸山一丁目の国家公務員宿舎跡地については、都や国において別途活用が検討されていると確認しています。今後も保育所の整備が必要な地域にある公有地の情報収集に努めるとともに、適地であれば積極的に保育所としての活用について要請していきます。
     平成30年度は、民間事業者による新小川町複合施設建設に伴う私立保育所に加え、賃貸物件を活用した私立保育所6所を整備します。また、就学前児童の転入が見込まれる大規模開発やファミリー向けマンションの建設事業者には保育施設の設置を求めるなど、あらゆる手法を活用し、増加する保育需要に応えてまいります。
     区では、新宿区子ども・子育て支援事業計画に基づき、保育所の整備を行っています。この計画に定める量の見込みと保育定員の確保数については、毎年4月1日に保育認定を受けている方の数から算出した保育のニーズ率に基づき見直しています。今後も、保育ニーズを的確に捉えながら、待機児童対策に取り組んでまいります。

     

     

    ◎教育長(酒井敏男) 教育委員会への御質問にお答えします。
     子育て支援策の充実についてのお尋ねです。
     初めに、就学援助の現行基準の堅持と基準の拡大についてです。
     現在、教育委員会では、就学援助の認定について、引き下げが行われた平成25年以降の生活保護基準額の影響が及ばないよう配慮しています。
     平成30年度以降の対応については、生活保護基準の改定内容、社会経済状況などを踏まえ、区長部局と連携し検討していく必要があると考えています。
     就学援助の認定基準については、平成29年度現在で23区中、新宿区を含め15区が生活保護基準の1.2倍以下の所得としていることから妥当なものと考えており、倍率の引き上げは考えておりません。
     次に、多子世帯への給食費の補助についてです。
     学校給食は、食育の生きた教材として大きな役割を担っていますが、一方では食事の提供という側面もあります。このため、適正な受益者負担の観点から、学校給食法が規定する経費負担区分を踏まえ、新たな補助を行う考えはありません。
     なお、経済的な理由により給食費を負担することが困難な保護者に対しては、就学援助で適切に対応してまいります。

     

     

    ◆7番(佐藤佳一) 次に、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、および介護保険について質問します。
     第1に、国民健康保険料についてです。
     2月16日に23区区長会が開かれ、新宿区は翌17日土曜日に国民健康保険運営協議会に諮り、昨日19日に国民健康保険条例改正案が追加提出されました。2月9日付都政新報によれば、23区は統一保険料方式を維持し、国の激変緩和措置期間に合わせて法定外繰入の解消を目指すが、千代田区は統一方式から離脱して中低所得者層は値下げの方針で、一般財源からの繰り入れはほぼ横ばいと報じています。江戸川区は、それとは逆の意味で統一方式から離脱し、一般財源投入を前倒しでなくしていく方向と報じられました。中野区も統一方式離脱で値上げしない方針と聞いています。
     区長は、この3区の動きについて、どのようにお考えでしょうか。また、都道府県化によって保険料が大幅に上がることをどのように受けとめ、区としてどのような対応が必要だとお考えなのか、お答えください。
     区政の基本方針説明で区長は、行政サービスの財源として、国保料と区民税の高い収納率確保に努めると述べました。しかし、国保は社会保障制度の一環であり、あれこれの行政サービスと同列に置き、国保料を単に財源として捉えるべきではないと思います。むしろ、都道府県化することにより、区の一般財源からの繰り入れを大幅に減らし、そのために国保料が大幅値上げとなり、区民生活に大打撃を与えることに区長は言及すべきではないでしょうか。そうでなければ、単に区民生活に無関心というだけでなく、国保制度大改革が区政に及ぼす影響や今後の保険料の推移についての説明責任回避だと思いますが、区長の認識を伺います。
     高い保険料を賦課し、払えなければ短期保険証や資格証明書を発行し、さらに差押・執行までして強制的に徴収するのに、被保険者が保険料決定に意見を述べる機会もないのは民主主義とは言えないと思いますが、この決定方法についても認識を伺います。
     国民健康保険料の子どもの均等割についても伺います。
     昨年の第1回定例会での我が会派の質問に対し、区長は「子どもの均等割減免は国が制度を創設すべきで、全国市長会にも提言しているが、区単独では実施しないし東京都にも提案しない。多子世帯の減免は限られた世帯への一般財源投入になり、公平性の観点から実施する考えはない」と答弁されました。東京都内では、昭島市と東大和市が既に多子世帯の負担軽減をしていますが、区長が国に期待して待っている間にも状況は変化し、新年度から清瀬市も実施するそうですし、埼玉県のふじみ野市、富士見市も4月から第3子の全額免除を実施するとのことです。兵庫県赤穂市など、西日本でも実施自治体がふえつつあります。区長も必要性は否定しないのなら、国の施策をリードする姿勢で実施に踏み切るべきではないでしょうか。
     また、限られた世帯に一般財源を投入することは公平ではないとおっしゃいますが、区の事業の多くは対象者が限定されています。子どもの貧困対策の必要が叫ばれている中、多子世帯への支援に異を唱える区民はいないのではないでしょうか。協会けんぽは子どもに均等割はかかりません。国保もせめて多子世帯だけでも無料化するよう区長の決断を求めますが、いかがですか。
     第2に、後期高齢者医療保険料についてです。
     東京都後期高齢者医療広域連合議会は、1月31日、来年からの2年間の保険料について、余剰金180億円を活用して値上げ幅を圧縮したものの、平均1,635円、1.7%の値上げする案を可決しました。また、都連合独自の4項目の特別対策等は継続しますが、政府の低所得者対策見直しはそのまま実施することも決めました。その結果、加入者の約3割に当たる年金収入211万円を超える場合は保険料が下がりますが、7割近くを占めるそれ以下は値上げになります。財政安定化基金の一部活用で値上げは抑えられたのに、それをしないで低所得者の値上げを決めたことは問題であり、今後はこの基金活用を広域連合に求めるべきと考えますが、いかがですか。
     第3に、介護保険についてです。
     第7期の基準介護保険料は月額6,200円と提案されました。介護給付準備基金は、15億円の活用で600円下げてもなお300円の値上げです。6,200円は、第1期保険料3,248円の1.9倍です。この18年間、高齢者の年金はふえるどころか減る一方で、ふえ続ける介護保険料が家計を圧迫しています。介護給付に占める1号被保険者の負担割合は、第1期は17%でしたが、7期は23%です。今後、団塊の世代が75歳以上になり、給付額が増大し、その上負担割合が上がることを考えると、どこまで保険料が上がるのかと背筋が寒くなります。国は、軽度者は介護保険から外し、重度者にサービスをシフトして給付を抑制するとともに、利用者負担をふやすことで制度の維持をもくろんでいます。それで制度は維持できたとしても、高齢者の生活は維持できません。新宿区は、16段階に多段階化をして低所得者の保険料負担を抑える努力をしてきましたが、それも限界があります。公費を50%以上にふやすこと、特に国が25%の負担割合を引き上げ、最低でも5%の調整分は25%と別枠にするよう国に要望すべきと考えますが、いかがですか。
     第一次実行計画で、国有地を活用して新たに市谷薬王寺町に特別養護老人ホーム、払方町に認知症高齢者グループホームを整備する計画が示されたことは歓迎します。今後、第7期では、6期で計画倒れに終わったグループホームや小規模多機能型居宅介護等が確実に整備されるような特別の対策が必要です。また、基本的に要介護3以上の方しか申し込めなくなった特別養護老人ホームの待機者は、昨年11月現在639名であり、第8期に向けて薬王寺以外にも特養をふやすよう、今からの対策を求めますが、いかがですか。
     介護報酬が見直され、身体介護は少しプラスですが、生活介護はマイナスです。ある事業所が試算したら、トータルの収入はマイナスになってしまうそうで、あとは加算をとって乗り切るしかないと言っています。加算は否定しませんが、基本となる報酬がプラスにならなければ事業所の経営もヘルパーの雇用継続もできません。区長からも、そのことを国に意見を述べるべきです。
     そして、区内事業者の経営を危機に陥れてきたのが、新宿区の安過ぎる総合事業の単価でした。新年度には見直すとの答弁でしたが、いつからどのように改善するのか、訪問介護の予防給付はどの程度まで回復する見込みなのか、事業者へ説明を行い理解が得られたのか、お答えください。

     

     

    ◎区長(吉住健一) 国民健康保険料、後期高齢者医療保険料及び介護保険についてのお尋ねです。
     初めに、国民健康保険料についてです。
     まず、統一保険料と異なる3区の動きについてです。
     国民健康保険制度改革に伴う特別区の対応方針では、都内保険料水準の統一、医療費の適正化、収納率の向上、法定外繰入の解消または縮減という将来的な方向性に沿って段階的に移行すべく、23区統一で対応することとしました。ただし、この水準を参考に各区独自で対応することも可としました。保険料を独自に設定する3区については、この方針に沿って判断したものと考えます。
     次に、都道府県化による保険料への影響についてです。
     今回の制度改革は、都道府県単位の医療給付費等を区市町村保険者の支え合いにより公平に分担する仕組みへの改正であり、都道府県単位で見れば、保険料のあるべき水準そのものが上がることはないと考えます。
     一方で、区市町村単位で見れば、納付金の仕組みへの変更に伴い、特に所得水準の高いところは相対的に保険料水準が上がることになりますが、これらに対しては制度改革に伴う激変緩和措置が講じられています。区としては、あるべき保険料水準を踏まえながら、急激な保険料の上昇を緩和することに留意し、必要な対応について特別区全体の中で議論していきます。
     次に、一般財源からの繰入金を減らすことにより保険料が大幅に上がることに言及すべきとのお尋ねです。
     国民健康保険制度は、医療給付に係る費用を制度的に定められた公費と被保険者の保険料によって賄うことが原則です。他の社会保険制度との公平性の観点から、あるべき保険料水準に近づけて法定外の繰入金を解消することの必要性を被保険者の方に御理解いただくことが重要であると考えます。
     次に、制度改革の区政に及ぼす影響と今後の保険料の推移に対する説明責任についてです。
     今回の制度改革は、国民健康保険財政を改善することで、国、都道府県及び区市町村が一丸となって国民健康保険制度を守り、区民の医療を保障していくことが目的です。今後もこの観点を踏まえながら、保険料の急激な上昇に配慮し、制度の円滑な運営に向けて説明責任を果たしていきます。
     また、保険料の推移については、医療費に関する国の政策の動向や被保険者数の変化などに影響を受けることから、中長期的な見通しを示すことは困難であると考えます。毎年の保険料の検討に当たって、適切に判断し説明していきます。
     次に、被保険者が保険料決定に意見を述べる機会がないとのお尋ねです。
     保険料の決定に当たっては、国民健康保険運営協議会に諮問し、被保険者を初め保険医、被用者保険及び公益の代表として区議会議員等、さまざまな立場を代表する委員から意見を伺うことで適正な手続を経ているものと考えます。
     次に、多子世帯だけでも保険料の均等割を無料化するべきとのお尋ねです。
     多子世帯への支援については、特別区長会から国に対して、国の責任において財政措置を講ずるよう要望しているところです。したがって、多子世帯の国民健康保険料を区単独で無料化することは考えていません。
     次に、後期高齢者医療保険料の算定における財政安定化基金の活用についてのお尋ねです。
     後期高齢者医療制度の財源構成は、患者負担分を除き高齢者の保険料が約1割、現役世代からの支援が約4割、公費が約5割となっています。このように、費用の大部分が公費や現役世代からの支援金で賄われていることから、高齢者からも応分の負担を求めざるを得ないと認識しています。
     平成30年度、平成31年度に繰り越せる剰余金180億円が活用できる見込みとなり、急激な医療費の上昇への対応が、本来の設置目的である財政安定化基金を活用せずとも適切な保険料率設定ができることとなりましたので、広域連合へ当該基金の活用を求めることは考えていません。
     次に、介護保険についてのお尋ねです。
     介護保険制度は、サービスの提供に係る費用を公費と保険料で50%ずつ負担し、社会全体で支え合う制度です。将来にわたって持続可能な制度運営を行うためには、現行制度における一定の負担は必要なことと考えています。
     なお、国の負担割合については、介護給付費負担金25%を確実に交付し、調整交付金5%を別枠とすることを従来から全国市長会等を通じて要望しています。
     次に、特別養護老人ホームの整備についてのお尋ねです。
     区では、介護が必要になっても在宅生活が継続できるよう介護保険サービスの充実を図るとともに、在宅生活が困難になった高齢者を支えるため、特別養護老人ホームの整備を計画的に進めてきました。今後、市谷薬王寺町国有地を活用して、新たな特別養護老人ホームの建設に向けて整備を進めていきますが、今後の高齢社会の進展を踏まえ、状況に応じて整備を検討していきます。
     次に、介護報酬についてのお尋ねです。
     今回の報酬改定では、自立支援・重度化防止に資する訪問介護を推進・評価する観点から、身体介護に重点を置くものとなっており、身体介護はプラスとなっています。一方、生活援助は若干のマイナスとなっていますが、生活援助従事者のための短時間の研修制度を創設し、担い手の裾野を広げるとともに、新たな研修による従事者についても配置人員として認めるという基準の緩和も行っています。身体介護は介護福祉士等が担うこととし、生活援助は多様な担い手が従事することを目指した改正であり、訪問介護事業所にとっても人材確保に資する内容となっています。こうしたことから、報酬の見直しについて、国に意見を述べることは考えていません。
     次に、総合事業の単価についてのお尋ねです。
     区では、平成30年4月の介護報酬改定に合わせ、総合事業のサービス区分等の一部見直しを予定しています。訪問介護相当サービスについては、現在、身体介護に要する時間に応じてサービス費の設定区分を3区分としていますが、身体介護に要する時間が最も短い区分を廃止し、2区分とします。これにより、専門的見地からの訪問介護相当サービスと自立生活維持のための生活援助サービスとの差別化を図り、身体介護のサービスが必要な方は訪問介護相当サービスを御利用いただくなど、適切なサービスへの移行を促進してまいります。
     こうした取り組みは、専門性を持った介護事業者が、より重度の支援が必要な方へのサービス提供に専念できる環境づくりにつながるものと考えています。事業者には、こうした見直しの考え方を含め、丁寧な説明を行い、理解を求めてまいります。

     

     

    ◆7番(佐藤佳一) 区長並びに教育委員会から御答弁をいただきありがとうございました。
     質問に対して評価すべきところ、また、そうでないところ、多々ありましたが、特に財源を確保することについて、区長は不合理な税源偏在という言葉を使いました。こうした事態を、やはり区民に広く知らせることが大事だというふうに思います。
     不十分な点については、今後設置される予算特別委員会で同僚議員から質疑をさせていただきます。
     以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

    区議会活動 | 佐藤佳一

    2018.06.01 更新

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